「IIBC」と言えば,日本でTOEICを運営している団体のイメージが強いですが,他にも様々な事業や活動を行っています。
折角TOEICを受けるわけですから,テスト以外に運営元の情報を集めてみるのもありなわけで,好感が持てるとやる気も出るというものです。
これは例えば,入試で受ける予定がある学校に実際に行ってみると,人や校舎の雰囲気が想像以上に良く「絶対に合格したい!」と思うことに似ています。
まずは,IIBCという組織について理解を深めるところから始めましょう!
もくじ
IIBCとは

IIBCはThe Institute for International Business Communicationの略で,日本語では「一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会」のことを指します。
上の画像に示したのはそのロゴですが,2つ目の「I」の文字は希望を抱いて空を仰ぎ見ている国際人の姿とされていて,上に描かれた丸は頭部を表すようです(玩具の人生ゲームにおけるプレイヤーピンのようなものをイメージしてください)。
また,オレンジ色は活力を,濃紺の色は知性を表しているところも趣深いです。
IIBCの基本理念は,
- 人と企業の国際化の推進
であり,グローバルコミュニティにおける円滑なコミュニケーションの促進をミッションとしています。
組織の存在意義や価値観を示すキャッチコピーは,
- 世界は,あなたでつながる。(2012年~)
- あなたが世界をつなぐ あなたと世界をつなぐ(2022年4月~)
のように変化してきていますが,サポートする姿勢を前面に出しているところは変わりません。
その設立は1986年2月19日にまでさかのぼり,東京都中野区に主たる事務所があります。
さて,IIBCの主な事業や活動ですが,全部で4つに分けることが可能です↓
- TOEIC Program
- 出版・ラーニング
- グローバル人材育成プログラム
- その他
公式サイトにいってみると,ページの上部にこれらの多くを確認することができ,最も有名なのは1になりますが,2については,公式TOEIC問題集をよくみてみると,製作者であるETS以外に,出版社としてIIBCの名前を確認することができるでしょう。
なお,3については知る人ぞ知るといった感じですが,イベントを開催して参加者同士の学びを促したり,世界で活躍する人のインタビュー記事が読めたりします。
それ以外にもいくつか取り組みがありますが,これから,1つずつ紹介していきましょう!
IIBCとTOEIC Program

IIBCの活動でもっとも広く知られているのはTOEIC Programです。
いわゆるL&Rを筆頭に,英語4技能で注目が集まっているS&W,そして,基礎的な内容で簡単に実力診断に利用できるBridgeというテストなどが含まれ,最近の受験者数は以下のようになっています↓
2023年度の受験者数
TOEIC L&R=約176.3万人
TOEIC Speaking=約3.5万人
Writing=約2.3万人
Bridge L&R=約13.0万人
Bridge Speaking=約0.6万人
Bridge Writing=約0.6万人
このうち,L&Rテストの詳しい歴史についてはすでに記事にしましたが,そちらも学びが多かったです。
なお,TOEICを受験した方は毎回アンケートが実施されることにお気づきでしょうが,受験者の英語歴や職業ごとの平均スコアであったり,企業や学校を対象にTOEIC Programの活用状況だったりをデータにまとめてくれています。
興味がある方はTOEIC Programのページにある「公式データ・資料」からいつでもアクセス可能です↓

私自身,日本人のTOEIC平均スコアと目標点のまとめや,各種勉強法の記事を書く際の参考にさせていただきました。
2016年にはL&Rテストが新形式になりましたが,時代の変化に合わせて,今後も開発元のETSと協働しながら日本人の国際化に貢献してくれることを大いに期待しましょう!
IIBCと出版・ラーニング

IIBCは教材の出版や開発も行っています。
最も有名なのはL&Rの公式問題集でしょう。
2025年のTOEICの日に12巻が出ましたが,数を経るごとに難しくなっていく傾向にあり,これは実際の試験についても言えることです。
その他,単語帳である公式ボキャブラリーブックや,S&WやBridgeの公式ガイド的なものも出版されていますが,個人的には難問を多く集めたTOEIC L&R 800+が気に入っています。
概して,公式本というのは浅くて無難な内容のものが多い印象がありますが,IIBCが出版している教材の多くは高い評価を受けているところが特徴です(著者はETSです)。
以前はパート別対策本が少ないため,サードパーティーのものに頼ることが普通でしたが,最近はセクション別のもの以外にPart3&4やPart7を扱うものまでが登場してきています。
書籍以外にも,eラーニング教材を提供していたり,文法問題を毎週解けるメルマガやスマートフォン用のTOEIC公式アプリなどが出ていたりしますが,ご存じでしたでしょうか。
詳しくは以下のまとめをご覧ください↓
IIBCとグローバル人材育成プログラム

