今回は,TOEIC公式教材の中でも難問対策に特化した「公式TOEIC Listening & Reading 800 plus」をレビューします。
本書は,すでに一定の基礎力を備えた中・上級者が,800点突破や900点台を目指すための公式教材です。
全パートを基礎から広く確認する本ではなく,高得点層の間で差がつきやすい問題を中心に扱っている点に特徴があります。
この記事では,本書の構成,難問の扱われ方,別冊単語集,フルサイズ模試の使い方,購入前に知っておきたい注意点を整理します。
公式TOEIC L&R 800+の魅力

基本情報
- 書名:公式TOEIC Listening & Reading 800+
- 定価:3,300円(税込)
- 発行:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
- 発売日:2021年12月6日
- ページ数:本体376ページ + 別冊単語集47ページ
- 音声対応:CD-ROM付属 + 公式アプリ対応
本書は300ページを超えるボリュームがあり,定価は3,300円(税込)です。
公式問題集と同価格帯であるため,どちらを選ぶべきか慎重に検討する方が多いと思います。
両者の違いや選び方の基準については,以下の記事も参考にしてください↓
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本書が持つ主な魅力は,以下の4点に整理できます。
- 実際の正答率データをもとに,正答率の低い難問を抽出している
- パート別に難問の具体的な傾向と対策を解説している
- 重要語句をまとめた便利な別冊単語集が付属している
- 実戦力を測定できるフルサイズ模試が1回分収録されている
音声は付属のCD-ROMのほか,公式の音声ダウンロードや公式教材アプリから利用できます。
自身の学習環境に合わせてスムーズに使い分けてください。
実際のTOEIC受験者の膨大な統計データを分析し,正答率の低い問題を厳選できるのは公式機関ならではの強みです。
市販教材にもデータ分析を謳うものはありますが,対象が限定されていたり検証時期が古かったりすることがあります。
その点,本書は公開テストの受験データに基づいているため,市販教材では再現しにくい信頼感があります。
ただ闇雲に模試を解くだけではありません。
本書は「攻略本」としての側面を強く持っているため,前半の解説パートを読むことで,難問の構造を論理的に把握しやすい構成になっています。
忙しい日々の中でタイムロスを抑え,解き方の手順をしっかりマスターしてから後半の実戦模試へ移行できるわけです。
紙面ではトリッキーな裏技などは紹介されませんが,「Directions(指示文)が流れている間に写真全体へ目を通しておく」「正解と判断した選択肢の段階ですぐにマークする」といった,公式が認める堅実で実践的な解法手順にはしっかりと触れられています。
付属の別冊単語集には,本書の英文から抽出された難熟語が220語収録されています。
語数自体は絞り込まれていますが,上級者でも見落としがちな語彙が厳選されており,すべてに音声と例文がついているため持ち運び用の語彙確認にも使いやすいです。
さらに後半には模試が1回分収録されているため,パート別対策から実戦演習までバランスよくカバーしたい方におすすめできます。
公式TOEIC Listening & Reading 800 plusの構成と内容のレビュー

本書は大きく3つのセクションに分かれており,段階的に学習を深めていくことができます。
Section1で難問の傾向と解き方のロジックを学び,Section2で数多くの難問演習を消化します。
さらに最後のSection3でフルサイズの模試に挑戦し,現在の実力を測定する流れです。
本書における「難問」の定義は,実際のテストでの正答率が10%〜40%程度の設問とされています。
各セクションに難問が含まれる割合は以下の通りです。
各セクションにおける難問の割合
- Section1(傾向と対策):11問 / 24問中(45.8%)
- Section2(難問演習):100問 / 238問中(42.0%)
- Section3(模擬試験):27問 / 200問中(13.5%)
Section3の模試は,本番の公開テストと同じ難易度バランスを再現するため難問の比率は標準レベルに抑えられています。
しかし,解説がメインとなる前半パートでは半数近くを難問が占めており,総問題数は462問と模試2回分以上のボリュームを誇ります。
解説を読むだけでなく,実際に多くの問題を解きながら学んでいく仕様です。
Section1:全パートの難問傾向を素早く把握する

上の画像はPart1の形式解説ページですが,一般的な参考書のような形式の翻訳にとどまらず,上級者が失点しやすいポイントへ具体的に踏み込んだ記述がなされています。
最初の段階から「awning(日よけ)」や「take a stroll(散策する)」といった語彙が登場し,非常にレベルの高い解説が展開されます。
リスニング音声の品質が高く,公式教材らしい本番に近い雰囲気(国籍や訛りなど)で練習できる点も強みです。
スクリプトの解説には,英文や全訳,話者の国籍データだけでなく,「なぜこの問題の正答率が低いのか」という原因分析まで事細かに記載されています。
なお,本書はある程度の英語力がすでに備わっていることを前提に解説が進みます。
そのため,初めてTOEICを受験する方や,標準問題での失点が多い段階(目標スコア700点未満の層)には不向きです。
また,解説の中には,受験生が間違いやすいポイントに対して客観的で厳しめの分析コメントが添えられている箇所もありました↓

