TOEIC S&W Tests(S&W)はL&Rのものと比べて受験者数も少なく,完全対応したスクールの数も限られているため,多くの場合は参考書を用いた学習が基本となりますが,若干物足りなく感じてしまうものです。
そもそも,話したり書いたりする行為というのは,積極的に相手とコミュニケーションを図るために行うわけですから,せめて何らかのリアクションが得られると良いですよね。
もちろん,楽しく学習できるに越したことはありません。
さて,有料の英語アプリの中でも人気の高い「スタディサプリ」ですが,手や口を動かし,目や耳も使ってトレーニングできるだけでなく,ストーリーも面白さを意識して有名な脚本家を起用しているわけですから,なんとかこちらをS&W対策に利用できないものでしょうか。
そこで今回は「ビジネス英語コースを使ったS&W対策」について考えてみたいと思います。
目次
スタディサプリのビジネス英語コースについて
ビジネス英語コースは,リクルートが提供する月額3,278円のオンライン教育サービスで,スマホ(タブレット含む)やパソコンを使っていつでもどこでも学べるのが魅力です。
公式サイトを覗いてみてください!
なんとも面白そうなトレーニングがいくつも確認できます↓↓
中学英語を解説する講座から本格的なオンライン英会話がセットになったプランまで,各自のレベルや目的に応じたレッスンを自由に受講でき,スマホを使ったディクテーションや瞬間スピーキングなどのさまざまなトレーニングがいつでもどこでも利用可能です。
スタディサプリENGLISHと言えばTOEICコースも有名ですが,そちらはL&Rに完全対応した内容でした↓↓
その後発となるビジネス英語コースですから,TOEICコースではカバーしきれない英語力を養成するために誕生したと言っても過言ではなく,仕事場で使える英語の習得を目標にしています。
確かに,TOEICのL&Rでは測れない能力を測定するためにS&Wがあるわけですから,本コースとの相性が良いのも納得です。
テスト対策的な講座があるわけでもなく,まさにユーザーがS&W対策として自由に使うことができるでしょう。
次章からは,各種トレーニングがどのようにS&W対策の役立てていけるのかについて,詳しく考えてみたいと思います。
メインレッスンを使ったS&W対策
スタディサプリのビジネス英語コースには大きく分けて5種類の学習コンテンツが存在し,それが上記画像にある,
- メインレッスン
- ビジネス英単語
- 基礎講座
- 1分クイズ
- 英会話レッスン
です。
まずは「メインレッスン」で学ぶ内容についてみていきますが,難易度別に4つのレベルに分かれており,L&Rのスコアで言えば,下は400点から上は860点以上のスコアを保有する方まで幅広く対応しています。
ここで行うことができるトレーニングは全7種類です↓↓
- 会話理解クイズ
- 単語・イディオムチェック
- ディクテーション
- 会話文チェック
- キーフレーズチェック
- リード&ルックアップ
- 瞬間発話プラクティス
1つ1つのトレーニングをどうS&W対策に生かしていくのか考えてみましょう。
なお,メインレッスンの壮大なるストーリーに関しては,別の記事に詳しくまとめています↓↓
会話理解クイズ
1つ目の「会話理解クイズ」は会話のやり取りを聞き取って,正しい内容を4択問題から選ぶ問題です↓↓
S&Wに選択形式の出題はありませんが,そもそもどのようなことを相手が話しているのか理解できなければ返答のしようがありません。
加えて,このときあえて選択肢を見ずに,自分で答えを考えてみるようにすることで,スピーキングセクションでの設問に答える練習になるので是非試してみましょう。
単語・イディオムチェック
「単語・イディオムチェック」は,ビジネスでよく使われる表現を効率良く学べるトレーニングです↓↓
TOEICのスピーキングテストでは第3問目以降で語彙レベルが評価基準に入ってくるので,多くの語彙を正しく使いこなせるようになれば判定レベルを上げることができます。
スタディサプリではほとんどの問題に時間制限が設けられているため,焦らされた状態で解答する練習を続けていくことで,メンタル面も鍛えられるのが特徴です。
このとき間違えた問題については,例文が音声付きで表記されてきます↓↓
例文もビジネス関連ですから応用が利きやすいと感じるはずです。
苦手な問題だけを「復習トレーニング」にまとめておける機能もあるので,最終的には間違えた例文だけをすべて丸暗記する勉強法も実行できるでしょう。
そこで覚えた例文は,スピーキングの第11問(意見を述べる問題)で活用できますし,音声に合わせて発音するようにすれば,1・2問目の音読対策も兼ねられて一石二鳥です。
ディクテーション