IIBCの活動の3つ目は,グローバル人材育成プログラムです。
世界は今後VUCA(volatile, uncertain, complex, and ambiguous)な時代に突入していきますが,その時代を生き抜く力を身に付けさせるべく,IIBCは様々なイベントや読み物を提供しています。
まずはイベントですが,以下のようなラインナップです↓
- 高校生英語エッセイコンテスト:異なる価値観や背景を持つ人との交流から得た気づきや変化を英語で表現する場
- 大学生英語スピーチコンテスト:大学生を対象とし英語で自分の意見を発信できる場
- 各種サポート:海外インターンシップ支援制度や英語教育研究支援制度など
- 各種ボランティア
- 各種読み物
メインは最初の2つで,例えば,2009年に初開催となった高校生英語エッセイコンテストですが,2025年は個人と団体合わせて3936作品が集まり(昨年度は3193作品),個人部門では12名が受賞しました。
後者は2023年に開始された試みで,以下は2025年の概要になりますが,後援は文部科学省・米国大使館・一般社団法人日米協会です↓

それ以外のものは継続的には行われていませんが,過去のイベント一覧やYouTubeのアーカイブ動画などから確認することができます。
動画はチャンネル登録者数や視聴回数的に見ればほとんど知られていないのでしょうが,海外での生活に興味がある方におすすめできる内容です。
サポートの内,支援制度は可能な限り利用したいもので,例えば2025年の海外インターンシップ支援制度では最大150万円の支援が受けられました。
TOEICでL&R900,S160,W170以上というスコアも応募資格に含まれますが,OECDやJICAのインターンシップを利用したい学生は周りに結構いるので,注目すべき内容です。
なお,文字で読みたい方のためにあるのが読み物で,3つの切り口で多種多様な生き方をする先人たちのリアルな声を聞くことができました↓
- Leader's Voice:グローバルリーダーのロールモデルの人たちに学ぶ
- Global Frontline:グローバルシーンの最前線で活躍する人の思考を知る
インターネットを闇雲に検索するだけでは,こうした実のある内容の記事にはたどり着けません。
数は多くありませんが,それでも数十人分の人生を追体験できるわけで,有意義な時間が過ごせるでしょう。
これらも,先のIIBCの公式ページからアクセスすることが可能です。
IIBCのその他活動

こちらはIIBCの事業ではなく,あくまで取り組みという位置づけですが,
- NEWSLETTER
- TOEICの日
- 表彰制度
が知られています。
1つ目の「IIBC NEWSLETTER」は,前章のARTICLEと同じ読み物ながらも,TOEICや英語学習に関連した内容が中心となっているところが違いです。
2025年11月時点で156号発刊されており,2021年以降のものはアーカイブとして残っています。
続いて,TOEICの日ですが,これは2021年に初めて認定され,毎年様々な企画が行われてきました。
また,IIBC AWARD OF EXCELLENCEは誰もが目指せる表彰制度です。
TOEIC L&Rだけでなく,S&Wにおいても高得点を取得する必要がありますが,英語の4技能をバランス良く高めることは重要ですし,やる気の維持にも役立ちます。
どれも,公式ページの「IIBCについて」のところからアクセスできるので,興味がある方は是非訪れてみてください。
まとめ

以上,IIBCの事業や活動内容を4つに分けて紹介してきましたが,TOEIC Programや書籍を出版する以外にも,幅広い事業や活動を展開していたことがわかっていただけたかと思います。
最後に,英語を学ぶ真の目的について考えてみますが,ツールとしての英語を用いて国際的に通用する人材になることが一つに挙げられるでしょう。
しかしそうなるためには,ただ英語力を高めるだけでは不十分で,先のIIBC NEWSLETTERのVol.12でも語られていたように,話す内容が重要だったりするわけです。
そうした気づきは,然るべき環境に置かれれば身をもって体験することになるでしょうが,先人から後人に伝えられるべきものでもあります。
話者と全く同じ経験をする必要はありませんが,先人の智慧を頭の片隅に留めておくことで,ふとしたきっかけで開眼する可能性はぐっと高まるものです。
是非,IIBCの公式サイトを訪れて,英語力のその先について学んでみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。