AI系ツールを使えば,TOEIC学習でできることはかなり広がります。
ChatGPT・Gemini・Claudeなどの対話型生成AIで英文の意味を確認したり,Perplexityで英語記事を探したり,DeepL WriteやGrammarlyで自分の英文を直したり,Text-to-Speechでリスニング練習用の音声を作ったりと,用途は多岐にわたります。
ただし,これらは便利な一方で,TOEICの公式問題集や市販教材の完全な代わりになるものではありません。
AIが作る英文や解説には誤りが混ざることもあるため,あくまで「補助教材」や「学習管理役」として使うのが現実的です。
20年間にわたり教育・指導の現場を見てきた立場からすると,語学学習でスコアを分けるのは,単発の便利ツールを使うことではなく,毎日の学習を続けやすい「仕組み」に落とし込めるかどうかです。
この記事では,TOEIC L&RとS&Wの学習において,AI系ツールをどのように組み込めばよいのかを,4技能別の活用方法と学習管理への応用を合わせた5つの視点から整理します。
TOEIC学習でAI系ツールに任せられること・任せすぎないこと

AI系ツールは,自然な文章の作成,英文の言い換え,学習計画の作成,疑問点の整理などに役立ちます。
TOEIC学習においても,L&R(リスニング&リーディング)だけでなく,S&W(スピーキング&ライティング)の練習に組み込めます。
ただし,TOEICの出題形式や難易度に慣れるには,公式問題集や実績のある教材を軸にすることが大切です。
AI系ツールは,教材で学んだ内容を復習したり,自分の弱点を補ったりするための補助役として使いましょう。
現在,私がTOEIC学習において推奨する主なAI系ツールは以下の通りです↓
AI系ツールの例
- ChatGPT・Gemini・Claude:疑問解消,学習計画の作成,英文生成,スピーキング練習
- Perplexity:出典付きの情報検索,英語記事や長文素材探し
- DeepL Write:自分が書いた英文の文法・表現・文体の調整
- Grammarly:英文の校正,トーン確認,文章スコアの確認
- Google Cloud Text-to-Speech:リスニング練習用の読み上げ音声を作成する
組み合わせて使うのが基本ですが,以下の記事で述べたように,ChatGPT単独でもTOEICの4技能の対策ができます↓
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どのツールを使う場合でも,出力された答えをそのまま正解扱いしない姿勢が不可欠です。
TOEICの問題形式や採点基準に関わる部分は,公式問題集や信頼できる教材で確認しながら使いましょう。
次章から,具体的な活用方法を見ていきます。
TOEICリスニング対策でAI系ツールを使う方法
TOEICのリスニング対策では,「単語の正しい発音を知る」ことと「職場や日常の場面を扱う会話・説明文を聞き取る」ことの2つが重要です。
例えば,Part2対策では質問と応答の組み合わせ,Part3対策では2~3人による短い会話を作らせましょう↓
リスニング素材を作るプロンプト例
TOEIC Part3を参考にした,職場での会話を英語で作成してください。
登場人物は2人,長さは80~120語程度にし,会話の後に内容理解問題を3問と,4つの選択肢を付けてください。ただし,TOEICの公式問題を再現したものではなく,オリジナルの練習素材として作成してください。
スクリプトができたら,Google Cloud Text-to-Speechなどの音声合成サービスを使って音声化します↓

Google Cloud Text-to-Speechでは,アメリカ英語,イギリス英語,オーストラリア英語,インド英語など,地域別の英語音声を選択できます。
TOEIC対策では,まずアメリカ・イギリス・オーストラリアの音声を使い,苦手な発音を繰り返し聞くとよいでしょう。
なお,合成音声は本試験の収録音声と同一ではありません。
あくまで公式問題集の音声を軸にし,AIで作った音声は苦手な表現を反復するための補助教材として使いましょう↓
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TOEICリーディング対策でAI系ツールを使う方法
リーディング対策の王道は,良質な英文の多読と,正確な文法理解です。
多読用の素材を探す際は,Perplexityに英語で質問し,「英語で書かれた一次情報を優先し,出典を示してください」と指定するとよいでしょう。
回答だけで済ませず,引用元の記事を実際に開き,見出し,本文,図表まで読むことが重要です↓