続けて「ディクテーション」ですが,こちらはリスニング力を鍛えることができる以外に,「単複の判別・冠詞の有無・時制」といった色々な文法知識を意識するので,正確な英文を書く力を身に付けることができます↓↓
例えば,上で赤く示したところについて解説すると,theseで形容されているのでboothは複数形にしなければなりません。
加えて,主語は複数形のboothsではなくreserving(単数形)ですので,述語はisにしなければならないことを確認することができます(isをareと聞き間違える方はいないでしょうが)。
いずれにしても,ライティングはおろかスピーキングでも文法は評価基準になっているので,ケアレスミスをしなくなることで減点されなくなるでしょう。
会話文チェック
4つ目の「会話文チェック」ではストーリーの内容を文字で確認できます。
スピーキングの第10問に「メッセージまたは会議内容を確認し,解決策を提案する」問題が出題されますが,ビジネス英語コースでは解決策を考えなければならない事件が頻繁に起こるので,本番で役立つヒントが自然と得られることでしょう↓↓
キーフレーズチェック
続いて「キーフレーズチェック」ですが,こちらは英語ネイティブのマシュー先生が,レッスン内の表現を中心に動画で解説してくれるトレーニングとなっています↓↓
なお,彼の講義で得られる知識というのは,語彙力の増強や自然な英語表現に役立つものなので,動画を観ているだけで純粋に英語が得意になるわけです。
例えば,日本語で「話し合うのが大切だ」と言いたい場合,どんな動詞を用いればよいでしょうか。
簡単に思っていた単語ほど実は迷いが生じやすく,上の場合はdiscussではなくtalk aboutを使うのが正解です。
マシュー先生が解説する動画を観るのは多くの人にとって非常に楽しい体験となるので,やる気が上昇して日々のトレーニングを続けやすくなるところも大きな魅力ではないでしょうか。
どんな良い教材でも,やり遂げてこそ初めて意味をなします。
リード&ルックアップ
トレーニングの6つ目は「リード&ルックアップ」です。
名称はさておき,手順をみるとどこかで行ったことのある学習テクニックかもしれません。
具体的には,以下の2ステップを行うことになります↓↓
- 英文を見ながら音読する
- 日本語訳だけを見ながら音読する
暗唱に近いと言えばイメージが沸くでしょうか。
とはいえ,このようなトレーニングを自分1人で作成し,それも制限時間を設定して行うことは難しく,これもまたビジネス英語コースを利用するメリットだと言えるはずです↓↓
自分の声を録音して確認することができますし,トレーニングをやらずに先に進むとそれが学習記録に残ってしまうので,さぼることもできません(笑)
負荷を下げるためのヒントが利用できるので,難しければそれを頼りに行いましょう。
このトレーニングは英文の理解度を高める効果があるため,例えば,ある程度のまとまりで文を捉えて音読できるようになったり,英文を流暢に発話できるようになります。
リーディング力の評価はS&Wの判定基準に含まれていないと思いきや,ライティングの第6~8問のように,ある程度の長さの英文は読まされることになるため,正しく素早く読めるようになる練習は有効な対策です。
瞬間発話プラクティス
メインレッスンの最後は「瞬間発話プラクティス」となります。
これはある状況に対して,出題が行われるため,相手の発言に合わせて解答しなければなりません↓↓
スピーキングテストの第4~6問は,身近な問題についての設問に答える内容ですので,このトレーニングを積むことでうまく対応できるようになるはずです。
ビジネス英単語の活用法
スタディサプリの中で,この「ビジネス英単語」はビジネス英語コースにしか存在しない学習コンテンツです。
前章の「単語・イディオムチェック」にて,多くの語句を使いこなすことでS&Wのあらゆる出題においての評価が上がることについて述べましたが,こちらはビジネス英会話でよく使われる単語を中心に学ぶことができます。
「提案=proposal」や「immediately=すぐに」などがパッと出てくるようにしておくと,スピーキングの際に言い淀まずにすみますし,raitonaleやarguablyといった語句をライティングのエッセイで登場させるだけでも,採点官に高い語彙力を示すことができるのではないでしょうか↓↓
一番下に少し見えている例文のarguablyがあるとないとでは,英文のレベルに大きな違いが出てきますよね。
なお,本コンテンツにはBasicとAdvanceの2つのレベル分けがされていて,後者の単語レベルの方が明らかに難しいです。
そこで,Advanceの単語はライティング用と割り切り,Basicにある単語はスピーキングとライティングの両方で使えるように準備しておくと,うまく使い分けができるように思うのですがどうでしょうか。
