いざTOEIC対策をしようと考えたとき,今では沢山のサービスの中から自分好みのものを自由に選択することができます。
参考書や通信教材といった昔ながらの定番の方法を採るでも構いませんし,AIを搭載した英語学習アプリやコーチングサービスは実に令和らしいものの代表例です。
当記事で紹介するサービスの多くはすでに別記事にしてありますが,ここでは「TOEIC対策にはどういった種類のサービスがあるのか」について幅広く取り扱っている点が異なります。
もちろん,詳細なレビュー記事の方にもリンクを張っているので,これからTOEIC学習を始められる方で,興味を引くものがあった場合は併せてチェックしていただければ幸いです。
もくじ
TOEIC用の書籍
書籍の長所と短所
長所:ピンポイントで必要な分野を学習でき,費用を抑えられる
短所:多くの書籍から必要なものを選別しないといけない他,自ら学習計画を立ててそれ通り実行する能力が必要
最も古くから存在していて,令和時代になっても人気が衰えないTOEIC対策と言えば,市販の書籍を使うことでしょう。
とはいえ,「これ一冊だけをやればOK!」などといった夢のような本は存在しません。
たとえ全部のジャンルを網羅しているものがあっても,それは広く浅い内容をまとめたものにすぎず,結局,弱点部分を中心に別の問題集なり参考書なりを購入することになるものです。
書籍を使って対策するにあたって,本のタイプについての理解をまずは深めていただきたいのですが,総合的に対策できる解説本から予想問題集(模試)に単語帳,そして特定のパートに絞って対策できる攻略本の他,フレーズ集や文法書に至るまで,幅広いラインナップが存在しています。
とはいえ,最低限の対策で済ませるのであれば模試と単語帳を購入するところから始めるのが無難です。
模試で時間の使い方を覚え,単語帳を使って実力を底上げします。
もう1つの注意点ですが,自分の実力に合ったレベルの書籍を選ぶようにしてください。
具体的には今現在保有しているスコアから「100点以内」を目標とすべきで,自分の実力がわからない人はすぐに模試を解き,予想スコアを知りましょう。
単語帳を購入するのはそれからで構いません。
このように,書籍を使ったTOEIC対策では自分の実力に合ったものを選ぶことが重要で,公開テストまでの残り時間から逆算して,どの弱点から潰していくのが効率的なのかを自らで考えなければならないところが大変です。
「よく売れているから」といった理由だけで,目標スコアや使い方が自分に合っていない本を選んでしまうと思ったほど役に立たないでしょうし,基本的には複数の参考書を組み合わせて使うことになるため,どの本をどういう順番でやるのかといったマネジメント能力も問われます。
必要な分だけ買えばよいので,そこまでお金をかけずに済ませられるところはメリットですが,最初のうちからあれもこれもと買いすぎてしまった結果,逆に高くついてしまうことも少なくありません。
当サイトでは,初心者向けと900点目標の方向けの書籍をいくつか紹介しているので参考にしてください↓

多読用教材
多読用教材の長所と短所
長所:リーディングに限らずリスニングのスコアも伸ばせて低コスト
短所:即効性が低く終わりがないため,期限を決めて対策するには不向き
TOEICではリスニングセクションよりもリーディングセクションの方がスコアが伸びにくいこと,そして自分が読めるスピード以上で英語を聞き取ることができないことを考慮すると,リーディング対策に時間をかけるのは往々にして正しい対策になりがちです。
多くの人が目標とする600~800点を取るにあたっては特に,リーディングの練習量が運命を左右すると言っても過言ではないでしょう。
多読用教材の候補となるものは英字新聞の他,「ラダーシリーズ」や「ペンギンリーダーズ」に代表される洋書が挙げられますが,これらの中には対象者の英語力が数字でわかりやすく示されているものもあります(「TOEIC500点」や「LEVEL2」など)。
ただし,これらはあくまで英語力の底上げを目的として使うことになるため,他の教材と比べると即効性がありません。
TOEICの各パートの解き方を知らない方であれば,実際に本番で目にする形式で問題を解く方がスコアアップに繋がりやすいため,多読用教材の必要性は薄れがちです。
ましてや,多読だけでTOEIC本番に挑むということは通常考えられません。
その他,TOEICで900点を超えたいと思っている方は,先にリスニングのスコアが満点付近で頭打ちになってしまい,後はリーディングセクションの点数をどれだけ伸ばせるかの勝負になってくるわけですが,これだけの英語の本を読めばよいといった具体的な指標は存在しないわけです。
そのため,気長に伸ばしていく必要があり,ならば読んでいて楽しいと感じる内容の教材を使うのが一番でしょう。
もちろん,Japan Times AlphaのようにTOEIC対策を強く意識した英字新聞もありますし,Audibleなどを利用して耳で読むことにすれば,持ち運ぶ教材はスマホだけで済み,リスニングの勉強にもなります↓