長文を読んだ後は,その内容を英語で3文程度に要約し,それをAIに添削させるというひと手間を挟んでください。
このプロセスが,長文の構造を意識して読む力を養います。
また,Part5で解説を読んでも理解できない問題は,問題文と自分が選んだ答えを入力し,次のように尋ねます↓
Part5の解説用プロンプト
この問題について,中学生にも理解できる日本語で説明してください。次の順番で回答してください。
1. 文の主語・動詞・目的語や修飾関係
2. 空欄に必要な品詞または文法上の役割
3. 正解の根拠
4. 他の選択肢が不正解になる理由
5. 同じ文法を使った短い例文
判断に自信がない場合は,推測せずにその旨を明記してください。
読んだ文章の意味がわからないときはChatGPT TranslateやDeepL翻訳を使って訳させます。
写真に撮って送るか,コピペして貼り付けるなどして入力します。
TOEICスピーキング対策で生成AIを使う方法
TOEIC S&Wのスピーキングセクションでは,単に英語を話すだけでなく,決められた時間内に論理的かつ正確に応答する力が求められます。
ChatGPT・Gemini・Claudeなどの音声会話機能を使えば,AIに出題役を任せ,その場で英語を話す練習ができます。
音声機能の対応端末や利用条件はサービスごとに異なるため,使用前に確認してください。
1. 代表的な3形式の音声会話プロンプト例
音声会話を始める前に,以下のようなプロンプトをテキストで送信して,AIの役割と評価してほしい観点を固定しておくと練習しやすくなります。
① 音読問題(Read a text aloud)対策
発音,イントネーション,アクセントの正確さが問われるパートです。
音読対策のプロンプト
あなたはTOEIC Speakingの練習相手です。これから音読問題(Read a text aloud)の練習をします。
空港のアナウンスや店舗の広告など,45秒程度で読める短い英文を1つ提示してください。
英文が提示された後,私が自分で45秒間の準備時間を計ります。準備ができたら「Ready.」と言うので,それまで発言せずに待ってください。
私が音読を始めたら,「That's all.」と言うまで,相づちや訂正を挟まずに待ってください。
終了後,発音,イントネーション,アクセント,意味のまとまりごとの区切りについて,良かった点と改善点を示してください。ただし,公式採点の再現ではなく,参考評価であることを明記してください。
最後に,意味のまとまり,強勢,イントネーションがわかるように,自然な速度でお手本を読み上げてください。
② 写真描写問題(Describe a picture)対策
写真を確認する準備時間は45秒,解答時間は30秒です。
人物の位置,動作,服装,周囲の物などを,重要なものから説明します↓
写真描写対策のプロンプト
あなたはTOEIC Speakingの練習相手です。これから写真描写問題(Describe a picture)の練習をします。
私が自分で撮影した画像をアップロードします。画像を確認できたら,その旨だけを伝えてください。
その後,私が自分で45秒間の準備時間を計り,準備ができたら英語で説明を始めます。解答時間は30秒です。
私が「That's all.」と言うまで,相づちや訂正を挟まずに待ってください。終了後,次の3点を評価してください。
1. 文法・語彙の不自然な点
2. 写真と一致していない説明
3. 追加すると内容が具体的になる重要な要素
最後に,私の表現をできるだけ残した修正版を提示してください。これは公式採点ではなく,練習用の参考評価であることも明記してください。
③ 意見陳述問題(Express an opinion)対策
特定のテーマについて,自分の意見と理由を60秒以内でまとめて話す問題です。
プロンプトは以下が考えられます↓
意見陳述対策のプロンプト
あなたはTOEIC Speakingの練習相手です。意見を述べる問題の模擬練習を行います。
まず,仕事,学習,買い物,旅行などに関するテーマを1つ出してください。出題後は,私が45秒間準備します。私が「Ready.」と言ったら,60秒以内で意見と理由を話すよう指示してください。私が「That's all.」と言ったら,次の3点を行ってください。
1. 意見と理由の論理的整合性を評価する
2. 文法や語彙の不自然な点を指摘する
3. 私の意見と理由をできるだけ残しながら,60秒以内で話せる自然な修正版を提示する
2. 「録音・文字起こし→添削→再発話」の練習サイクル

スピーキング練習では,「話しっぱなし」で終わらせないことが重要です。
話した内容を文字として可視化し,修正後にもう一度話す仕組みを作ることで,練習の効果を高められます。
- 録音と文字起こし:スマートフォンの録音機能や音声入力を使って,自分の解答をテキスト化します。これにより,不要なつなぎ言葉の多さや,繰り返し間違えている文法項目を視覚的に確認できます。
- AIによる添削:文字起こししたテキストをAIに入力し,「この英文を文法的に正しく,かつビジネスにふさわしい自然な表現に直して」と指示します。
- 再発話(復習):修正版から自分でも使えそうな表現や文の型を選んで音読します。その後,元の文章を見ずに同じ問題に再度答え,さらに別のテーマでも使ってみます。
なお,音声認識が正しく文字起こしできなかった箇所が,必ずしも発音ミスとは限りません。
元の録音を聞き直し,文法・内容・発音を分けて振り返りましょう。
TOEICライティング対策でAI系ツールを使う方法
TOEIC Writingでは,文法やスペルだけでなく,設問に対応した内容,語彙,文章構成,理由や具体例の示し方も評価されます。
TOEIC Writingの3つの出題形式
- 写真描写問題(5問):指定された2つの語句を使い,写真に合う一文を書く
- Eメール作成問題(2問):受信したメールを読み,条件に合う返信を書く
- 意見を記述する問題(1問):テーマについて,理由や具体例とともに自分の意見を書く
DeepL WriteやGrammarlyでは,文法・語彙・文体・読みやすさを確認します↓

