TOEICが現行形式になってから長年が経過し,その間に出版された定評あるリスニング教材を数多く検証してきました。
その結果わかったことは,「どの優良教材も,根本的な基本方針に大差はない」ということです。
もちろんレイアウトや解説の詳しさには好みがありますが,TOEICスコアの半分を占めるリスニングセクションを攻略するノウハウは,ある程度「王道の型」が確立されています。
良質な参考書を1冊決めたら,そこで学んだ方法を模試で何度も試し,自分の解き方として定着させていくことが大切です。
そこで今回の記事では,私がこれまでにレビューした教材の内容や実際の受験経験をもとに,「リスニングセクションの解き方とパート別のコツ」をまとめます。
リスニングはリーディングよりも短期間で高得点が狙いやすいセクションですので,当記事の内容を参考に,ぜひとも満点(495点)を狙っていきましょう。
TOEICのリスニングセクションについて

リスニングセクションは,約45分間で全100問を解き進めます。
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リスニングセクションの構成は次の通りで,495点満点です(5点刻みで算出)↓
- Part1: 6問(写真描写問題)
- Part2: 25問(応答問題)
- Part3: 39問(会話問題)
- Part4: 30問(説明文問題)
TOEICのスコアは正答数をそのまま点数化したものではありませんが,採点の土台になるのはあくまで「何問正解できたか」です。
そのため,受験中は難問も易しい問題も,同じ「1問正解」として確実に積み上げていく意識が重要になります。
難しい問題にこだわりすぎて,その後の取れる問題まで落としてしまうのが一番もったいないパターンです。
なお,直近の公開テストの平均スコアを見ると,リスニングの平均点は約320点前後となっており,470点以上を取れれば上位数%に入れるレベルです。
リスニングスコアを3つの層に分けた場合のレベルの目安は以下のようになっています↓

各国のアクセントに慣れることが第一歩
リスニングセクションにおいて重要なのは,「アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの4ヶ国の発音が混ざっている」という点です。
例えば,「花瓶(vase)」という単語は,アメリカ英語では「ヴェイス」と発音されますが,イギリス英語では「ヴァーズ」と発音されます。
アメリカ英語しか収録されていない教材で勉強していると,本番でイギリス英語やオーストラリア英語の発音に戸惑うことがあります。
公式問題集などで様々な国のアクセントに耳を慣らしておくことが,リスニング対策の第一歩と言えます。
次章からはパートごとの解き方のコツを見ていきますが,それぞれの解説中でカッコ書きした数字(1~3)は,その攻略法について触れている教材を表します。記事の最後に「参考文献」としてまとめていますので,より深く学びたい方は確認してみてください。
Part1(写真描写問題)の解き方

Part1の特徴
1枚の写真に対して4つの短い説明文が1度だけ放送され,写真を最も適切に描写しているものを選びます。問題数は全6問と最も少なく,比較的取り組みやすいパートです。音声もはっきりと発音されるため,確実な得点源にしたいところです。
音声が流れる前に「目立つもの」をチェックする
写真に人が何人いるか,どんな動作をしているか,身につけているもの(眼鏡や帽子),物の位置関係などをあらかじめチェックし,「どのような単語が読まれるか」を頭の中で予想しておくことが重要です(2・3)。
「目立たないもの」が正解になるパターンに注意
写真のメインとなる人物を無視して,「背景に置かれている家具」や「影」などの地味な描写が正解になることもあります(1)。
先入観を持ちすぎず,流れてきた音声を客観的に聞き取る柔軟性も必要です。
Part1頻出の写真描写語彙を覚える
Part1では,写真に写っている動作や物の状態を表す語彙がよく問われます。
例えば,prop(支える),stack(積み重ねる),side by side(並んで),lawn(芝生)などは,写真描写問題で出会いやすい表現です。
また,Part1では具体的な物の名前が抽象的な語に言い換えられることもあります。
例えば,リンゴなどを produce(農作物),車を vehicle(乗り物)と表すようなパターンです。
写真に写っている物を,より広い意味の語で表す表現にも慣れておきましょう。
なお,意味だけでなく発音も一緒に覚えておかないと,音声で流れたときに反応できません。
Part1で知らない単語に出会ったら,自分用の語彙リストにまとめておくとよいでしょう(1・2)。
受け身の状態と進行中の動作を聞き分ける
Part1で頻出かつ引っ掛けになりやすいのが,「have been +過去分詞(すでに〜されている状態)」と「be being +過去分詞(今まさに〜されている最中)」の聞き分けです。
写真に「人が動作を行っている様子」が写っていないのに being と聞こえたら,その選択肢は不正解である可能性が高くなります(1~3)。
位置関係を示す前置詞に注意する
動詞だけでなく,beside(〜のそばに)や across from(〜の向かいに)といった前置詞・位置関係の表現で不正解を誘うパターンも多いため,空間をイメージできるようにしておきましょう(1~3)。
消去法を活用し,鉛筆の先をマークシートに乗せておく
音声を聞きながら,「Aは違う,Bは保留,Cは違う…」と消去法で絞り込みます。
その際,正解(または保留)と思った選択肢の上に鉛筆の先を置いたまま聞き進め,最後まで聞き終わった時点で鉛筆が乗っているマークを塗りつぶすテクニックが有効です(3)。
これにより「どれが正解だっけ?」と忘れてしまうミスを防げます。
Part2(応答問題)の解き方

