今回は「TOEICの受験月と平均スコアの傾向」について考察します。
TOEICでは,どの試験回を受けても一貫した評価基準でスコアが算出されます。
そのため,「この月は問題が簡単だから点が取りやすい」と考えるのは正確ではありません。
一方で,就活や進学,年度替わりといった時期的な要因によって,受験者層や受験人数に違いが出ることはあります。
平均スコアが高い月には,学習意欲の高い受験者が集まりやすい可能性がありますし,受験人数が多い月には,会場の混雑や申込のしやすさにも注意が必要です。
そこで今回は,直近の公式データをもとに,TOEIC L&RとS&Wの平均スコアや受験人数に月ごとの傾向があるのかを調べてみました。
TOEICのおすすめ月を調べる前提
今回分析に利用するのは,直近1年間(2024年12月~2025年11月)のTOEIC公式データです。
比較用として,前回調査時に用いた2023年6月~2024年5月のデータもあわせて参照しています。
IIBC公式サイトでは,各試験回の平均スコアやスコア分布が公開されているため,今回はそれらの数値をもとに,月ごとの傾向を整理しました。
具体的には,「平均スコアが高かった月・低かった月」「午前と午後の違い」「受験人数の多い月・少ない月」を確認しています。
ただし,ここで最初に押さえておきたいのは,TOEICは受験月によって採点基準が変わる試験ではないという点です↓
TOEIC Programでは,各試験回のテスト問題や受験集団の違いが評価の基準に影響を及ぼさないよう,専門家による統計処理や採点管理を行っております。その結果,どのテスト問題,どの試験回を受検いただいても,一貫した評価基準にてスコアが算出されます。各試験回間の平均スコア・スコア分布に差異があるのは,各回の受験集団が異なることが主な理由です。(出典:各試験回における平均スコアの差異について)
したがって,この記事で扱う「おすすめ月」は,「その月なら点数が上がる」という意味ではありません。
あくまで,平均スコアや受験人数の傾向から,受験時期を決める際の参考材料を探るという位置づけです。
まずはL&Rの傾向から見ていきましょう。
最近のデータに見るTOEIC L&Rのおすすめ月
最初に目立ったのは,午前実施と午後実施の違いです。
直近データでは,9月後半の実施分を除き,ほとんどの回で午前受験の平均スコアが午後受験を上回る結果となりました。
午前の平均は619.8点,午後の平均は610.4点です。
参考までにt検定を行うと,この差は統計的にも無視しにくいものでした。
もちろん,午前に受ければ自動的に高得点になるわけではありません。
ただ,日曜日の午前にわざわざ受験する層には,学習意欲が高い人や,生活リズムを整えて本番に臨む人が比較的多いのかもしれません。
次に,月ごとの平均スコアと受験人数をまとめたものが以下のグラフです↓

同じ月に2回実施された場合は,前半と後半を別々に示しています。
午前実施の平均スコアが高かった月は,以下の通りです↓
午前実施のL&Rで平均スコアが高かった月
- 第1位:3月前半
- 第2位:1月・2月
1月と2月は同じ平均スコアでした。
一方で,3月後半・6月後半・7月後半・9月後半は平均スコアが低めです。
特に後半実施分に低めの回が目立ちますが,12月のように例外もあるため,「月後半は必ず低い」とまでは言い切れません。
午後受験において平均スコアが低かった月は以下の通りです↓
午後実施のL&Rで平均スコアが低かった月
- 第1位:6月後半
- 第2位:3月後半
- 第3位:1月
受験人数に目を向けると,3月後半・4月・5月の春の時期に多くなる傾向が見られました。
新年度に向けた就活・進学・社内評価の準備が重なり,TOEICを受ける人が増えやすい時期だと考えられます。
一方で,受験人数の少なさに注目すると,7月前半・9月前半・3月前半などが比較的少なめでした。
以上をまとめると,直近のL&Rには次のような傾向があります↓
- 午前実施の平均スコアは午後実施より高めだった
- 1月~3月前半は平均スコアが高めに出ていた
- 3月後半や6月後半の午後実施は平均スコアが低めだった
- 受験人数は3月後半~5月の春に増えやすい
平均スコアが高い月に受ければ自分のスコアも上がる,という単純な話ではありません。
しかし,1月~3月前半の午前実施は,学習意欲の高い受験者が集まりやすい時期と考えることはできます。
周囲の張り詰めた空気感を味方につけて本番に臨みたい方には,適しているかもしれません。
逆に,人が多い会場が苦手な方や,申込のしやすさを重視する方は,3月後半~5月の混雑しやすい時期を避けるのも一つの方法です。
ただし,受験人数が少ないからといって,真夏の午後に無理をして受ける必要はありません。
暑さや移動の負担で集中力が落ちるようであれば,本末転倒になってしまいます。
目標スコアの目安について知りたい方は,以下の記事も参考にしてみてください↓
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日本人のTOEIC L&R平均スコアと目標点の目安
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最近のデータに見るTOEIC S&Wのおすすめ月

続いて,TOEIC S&Wの平均スコアと受験人数の傾向を見ていきます。
直近データでは,Writingは1月・4月・12月,Speakingは6月・12月・3月が高めでした。
ただし,L&Rと比べると,S&Wでは特定の月にスコアがはっきり偏る傾向は見られません。
私自身も異なる月に何度かS&Wを受験していますが,当日の出題テーマとの相性で出来が大きく変わると感じています。
