TOEICの歴史!日本人の生みの親やETSとの関係を解説

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執筆・運営者:さんくす
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TOEIC L&R 425点から915点,S&W 340点に到達。IIBC AWARD OF EXCELLENCE 2022受賞。100以上の教材を実際に使い,独学でも続けやすいTOEIC対策を整理しています。詳しいプロフィール

今回は「TOEICの誕生と歴史」についてまとめていきます。

TOEIC対策として日々問題集を解いている方でも,L&Rテストの形式が過去に何度か変わったことや,TOEIC Bridgeというテストが存在することは知っていても,「一体どのような目的で,誰がTOEICを作ったのか」という根本の歴史までは知らない方が多いのではないでしょうか。

TOEICの誕生には,北岡靖男氏・渡辺弥栄司氏・三枝幸夫氏という3人の日本人が深く関わっています。

日本側が「ビジネスで使える英語力を測るモノサシ」を求め,ETSがその構想をテストとして形にした,という流れで理解するとわかりやすいでしょう。

公式問題集などにも歴史の詳しい背景は記載されていないため,意外と知る機会が少ないテーマです。

歴史を知ったからといって直接スコアが上がるわけではありませんが,テストの目的や背景を知ることで,TOEICへの親しみが湧き,学習のモチベーションが変わる可能性があります。

記事を読むのにそれほど時間はかかりませんので,ぜひ教養としてTOEICの裏側を学んでみてください。

TOEICの生みの親は日本人だった?開発のきっかけ

TOEIC誕生のきっかけを語るには,1970年代の日本にまで時代を遡る必要があります。

当時の日本は,第4次中東戦争に端を発する石油危機(オイルショック)により経済的に大きな打撃を受けていました。さらに,日本の輸出超過が原因となり,アメリカ等との間で貿易摩擦が深刻な社会問題になっていた時期でもあります。

高度経済成長の影の部分が露呈し,1974年には経済成長率(実質GDPの対前年度増減率)が戦後初のマイナスに転落しました。

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バブル崩壊以降はマイナス成長も珍しくなくなりましたが,1973年まで平均9%近い成長を遂げていた当時としては,劇的な変化でした。

同時期に,先進国は固定相場制から変動相場制への切り替えを進めており(1976年にIMFで承認),日本は厳しい経済状況を打破するため,企業の海外進出によるコストカットと貿易摩擦の緩和を目指すようになります。

急速にグローバル化へと舵を切る中で浮き彫りになったのが,海外で現地のスタッフやビジネスパートナーと円滑に意思疎通を図るための「英語でのコミュニケーション能力」の欠如でした。

単なる受験知識としての英語ではなく,「道具として使える英語力」が求められるようになったものの,当時のビジネスパーソンの多くは,国際的な商談や会議の場で実力を発揮できず苦労を強いられていたのです。

そんな中,アメリカのニュース雑誌を発行するTime社に長年勤務していた北岡靖男氏(1928~1997)と,通商産業省(現・経済産業省)で国際的な経験を積んだ渡辺弥栄司氏(1917~2011)の2人が運命の出会いを果たします。

1974年に北岡氏が「国際コミュニケーションズ」という会社を設立しますが,渡辺氏が所属する日中経済協会のオフィスが同じ青山ビル内にあったことがきっかけでした。

彼らは日本の英語教育の現状について議論を重ね,

日本の英語教育発展のために,実効性のある新しい評価プログラムを開発しよう!

と意気投合し,これがTOEIC開発の原動力となっていきました。

 

 

TOEICテストはいつ誕生したか

ETSの扱う製品とサービス

当時,世界最大の非営利テスト開発機関として知られていたのが,アメリカのニュージャージー州にある「ETS(Educational Testing Service)」です(1947年設立)。

北岡氏と渡辺氏がETSに目をつけたのは,国際コミュニケーションズの同僚であった三枝幸夫氏(1931~2005)の助言があったからだと言われています。

ETSは当時からTOEFLやSAT(全米大学入学共通試験)などを制作しており,そのテスト開発には以下の3つの強固な理念がありました。

  • 信頼性:何度受けても同じ基準で評価される
  • 妥当性:受験者の特性や知識,スキルを定義通りに測定できる
  • 公平性:言語の背景や問題内容によって受験者に有利・不利が生じない

独自の調査研究に基づき,統計分析の専門家による厳格なチェックが毎回入るため,受験者が同じ実力のまま何度テストを受けても,スコアが大きくブレないという高い品質が担保されていました。

日本の発案者たちがETSと正式に交渉を開始したのは1977年9月のことです。

当初,ETS側は「遠く離れた日本から来た個人の依頼」であるとして難色を示したそうですが,北岡氏や渡辺氏らの粘り強い交渉が実を結び,TOEIC Programの開発が動き出しました。

つまり,「日本人がテストの必要性を企画・発案し,世界有数のテスト開発機関であるETSがそれを作った」というのがTOEIC誕生の真相です。

国内では渡辺氏がテストの実施・運営組織作りに奔走し,通商産業省の認可を得て「TOEIC運営委員会」が設置されました。

そして,記念すべき第1回TOEIC L&R公開テストは,1979年12月2日に札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5都市で開催され,2,773名が受験しました。