Part2の特徴
短い質問や発言が流れ,それに対する適切な応答を3つの選択肢から選びます(全25問)。問題用紙には何も印刷されていないため,純粋なリスニング力が試されます。実力差がスコアに表れやすいパートですが,疑問詞や応答パターンに慣れることで,得点源にしやすいパートです。
文頭の疑問詞(5W1H)を聞き逃さない
Part2の質問の半数近くは,When, Where, Who, What, Why, How などの疑問詞から始まります。
最初の1語を聞き取れるだけで答えの方向性を絞れる問題が多いため,文頭には特に注意を向けましょう(1~3)。
また,否定疑問文や付加疑問文も,意味を瞬時に取りにくい形式です。
Isn't he coming? や You finished the report, didn't you? のような文に出会っても,Yes/Noの意味や話し手の意図をすぐに判断できるよう,問題演習で慣れておきましょう。
依頼・提案などの慣用表現に慣れる
Part2では,Could you〜? や Would you like to〜? など,依頼・提案・申し出を表す定番表現がよく登場します。
こうした表現に対して,Sure.,I'd be happy to.,That sounds good. のような自然な応答がすぐに浮かぶようにしておくと,選択肢を聞いたときの判断が速くなります。
「間接的な応答(そらし)」のパターンに慣れる
最近のTOEICで増えているのが,「どっちが好きですか?」と聞かれて「どっちも嫌い」と答えるような,予想外の返答(間接的な応答)です↓
Q:質問
Why was the meeting postponed?
A:応答(正解)
The manager is out today.
素直なYes/Noで答えてくれない問題があることを念頭に置き,文脈をしっかり掴む練習が必要です(1~3)。
迷っても引きずらず,仮マークして次に備える
3つの選択肢を聞き終わっても答えが分からない場合,いくら長考しても正解は導き出せません。
一番やってはいけないのは,悩んでいる間に次の問題の音声が始まり,連続で失点してしまうことです。
分からなければいったんマークし,次の問題の文頭に意識を切り替えてください(1・3)。
Part3(会話問題)の解き方

Part3の特徴
2〜3人による会話が放送され,その内容に関する3つの設問に答えます(13会話×3問=全39問)。会話自体は印刷されていませんが,設問と選択肢は問題用紙に印刷されています。
設問の先読みを習慣化する
Part3以降で最も重要なテクニックが,音声が流れる前に設問(できれば選択肢も)に目を通しておく「先読み」です(1~3)。
「何が問われるのか」を事前に知っておくことで,会話の中から必要な情報を待ち伏せして聞き取ることができます。
3つ目の設問が読み上げられている時には,すでに次の会話の先読みに取り掛かっているペースを保つことが重要です。
ただし,先読みでどこまで読むかは教材によって推奨内容が分かれます。
設問だけを読む方法もあれば,選択肢までざっと確認する方法,場所や時間を問う問題だけ選択肢まで読む方法もあります。
定番のシチュエーションを知っておく
Part3では,スケジュール変更,申し込み内容の確認,会社内のやり取り,店員と客の会話など,よく出る場面があります。
こうした定番の流れを知っておくと,会話の目的や次に出てきそうな情報を予測しやすくなります。
ただし,1つの設問だけに意識を向けすぎると,他のヒントを聞き逃すため,話全体の流れも追うようにしましょう。
会話の進行と答えの順番は「ほぼ一致」する
通常,会話の前半部分に1問目の答えのヒントが,中盤に2問目,終盤に3問目のヒントが登場します(2)。
この原則を知っておけば,もし1問目のヒントを聞き逃しても,「2問目と3問目だけは確実に正解しよう」と気持ちをリセットできるはずです。
主語(性別)に注目する
設問が What does the man suggest? のように男性(man)を主語にしている場合,ヒントとなる発言は当然「男性」の口から語られます(2)。
女性(woman)や話者(the speakers)など,誰の発言に注目すべきかを絞り込むことで,情報処理がグッと楽になります。
3人会話や意図問題は深追いしすぎない
3人による会話や,What does the speaker imply? のような意図問題は,情報処理に時間がかかりやすい問題です。
高スコアを狙う場合でも,迷い続けて次の設問セットの先読み時間を失う方が大きな痛手になります。
少し考えて決め切れない場合は,いったんマークして次の問題に備えましょう。
マークシートは「仮マーク」で時間を節約する
先読みの時間を捻出するため,会話を聞きながらマークシートをきれいに塗りつぶすのではなく,正解のアルファベットに鉛筆で「チョン」と薄く印をつけるだけに留めるテクニックです。
ただし,最後まで薄い印のまま残すとマークミスの原因になります。
各設問セットの間やディレクション中など,音声を聞いていない短い時間を使って,こまめに塗り直すようにしましょう。
Part4(説明文問題)の解き方