このレベルの単語はちょっと難しすぎるという方は,ずっと簡単な中学レベルの単語(MondayやJanuaryなど含む)を「基礎英単語」という講座で学ぶことができます。
基礎講座がS&Wに役立つ理由
英文法というのは,知っておくほどに応用がききやすく,英語を読み書きする際はもちろん聞いたり話すときにも役立つ,英語力の根本を支えるものです。
文法力がしっかり備わっていることで,「文を速読したり,論理構成が一貫した文章を書けたり,まとまりごとに英語を聞いて先の展開を予想できたり,相手に伝わりやすい英語を話せるようになる」といった沢山のメリットがあります。
ビジネス英語コースの基礎講座に入っている「基礎英文法」では,文の成り立ちから文型にいたるまでの英文法知識を補完することが可能です。
TOEICのライティングテストではもちろん,先述のとおり,スピーキングテストにおいても文法力は評価対象となります。
あくまで会話に必要な文法に限っているので,久しぶりに学ぶという方や文法が苦手な方におすすめです。
なお,レッスンの構成は先のメインレッスンに比べるとだいぶ敷居が低く,
- チェック問題
- 解説講義(動画)
- 問題演習
のように大変シンプルなものになっています。
そのため,あまり負担を感じることなくパッと進めていけるでしょう。
基礎講座のもう1つの「基礎英単語」ですが,こちらは全14レッスンで,中学レベルの単語から学び直すことができます。
なお,TOEICコースでも同じ基礎講座が利用できるため,詳しいレビューについてはそちらを参考にしてください↓↓
英会話は中学英語で7割が理解できると言います。
基礎講座で文法と単語の両方を1から学び直し,S&Wに必要な英語力を底上げしましょう!
1分クイズとS&W対策
「1分クイズ」のレッスンは,随時更新されているコンテンツという点で特徴的です。
2019年の2月号から毎週1問のペースで増え続け,2021年2月時点で全48レッスンが存在しています。
その名のとおり,1分程度で気軽に学べる内容ですので,最初はきっと「え,もう終わり?」と思ってしまうことでしょう↓↓
しかし,解説にある「すぐに使えるフレーズ」がS&Wの対策に使えるので,そこまでしっかり覚えるようにしてください↓↓
"I'll book online."といった英語は,その場でパッと思いつける内容ではありません。
事前に丸暗記しておくからこそ,自然に口をついて出てきてくれるのです。
オンライン英会話の利用法
スタディサプリのビジネス英語コースでは,学んだ内容を用いて,実際に外国人相手にオンライン英会話を行うことができます。
そのためには英会話セットプランに申し込むのが基本で,メインとなるレッスンの流れは以下の通りです↓↓
- Intro
- Practice
- Apply(General)
- Apply(Personal)
- Feedback
教材はWeeklyのものを使用します(この他にDaily教材も利用できますが,そちらはIntro部分が無く,レッスン時間も短くなるなどの違いがあるため,ここでは省略します)。
月4回までの予約レッスン(場合によっては今すぐレッスンも可)を基本として,アプリ上でこの1週間学習してきた表現を実践する以外に,残った時間で質問やフリートークも可能です。
レッスン時間は全部合わせると25分に及びますが,この長さはスピーキングのテスト時間(約20分)を超えています。
もちろん,ずっとしゃべり続けるわけではないのですが,試験本番と同じ長さを定期的に経験しておくことは,テスト本番でもプラスに働くはずです。
以下では,より詳しいレッスン内容についてみていきますが,大きな目的は,1週間のメインレッスンで学んだキーフレーズを実践することで,1週間のスケジュールとしては予備日や復習日があるので,数としては5つとなります。
Intro
ここでは1個のキーフレーズにつき3つのパターンを読み上げます。
まずは上の「Example」のところで,レッスンに出てきた形で音読しますが,講師の先生の後に続けて,同じ調子で読みましょう。
その後,「Exercise」にある語句を使って,キーフレーズの一部を変えて読みます。
文法知識があると,基本となる文の一部をこのように変えて応用することができるので,どんどん話せるようになるというわけです。
Practice
続けてPracticeを行います。
状況が1つ設定され,ここではミーティングをどうするかについて話し合いますが,訪れるべきかどうか,いつ行くかなどを答えてください。
とはいえ,自分で1から作る必要はありません。
ここで行うのはロールプレイのトレーニングなので,上の画像の青字で書かれている部分(Studentと記載されているところ)を読むだけでOKです。
