TOEICには,L&RだけでなくSpeakingやWritingまで含めた4技能の成績を対象にした表彰制度があります。
それが「IIBC AWARD OF EXCELLENCE」です。
受賞するには,TOEIC L&Rでリスニング375点以上・リーディング425点以上を同一回で取得し,さらにS&Wでスピーキング160点以上・ライティング170点以上を同一年内に満たす必要があります。
単にL&Rで800点を取ればよいわけではなく,リーディングとスピーキングの基準をどう超えるかが大きなポイントになります。
この記事では,IIBC AWARD OF EXCELLENCEの受賞基準,スコアの扱い,受賞を目指すための戦略,表彰状・記念品・オープンバッジについてまとめます。
IIBC AWARD OF EXCELLENCEとは

TOEICにおける表彰制度ですが,「IIBC」の名前を冠していることからもわかるように,日本国内に存在する国際ビジネスコミュニケーション協会が実施しているもので,2017年に初めて開始されました。
対象となるテストはTOEICのListening TestとReading Test以外に,Speaking TestとWriting Testまでをも含んでおり,それら4技能のスコアすべてが一定基準を超えていた場合にのみ表彰される制度となっています。
表彰条件について詳しくみていくことにしますが,簡単に言うと,TOEIC受験者の中でL&Rで上位5%,S&Wで上位10%に入ることの両方が必要となります。
とはいえ,テストの受験回で多少その割合は変わるため,実際は以下に示す「絶対的な基準」によって決まる点に注意しておきましょう↓
- L&R Testで,リスニング375点以上かつリーディング425点以上を同一回で取得する
- S&W Testsで,スピーキング160点以上かつライティング170点以上を取得する
- ライティング170点以上をS&W Testsで取得したうえで,Speaking Test単体でスピーキング160点以上を取得する
つまり,同一年内(1~12月に実施される)の公開テストで,L&Rの基準と,S&WまたはSpeaking Testを組み合わせた基準の両方を満たす必要があります。
IPテストは選考の対象外です。
ところで,上に示した3の要件は2022年から新しく加わったもので,実際,私もこの新しい基準の恩恵にあやかった一人です。
まず最初にL&Rを受けて基準点を超えていたので続けてS&Wを受け,スピーキングのみギリギリ届かなかったため,Speaking Testだけを後日単独で受験し直すことにしました。
なお,L&R TestやS&W Testsと比べて,Speaking Testは準備時間を含めても30分くらいであっという間に終わってしまいます。
正直,
会場まで長い時間をかけてわざわざ短い試験を受けに行く意味はあるのだろうか?
と自問したこともありました。
ですが,英語のスピーキングテストとしては比較的長めに分類される試験ですし,機械相手ではあるものの,英語でしゃべる行為には独特の魅力があると今では考えを改めています。
確かに,スピーキングテストは人の手が入る(採点する)必要があるために安くは受けられませんが,テストを単独で受けられるようになっていることはリーズナブルであるとも捉えられますし,思い立ったら比較的すぐに試験を受けに行けるという開催頻度の高さも魅力的です。
ここで話を元に戻しますが,先に示した基準のうち,1つ目については同一回のL&Rテストで達成することが必要で,別々のテスト結果を合わせることはできないことについて,詳しく触れておきます。
例えば,「1回目のテストでL375点のR400点,別の回の2回目でL370点のR425点」を取っても表彰対象にはならないわけです(赤字は非到達項目になります)。
逆に,S&Wに関しては同一回のテストで達成できなくても問題ありません。
複数回受けて,異なるテスト結果の「良いスコア」を組み合わせることが可能です。
以前,当サイトに問い合わせがあった質問に,
1度目のS&WテストでS160 W150,2回目でS150 W170だった場合はどうなりますか?
というものがありましたが,この場合も条件を満たしているため,問題なく受賞の対象となります。
以上を踏まえて,先の受賞基準をよりわかりやすくまとめ直してみました。
ぜひチェックしてみてください↓
IIBC AWARDの受賞基準
- 同一年内の公開テストでL375点,R425点,S160点,W170点を取得する
- ただし,LとRのみ,同一回のテストで達成することが必要
さて,IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞すると,表彰状の他に記念品,さらに希望者は「オープンバッジ」と呼ばれるデジタル証明を手に入れることができます。
詳しくは後述する「IIBC AWARDで貰えるもの」の章で解説しています。
受賞に関するお知らせや発送業務についてですが,年内最後の12月実施分の結果が出るのが1月ですので,その翌月,つまりは2月の上旬~中旬にかけて一斉に行われることになります。
IIBC AWARD OF EXCELLENCEの難易度