例えば,「バスが電車より優れている理由を述べよ」のようなテーマが出た場合,自分の中に使える表現や具体例のストックがあるかどうかで,話しやすさはかなり変わります。
そのため,S&Wについては「この月なら簡単」というより,どのテーマが来ても対応できるように,意見・理由・具体例の型を増やしておくことの方が重要です。
受験人数については,過去調査では12月が目立っていました。
これは,毎年のIIBC AWARD OF EXCELLENCE受賞条件を満たすため,年末にS&Wを受ける人が増えやすいためだと考えられます。
ただし,直近調査では7月・3月・6月の受験人数も多く,12月だけが突出しているとは限りませんでした。
したがって,S&Wの傾向は次のように整理するのが自然です↓
- S&Wでは,特別スコアが出やすいおすすめ月は見つけにくい
- 12月はIIBC AWARD狙いの受験者が増える年もある
- 直近データでは,7月・3月・6月なども受験人数が多かった
- 月選びよりも,出題テーマへの対応力を高める方が重要
S&Wでどのくらいの点数を目標にすべきかについては,こちらの記事もあわせてご覧ください↓
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過去の調査データとの比較
ここまで見てきた調査結果の中で,受験時期を考える際に参考になるのは,
- 平均スコアが高くなる月
- 平均スコアが低くなる月
- 受験人数が多くなる月
- 受験人数が少なくなる月
といった要素です。
L&RとS&Wそれぞれについて,過去調査と比較してみましょう。
まずはL&Rのまとめです(数字は実施月,前=前半,後=後半)↓
| 調査年月 | スコア高(午前) | スコア低(午後) | 人数多 | 人数少 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月 | 3前,1,2 | 6後,3後,1 | 3後,4,5 | 7前,9前,3前 |
| 2024年6月 | 3前,4,10 | 6,11,3後 | 1,5,4 | 3前,10後,10前 |
両調査を比べると,平均スコアが高めに出やすいのは,年明けから春先にかけての午前実施分であることがわかります。
特に3月前半は,2回の調査でどちらも上位に入っています。
一方,3月後半や6月の午後実施分は平均スコアが低めに出やすい傾向が見られます。
受験人数については,春の午前実施が混み合いやすく,3月前半や夏の一部実施回は比較的人数が少ない傾向がありました。
次に,S&Wテストの比較は以下の通りです↓
| 調査年月 | Speaking高 | Writing高 | 人数多 | 人数少 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月 | 6,12,3 | 1,4,12 | 7,3,6 | 11,10,2 |
| 2024年6月 | 4,5,2 | 11,10,12 | 12,3,2 | 6,4,11 |
S&Wは,L&Rほど月ごとの傾向が安定していません。
ただし,12月はSpeaking高・Writing高・人数多のいずれかに登場しており,IIBC AWARDを意識する受験者の動きが影響している可能性があります。
目的別に見るTOEICのおすすめ受験時期
ここまでのデータを踏まえると,TOEICを受ける時期は目的別に考えるのが実用的です。
まず,周囲の熱気に感化されながら取り組みたい方は,1月~3月前半の午前実施を候補にするとよいでしょう。
平均スコアが高めに出ているため,学習意欲の高い受験者が集まりやすい時期だと考えられます。
一方,人混みや会場の混雑を避けたい方は,3月後半~5月の春のピークを少し外すのも手です。
ただし,夏場の受験は暑さや移動の負担もあるため,受験人数の少なさだけで決めるのはおすすめしません。
また,S&Wについては,月ごとの平均スコアよりも,AWARD OF EXCELLENCEの条件や申込期限,自分の準備状況を優先してスケジュールを組む方が現実的です。
TOEICは年に複数回受けられる試験なので,提出期限ギリギリに一発勝負をするのではなく,余裕を持って受験計画を立てておくと安心です。
まとめ
以上,TOEICの平均スコアや受験者数と,実施月の関係について考察してきました。
直近のデータを見る限り,L&Rでは「午前実施」かつ「1月~3月前半」の平均スコアが高めに出ていました。
また,受験人数は3月後半~5月の春に増えやすい傾向があります。
一方,S&Wでは,特定の月にスコアがはっきり高くなる傾向は見つけにくく,月選びよりも出題テーマへの対応力や準備状況の方が重要です。
12月はIIBC AWARDを意識した受験者が増える年もありますが,直近データでは7月・3月・6月の人数も多く,固定的な傾向とまでは言い切れません。
大切なのは,平均スコアが高い月に受けることではなく,自分が最も実力を出しやすいタイミングを選ぶことです。
今回のデータは,次のように活用するとよいでしょう↓
年明けの午前受験は意識の高い受験者が多そうだから,自分もそこに照準を合わせて勉強しよう。
あるいは,
春は受験者数が多そうだから,混雑が苦手な自分は少し時期をずらして受けよう。
といった形です。
受験月そのものがスコアを決めるわけではありませんが,時期ごとの傾向を知っておくことで,より落ち着いて本番に臨みやすくなります。
ぜひ今回の調査データを参考にしながら,ご自身にとって最も受けやすいタイミングでTOEICに挑戦してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。