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日本人のTOEIC平均スコアと目標点のまとめ

TOEIC L&Rテスト(長いので,以降は「TOEIC」とだけ書きます)ですが,形式が新しく変わるたびに,決まって難しくなります。

運営曰く,「小手先の対策で対応できないようにする」ことが目的になっているわけですから,これは当然のことなのですが,現行版にあたる新形式のもの(2016年5月29日の第210回公開テスト以降のもの)は,以前とは比べ物にならないほどの難しさです。

もっとも,それから7年が経ち,多くの参考書や公式問題集が発売されるにつれて使えるテクニックや教材が充実してきた今ですから,受験者の平均スコアも,当初に比べるとだいぶ上がってきました。

そこで今回は,最近の日本国内における「大学生や社会人のTOEIC平均スコア」についてみていきたいと思います。

加えて,その点数を元に,世界の国々と比べた場合の日本人の英語力の立ち位置であったり,目標となるスコアをどのくらいに設定すべきかについても考えてみることにしましょう!

日本人の平均TOEICスコア

優・良・並の評価チェックボックス

TOEICの公式サイトで2022年7月~2023年6月における,日本人のTOEICスコアの平均点を調べてみましたが,

  • リスニング=319~343点
  • リーディング=269~290点

の中にすべてが収まっており,総合スコアは594~625点の幅となりました↓

なお,2022年の8月にIIBCから正式に発表された内容と比べるとやや広がった形にはなりましたが,ここ3年間の詳しい平均点の推移は以下の通りです(L=リスニング,R=リーディングを表します)↓

  • 2019年度588点(L323 R265)
  • 2020年度620点(L337 R282)
  • 2021年度611点(L331 R279)

コロナ禍の影響もあってか,ここにきて30点近く平均点が上がったところが興味深いところです。

なお,以上の結果は一般向けの公開テストにおけるデータであり,企業や団体が実施するIPテストの平均点は,2021年度が498点(L279 R219)となっています。

ちなみに,目的があったり意欲がある人が集うのが公開テストなので,日本人の実力としてはIPテストの方が真実に近いわけで,公開テストと比べると100点くらい低くなるのがお決まりなのですが,一般的に「平均点」と言えば,やはり公開テストの結果に注目すべきでしょう。

TOEICは990点満点のテストですが,先の「611点」というスコアが高いか低いかの判断については別の指標が必要です。

ところで,日本においてよく用いられる英語力の判断基準としては「実用英語技能検定(英検)」が古くから知られており,「英検2級」が高校卒業レベルとされています。

これをTOEICスコアに換算すると一体何点に相当するのでしょうか。

それを知るためには,以下の表が役立ちます↓

英語資格・検定試験の点数換算表

これは,英語の資格・検定試験の結果を,CEFRという国際指標と比較できる表となりますが,左から3列目にある「英検」と一番右の列にある「TOEIC L&R」を比べてみましょう!

すると,英検2級はTOEIC550点以上に匹敵する結果となり,先ほど述べた日本人のTOEIC平均スコアはこれよりも上になっていることがわかるはずです。

もっとも,IPテストの結果をみれば多少低いスコアになってしまっていますが,私としましては,日本における英語教育が一定の成果を上げていると考えています。

というのも,最近はスマホアプリを中心とした優れた教材が多く出回っていますし,社会全体における英語機運の高まりを,ここにきて再度感じられるようになったからです。

教育改革の影響も大きく,私は普段塾で指導することもあるのですが,高校3年生がギリギリまで受験勉強を頑張って一気に成績を伸ばしているのを目にすると,そう感じずにはいられません。

ここでTOEICをまだ受けたことがないという方は,ご自身の英語力を予測するため,簡単なテストをしてみましょう!

以下の単語のうち,どのくらいの意味がわかるのか数えてみてください↓

上のページに載っている200語のうち,意味が分かるものが半数以上あれば,TOEIC500点のレベルであると見なすことができます。

みなさんの結果はいかがだったでしょうか。

ここで話を元に戻しますが,日本人のTOEIC平均スコアが約600点という数字は一方で,大学生活などを通して英語力が伸びていない学生が多いことをも示しています。

というのも,TOEIC受験者の約8割が21歳以上であり,その多くは大学を卒業している人に当たるからです。

実際,社会人と学生で50点近く平均点が異なるという話も聞くので,当サイトでは平均スコアを以下のように見なしています(平均すると,先ほどの平均スコアとほぼ一致するように設定しています)↓

当サイトが算出した平均スコア

  • 学生であれば585点
  • 社会人ならば635点

ところで,高校生から社会人になるまでにさらなる教育機関を利用する場合は,さらなる実力アップが期待でき,中学から高校で培った「英語の読み書きできる能力」に磨きをかけると同時に,「英語を聴いて話す能力」までをも高めていくことが期待されているのも確かです。

