今回は,購入可能な模試の中から「公式TOEIC Listening & Reading問題集」のレビューをしていきたいと思います。
TOEICの難易度や本番の流れについて知るには,やはり公開テストの開発元が制作した問題集を解くのが一番の近道でしょう。
本記事では公式問題集の使い勝手と収録内容について,思うところをいくつか述べてみたいと思います。
あわせて,各巻ごとの評判についてもまとめていますので参考にしてください。
TOEICの公式問題集の評判
本書の帯にも書いてありましたが,TOEIC対策をする上で最も効果的なのは,なるべく本番そっくりに作られた予想問題を解くことです。
今のご時世,TOEICの模試は書店でいくつも見かけますが,2016年8月からの新形式問題に対応していなかったり,問題内容が著者に都合がよいように作られたものであったり,リスニングの収録内容が単一の話し手によるものや訛りがないものには注意してください。
とはいえ,これから初めてTOEICを受ける初心者にとってみれば,どんなに評判だとされる問題集を本屋さんで開いてみても,その収録内容が実際の公開テストに役立つかどうかの判断はできません。
「みんなが使っているらしいから,これにしておくか。」とよく考えずに選んだ結果が,参考書ランキングに実力不相応な上級者向けのものが並ぶ理由です。
それゆえ,特に受験経験の浅い方が,あらゆる参考書の中の1冊目として本書を選ぶことは,まったく自然なことでおすすめできます。
ブランド物のバッグを買うことに似ていますが,本番の問題を作成している「公式による」問題集が本書ですから。
2021年1月までに全部で7巻が出ており,各巻の評判については以下の通りとなっております↓↓
- 2016年10月発売。112件で星4.1の評価。リスニングとリーディングともにやや易
- 2017年2月発売。96件で星4.4の評価。レベルは標準に近い。変な難問が少なく,気持ちよく解ける
- 2017年12月発売。123件で星4.4の評価。難易度に変化は感じず
- 2018年10月発売。155件で星4.4の評価。リスニングパートのうち2以外が難化
- 2019年6月発売。223件で星4.5の評価。パート2に流行の難問あり。5巻からパート5以降の音声も聞けるようになる。リスニングは本番よりもやや易でリーディングは標準
- 2020年2月発売。153件で星4.5の評価。新しいナレーターが加わる。難易度は本番と同様
- 2020年12月発売。26件で星4.5の評価。
年々難しくなっているとされる公式TOEIC問題集ですが,かといって1冊ごとに劇的に難易度が上昇するものではありません。
1冊目と最新刊を比べるとさすがに新しい方が難しいと感じますが,900点以上を狙うのでなければ,最近よく見られる難問に触れておくことは必須ではないです。
それよりも,自分が理解できる程よい難度の問題を復習して,自分なりに理解を深めておく方が有意義だと言えるでしょう。
公式TOEIC問題集の構成
ここでは公式問題集のvol.3を例に,本書の構成についてみていきましょう。
最初にTOEICの概要(問題形式など)についての説明があり,使い方に対する簡単な指示が2ページほど続きます。
そのあといきなり本番が始まることにはならず,本番の約7分の1サイズほどにされたサンプル問題(全28問)を解くことで,実際の問題がどのようなものかを簡単に体験することが可能です。
サンプル問題では,実際の試験で流れるDirections(問題指示)の全訳が載っているので,あまりリーディングが得意でない方は,あらかじめ熟読しておきましょう。
というのも実際の公開テストでは,Directionsが流れている間に写真や問題を確認したりする作業が入りますので,どんな問題を解くのかあらかじめ知っておくことで,本番において無用な混乱を引き起こさずにいられます↓↓
サンプル問題には指示内容以外にもちろん問題も用意されていて,上の画像はパート1のものですが,左がDirection,右が問題です。
なお,サンプル問題をパート別にまとめると,
- パート1:1問
- パート2:2問
- パート3:6問
- パート4:3問
- パート5:2問
- パート6:4問
- パート7:10問