これでは簡単すぎるという人も心配要りません。
そもそもビジネス英語コースのオンライン英会話では同じ表現を形を変え,やり方を変えることで何度も練習できるのが魅力です。
ロールプレイも1度やったら終わりではありません。
2回目から,テキストに空欄が設けられるようになり,3回目ではここまで空欄が追加された状態でレッスンを行います↓↓
頭を使いながら,決して言われるがままの受け身的なレッスンにはなりません。
Apply:General
これまでの準備段階を経て,いよいよここからは自分で文章を作る作業がメインとなります。
ApplyはGeneralとPersonalで分かれていますが,状況が与えられているか自分で設定するかが異なります。
今週身に付けたい5つのキーフレーズがありましたが,その中から適当なものを使って回答します。
ここでは"Let's ~ and see if we can …"の構文をもとにすると良さそうです。
なお,どうしてもわからない時のために「ヒント」を使うこともできます。
Apply:Personal
覚えたフレーズを実際の環境に応用できることが大切です。
まずは最近職場であった状況などを想像して,シチュエーションを考えてください。
できたら講師にそれを発表しましょう。
このとき,今週のキーフレーズが使いやすいように設定することがポイントですが,例えば今回のものでも以下のようにバリエーションに富んだものが使えるので,どれか1つ使うのは難しくありません↓↓
チームですべきことを提案する,丁寧な依頼をする,イベントや出来事について詳しく説明・質問する,問題点をどう解決するか議論する
最後に,シチュエーションについてまたは質問するを1つ選んで,それを使った文章を発話します。
Feedback
最後はFeedbackということで,自分のパフォーマンスを第3者に評価してもらうものです。
正確さや文法はTOEICでは直で減点に繋がるものですし,発音が悪ければ内容が伝わりません。
全体的に他者がどう判断するかを意識しながら発話すべきなので,特に「流暢さ」がどう評価されるかを気にしてみてください。
1つの工夫として,止まらずにしゃべり切ることが大切です。
時間が残ると思うので,最後にフリートークを楽しみましょう↓↓
ところで,TOEICのスピーキングテストにおける第11問は「あるテーマについての意見と理由を述べる問題」です。
この対策は特に不足しがちなので,評価について詳しく聞くのもよいですが,S&W対策としては「好きなテーマについて講師と話す」を選択してください。
意見と理由を述べながら1分間話してみるとS&Wの本番に即した練習になるはずです。
特に自分のことについて話す場合,それまでのレッスンに比べて自由度が高くなるので,先に話しておきたいことをメモしておいてもよいでしょう。
なお,本サービスは「NativeCamp.」という,リクルートとは別の会社が請け負います。
そのため,ビジネス英語コースの通常プラン(月額3,278円)だけでは利用できません。
使うには,一度ベーシックプランを解約し,英会話セットプランに契約する必要があります↓↓
- 月額料金:7,128円
- 6ヶ月パック:39,468円
このサービスは月に4回の予約レッスンと回数無制限のフリーレッスンが含まれており,英会話の習得に大変効果のある「実践が積めるレッスン」になっているので,値段に見合うだけの価値があると感じるはずです。
まとめ
以上,スタディサプリのビジネス英語コースにある学習コンテンツをどのようにS&W対策に生かすかについてみてきました。
使い方を工夫することで,思っていた以上に多くの問題形式に対応できる総合力が身に付くことがわかっていただけたように思いますが,本コースは社会人がビジネス英語を身に付ける用途でももちろん利用可能です(というかそちらが主流でしたね)。
メインレッスンに関しては,先に紹介した7つのトレーニング内容を1レッスンとしたものが,4つのレベルごとに200レッスンずつ存在します。
つまり,計800レッスンもあることになるので,1年あっても学ぶ教材には困りません。
テストまでの残り日数だけの利用も十分に考えられますし,長期間利用する場合はキャンペーンの利用もお見逃しなく↓↓
ビジネス英語コースが対象とする方のレベルは幅広く,英文法に関しても本当に基礎的な部分から学ぶことができました。
TOEICのスピーキングテストでは,初めて目にする資料や文書,メッセージや会議内容を題材として,自ら返答を考えなければいけないので,オンライン英会話では相手を納得させる返答を心がけましょう。
レッスンを終えたとき,自分自身で何か感じるところがあるかと思います。
そのとき見えた課題を反省して,今後の学習に生かしていきましょう!