今回ですが,TOEICのリスニング問題のみを収録した「TOEICテスト新形式精選模試リスニング」についてレビューしました。
タイトルにもあるように,2016年5月以降の新形式問題に対応しています。
なお,解くことができる問題の数は,TOEICテスト5回分に相当する全500問です。
スコア990点を保有する講師陣による解説もあるので,教材の質についても保証されています。
つまるところコスパの良い一冊なのですが,どれほどの実力を秘めているのか,これから細かく見ていきましょう!
もくじ
精選模試リスニングの特徴
- 名称:TOEICテスト新形式精選模試リスニング
- 監修:中村紳一郎・Susan Anderton
- 著者:加藤優・野村知也・小林美和・Bradley Towle
- 出版:ジャパンタイムズ
- ページ数:解説202ページ,問題69ページ(500問)
- 音声:MP3(CD-ROM。3巻はダウンロード形式)
- 初版:2017年3月・2019年1月・2020年7月
本書の特徴ですが,TOEIC学校の講師が1000回以上受験した結果を反映し,問題の傾向や難易度をより本番に近くなるように工夫しているところがまず1つ挙げられます。
模試といえば最も有名なのが公式TOEIC問題集ですが,実は本番よりもやや簡単になっていることが多いため,本番に近づけた難度を誇る本書はある意味,公式を超えていると言っても過言ではありません。
2つ目の特徴としては,TOEICスコア990点満点講師が自身の指導経験をもとに解説している独自性でしょう。
問題自体の解説以外にも,そういった視点を表に出したコラムが随所に見受けられます。
後はすでに述べたように,リスニングの模試5回分の量です。
同じシリーズで精選模試のリーディング編も出ていますが,それも一緒に買ったとすると,公式問題集の1.4倍程度の値段で2.5倍の量の問題が解けてしまうわけですからコストパフォーマンスに優れています。
精選シリーズは数十万部を突破しており,レビューの評価もおおむね高いです。
CD-ROMが付いているので,音源はパソコンからスマホなどに転送し,試験前に何度も聴くことができます。
精選模試リスニングの内容
いよいよ精選模試リスニングの内容についてレビューしていきますが,構成としては,
- 問題編
- 解答・解説編
の2つに分かれていて,上の右側で見えている赤い冊子が問題編です。
本章ではまず「問題編」についてみた後,続いて「解答・解説編」の中身を紹介します!
問題編
全部で5セットは計500問のリスニング問題のみが収録されています。
1回分ずつがまとまっていて,マークシートもしっかり5回分用意されている上,問題用紙のサイズも公開テストのものとほぼ同じサイズなので,本番さながらの状態で,それでいて豊富な量の問題を解くことができるというわけです。
逆に教材としてみたときに,サイズがやや大きいので持ち運びには向きませんが,これは一長一短なので目的によりますね。
問題の見た目については特に変哲もない作りです↓
ちなみに,問題自体はオリジナルで作ったとのことで,問題の難易度は実際のレベルに近づけたということで早速解いてみましたが,本番のように難しいと感じました。
パート3や4で早読みをしたり,マークシートをいつ塗るのかなど,模試形式でしか実践できないことが意外と多々あるものです。
パートごとにストップしたりはせず,45分間ぶっ通しで頑張りましょう。
採点ですが,リーディング編のときと同様,本書を使うと予想スコアが厳密に求まります。
通常,模試のスコア予想というのは,ある程度の幅を伴って算出されてくるのが普通です(例:280~320点)。
しかし本書では,正答数に対して1つのスコアが対応していたため,結果はピタッと1つの数値で出てくることになります(例:300点)↓
5回のテストごとに別の換算表を使うところにも信頼性の高さを見て取れるでしょう。
TOEICのテストというのは大体難易度がほぼ一定になるように作られていますが,セットによってわずかには異なるため,同じ正答数でもスコアが異なって算出されることが普通です。
解答・解説編
解答・解説編の目次をみると,本書の構成や使い方といった簡単な留意事項が最初に少しあった以外は,問題編の解答解説に紙面のほぼすべてが割かれています。
