今回は,TOEIC対策ができる英語教材アプリの中から「abceed」を紹介します。
基本的には有料で使うべきアプリですが,無料で使う場合にはどういった使い方ができるのか,そして,どのような口コミがこれまでに寄せられているのかを確認して,TOEIC対策に使うかどうか判断する際のお役に立てれば幸いです。
もくじ
abceedとは
abceed(エービーシード)には,市販されているTOEIC教材が多数収録されており,リスニングやリーディング対策が便利に行える他,書籍ではできないシャドーイングやディクテーションといったトレーニングも行うことができます。
最初に断っておきますが,アプリで検索をかけると「無料アプリ」に分類されることもあるabceedであるにもかかわらず,該当書籍をすでに持っているか,課金をしない限り,学習の役に立ちそうな機能はほとんど見つけられません。
例えば,abceedの広告に大きく書かれているものとして,「AIによる問題レコメンド機能」や「予測スコア機能」,それに「オンライン模試」などの,大層魅力的に思える学習コンテンツが挙げられますが,これらのいずれも無料では使えないものです。
特に,有料プランを無料で試せるからとabceedをインストールした人が,期限が切れて無料プランに変わった時の喪失感は相当なものになるでしょう。
とはいえ,当サイトでレビューしているTOEIC対策本が多数収録されていることもあり,「書籍を所有している」ことを前提に,本アプリを使って何ができるかについてこれからみていきたいと思います。
ちなみに,推奨されているスマホのスペックは,更新時点で,
- Android 8.0以上
- iOS 17.0以降
となっており,ダウンロードはそれぞれ以下のページから可能です↓
ダウンロードサイト
無料で使える機能
そもそも,このabceedに対応している書籍のほとんどにはCDが付いておらず,ウェブで音源をダウンロードするかアプリ上で再生しなければなりません。
しかし,その分,書籍の代金は安くなっていますし,CDプレイヤーやパソコンを介さずに,スマホで音をパッと聴ける点は優れているように思います。
とはいえ,TOEIC公式が出している書籍のように,昔はabceedでダウンロードをする一択だったものが,現在ではそれ専用のアプリを使うように促しているなど,状況は刻一刻と変わり続けていることを知っておきましょう↓

以下では,iPhoneを使ってabceedの基本的な使い方についてみていきますが,画面下に示されたアイコンの中にある「教材」の先のページから,自分が学びたい書籍を探してください↓
毎回同じ手順を行うのも面倒ということで,見つけた本をマイリストに追加しておきたいと考えるところですが,「ライブラリ」を開いて確認すると分かるように,無料会員の場合,1冊目にしかアクセスできません。
なので,マイリスト機能は実質,有料コンテンツと見なすことができます。
気を取り直して,学習したい書籍をタップして開いてみると,画像と基本情報の下に,「学習トップ」や「動画」などの学習コンテンツがいくつか表示されてきますが,これらのうち無料でまともに使えるものは音声とSWトレ,マークシートに学習記録,そして索引くらいです↓
書籍によって,どのようなコンテンツを利用できるかは変わってきますが,以下で代表的なものをいくつかみていきましょう!
音声をリスニングする
これはほとんどの教材でできることですが,リスニングするには「音声(無料)」を選択し,聴きたい箇所をクリックするだけで音声が再生されます↓
書籍が模試に分類される場合,一つのトラックごとに再生ボタンを押す必要はなく,勝手に最後まで再生されることになるので,本番に近い環境で解くことが可能です。
なお,再生速度は0.5倍から2.0倍までの範囲で変えられます(0.1倍刻みで16段階あり)し,3秒単位で先に進めたり戻したりできる他,バーを直接触れば自由に再生位置を変更でき,右側の+を押した先では,指定範囲を何度も聴き返したり1つのトラックだけを聴くような設定ができました。
自動採点と復習を行う
「マークシート」という学習コンテンツを選ぶことで,音を流しながらアプリ上で答えをマークすることができます↓
本番を見越した練習においては,シャープペンシルでマークを実際に塗る作業も必要なので,デジタルのマークシートの出番はなさそうと思いきや,自動で採点まで行ってもらえるところが便利です。
結果が一覧で表示されてくるので,間違えた問題だけ,解説を確認してみるなども簡単にできます↓
ただし,解説をabceed上でみることはできません。
数ページくらいは読めても,すぐに「この続きは有料版をお買い求めください」的な表示を目にすることになるでしょう。
大人しく,書籍の解説を読むようにしてください。
書籍内容をabceedで開くのは有料プラン限定なので,「学習トップ」というコンテンツ(書籍の内容を読めるもの)も無料では利用できないものと見なすことができます。
参考書ごとの習得率(どのくらいマスターしたか)に加え,学習時間・履歴は無料会員でも問題なく記録されるため,人によってはモチベーションのアップに繋がるかもしれません。
とはいえ,大々的に宣伝されていて「あ,これ使ってみたいかも!」と思う機能については,ほとんどが有料コンテンツとなります。
なので,無料で使う場合には,音声を中心とした簡素な利用を心がけ,あまり多くを期待しないようにすることが重要です。
課金が必要になる機能
abceedで課金が必要になるコンテンツについても簡単にまとめておきましょう!
