当記事では,TOEICの文法・語彙問題を中心に,テンポよくかつ短期間で対策ができる「1日1分!TOEIC L&Rテスト炎の千本ノック!」をレビューさせていただきます。
スポ根を彷彿とさせる本のタイトルや炎のイラストから,体育会系で暑苦しい印象を受ける本書ですが,一体どのようなトレーニングでもって練習することになるのでしょうか。
炎の千本ノックシリーズは,文法問題をメインにしたもの以外に語彙を扱う姉妹本も複数発売されていて,TOEICのPart5やPart6に限らず,TOEICスコアを全体的にアップさせることも期待できます。
まずはラインナップの紹介から始めることにして,続いて,最も基本的な炎の千本ノックを使って,中身を見ていくことにしましょう!
もくじ
炎の千本ノックシリーズと使い方

炎の千本ノックのラインナップ
⑨2024-2025年版:2024年4月発売。最近の問題に対応した問題集。全160問でリスニングセクション対策を中心にリスニング素材もある。定価1430円。
⑧とことん文法徹底攻略:2024年2月発売。基礎的な文法知識96個を学べる。「パート5徹底攻略」から55問を収録。定価1430円。
⑦パート5語彙問題860点レベル:2023年3月発売。過去の千本ノックシリーズから,難易度の高い語彙を含む280問を厳選。定価1320円。
⑥パート5語彙問題700点レベル:2022年12月発売。こちらは700点目標用に300問を厳選。定価1300円。
⑤英単語徹底攻略:2022年3月発売。Part5・6攻略に必要な単語を中心に全1272語を学ぶ。Part1の単語はイラスト付き。定価1430円。
④文法徹底攻略:2021年7月発売。旧形式のものから50問を厳選。TOEIC攻略に役立つ文法を効率良く学ぶ。定価1100円。
①~③無印,2,パート5徹底攻略:2018年11月から2021年6月にかけて発売。著者がTOEIC攻略のコアとするPart5にまつわる難しめの問題を150問強収録。表紙の色から「赤白青」と称された。定価1100円。
著者は中村澄子氏で,20年以上,TOEICを毎回受験しています。
当サイトではTOEICリスニング徹底攻略と模試のレビューをしましたが,こちらの出版社は祥伝社です。
扱うテーマは本ごとに異なりますが,特徴や学び方は共通していて,詳しくは次章でまとめることにします。
さて,先のラインナップのところで最初に示した番号に注目していただきたいのですが,これらは炎の千本ノックシリーズの何冊目に当たるかを示すものです。
それを基に説明すると,メインの問題集(①~③や⑨)で学ぶことが基本となりますが,問題や解説レベルが高いと感じた場合は,その準備段階として④~⑧を使うことができます。
現在の状況だと,まず⑨を購入し,試しにしばらくやってみて,文法の理解がさっぱりだったり,単語に難があると思ったら,⑧や⑤で補完しましょう。
その後,⑥と⑦を挟んでも構いませんが,最終的には⑨に戻って,何度も解き直します。
それでは次章で,炎の千本ノックのおすすめポイントをみていきましょう!
炎の千本ノックのおすすめポイント

例に使用するのは,炎のシリーズの第1作です。
現在までに複数冊が出ましたが,問題やレイアウトに多少の変更は見られど,同じ千本ノックを冠しているだけあって,基本的な学び方に大差ないので特に問題はないでしょう。
以下が本書の目次ですが,使い方の説明や読み物的なコラムがわずかにみられる以外は,紙面のほとんどが問題とその解答・解説に割かれています↓

メインとなる教材は問題数が多くなる傾向にありますが,1作目はTOEICのPart5対策となる演習問題が141問と,Part6用のものが16問の計157問でした。
文法問題集としては文法問題でる1000問などもあるので,比較すると収録数がやや少なく感じられるかもしれませんが,問題数が少ない分,素早く1冊を仕上げることができますし,解説を詳しくすることができるわけです。
TOEICで高スコアを取得するためには,以下2つを目標にするべきだと中村氏は語ります↓
- 真の英語力を身に付ける
 - TOEIC特有の問題の解き方に精通する
 
以下で,これら2つがどのように達成されることになるのか,実際の問題をみながら理解していくことにしましょう!
学習しやすい
本書の構成ですが,問題がページ全体に1問だけ載っていて,ページをめくればその解説・解答が続くという「2ページ単位で完結する構成」となっているので,長時間集中して取り組む必要はありません。
なので,スキマ時間を見つけては1問1問ちょこちょこと進めていける学習のしやすさが,まず1つ目のおすすめポイントになります。
学習方法についてもう少し詳しくみていきましょう。
以下の右ページに示されているのが第1問目です↓

シンプルなレイアウトですが,ページ下に単語の意味が書いてあるところが特筆すべきポイントでしょう。
これをヒントとして利用できることで,
- まず最初は何も見ずに答えを選ぶ
 - 下のヒントでその答えを吟味しなおす
 - 最後に解答・解説を読む
 