なお,先の基準にあったリスニングとリーディングのスコアを単純に足してみると800点となるため,
案外,簡単に達成できるのでは?
と思われた方も少なくないかもしれません。
しかし,リーディングのスコアがリスニングのそれを上回って出てくることは一般的ではありません。
L&Rの合計基準は800点ですが,リーディング425点以上を同一回で満たす必要があるため,実際にはL&R900点前後の実力を目安にした方が安全です。
その証拠に,第421回(2026年3月15日午後)に実施されたL&Rの平均スコアを調べてみたところ,リスニングが327.5点でリーディングが272.3点と,50点以上の差がついていました。
スコア分布をみても,リスニングで370点以上取れている人は30.1%いるものの,リーディングで420点以上取れている人は全体の5.7%にとどまっています(残念ながら,基準となる375点と425点ピッタリの数字は見つかりませんでしたが,達成できた人の割合がこれより少ないことは確かです)。
一方のS&Wに関しては,2026年3月8日実施分を例に,これまた平均スコアなどを調べてみたところ,スピーキングが131.3点のライティングが144.5点であり,スピーキングで160点を超えていた人は14.8%,ライティングで170点以上は22.8%でした。
2021年と2022年において,S&Wで完璧に基準に達した人の割合は約10%というデータもあるため,スピーキングで基準点を超えていてもライティングの方が下回っていたり,そもそもライティングテストを受けない人も一定数いたりするのだと推測できます。
受賞者数はどんどん増えていくものかと思いきや,ある程度のところで頭打ちになっている傾向が見られます↓
過去の受賞者数まとめ
- 2021年:503名
- 2022年:600名
- 2023年:538名
- 2024年:575名
- 2025年:473名
これらの分析結果からわかったことは,表彰の鍵を握るのは「リーディングの壁」と「スピーキングの壁」の2つだということです。
IIBC AWARD OF EXCELLENCEを取るための戦略

ところで,TOEICの結果を利用できる語学系最難関の国家資格として「全国通訳案内士」が知られています↓
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こちらは,L&R900点・Speaking160点・Writing170点のいずれかを達成することで1次試験の英語が免除される仕組みになっているため,L&Rで900点を取れる実力がないと,IIBC AWARDの基準点も達成しにくいと見積もっておくのが無難です。
歴史的に見ても,TOEICのL&RのスコアとS&Wのスコアの間には正の相関があるとされており,S&W Testsが開発される前においては,L&R Testだけで4技能の能力が測定できるとされていました。
2019年の英語活用実態調査結果を見直してみても,スピーキングで160点を取るためにはL&Rで880~945点(平均910点)が,そしてライティング170点には890~955点(平均920点)が必要でした。
測定誤差が50点くらいあると考えても,L&Rで890点くらいの実力が求められます↓
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一般的には「L&Rで100点アップ,S&Wで20点アップ」すると実力が1ランク上がったとみなせますが,S&Wに関しては,1つの大問で「似た問題を過去に解いた覚えがある(自信をもって答えられた)」と感じたときに,ようやく20点アップできるというのが実感です。
問題数がそれほど多くないS&W Testsだけに,問題との相性がスコアに大きく影響します。
ゆえに,目標スコアに届くまで何度も受け直す戦略は非常に有効です。
とはいえ,短期間で20点アップするというのは,初回に質問に対する答えが浮かばずにほとんどしゃべることができなかったか,初受験でよくわからぬままに終了となってしまったケースなどに限られるはずです。
ましてや1ヶ月後に30点以上もスコアが跳ね上がるようなことは,根本的な実力が上昇しない限りはほぼ起こりません。
次章で,受賞者ならではの勉強法についてみていきましょう!
受賞者インタビューから見える学習法
TOEICの公式サイトでは,IIBC AWARD OF EXCELLENCEの受賞者にインタビューした結果を確認できますが,さすが表彰を受けるような方はご自身なりの勉強法を確立されていますし,英語に対するモチベーションが非常に高いか,維持するための工夫が経験則として身に付いているように感じます。
ここでは,主にIIBC AWARDの受賞に有効と思われる勉強法について,受賞者に実施したアンケート結果も交えながらまとめてみます。
新聞や記事を含む書籍を読む
Japan Timesに代表される英字新聞や雑誌,それに洋書を多読される方も見受けられましたが,特にTOEICの公式問題集の利用者が多いようです。
中でも,
リスニングセクションを中心に勉強しました!
と語る受賞者は多く,確かにリスニング能力は短期間で伸びやすいですし,セリフを覚えることでスピーキングの練習にもなるため,書かれている内容を隅から隅まで暗記する方法は非常に理にかなっています。
1冊やるのに半年かける人も中にはいたので,公式問題集が出るたびに購入してじっくり取り組むのもおすすめです。
公式問題集に掲載されている英語というのは洋画や生の英語と異なり,正確かつ上品なものであるため,
ビジネスシーンで使う英語の手本としてふさわしい。
という意見もありました。
実際,仕事と英語が結びついている人が受賞しているケースが多い印象です。
英語の映画やドラマを見る
「好きこそものの上手なれ」ということで,NetflixやDisney+といったサブスクの他,TED Talksを使って興味がある分野のプレゼンを観ている方もいました。
海外ドラマや洋画でTOEIC対策する記事でも述べたのですが,コツは日本語と英語の字幕2つを利用することで,視聴回数を重ねるごとにどちらか一方を隠しながら視聴するといった使い方が効果的です。
ただ黙って観るのではなく,登場人物になりきって声に出す(ロールプレイする)練習を取り入れるのがポイントです。
ラジオやポッドキャストを聞く
これにはNHKのラジオは含まれないので,VOAとかCNN,またはAFNのようなものを指していると思われます↓
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ポッドキャストでは,
アメリカ国営のものを選んで聞いています!
という方がいましたが,これは別に現代に限らず,15年くらい前にも行われていた王道的な学習法です。
もっとも,今ではスマホを使って高音質の英語を簡単に聴けてしまうわけですから,学習者にとって非常に恵まれた環境が整っています。
オンライン英会話を行う
インタビューではかなりの数の受賞者がオンライン英会話を行っていたので驚きました。
1回のレッスンは時間にして25分くらいでしょうから,まさにTOEICのスピーキングと同じくらいの長さです。
平日に表現のストックや質問,または添削課題を用意しておき,週末にオンライン英会話で実践するという流れは,大変効率の良いアプローチです。
YouTubeやNHKラジオなどを視聴する
ここでようやくNHKのラジオが出てきますが,同時期に2つの番組を聞く方がいた他,利用期間が長い方は小学生の頃から親しんできているとの話でした。
ラジオを聞いた後にオンライン英会話を行い,毎日計1時間の学習時間を確保しているような受賞者も見られます。
とはいえ,各自が伸ばしたい能力は人それぞれで,興味を持つジャンルも異なるはずなので,学習の継続に繋がりやすい方法を選ぶのがベストです。
IIBC AWARDで貰えるもの

IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞すると,まず2月上旬にそれを知らせるメールが届き(アンケートのURL付),その数日後に表彰状(ホルダー付き)と記念品(ノートなど),やや遅れてオープンバッジを貰うことができます。
この中で,オープンバッジについてはアンケート内で意思表示をすることが必要で,3月上旬にオープンバッジオフィスからメールが送られてくるため,9月末日までに忘れずに登録しておきましょう↓

私の例をもとに,受賞記念品のスケジュールについて整理しておきます↓
2023年のスケジュール例
2月9日:IIBC AWARD受賞の連絡と記念品の発送
3月2日:オープンバッジについての案内メール
3月9日:オープンバッジ授与のお知らせ
3月10日:オープンバッジ発行完了のお知らせ
これらは当然ながら本人のやる気のアップに繋がるわけですが,IIBC AWARDの受賞者の中には,受賞を目的に勉強してきた方が少なくありません。
繰り返しになりますが,L&Rだけならまだしも,S&Wまで自発的に受けるような人はまだまだ少ないのが現状です。
ところで,表彰で得られる物には目に見えないものもあります。
例えば,苦手なことを克服できたという成功体験は,自己実現の観点でみると,本人に及ぼす影響が非常に大きいです。
実際,先のインタビューでもそのようなことを語っている方がいらっしゃった他,私自身,学生時代にスピーキングに苦手意識を持っていましたが,今回表彰されたおかげで過去の呪縛から解放されたように感じました。
この他,第三者に向けての英語力が証明できることで,英語を使う機会が自然と増えることも期待できます。
事実,
TOEICのオープンバッジを履歴書に付けて就職活動したら相手の反応が良かった!
という意見がありましたし,「英語が得意だから君に任せる。」と留学生の世話役を頼まれた方もいました。
突然,会社の上層部が方針を転換し,全社員が英語力のアップを義務付けられるといった理不尽な出来事も,今の時代に珍しいことではありません。
TOEICをペースメーカーとして英語の勉強を続けつつ,仕事に役立つ知識や経験を身に付けることこそ,これからの時代に生きる社会人としての大きな強みと言えるでしょう。
記念品を含め,TOEICグッズについて詳しくは以下の記事も参考にしてみてください↓
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まとめ

以上,TOEICの表彰制度であるIIBC AWARD OF EXCELLENCEについて,基準や受賞戦略を中心にまとめてきました。
上で紹介した内容については,公式サイトで案内記事を読むことができます。
今回の記事の要点は,L&Rだけは同一回のテストで達成することが必要で,戦略的にはリーディングとスピーキングを中心に勉強するという点を,まずは押さえておきましょう。
勉強方法については,公式問題集を念入りにやるとともに,幅広い教材を使ってリスニング能力を鍛えるのがおすすめです。
そして,見事IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞することで,モチベーションをアップさせて自己肯定感を高め,英語を使って活躍するチャンスをいつでも掴める状態を作ってみませんか?
TOEICテストは毎月のように受けてもほぼスコアが変わらず,結果が正確に出てくる(専門的には,信頼性と妥当性と実用性をすべて兼ね備えた)テストですが,特にリーディングやスピーキングが受賞基準まであと一歩のところまで来ている方は,ぜひ表彰を狙ってもうひと踏ん張りしてみてください。
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