NHKのラジオ講座
NHKラジオ講座の長所と短所
長所:気軽に始められて未知の音源を聴く良い練習になる他,講師がとにかく優秀
短所:半年~1年のカリキュラムは時間がかかり,多聴や読解練習には不向き
NHKのラジオ講座は小中高生向けの基礎英語に限らず,ビジネス英語や英会話などのラインナップもありますが,ラジオが全盛期だった親世代の方には大変馴染みがあるもので,リスニングを中心に英語力の底上げが可能です。
現時点ですと「小学生の基礎英語,中学生の基礎英語,ラジオ英会話,エンジョイ・シンプル・イングリッシュ,英会話タイムトライアル,ラジオビジネス英語,ニュースで学ぶ現代英語」といった豊富なラインナップが揃っています。
加えて最近は,スマホのアプリ(らじる★らじる)を使って再放送やストリーミング放送をいつでも聴けるようになったこともあって(視聴できる期間は限られますが),これまで以上に取り組みやすくなったことは確かです。
これが昭和だと,学校に行く前に早起きしては顔を水で洗って聴く必要がありました。
テキストは当時の倍以上の値段になってはいますが,それでも数百円で毎月購入できます。
注意点は,基本的には4月から3月までの1年を通じてカリキュラムが組まれるのが普通だということです。
ゆえに,数ヶ月程度では体系的に学ぶことができませんし,ラジオのパーソナリティーによる解説が入る性質上,繰り返しリスニングしたり長文読解や速読の練習がしにくかったりしますし,TOEIC対策に直結したものではない点もデメリットと言えます。
とはいえ,NHKのラジオに選ばれる講師というのは誰もが認める語学界の実力者であることがほとんどで,ビジネスの教養や時事英語まで学べるところが強みです。
現在進行形でなくても構わないのであれば「ポケット語学」というアプリを使うこともおすすめで,これならば一気に1年分を短期間で学ぶことができます↓