という3つの段階を踏むことが可能になるわけです。
ページの右上には○×を付ける欄があり,最低でも3回は学ぶことで,自身の成長を実感しやすくなっています。
解説が詳しい
2つ目に挙げられるおすすめポイントは解説の詳しさです。
もともと本書は文庫サイズだったのですが,今では紙面サイズが拡大されて解説量が増えています。
先ほどの問題の解説を見てみましょう↓

まず,どのような文法知識が問われているのかが解説されますが,右上に星の数で示された難易度と合わせて,間違いを分析する際に役立ります。
次の文にて「選択肢に似た形の単語が並んでいるので品詞問題かもしれない」と書かれていますが,この説明に即座に反応できる人は,これまでに多少なりともTOEICの対策をしてきた方でしょう。
名詞のchallengeは派生語として紹介されています。
最下段には「英語の筋トレ」というコラムがありますが,ここには本問を解くにあたって肝となる部分の解説が載っているので,最初に解く際は特にこのコラムに書かれている内容を確実に押さえるようにしましょう。
ちなみに,答えの文字色がグレーだったのでやや見にくかったのですが,これは答えが透けて見えないようにするための工夫です。
すでに述べましたが,本書ではPart5以外にPart6の問題も学ぶことができます。
ちなみに,前者のところでは全訳はあったものの解説ページに例文が載っていなかったこともあり,確認する際は前のページにいちいち戻らなければならなかったところがちょっと面倒くさかったですが,Part6ではストレスなく学ぶことができました。
後者では,各ページに問題と解答・解説が収まっていることを確認してください↓

本書を利用するにあたって1つ注意点を述べるとしたら,「品詞」と聞いて,名詞・動詞・形容詞・副詞などの文法用語とそのイメージがぼんやりと浮かんでくるくらいの学力が必要だということです。
解説は論理的には書かれていますが,「最上級」などの文法用語が抜けている方は,本書を使うには早すぎます。
その場合,とことん文法徹底攻略などを使って学ぶようにしましょう!
炎の千本ノックで学んだ感想

私自身,もともと文法は得意な方で,新形式になったばかりの公開テストでも上のように満点を取ることができます。
そんな私でも,この炎の千本ノックでは間違えてしまう問題が複数個あり,勉強になりました。
嬉しいことに,本書の解説部分には不正解となる理由も併せて書いてあります。
TOEICの公開テストでは,本書と全く同じ問題は出題されませんが,類題はたくさん出題されるので,解説が応用の利く内容であるほどに役立ちます。
是非,問題集を選ぶ際は,本書のように解説が詳しいものを選ぶようにしてください。
ちなみに,1問あたり,問題を解いてから解説を読み終えるまでに2~3分がかかりましたが,6時間もあれば本書は1周でき,毎日1時間程度の学習時間が確保できると1週間で一通り学べてしまいます。
これを3周,文法が苦手な方なら5周やってから,TOEICの公式問題集を解いてみてください。
予想スコアから,目標にだいぶ近づいたことがわかるでしょう。
本書では音声データも利用できるので,正しい発音で音読するようにすると,リスニングセクションのスコアも伸びます。
なお,オーディオブックが無料で利用できるようになるシリアルコードが付いていましたが,現在は収録されておらず,代わりにabceedの方でダウンロードすることが可能です。
仕上げとして,巻末の索引を利用することで語句の意味をチェックしましょう↓

各単語の頭にチェックボックスが付いているのは,まさにそのためであって,ここまでやれば,ほとんどの方が自身の成長を実感できるように思います。
世の中には文法用の無料アプリもありますが,無料でまともな解説を提供してくれる教材は少ないのが現状で,解説のわかりやすさこそがその教材の価値を決めていると言っても過言ではありません(一見無料のように見えても,広告収入や個人情報収集などの形で対価を求められるものがほとんどです)。
本書においても著者が教える塾や著書の紹介が見られますが,勉強の妨げになるほどではありません。
まとめ

以上,中村澄子氏による炎の千本ノックのレビューでした。
まとめると,本書は学習のしやすさと解説の詳しさで,1週間もあれば一周することができる学びやすさを備えながらも,音読や単語チェックも行うようにすれば1ヶ月は十分に学べる,価値ある1冊に仕上がっていました。
中学レベルの文法知識を備えた方が,TOEICでの得点力を上げるために用いるのに最適で,主にPart5対策とはなっていますが,リーディングセクション全体のスコアアップに好影響をもたらします。
単純にPart5を素早く切り抜けられるだけでも時間的余裕が生まれて,Part6や7により時間をかけられるようになりますから,思わぬ形でスコアアップが達成こともしばしばです。
語学学習においてテンポの良さを重視する方は,是非購入してみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。