設問で求められた内容に答えているかを確認したい場合は,設問と自分の解答の両方をChatGPTなどの対話型生成AIへ入力し,条件の満たし方を点検してもらいましょう。
推奨する練習サイクルは次の通りです。
- 制限時間内に,まず自分だけで解答を書く。
- 辞書やAIを使わずに一度見直す。
- DeepL WriteやGrammarlyで修正候補を確認する。
- なぜ修正されたのかを生成AIに質問する。
- 元の文章を見ずに,もう一度自分で書き直す。
なお,Grammarlyでは,文法や語彙の修正候補に加え,文章のトーンやPerformance score(文章スコア)を確認できます。
このスコアは,検出された文章上の問題などをもとに,他の利用者の文章と比較した指標であり,TOEIC Writingの予想得点ではありません。
TOEIC WritingにはEメール作成問題もあるため,Eメールの丁寧さや文章上の問題点を確認する参考指標として使いましょう。
生成AIをTOEIC学習管理の補助役として使う方法

ここまで4技能別のAI活用法を解説してきましたが,もう一つ有効なのが,生成AIを学習管理の補助役として使う方法です。
スタディサプリENGLISHには,かつて担当コーチが毎日の進捗確認や面談を行ってくれるパーソナルコーチプランがありましたが,新規受付は2026年3月末で終了し,サービス自体も2026年10月に終了予定です。
そこで生成AIに適切なプロンプトを与えることで,パーソナルコーチが担っていた役割のうち,学習計画の作成,日々の記録,振り返り,予定の再調整などを補助させることができます。
- 学習方針の決定:目標スコアと1日の学習可能時間を伝え,無理のない週間計画を立てさせる。
- 日々の進捗管理:学習時間や理解できなかった箇所を毎日報告し,改善してもらう。
- 音声での定期的な振り返り:月1回,音声会話機能を使って学習状況や悩みを整理し,翌月の計画を修正する。
AIを学習管理の補助役として使うためのプロンプトやスケジュールの組み方は,以下の記事で詳しく紹介しています↓
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生成AIを専属コーチに!スタディサプリTOEICの学習管理を再現する方法
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AI系ツールをTOEIC学習に使う際の注意点
繰り返しになりますが,最後にAI系ツールを使う上での注意点をまとめます。
AIが作った問題を公式問題と同等に扱わない
生成AIはTOEICに似た英文や問題を作れますが,本試験と同じ語彙,難易度,選択肢設計,採点基準を保証できません。
出題形式への習熟と実力測定には,公式問題集やIIBCのサンプル問題を使用してください。
解説や添削をそのまま正解にしない
AIは,もっともらしい理由を付けて誤った説明をする場合があります。
特に文法問題の正解,TOEICの採点基準,語法の細かな違いは,公式教材,辞書,文法書でも確認しましょう。
AIに書き直させる前に自分で答える
最初から模範解答を作らせるだけでは,自分で英文を組み立てる力が育ちにくくなります。
「自分で解答する→AIで修正する→違いを確認する→もう一度自分で答える」の順番を守りましょう。
教材や個人情報を無制限に入力しない
市販教材のページ全体を大量にアップロードしたり,氏名,メールアドレス,勤務先の機密情報などを練習用英文に含めたりしないようにしてください。
問題を質問する場合は,必要な範囲だけを入力します。
発音評価や文字起こしは参考情報として使う
AIが聞き取れなかったことだけを理由に,発音が誤っているとは断定できません。
通信環境,マイク,周囲の音,音声認識の精度も影響するため,公式音声や辞書の発音とも照合してください。
まとめ:AI系ツールは公式教材を補強する道具として使う
生成AIをはじめとするAI系ツールは,疑問点の整理,英文の添削,発話練習,音声素材の作成,学習計画の見直しなどに利用できます。
一方,AIが作った問題や採点結果は,TOEICの公式問題や公式評価を再現するものではありません。
学習の軸には公式問題集や体系的なTOEIC教材を置き,理解できなかった部分の補足,アウトプットの修正,学習記録の振り返りにAIを使いましょう。
例えば,スタディサプリENGLISHなどでTOEICの出題形式に沿って学習し,間違えた理由の整理やスピーキング・ライティングの言い直しに生成AIを組み合わせる方法があります。
まずは現在使っている教材の学習を続けながら,最も困っている作業を一つだけAIに補助させましょう。
学習計画,Part5の解説,英文添削,音声会話のいずれか一つから始めると,学習方法が複雑になりすぎません。