となっています。
一つ一つに全訳と解説があるので,特にもやもやするところはありません。
サンプル問題の次には,実際の模試が2回分用意されています。
若干異なるところもありますが,解答用紙や問題冊子の厚みやサイズは本番と同様です↓↓
解答と解説は別冊となっており,実質これが本体のような感じでしょう。
役立つ知識の宝庫です↓↓
水をはじきそうな表紙をめくると,本文とその訳,解説に加えて,単語や表現のまとめがついているパートもありました↓↓
正解に至るまでの手順も解説されているので,「こういう考え方で正解に至ればいいんだな。」と理解できます。
これは,TOEICの上級者になっていくほど(時間の使い方についてまで気にできる余裕が生まれるほど)に,重宝する特徴でしょう。
換算スコアもありますが,レンジ幅は広く出てきます。
とはいえ,多くの方はレンジ中央のスコアから10点以内の差に収まるはずです↓↓
上の例ですと,405~565点の中央値は485点ですので,現時点の実力は475~495点くらいの間だと思われます。
公式問題集のおすすめポイント
ここでは具体的に,公式問題集を使う際のおすすめポイントを3つ書き出してみることにします。
問題の難易度が適当
問題集によっては問題自体が難解すぎて,必要以上に時間がかかりすぎてしまうことや,その逆も多くあるのですが,こちらの問題の難易度は実際のTOEICテストを作成しているチームが作っているだけあって「極めて適当」です。
実際の自分の出来が予想できるので,対策や方針が立てやすいように思います。
なお,TOEICテストの過去問というのは売られていません。
あくまですべてが予想問題となります。
そのため,本書のように,難易度が実際に近いものに頼るのがベストであることに間違いはありません。
収録されている音声が秀逸
上の話にも関係しますが,問題集の種類によっては収録されている音声が,話されるスピードや声質,はたまた,訛りの有り無しなどの点で実際のテストと大きく異なることがあります。
本書には実際,公開テストで採用されているスピーカーが登場しますし,CD以外に音声ダウンロードにも対応済みです(5冊目以降はパート5-7にも,アプリ再生ながら音声が付きました)。
実際の本番でも,「あ,この声,聞き覚えがある!」などと妙な親近感を覚えることもあり,いい意味でリラックスできるでしょうし,初めて耳にする人より聴き取りやすいと感じるはずです。
別冊の存在
前の章の最後に出てきた別冊が,やはり,この公式問題集の「魂」とも呼べる部分でしょう。
実際これだけ持ち歩いて学ぶことが多くなるでしょうし,別冊だけ何度も繰り返しているだけで1ヶ月くらいすぐに過ぎてしまいます。
英語力はすぐにガッと上げることはできませんが,TOEICへの対応力は即座に上げることができるので,問題の指示や解き方への思考プロセスなど,知っているか知らないかで大きくスコアが変わるものから完璧にしていきましょう(当サイトの他の記事も読んでくださいね)!
文章を何度も読んでいれば,TOEIC特有のビジネス的なボキャブラリーも少しずつ増えていくはずです。
まとめ
以上,公式TOEIC Listening&Reading問題集の評判と特徴についてレビューしてきました。
難易度的に実際のものに近いものを希望でしたら最新刊を,普通に解きたければvol.2を,そして初心者の方はvol.1がおすすめです↓↓
繰り返しますが,最後に紹介した別冊を読み込むだけでも相当の情報量になります。
世に出ている誰かの(主にTOEIC満点取得者の)到底真似できないやり方を見聞きして学ぶより,実際に模試を解いた上で,「今の自分の実力で,どのように得点していけば良いのだろう。」と考える方が,よっぽど有効なTOEIC対策になるのではないでしょうか。
もちろん,自分だけでは気づけない攻略法も役には立つので,この公式問題集と単語帳を揃え,余裕があるようなら苦手パートの攻略法を他の教材で学んでいくことがおすすめです。
例えばスタディサプリENGLISHの場合ですと,単語帳に加えて,攻略法も含まれているので手順は最も少なく済みます。
無料体験中に,各パートの動画解説だけでも観ておくと,問題の見え方が変わってきてだいぶ解きやすくなるはずです。