英語学習アプリ
英語学習アプリの長所と短所
長所:独自トレーニングを通して,新しい学びの形が体験できる
短所:無料のものは工夫して使う必要があり,有料だと結構な値段になるものが多い
英語学習アプリですが,TOEIC用の単語を扱った単純なもの(mikanなど)から,数千題の問題を通してパートごとの対策ができるもの(スタディサプリなど)まで,多種多様なものが存在しています。
中には,アルクの出しているboocoのように自社の書籍が読み放題になるアプリもあるほどです↓
どれもユニークな機能を備えており,無料なものの中にもAIを搭載していてこれまでにない学習体験を提供しているものも見られますが,検索してみるとあまりに多くのアプリが表示されてくるため,使ってみないことには良いか悪いかの判断がしづらいように感じます。
当サイトでもこれまでにいくつかレビューしてきましたが,3年も持たずに消えていくアプリが多かったです。
とりわけ無料で利用できるものの多くは量的にも質的にも大した対策ができないことが多く,少なくともユーザー側が工夫しないことには役に立ちません。
かといって,有料のものだと利用料金が高くついてしまい,無料体験期間があればまだ良いですが,短期間で料金分の効果があるのかどうかを見極めるのは難しく,さらにそこに自分との相性問題も加わってくるため,賭けになってしまう部分も無きにしも非ずです。
とはいえ,アプリではモチベーションを維持できるように学習量をグラフで表示してくれるものがあったり,中にはコーチングサービスを別に用意しているアプリもあったりするので,対策のすべてを任せることもできます。
支払い形式は,買い切り型のものよりも月額料金のサブスク型のものが主流で,有料のものは更新が頻繁に行われていて不具合も起こりにくいです。
ただし,しぶしぶTOEIC対策を始めたような方がアプリ学習でモチベーションを維持できるかと言えば,決してそのようなことはありません。
やる気はないけれど期限までに結果をどうしても出さなければならない方は,後述するオンライン英会話やコーチングなど,人の手が加わったサービスの利用をおすすめします。
オンライン英会話
オンライン英会話の長所と短所
長所:外国人相手にリスニングやスピーキングの練習ができる
短所:オンラインでのコミュニケーションが苦手な方には不向き
オンライン英会話ですが,最近はスマホを使って簡単に行えるようになりました。
一昔前までは必須だったヘッドセットやWebカメラといった機材を別に用意せずとも,zoomや独自開発されたアプリなどを使うことによってレッスンを受けられます。
専用のTOEICコースが用意されているサービスもありますが,一般的には,ビジネス英語の表現を中心に学びながら英語のリスニング力を伸ばしていく使い方がメインになるはずです。
そもそも,英会話では当然ながらスピーキングを行うことになるわけですが,TOEICの問題を解く際,話す能力は直接関係してはきません(S&Wやビジネス英語の対策ならば話は別ですが)。
とはいえ,現時点での実力が500~600点である場合,リスニングやスピーキング練習に専念することがL&Rのスコアアップに特に有効であると言われているので,基本的なTOEIC対策を終えたにもかかわらずスコアが伸び悩んでいるような方はオンライン英会話で対策してみましょう。
なお,講師はフィリピン出身の方を中心としたTESOL(外国人に英語を教えるための資格)取得者である場合が多いのですが,料金が安めだったり24時間の対応が可能だったりします。
彼らは純粋な意味での「英語ネイティブ」ではありませんが,かといってグローバル化が進み,多くのコミュニケーションが非ネイティブ同士が行われている現状を鑑みると,学べることは多いです。
もちろん,英語を学ぶ本来の目的から考えても,海外の方と楽しく会話する経験を積むことは大変自然なことのように思えます。
しかし,TOEICの受験者の中には
生身の人とのコミュニケーションは平気でも,オンラインでのやり取りは苦手!
と言う方が意外に多く存在しており,そうした方にとってオンライン英会話は精神的ハードルが比較的高いものと言えるでしょう。
通塾する方がオンラインよりも話しやすいです。
と言う学習者もたまに目にします。
英会話スクール
英会話スクールの長所と短所
長所:対人でのコミュニケーションが楽しめる
短所:辞めるタイミングが難しく,ある程度の予算が必要
生身の人間とのコミュニケーションを優先したいと思えば,通塾制の英会話スクールを利用することになるでしょう。
かつてはCMが毎日のように行われて一世を風靡したサービスで,令和の時代になってもその勢いはまだまだ健在のようです。
イーオンやECC,ベルリッツにNOVAが有名どころで,通いやすさに加えてスタッフとの相性も重要になってくるため,上手く体験授業を利用しては複数のスクールを比較してみてください。
NOVAの例で説明すると,TOEIC対策ができるコースがある他,授業形態も少人数制からマンツーマン,さらには週に通う回数も柔軟に選べるようになっています↓
有名どころを利用すべき理由は立地が良いことと振替授業の選択肢が多いことで,後者に関しては出張先の地でレッスンを行ってもらうことも不可能ではありません。
意外と敷居が高いイメージのあるスクーリングですが,マンツーマンにさえしなければ,週1レッスンの料金が1万円台に収まってしまうことが多いです。
とはいえ,メリットであるはずの対人サービスにも弱点があり,いざ辞めたくなったり書籍の購入を薦められたりしたときに断りづらくなります。
結論として,人の手が入った目に見えないサービスにはお金がかかるとしておくのが無難でしょう。
誤解のないように言っておきますが,学生時代の授業料や予備校の費用などと比較して別段高いわけではありません。
コスパに関しては,自身の体感を基に判断してください。

コーチングサービス
コーチングサービスの長所と短所
長所:最高峰の指導が受けられ,短期間でも大きな結果が出やすい
短所:数十万円の費用がかかることもある
コーチングは「個」に重点を置いたサービスとなり,料金はその分高くつきますが,TOEICの目標スコアを達成できる確率も高くなるため,お金にものを言わせたスコアアップが可能になる点が優秀です。
個人指導の魅力は非日常的な体験ができるところであり,名のある会社が提供しているサービスであれば,しっかりと指導できるコーチに担当してもらえるので,ただ言われるがままに実行していくだけでも目標が達成できてしまいます。
短期間でありながらも他人に大きく干渉され続ける日々には独特の緊張感があり,怠けるわけにはいきませんし,料金もそれなりのものを払っているわけですからやる気を出さざるを得ません。
もちろん,勉強効率は最高の状態になるので,費やした時間に対するスコアアップの割合が最大となるのはコーチングサービスならではの魅力です。
有名どころとしては,RIZAPを筆頭にABCEEDやKIRIHARAのものが知られています↓