料金ですが,更新時点では以下の3つです↓
- 1ヶ月プラン=3300円
- 3ヶ月プラン=8000円
- 1年プラン=23800円
書籍を買ってもabceedのデジタルコンテンツを使えないとなると,課金して使う予定がある方は,端から紙媒体を買わずにいきなりPro会員(有料会員)になることをおすすめします。
その結果,利用できるようになる機能は以下の通りです↓
Pro会員が使える機能
AI英会話,映画・ドラマ見放題,教材使い放題,ニュース,ライブ講義受け放題,オンライン模試受け放題,予測スコア,問題レコメンド,今日のワンフレーズ,MY単語帳,辞書,登場単語一覧,マイリスト無制限登録,詳細分析など
私のお気に入りはオンライン模試を受け放題になる機能ですが,30・50・100・200問の4種類から選択することができます。
最短のものだと約15分で終わり,運営曰く,「2023年1月~2024年12月の3988名を対象に本番との誤差を計測したところ,プラスマイナス60点の正確さだった」との話ですし,心配な方は問題数がより多いものを選ぶようにすれば,精度をより高くできるはずです。
ところで,ニュースのところで英語の記事を読めるのですが,当サイトが昔から推しているThe Japan Times Alphaも含まれていて嬉しく思いました。
abceedの書籍と通常のものを比較してみると,発音記号や正答率が表示されるなど,アプリ限定のコンテンツが結構存在するようです↓
レイアウトも異なっていますが,アプリ上で分析されている情報を用いて,AIが問題をレコメンドしてくれるのでしょう。
「映画・ドラマ」のメニューでは,字幕が日英両方表示される以外に,解説や語注があったり,メモや単語帳機能とリンクしていたりと,海外ドラマや洋画でTOEIC対策!やる気アップにのところで語った要素が多く盛り込まれていました。
この他,全体的な内容をTOEIC以外のもの(英検や英会話など)にすると,使えるコンテンツやレイアウトが変わってきますが,今回は省略します。
abceedのTOEIC関連の口コミ
ここでは,App Storeに寄せられたabceedの口コミのうち,「2025年3月~5月」に書かれた計116件(Androidユーザ34人,iOSユーザー82人)のものを分析してみました。
総合評価ですが,2025年6月10日現在,App Storeで星4.7個(4.6万件の評価),Google Play Storeで星4.3個(4666件の評価)となっています。
良いコメント
- 教材の質が良い
- 音声やAI関連の機能が良い
- 長期学習に向く
- 対応が早い
良いコメントを寄せているほとんどは,課金しているユーザーによるものでした。
確かに,使い放題にできれば紙の書籍を買わずとも質の良い教材が利用できるようになり,単語帳やパート別対策本など,様々なものを組み合わせて使うことができるため,コスパは高くなるでしょう。
使い放題になるテキストの数は2年間で2~3倍になり,現在は506冊以上です。
ただし,最近に発売された本は音声やマークシートなどの無料コンテンツのみとなり,Pro用の機能が実装されるには時間がかかることに注意してください(最後まで搭載されないこともあります)。
このうち,発音の速度を変えられる機能は便利ですし,AIによる問題レコメンドを利用すると,あれこれ考えなくても,目標スコア実現のために必要な問題を合格レベルに達するまでひたすらやっていけばよくなるので,問題選びに困らないでしょう。
TOEIC対策以外に英検や英会話の勉強も併用すれば,飽きずに長年続けていくことができる他,TOEICのスコア予測や,現時点までの勉強記録が視覚化されることでやる気が低下しにくいことも,継続しやすくするための工夫の1つとなっています。
その他,アップデートの頻度,そして問い合わせた際の返信が迅速であるところが高く評価されていました。
前者に関しては,問題が見つかると大体2週間くらいで改善されるときもあるようで,更新頻度は2025年になっても高めです↓
悪いコメント
- 料金が高い
- 使い勝手が悪い
- 完成度が低い
- 運営の対応に不満
abceedの料金は値上げの一途をたどっています。
値段はそのままで,機能だけが追加されるのであればまだしも,かつては月額550円(年間だと3600円)で使えていたものは,現在,6倍の3300円になってしまいました。
書籍をすでに購入していても,abceedの教材の利用範囲に変わりはない他,使わない機能が多いと損をしているように感じることもあるでしょう。
また,長く使っているほど,使い勝手が悪いと感じるようになるとのことで,アップデート後には不具合が起きる可能性が高まることも不満に繋がっていました(ただし,後者は再インストールで上手くいく場合も多いようです)。
今日では,他社製の教材で1つの分野に特化した秀逸なアプリがたくさんあります。
なので,それらとabceedの一部分だけを比較すれば,本アプリの方が完成度が低く感じるのも無理はないでしょう。
例えば,長編ドラマを観たくて契約したのに,1シーズンまでしか収録されていないだとか,AIと英会話をしてみても,あるところで引っ掛かって先に進めないなどのコメントが見られました。