以下に,これまでのTOEIC関連テストの歴史を表にまとめておきます↓

年代 できごと
1979年 TOEIC L&Rテスト第1回実施
1980年 TOEIC LPI開始(スピーキング能力を測る面接形式のテスト)
1981年 団体特別受験制度(IPテスト)開始
2001年 TOEIC Bridge L&R開始
2006年 TOEIC L&Rがリデザイン(新形式化)
2007年 TOEIC S&W開始
2016年 TOEIC L&Rが再度アップデート(現行形式)
2019年 TOEIC Bridge Testsが4技能対応にリデザイン

なお,現在日本でTOEICを運営している国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が設立されたのは,第1回テスト実施からしばらく経った1986年のことです↓

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その後もTOEIC Programは時代に合わせて姿を変えており,2024年にはETSのグローバルなブランド変更に伴って,TOEIC TestsとTOEIC Bridge Testsのロゴも刷新されました↓

TOEICの新ロゴ

アスタリスクと上向きの斜線が入ったシンボルは「The Source」と呼ばれ,ETSが教育や人材評価の領域において,従来の基準を再定義し,革新的なアプローチを確立していくという力強い意志を表しています。

 

 

企業におけるTOEIC活用の歴史と広がり

1979年の初回の受験者は約3,000人にとどまりましたが,その後,1985年度には約9万人,1990年度には約33万人へと急増し,2000年度には大台の100万人を突破しました。

ピーク時の2019年度には年間で約220万人が受験する国民的テストへと成長しました。

さんくす
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その後はコロナ禍の影響で一時的に受験者数が落ち込みましたが,2025年度にはTOEIC Program全体で約216万人,TOEIC L&Rだけでも約196.4万人が申し込む規模まで回復しています。

この爆発的な普及の背景には,日本企業のグローバル化があります。

かつての英語研修は一部のエリート社員だけを対象とするものでしたが,1980年代後半以降は多くの一般社員が対象となり,企業全体で英語力の底上げを図る流れが定着しました。

そんな時代において,「客観的に英語力を評価でき,具体的なスコアで目標達成度が測れるテスト」の登場は,人事や研修担当者にとってまさに渡りに船でした。

信頼できる「英語力のモノサシ」が存在しなかった時代に,TOEICの誕生は,時代の流れに合ったものだったと言えます。

そうした理由から,1990年代には就職活動の採用基準として使われ始め,2000年代に入ると企業の昇進・昇格の要件として組み込まれるのが当たり前になっていきました。

現在では,グローバル企業だけでなく,インバウンド需要を見込む旅館や警備会社,タクシー会社などでもTOEICを利用した研修が行われています。

現場での「おもてなし英語」の習得がメインの場合,目標スコアは500~600点前後に設定されるケースが多く見られます。

一度で完璧に聞き取れなくても,何度かやり取りするうちに意思疎通ができれば業務が成立するためです。

こうした多様なニーズの拡大に合わせて,初・中級者向けの「TOEIC Bridge Tests」が開発され,ビジネス現場で実際に話したり書いたりする運用能力を直接測る「S&W Tests」も登場してきました。

2019年にBridgeが4技能対応へリデザインされた背景には,初・中級者の実力をより段階的に測るだけでなく,学校教育で重視される4技能評価への流れもあったと考えられます。

一方で,TOEICは今や社会人のみならず,学生層にも着実に広がりを見せているのが現状です。

日本人の発案でETSが形にしたTOEIC。

現在では日本国内にとどまらず,世界160ヶ国,約14,000の企業・団体などで活用されるグローバル・スタンダードなテストとして,確固たる地位を築き上げました。

日本国内においてもその勢いは衰えず,2025年度にはTOEIC Program全体で受験者数は約216万人,約3,900の企業・団体・学校などに採用されています(参考)。

 

 

まとめ

以上,TOEIC誕生の歴史と,企業におけるTOEICテスト活用の変遷についてまとめてきました。

今回紹介した内容についてさらに詳しく知りたい方は,IIBCが公開している以下の特集記事も参考になります↓

冒頭でも述べた通り,歴史的背景を知ったからといって直接スコアが上がるわけではありません。

しかし,「日本のビジネスパーソンが世界で活躍できるように」という熱い思いから日本人が発案し,それが今や世界中で必要とされるテストになっているという事実は,日々の学習に向かう姿勢を少しだけ前向きにしてくれるのではないでしょうか。

グローバル化の流れは,現代の社会情勢を見ても止まることはありません。

これからもTOEICは,信頼できる貴重なモノサシとして世界中で用いられ続けるはずです。

実際,当サイトへのアクセスも日本以外の国から一定数寄せられており,海外でのTOEIC熱を感じることがあります。

社会や世界を舞台に活躍したい方は,TOEICの歴史に込められた思いも少しだけ意識しながら,目標スコアの取得に向けて学習を続けていきましょう。

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  • この記事を書いた人
東大院修了(農学修士)・指導歴20年の教育メディア運営者 さんくす

さんくす

東大院修了(農学修士)・指導歴20年の教育メディア運営者 さんくす。英語に苦手意識があったところから,TOEIC L&R 425点を経て915点,S&W 340点に到達し,IIBC AWARD OF EXCELLENCE 2022を受賞しました。20年以上の英語学習経験と,100以上の教材を実際に検証してきた一次情報をもとに,TOEIC対策を発信しています。

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