今回は,国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が出版している「公式TOEIC Speaking & Writingガイドブック」をレビューします。
TOEIC S&Wは,L&Rと違って,自分で話す・書く力が問われるテストです。
そのため,問題形式を知るだけでなく,どのような解答がどのように評価されるのかを理解しておくことが重要になります。
本書は,TOEIC S&Wテストを開発しているETSが制作した公式ガイドブックです。
問題形式や実施方法の説明に加え,スケール別の受験者解答例や講評,練習テスト2回分が収録されています。
公式からは,演習量を増やしたい方向けに「公式TOEIC Speaking & Writingワークブック」も出ています。
どちらか1冊だけを選ぶなら演習量の多いワークブックを優先してもよいですが,採点基準や解答例をじっくり読みたい方には,本ガイドブックが役立ちます。
本記事では,本書の中身と,採点基準をスコアアップにつなげる使い方を整理します。
公式TOEIC Speaking & Writingガイドブックの概要

英語を「聞く・読む(L&R)」スキルと,「話す・書く(S&W)」スキルは密接に相関していますが,アウトプットは能動的なトレーニングが必要不可欠です。
TOEIC S&Wテストは,ビジネスや日常生活における実戦的な発信力を測るために開発されました。
本番のテストは,試験会場のPCとヘッドセットを使って解答するコンピューター形式で行われ,限られた時間内に声を出して答える,またはタイピングで記述するスキルが求められます。
試験の全体的な流れや最新の日程については,こちらの記事で解説しています↓
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本ガイドブックは過去に何度か改訂されていますが,現行の最新版は2022年12月に刊行された「公式TOEIC Speaking & Writingガイドブック」です。
- 名称:公式TOEIC Speaking & Writingガイドブック(ISBN 978-4-906033-66-9)
- 著者:ETS(Educational Testing Service)
- 出版社:国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
- 発行年月:2022年12月
- 構成:第1章(話す),第2章(書く),第3章(練習テスト2回分)
- 音声:公式アプリからダウンロード
現行のS&Wは,Speakingが全11問・約20分,Writingが全8問・約60分です。本書では,それぞれの問題タイプごとに採点ポイントと解答例を確認できます。
本書の最大の魅力は,スタジオで録音された模範音声だけでなく,実際の受験者によるリアルな解答例が豊富に収録されている点にあります。
ETSが制作している公式教材なので,問題形式や採点基準を確認するうえで信頼しやすい内容です。
構成としては,試験概要の説明ののち,大きく以下の3つの章に分かれています↓

第1章と第2章でパートごとのサンプル問題を通じて採点基準を学び,第3章の練習テストで総仕上げを行う流れです。
第1章:スピーキングテストの採点基準と解答例

第1章では,スピーキングテストの全問題タイプについて詳しく解説されています。
それぞれのパートに対し,以下のフォーマットで体系的に構成されています。
- 問題の概要と高スコアを獲得する秘訣
- 本番での注意点と自宅での勉強法へのアドバイス
- 実際の画面イメージと問題形式
- 採点ポイント(評価の基準)
- 複数の問題例と,スケール別の受験者解答・講評
たとえば「写真描写問題」のページでは,設問数や解答時間に加え,高評価を得るための具体的な手順が箇条書きで整理されています↓

PC画面の文面や対訳も細かく掲載されているため,本番のインターフェースを事前にイメージしておくのに役立ちます↓

そして,本書のコアとなるのが右ページ以降の「採点ポイント」と「スケール別の解答例」です。
公式が提示する採点基準は一見すると抽象的ですが,本書では実際の受験者たちの音声(計8人分など)を点数(スケール)別に聞き比べることが可能です。
「どのレベルまで話せれば満点がもらえるのか」「どのようなミスがあると減点されるのか」が具体的に見えてきます。
収録されている音声はすべて実際の受験者の生の声です。
完璧なネイティブ発音でなくても高いスケールに届いている例や,途中で制限時間が来て途切れてしまう解答例も確認できます↓

完璧さを求めすぎず,堂々と発話する姿勢の大切さに気づけるため,本番前の不安を減らせます。
また,各解答に対する公式の講評と「心得」がスコア別に要約されているため,現在の自分の実力に応じた段階的な目標設定がしやすいです↓

第2章:ライティングテストの評価ポイントを分析

第2章では,ライティングテストの3つの問題タイプ(全8問)を攻略します。
学ぶ手順は第1章のスピーキングと同様です↓

特筆すべきは,公式ならではの「減点対象に関する但し書き」の有益さです。
「非常に長い文や複雑な構文を書いてもそれだけで加点されるわけではない」「軽微なスペルミスや文法ミスは全体の評価に致命的な影響は与えない」といった,本質的な採点基準が明記されています↓

市販の対策本では必要以上に難解な英文法や洗練された語彙を推奨しているケースが見られますが,本書を読むことで「シンプルで論理的な英文を確実に書くこと」の重要性がよく分かります。
事前にこの基準を知っておけば,本番での余計な焦りを防げるはずです。
問題例も豊富に用意されており,実際の受験者によるリアルなタイピング解答がスコア別にずらりと並んでいます。
文章として視覚的に確認できるため,高得点を獲得している英文の構成や論理展開のパターンを,自分の解答に取り入れやすくなります↓

第3章:実戦形式の「練習テスト」で総仕上げ

第3章では,公式アプリからダウンロードした音声素材を活用し,本番に近い時間配分で模試に挑戦します。
模試の音声は準備時間(無音のタイマー時間)も含めて止まらず通しで流れるため,本番に近いテンポの中で実戦練習が可能です↓

スピーキング問題に取り組む際は,自分の発話をスマホの録音アプリなどで必ず記録するようにしてください。
解き終わったあとに別冊の和訳やETS選定の模範解答例と自分の音声を突き合わせることで,発音の明瞭さや表現の引き出しを見直せます↓

ETSによる公式の模範解答は,シャドーイングや暗唱の素材としても使いやすい復習素材です。
そのまま丸暗記するというより,表現の組み立て方や論理の流れを自分の解答に取り入れていきましょう。
まとめ
以上,公式TOEIC Speaking & Writingガイドブックのレビューでした。
本書の魅力は,単に問題形式を確認できるだけでなく,スケール別の解答例と公式の講評を通じて,どのような解答がどのように評価されるのかを具体的に学べる点にあります。
一方で,旧版から掲載内容が大きく変わっているわけではない点や,一部の解答例が必ずしも完璧な模範答案ではない点には注意が必要です。
私自身,本書を使うことで,自分の英語を録音して聞き返す習慣や,型に沿ってライティングを組み立てる意識が強まりました。
S&Wは,頭の中で分かっている英語を,時間内に声や文字として出すテストです。
その意味で,本書は採点基準を知り,自分の解答を客観的に見直すための良い教材になります↓
本書で採点基準と解答例を確認した後は,「公式TOEIC Speaking & Writingワークブック」で演習量を増やすと,より実戦に近い形でアウトプット力を鍛えられます。