英語を使うプロでなければ,英検1級(大学上級程度でTOEIC945点相当)を目標にすべきとはなりませんが,「英検準1級(大学中級程度はTOEIC785点相当)に匹敵する英語力は目指して欲しい」というのが日本政府の本音でしょう。

もちろん,目標ですので,到達しなくても問題はありません。

事実,次章で紹介しているように,企業の人事が評価するスコアは600点以上であり,700点もあれば多くが自信をもって履歴書に書けるでしょう。

また,今後はTOEICのS&Wにも注目すべきです↓

もっとも,TOEICのL&RとS&Wのスコアは相関関係があるもので,L&Rを伸ばしておけばS&Wの勉強を始めてもすぐに求められるスコアは取れるので心配要りません(すべてのスコアは並行して上がっていくのが正常な状態だと考えられています)。

いずれにせよ,高校3年生が自身の英語力のピークとならないよう,その後も,折角学んだ受験英語を実用的な英語力へと変え,勉強を継続していってください。

 

 

目標にしたいTOEICスコア

TOEIC DATA & ANALYSIS 2022の表紙

ところで,Educational Testing Service(TOEICの開発元)は,頻繁に世界のTOEIC受験者の調査結果を公表していますが,2022年度の日本国内の調査結果によれば,多くの方の受験目的は,

  • 就職やキャリアチェンジなどに直接繋がるから
  • 英語学習のモチベーション向上目的
  • 現状の客観的な英語力の把握のため

である場合がほとんどでした。

これら3つの目的ですが,最後の「英語力の把握」は上2つのどちらが目的であっても必要なことであるため無視して考えると,「語学目的」・「仕事目的」の2つの観点から論じていくのが良さそうです。

TOEICで高スコアを取得した先にどのようなメリットがあるのかについても,以下で別々にみていくことにしましょう!

英語学習が目的の場合

英語学習とTOEICスコアの関係ですが,TOEICは合格か不合格かを決めるテストではなく,客観的に自分の英語力を測るための指標として使えるテストです(最近は英検であっても,合否とは別に「スコア」が表示されるようになりましたが)。

そのため,普段英語を学習している方が定期的に健康診断を受けるような感じで用いることができます。

純粋に自分の英語力が上がれば嬉しいものですし,上がった分だけ,英語を使ってできることの選択肢が広がったともみなせるわけです。

ところで,以下はTOEIC受験者にとってはおなじみの表で,コミュニケーション能力とTOEICスコアを比較したものですが,日本人の平均スコアはこの比較表によればCレベルで,「通常会話はOKでも,話が複雑になると意思疎通が困難なレベル」とされます↓

TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表

それに対して,1つ上のレベルBではどのようなことが書かれているのでしょうか。

「業務上は大きな支障がなく,意思疎通を妨げることもない」などと,だいぶ良い評価がなされているように感じます。

海外ドラマのセリフが少し聴き取れるようになったり,海外旅行の際の異文化コミュニケーションをより楽しめるようになるのもBレベルからです。

といったわけで,英語を勉強しようと思ったら,まずは日本人の平均点(約600点)を目指し,その次に730点を目標に設定したいものです。

とはいえ,英語学習目的でTOEICを受ける人というのは,誰からも頼まれていないのに過酷なテストを自ら進んで受けに行っているわけで,普段から努力していて学習意欲に満ちている人がほとんどでしょう。

なので,860点のレベルA,さらには900点(セミプロレベル)を超えて950点(プロレベル),そして990点満点ホルダー(本が書けるレベル)と,行き着く先まで挑み続けることになることは容易に想像できます。

上のいずれのスコアであっても,最終目標としてふさわしいものではありますが,面白い基準として,TOEICには「IIBC AWARD OF EXCELLENCE」という表彰制度が存在し,該当者になると以下のような立派な記念品がもらえます↓

IIBC AWARD OF EXCELLENCEの記念品

なお,表彰されるための基準としては,同年度にL&Rで800点(L375 R425)以上を取ることに加え,S&Wで330点(S160 W170)を取得することが必要です。

L&Rに限って言うと,「リーディングで425点」というのが大きな壁となっており,そのくらい取れる人というのはリスニングパートで満点に近いスコアとなるはずで,実際にはトータル900点くらい取らなければ実現できないのですが,詳しくは以下の記事を参考にしてください↓

ところで,学生の場合は実感が持てないかもしれませんが,社会に出ると,テストで本気を出す機会というのがめっきりと少なくなります。

学生時代,定期テストや模試は忌み嫌う存在だったように思いますが,なくなってみると自ずと欲するようになるわけですから,人間とは不思議なものです。

 

仕事でスコアが必要な場合

上では,やる気に満ちた方の場合についてみてきましたが,大半の受験者は基本的にはそうではありません

実際,先の調査においても,受験者の半数以上が「そうでない人」,つまり「就職や単位取得または昇進のために仕方なくTOEICを受験しなくてはいけない人」であることがわかっています。

