「IIBC」と言えば,日本でTOEICを運営している団体のイメージが強いですが,他にも様々な事業や活動を行っています。
折角TOEICを受けるわけですから,テスト以外に運営元の情報を知ってみるのもありなわけで,まずはIIBCという組織自体について理解を深めるところから始めましょう!
もくじ
IIBCとは
IIBCとはThe Institute for International Business Communicationの略で,日本語では一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会のことを指します。
上に示したのはそのロゴになりますが,「I」の文字は希望を抱いて空を仰ぎ見ている国際人の姿ということで,なるほど,2つ目のIの上に描かれた丸は太陽(希望)の光なのでしょうか。
なお,オレンジの色は活力を,濃紺の色は知性を表している点も趣深いです。
IIBCの基本理念は,グローバルコミュニティにおける円滑なコミュニケーションの促進をミッションとし,「人と企業の国際化の推進」に貢献しますということで,非常にわかりやすいものだと言えるでしょう。
その設立は1986年2月19日にまでさかのぼり,東京都中野区にある本社の他,大阪と名古屋に事業所があります。
さて,IIBCの主な事業や活動ですが,全部で4つに分けることが可能です↓
- TOEIC Program
- 出版・ラーニング
- グローバル人材育成プログラム
- その他
公式サイトにいってみると,ページ上部にこれらの文字の多くを確認することができました。
最も有名なのは1でしょうが,2についても,公式TOEIC問題集をよくみてみれば,製作者であるETS以外に,出版社としてIIBCの名前を確認することができるでしょう。
なお,3について知っている人は少ないでしょうが,イベントを開催しては参加者同士の学びを促したり,世界で活躍する人のインタビュー記事が読めたりします。
これから,1つずつ紹介していきましょう!
IIBCとTOEIC Program
IIBCの活動でもっとも広く知られているのはTOEIC Programです。
いわゆるL&Rを筆頭に,英語4技能で注目の集まるS&W,そして,より基礎的な内容で簡単に実力診断に利用されるBridgeといったテストが含まれ,最近の受験者数は以下のようになっています↓
2023年度の受験者数
L&R=約176.3万人
Speaking=約3.5万人
Writing=約2.3万人
Bridge L&R=約13.0万人
このうち,L&Rテストの詳しい歴史についてはすでに記事にしましたが,IIBCの創立よりも古いことは驚きでした。
なお,TOEICを受験した方は毎回アンケートが実施されることにお気づきでしょうが,受験者の英語歴や職業ごとの平均スコアであったり,企業や学校を対象にTOEIC Programの活用状況だったりをデータにまとめてくれています。
興味がある方はTOEIC Programのページにある「公式データ・資料」からいつでもアクセス可能です↓
私自身,日本人のTOEIC平均スコアと目標点のまとめや,各種勉強法の記事を書く際の参考にさせていただきました。
2016年にはL&Rテストが新形式になりましたが,時代の変化に合わせて,今後も開発元のETSと協働しながら日本人の国際化に貢献してくれることを期待しています。
IIBCと出版・ラーニング
IIBCは教材の出版や開発も行っています。
もっとも有名なのはL&Rの公式問題集でしょう。
2024年の7月17日に11巻が出ましたが,巻数を経るごとに難しくなっていく特徴があり,これは実際の試験についても言えることです。
その他,単語帳である公式ボキャブラリーブックや,S&WやBridgeの公式ガイド的なものも出版されていますが,個人的には難問を多く集めたTOEIC L&R 800+が気に入っています。
概して,公式本というのは浅い内容で無難なものが多い印象がありますが,IIBCが出版している教材の多くは高い評価を受けているところが特徴です(著者はETSです)。
書籍以外にも,eラーニング教材を提供していたり,文法問題が毎週解けるメルマガやスマートフォン用のTOEIC公式アプリなどが出ていたりしますがご存じでしたでしょうか。
IIBCとグローバル人材育成プログラム
IIBCの活動の3つ目は,グローバル人材育成プログラムです。
世界は今後VUCA(volatile, uncertain, complex, and ambiguous)な時代に突入していきますが,その時代を生き抜く力を身に付けるために,IIBCはイベントや読み物を提供しています。
まずはイベントですが,以下のようなラインナップです↓
- 高校生英語エッセイコンテスト:異なる価値観や背景を持つ人との交流から得た気づきや変化を英語で表現する場
- 大学生英語スピーチコンテスト:大学生を対象とし英語で自分の意見を発信できる場
- 地球人材創出会議:グローバル人材の育成について議論する
- IIBC Café Globe:自分らしい生き方をしている人の紹介動画
- グローバル・ビジネス・ウェビナー:学生がグローバルに触れる場
- KIZASHI:様々な分野で挑戦している人の話
メインは最初の2つで,例えば,2009年に初開催となった高校生英語エッセイコンテストですが,2024年は個人と団体合わせて3193作品が集まり,個人部門では11名が受賞しました。
後者は2023年に開始された試みで,以下は2025年の概要になりますが,後援は文部科学省・米国大使館・一般社団法人日米協会です↓
その他のものは,最近あまり積極的に行われておらず,IIBC Café Globeに関しても2022年12月開催が最後となりましたが,YouTubeにあるアーカイブ動画を視聴できます。
チャンネル登録者数や視聴回数的に見ればほとんど知られていないのでしょうが,海外での生活に興味がある方におすすめできる内容です。
なお,文字で読みたい方のためにあるのがARTICLE(読み物)で,3つの切り口で多種多様な生き方をする先人たちのリアルな声を聞くことができます↓
- Leader's Voice:グローバルリーダーのロールモデルの人たちに学ぶ
- Global Frontline:グローバルシーンの最前線で活躍する人の思考を知る
- 必読シリーズ:人材のマネジメントや育成方法に関する読み物
インターネットを開くとつまらない記事ばかりが表示されてくる昨今ですが,こういった記事こそ,ニュースとして読みたいものです。
数はそこまで多くはないですが,それでも数十人分の人生を追体験できるということで,有意義な時間が過ごせるでしょう。
先のIIBCの公式ページからアクセスできます。
IIBCのその他活動
IIBCはその他活動として,学生主催イベントの協賛や留学制度の支援を行っています。
実際,私の周りでは「トビタテ!留学JAPAN」を利用して中国に短期留学した高校生がいましたし,IIBC AWARD OF EXCELLENCEは誰もが目指せる表彰制度です。
なお,読み物として「IIBC NEWSLETTER」なるものも知られており,こちらは前章のARTICLEと異なり,TOEICや英語学習に関連した内容となっています。
2025年3月時点で154号の歴史があり,アーカイブが利用可能です。
どれも,公式ページの「IIBCについて」からアクセスできるので,興味がある方は是非訪れてみてください。
まとめ
以上,IIBCの事業や活動内容を4つに分けて紹介してきましたが,TOEIC Programや書籍を出版する以外にも,幅広い事業や活動を展開していたことがわかっていただけたかと思います。
最後に,英語を学ぶ真の目的について考えてみたいのですが,ツールとしての英語を用いて国際的に通用する人材になることが候補に挙げられるでしょう。
そのためには,ただ英語力を高めるだけでは不十分で,先のIIBC NEWSLETTERのvol.12でも語られていたように,話す内容が重要だったりするわけです。
そうした気づきは,然るべき環境に置かれれば身をもって体験することになるでしょうが,先人から後人に伝えられるべきものでもあります。
話者と全く同じ経験をする必要はありませんが,頭の片隅に留めておくことで,ふとしたきっかけで開眼する可能性はぐっと高まるでしょう。
是非,IIBCの公式サイトを訪れて,英語力のその先について学んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。