パート別の攻略法もあるにはありますが,いかんせんダイジェスト感が強いので,こういったテクニックについて詳しく学ぶには別の参考書を使う方がわかりやすいでしょう↓
当サイトにあるリスニングパートの解き方の記事も参考にしてください。
もちろんスタディサプリなどで一度解き方を学んだのであれば確認として使えるので,不要かというとそんなことはありません。
とはいえ,1問ごとに詳しい解説があるわけですから,問題を解きながら自然に自分なりの解き方を身に付けていくのが自然でしょう。
話者の国籍が解答に表示されているのは実に新形式対応らしい取り組みですが,和訳や語彙の他に,問題ごとの正答率やコラムがあるのが特徴的です↓
写真下に見えているようなものがコラムにあたりますが,先述したTOEIC満点講師によるものであり,以下のような内容を扱います↓
- これがエッセンス=TOEICの戦略や学習ポイント,または頻出表現について紹介したもの
- 990点講師の目=注意すべきポイントがある設問について,解き方をアドバイスしたもの
正答率も上の33番目の問題のように「23.5%」しかないとわかれば,間違ってもしょうがないなどと思えるでしょう(正解したい基準としては「50%」を目安として考えておきましょう)。
読み上げられる英文や選択肢のすべてに全訳が付いています↓
必要な情報が見開きの状態で確認できるので,大変復習がしやすいです。
なお,単語についてはその意味を覚えるだけでなく,音も一緒に覚えなければリスニングでは役立ちません。
ただ,単語をまとめるだけでなく,音源もよく聞いて,正しい発音もわかる状態になってください。
また,学習者が間違いやすい選択肢についても言及されているあたりに,専門学校でのノウハウが生きています。
最後には,正解一覧がチェックボックスと一緒に収録されているので,3回は復習するようにして,以前のものとチェックの数を比較することで,実力がついてきたことを実感できる仕様になっていました↓
こういった細かな気配りもありがたいです。
復習のときのワンポイント
丸付けをして間違いが見つかった際には,ひとまず解説をみるのを保留し,再度その問題を解き直してみてください。
それで正解にたどり着ければ,1回目は何らかの理由(集中できていなかったとか初回ではうまく理解しきれなかったなど)でできなかったことになります。
再度聴いても,明らかに答えを選べないようなものは解説を読み,話の内容を日本語で理解し,さらには音源を何回か聞きながら英文をみたり,音読やシャドーイングを行って念入りに復習してみてください。
そのような調子ですべての間違いをやり直した後は,時間を置いて再度最初から最後までもう一度解き直してみたり,読み上げられた音源のすべての意味がわかるかどうかを確認していきます。
先述した通り,試験日には朝から音源をリスニングしながら会場に向かうことで,実際の速度に耳を慣らした状態で試験に臨めるようになりますし,5回分も音源があるというのは色々な使い道ができて便利です。
まとめ
以上,ジャパンタイムズ社より,TOEICテスト精選模試リスニングのレビューでした。
全5回分の模試を収録した豊富な問題数に加え,その質と難易度は公式問題集よりも本番に近いものになっていました。
コスパの面では言うことなしです。
加えて解説では,流れた音声の英文と全訳が載っているほか,語句の意味についてもまとめられていました。
とりわけ,執筆者がTOEIC講師であることから,自身の指導経験から得られた学習者の間違えやすいポイントについての解説や,設問ごとに集められた正答率データは役立つはずです。
マークシートからスコア換算表までしっかりと用意されており,本番さながらのサイズ感で模擬試験を体験できます。
持ち運びには不便ですが,腰を落ち着けてリスニングセクションに取り掛かるには,その大きさがむしろ使いやすいです。
チェックリストも利用して,何回も復習して完璧にできるようになるまで頑張りましょう!
高スコアを取得するにはリスニングパートの攻略が不可欠です。
ぜひ本書を使って練習してみてください(以下は最も新しい3巻のものとなります)↓
最後までお読みいただき,ありがとうございました。