例えば大学生がTOEICで良い点を取ると,単位や卒業要件として認定してもらえるわけで,2018年の成蹊大学の例ですと「590点で2単位,730点で4単位,860点で6単位」が取得できました。

単位認定のための最低点数が当時の日本人の平均点に近かったので,最近の結果が加味されているのでしょう。

また,早稲田大学ともなるともう少し条件は厳しくなり,2020年の例ですと「卒業要件に690点または880点以上が必要」でした↓

早稲田大学の卒業要件とTOEICスコアなど

ただし,早稲田大学の英語の入試問題を解ける受験生であれば,高3の時点でTOEIC690点くらい取れる実力には十分達していたはずです(早稲田大学の偏差値は最低でも62.5ですから,これは全受験生の上位10%くらいにあたります)。

つまり,上に示した卒業要件は「大学に入ってからサボって学力を落とすな」という大学側からのメッセージとも捉えられるでしょう。

平均点に注目することで「偏差値50=TOEIC600点」とざっくり見なすことができますが,偏差値62.5の大学出身である事実を社会に認められるためには,TOEIC690点が必要だということです。

もちろん,就活(さらにはその後の社会人生活)においても,TOEICスコアが高ければ高い方が得をするという事実を忘れてはなりません。

今やグローバルな時代ですから,就活時に「英語が得意です」とアピールするのは当然です。

自分が大学院時代に所属していた研究室にも一流企業からの誘いが来ましたが,「この研究室の新卒希望の方で,かつ英語力のある人を」というのが相手方の決まり文句でした。

ここで具体的な数値を挙げますと,英語活用実態調査2019年における新入社員に期待する平均スコアは535点でした↓

社員・職員に期待するTOEIC平均スコア

とはいえ,これは部署や企業によってさまざまで,2022年度の採用において資生堂のグローバル業務の管理職では730点以上,楽天グループでは800点以上が基準となっていたことを考えると,英語を武器に就職活動する方であれば690点では足りないと思っておくのが良さそうです。

「英語が苦手で,TOEIC500点すらとんでもない!」という方も多いでしょう。

特に普段英語をまったく使わないような職場で,春から突然英語を頑張るように上司に言われ,無理やり受けさせられたTOEICで300点台という話もよく聞きます。

ですが,昇進・昇格の際にTOEICスコアを参考にしている企業の数は年々増加傾向にあり,入社してからも英語学習からは逃れられないのが現実です↓

  • 係長や主任=515点(400~700点)
  • 課長=530点(400~700点)
  • 部長=565点(400~800点)
  • 役員=600点(470~860点)

カッコに示したのはバラつきとなりますが,TOEICスコアが高いに越したことはないでしょう。

もちろん,業務がこなせることが第一で,そこに+αの英語力ということに疑いはありませんが,海外出張の基準に使われるスコアが平均で620点である他,駐在員レベルともなれば10年前には650点だったものが,今では730点程度に上がっているとも聞きます。

この他,2022年の10月に行われたTOEIC Testsキャリア調査においては45%の企業がL&RとS&Wの両方で6~7割のスコアを求めており,これは点数にすれば600~700点と240~280点です↓

「新卒採用・転職採用・昇進・昇格・異動・海外異動(海外赴任)」のいずれかにおいて人事担当者が最も評価したいと思うもの

単独ですと,L&RもS&Wも8割の取得が評価されていることもわかりますが,この結果も,これまでの話と相違ありません。

この他,英語を使っていない期間が増えるほどにTOEICのスコアは落ちることにも注意してください(世界における調査結果をみると,26~30歳の平均スコアは675点であるのに対し,41~45歳の平均は605点です)。

 

 

まとめ

以上,日本人の平均TOEICスコアを色々なものと比較して,目標となる点数を,語学と仕事の2つの目的別にいくつか提示してきました。

今回の記事のポイントを整理すると,

  • 2021年度のTOEIC平均スコアは611点
  • 語学目的なら730点,860点,900点,950点,990点を目指す
  • 仕事目的であればまずは600点を目指す
  • 人事にアピールするためにはL&R単独で8割欲しい
  • これからの時代はTOEIC S&Wも重要

となります。

TOEICスコアは,英語勉強から遠ざかると一気に落ちてしまうので,少しずつでも長く続けていくことが大切で,何より効率的です。

忙しい毎日であっても,通勤通学のすき間時間に数分でも学習を積み重ねていれば,TOEICスコアは徐々に上がっていき,長い将来にわたって自分の評価は高まり,最終的には生涯年収まで左右しかねないといっても過言ではありません。

先ほど紹介した調査によれば,TOEIC Testsを受験するだけでもポジティブな印象を持たれることがあったり,報奨金として900点取ると20万円,990点取った暁には100万円がもらえる会社だったり,資格手当が出るような会社があったりもしました。

TOEICの勉強を通して自身の成長を楽しめるようになると理想的ですが,それが無理でも,TOEICの勉強は業務の1つだと言い聞かせて,なんとか乗り切るようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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