Part4の特徴
電話のメッセージや店内アナウンスなど,1人の話者による説明文を聞き,3つの設問に答えます(10文書×3問=全30問)。Part3と同様に,設問と選択肢が問題用紙に印刷されています。
Part3と同様に「先読み」を徹底する
Part4の基本的な解き方はPart3と全く同じです。
先読みをして待ち伏せするリズムを崩さないようにしましょう(1~3)。
「定番のシチュエーション」をパターン化して覚える
留守番電話のメッセージなら「冒頭で電話の目的(用件)が語られ,最後に折り返しの連絡を求める」,空港のアナウンスなら「遅延や搭乗口変更の理由が語られる」など,TOEICにはお決まりの展開(ストーリー)が存在します。
模試をたくさん解いてこのパターンを知っておくだけで,話の展開が予測できるようになります(1~3)。
当事者意識を持ち,短期記憶に残す
Part4は1人が長く話し続けるため,英文を聞いている最中は理解できたのに,設問を解く段階で内容を忘れてしまうことがあります。
そのため,Part4では聞いた内容を短期記憶に残す工夫が欠かせません。
それを防ぐには,「自分が空港でアナウンスを聞いている乗客」「留守番電話を聞いている本人」になりきり,状況を頭の中で映像化しながら聞くことが有効です(1)。
リスニング攻略に不可欠な復習のコツ
ここまでテクニックを紹介してきましたが,大前提として「純粋なリスニング力(英語の音を聞き取る力)」がなければ,テクニックを十分に生かせません。
基礎的なリスニング力を底上げするためには,以下の復習方法を取り入れるのがおすすめです。
同じ問題を何度も解き直す・聞き直す
正解した問題であっても,少しでも聞き取りに不安があった問題は,10回以上繰り返し音声を聞いてください(1)。
スクリプト(台本)を見ながら音声を聞き,英語の語順のまま意味が取れるようになるまで繰り返すことで,本番での情報処理スピードが劇的に上がります。
音読・シャドーイングを取り入れる
「自分が発音できない音は聞き取れない」という言語学習の原則があります。
聞き取れなかった箇所は,スクリプトを見ながら音声を真似て発音する(オーバーラッピング・シャドーイング)トレーニングを取り入れましょう。
具体的なやり方は以下の記事で詳しく解説しています↓
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Part4対策にはPart7の読解練習も役立つ
Part4は1文が長く,話の展開を前から追いかける力が求められます。
そのため,リーディングセクションのPart7で,英文を語順通りに読みながら内容をイメージする練習をしておくと,Part4の聞き取りにも良い影響が期待できます。
また,Part3・4では設問を素早く先読みする必要があるため,読解スピードそのものも重要になります。
英文を前から処理する練習については,以下のリーディング勉強法の記事でも詳しく扱っています↓
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まとめと参考文献
以上,TOEICリスニングセクションの解き方をパート別に解説してきました。
数多くのコツを紹介しましたが,最初からすべてを完璧にこなそうとする必要はありません。
まずは模試を解く際に「先読み」や「消去法」など,自分に合うものを1つずつ取り入れてみてください。
リスニングはリーディングに比べてスコアが伸びやすいため,目標スコア達成のためにはリスニングで自己ベストを狙うのが王道の戦略です。
今回のコツを模試で1つずつ試し,リスニングを安定した得点源にしていきましょう。
当記事の参考文献
なお,当記事で解説した解き方の引用元であり,私が自信を持っておすすめする参考書は以下の3冊です↓
1冊目は関正生先生の著書で,初心者でもリスニングの根本的な聞き取り方を学べます(スタディサプリのパーフェクト講義でも同内容を動画で学べます)。
2冊目はTOEIC講師歴20年の著者が,特にPart2の難問対策を秀逸な切り口で解説しています。
3冊目の「精選模試」は本番よりやや難易度が高く,高地トレーニングをしたい上級者に最適です。
また,実力試しにはやはり公式問題集が欠かせません。
新形式に対応した最新の公式問題集を使って,本番と同じナレーターの声に慣れておくことをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。