これは,英語字幕を備えたサブスプ形式の動画サービスや生成AIの方に軍配が上がるでしょう。
良いコメントとして挙げた「予測スコア機能」であっても,学習者の実力が高くなってくると,少しの間違いで大きく下がるようになってしまい,いつまで経ってもスコアが上がらずにイライラする他,実際のスコアとの乖離幅が大きくなるはずです。
なお,運営の対応の中では,サブスクリプションの解除を忘れて,年間契約が継続されてしまったときに返金がされないことに特に注意しましょう。

abceedに収録されているTOEIC教材について
それでは最後に,abceedに収録されているTOEIC教材から,人気ランキングの10位内にあるもののうち,当サイトでもレビューしているものをいくつか紹介したいと思います(2025年6月11日調べ)↓
ランキング1位
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金のフレーズ
今回は,TOEICで高スコアを狙う方に人気の単語帳である「出る単特急 金のフレーズ」についてレビューしていきたいと思います。 大学の生協でも売り上げNo.1を記録したこともある本書(2015年調べ)で ...
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ランキング2位
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文法問題 でる1000問
今回は,TOEICの文法問題を得意にしたい人で,とにかく演習量を積みたい方におすすめの参考書である「文法問題でる1000問」をレビューしていきたいと思います。 文法ができるようになると,パート5でより ...
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ランキング3位
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銀のフレーズ
以前,金のフレーズについてレビューしましたが,今回はその姉妹品にあたり,より基礎的な単語を扱うと言う「出る単特急 銀のフレーズ」についてレビューしてみたいと思います。 基本的な特徴の他,勉強法について ...
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ランキング6位
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精選模試リスニング
今回ですが,TOEICのリスニング問題のみを収録した「TOEICテスト新形式精選模試リスニング」についてレビューしました。 タイトルにもあるように,2016年5月以降の新形式問題に対応しています。 な ...
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当サイトでもレビューしたTOEIC教材が数多く入賞していたので,ちょっと安心しました。
なお,トップ3の顔ぶれはこの4年間で変化していません。
その他,関正生先生の著書も検討していました。
一案として,abceedの人気ランキングを逆引きのように使い,今の自分に必要な書籍を探し出すために使うことが考えられるでしょう。
なお,完全にabceedのアプリのみを使って,TOEIC150点アップ(上限800点)を保証するコーチングサービスも知られています。
その名も「ABCEED ENGLISH」と言い,本アプリを気に入り,短期間に大きな成果がどうしても必要な方は検討してみてください↓
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ABCEED ENGLISHという新時代のAI英語スクールについて
今回の記事では「ABCEED ENGLISH」と取り上げ,そのサービス内容についてまとめてみようと思います。 令和時代の語学の特徴は,AIが中心となることで,勉強効率が大幅に改善されたことにあるわけで ...
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まとめ
以上,abceedというアプリの使い方と機能を中心に,さらには寄せられた口コミや人気書籍についても触れてきました。
本アプリは,使い始めの際,無料体験ということでPro会員と同じ機能に触れられることもあって,後で無料会員に戻ったときの落差をかなり感じることになるでしょう。
無料会員では,CDやパソコンでダウンロードすることなしに音声をリスニングできるところが便利です。
ただし,多くのページで有料会員になるように促されるのが煩わしく,かといって,有料会員になったらなったで,細かい不具合が目立つようになるため,無料会員に戻った後でいきなり年間プランに申し込むようなことはせず,ひとまず月額契約で慎重に使い始める方が良いでしょう。
くどいようですが,契約解除のし忘れについては気をつけてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。