形式解説に割かれているページ数は全体の1割程度(34ページ)であり,見開き2ページの中に1〜3問の難問例が配置されている構成です。
実際の公開テストに出題された質の高い難問に直接触れることができるため,語彙力や対応力を効率よく高めることができます。
TOEICがどれほど公式の設計に基づいて制作されているかを実感できる内容です。
Section2:圧倒的な問題量で難問のパターンを染み込ませる
Section2では,数多くの難問を解くことで,Section1で学んだ解法アプローチを定着させます。
全168ページに及ぶこのセクションは,本書全体の半分近くのボリュームです。
紙面では,実際の難問に対して王冠マークが付与されており,一目で識別できるよう工夫されています↓

1問ごとに独立して完結するPart1,Part2,Part5については,収録されているすべての問題に王冠マークがついた難問となっています。
特にPart2は,すべてが「間接的な応答問題(ひねった返答)」で構成されている徹底ぶりです。
一方,大問ごとに複数の設問がぶら下がるPart3,Part4,Part6,Part7においては,本番のバランスを考慮して標準レベルの問題も一部含まれています。
特にPart7の長文読解は問題数が多く確保されており,難度の高いボキャブラリーが数多く使用されています。
また,セクション内には4つのコラムが挿入されており,上級者向けの発展的な学習法のアドバイスを学ぶことが可能です↓

また,Section2の練習問題には個別の目標タイム(制限時間)が設定されていません。
そのため,リーディングにおいて本番同様のタイムマネジメントを意識した実戦練習を行うには,別の工夫が必要となります。
限られた時間の中でパフォーマンスを発揮する練習は,後半の模擬試験や他教材で補うとよいでしょう。
Section3:本番の難易度バランスを再現した模擬試験
最後のSection3では,2時間を通して200問を解くフルサイズ模試に取り組みます。
専用のマークシートや参考スコア換算表が付属しているため,現在の自分の実力を把握しやすいです↓

なお,CD-ROMの音声データが順番通りに再生されない場合は,パソコン内に新しいフォルダーを作成し,そこへ音声データを一度すべてコピーしてから再生すると解決することがあります。
前半のセクションでは難問ばかりが連続しましたが,この模擬試験では通常レベルの問題もバランスよく登場します。
本番の公開テストに極めて近い難易度環境でシミュレーションを行うことが可能です。
解説パートはすべての設問に対して完備されていますが,王冠マークが付いた難問のほうが記述量が多く,より詳細な分析がなされています↓

Part1の解説スペースには写真が同ページに再掲されているため,復習が非常にスムーズに行えます。
単語集:厳選された220語の難熟語小冊子

付属の別冊単語集は,本体から取り外して使える手のひらサイズのコンパクトな小冊子です。
本書のSection1〜3に登場した英文の中から,特に難易度の高い重要語彙を再収録しています。
すべての見出し語に質の高い例文が添えられており,精読素材としても非常に優秀な仕様です↓

収録されている難単語の具体例をいくつか紹介します。
自分の語彙レベルのチェックとして参考にしてください↓
単語帳の収録例
proprietary,net profit,projected,venue,garment,fall within,charitable,joint statement,conservatory,streamline
こうした公式品質の難単語を事前にインプットしておくことで,実際の公開テストで同等レベルの語彙(patioなど)に出会った際にも,焦らずに処理できるようになります。
本番の試験傾向を熟知した公式チームが編纂しているからこその,確かな選定クオリティです。
まとめ:難問特化パッケージの効率的な使い分け
以上,公式TOEIC Listening & Reading 800 plusのレビューをお届けしました。
本書は,すでにTOEICの出題形式を理解しており,現在のスコアが700点前後に達している方が,さらに上の800点の壁を突破するために使うのにおすすめの教材です。
質の高い公式の英文を用いて難問の攻略法を学び,単語補強,パート別対策,フルサイズ模試まで1冊でこなせるところに大きな魅力があります。
一方で,もし本書で難問に指定されていない標準レベルの問題で頻繁に失点してしまう場合は,まだ本書の負荷に脳が対応しきれていない可能性があります。
その段階では,自分の現在の実力にマッチした基礎教材や,通常の公式問題集での演習を優先したほうが時間対効果は高いです。
標準問題と難問のバランスを体験して見たければ,書店で実際に問題を1つ解いてみてください(Question 123-126など)。
標準問題で大きく崩れず,王冠マーク付きの難問で失点原因を丁寧に回収できる実力があれば,本書から多くの学びを得られるはずです。
800点突破への強固なステップとして,ぜひ挑戦してみてください↓