通信教材
通信教材の長所と短所
長所:対策として考えられるものが一通り全部揃う
短所:やりきれなかったときのダメージは大きい
お金を先に支払って学ぶのであれば,ユーキャンに代表される通信教材を使うことが昔ながらの方法と言えます。
しかし,近年の流れの中ではむしろ縮小傾向にあるようで,実際,アルクは通信教材の販売を止めてアプリの開発の方に注力するようになりました。
通信教材は追加料金がかからない買い切り型であるのが特徴で,一貫したカリキュラムに基づいた教材セットが手に入り,学習期間はある程度の長さになるものの,指示される通りに進めていけば比較的結果が出やすいのがメリットです。
教材内容は書籍を一式買い揃えた場合と似ていますが,それぞれの教材がオリジナルの内容であり,すべてのテキストをどのような順番で使うかといった勉強法自体の説明や一貫した思想のもとで書かれているところが大きく異なります。
ユーキャンの場合,これまでに数十万人が使用していて実績十分で,3ヶ月の学習期間は程よく,アプリ教材も一部に取り入れていて楽しさも感じられる仕様です↓
書籍の場合,著者が変われば教え方も変わるのが普通ですが,通信教材ともなればそこは監修者の手によって統一され,混乱することがありません。
もっとも,万全を期すために,必要なもの全てがパッケージに含まれることになるため,料金は最低限とはならず,やり遂げられなかったときのダメージはその分,大きくなることを覚悟しておきましょう。

PCソフトやゲーム
PCソフトやゲームの長所と短所
長所:買い切り型で楽しく学べる
短所:利用できるサービスは減少傾向にある
流行り廃りがあるように見てても根強い人気を誇っているのが,PCソフトやゲームを用いたTOEIC対策でしょう。
前者の例としては「ロゼッタストーン」で有名なソースネクスト社が挙げられますが,TOEIC用のシリーズとしては「500点・650点・800点以上」を狙う3つがあります↓
買い切り型でありながらもオンライン版なだけに,更新が入って古くなりませんし,パート別対策や模試に単語帳がオールインワンで揃っているなど,情報量は十分かつ料金も通信教材ほどには高くなりません。
一方,ゲーム機を使った対策に関してですが,Nintendoの脳トレがかつて人気を博し,英語関連のものだと「えいご漬け」がディクテーションもできて特に充実していました。
My Nintendo Storeに行ってみると,子どもむけの教材以外に,英検やTOEICの教材(ナナミと一緒に学ぼなど)も見つけられるでしょう。

まとめ
以上,TOEIC対策に利用できるサービスについて,9つの種類別にみてきましたがいかがだったでしょうか。
具体的には書籍から始まり,多読用の教材やNHKのラジオ講座,さらにはアプリやオンライン英会話といったEdtechの他,各種スクールや通信教材,最後にソフトやゲームまでを紹介してきました。
これらのうち,どれが最も優れているのかを決めることができないのは,テスト本番までの残り時間や予算,現時点での学力や好みの勉強方法などにより,人の数だけ最適解が存在するからです。
もっとも,教材をどれか1つに絞らなければならない道理はないため,自由に組み合わせて使ってみてください。
むしろ,興味のあるものを試しては捨ててを繰り返しながら自分にあったものをその都度取捨選択していくことこそ,令和時代の学びの姿勢として求められているとすら言えます。
時代のニーズによって,活気のあるサービスとそうでないものとで明暗が分かれていることも事実ですが,スマホやSNSを苦手とする人が無理をしてまで新しいサービスを使うべきだとは思いません。
ですが,未経験のままで良いかと言われればそれも違うように感じるので,新しい一歩を踏み出してみてほしいというのが本音です。
是非,上で紹介したサービスで気になったものがあれば試してみてください!
最後までお読みいただいた方,誠にありがとうございました。