生成AI(当記事ではそれを搭載したサービスまで含めます)は大変有益なツールで,一般的になってからわずか数年で,もはやTOEIC学習に欠かせない教材の1つとなりました。
翻訳機能を使ったリーディング対策にとどまらず,リスニングやライティング,はたまたスピーキング対策としても便利に利用することができます。
翻訳したものであっても,その内容を要約してもらえたり,登場してきた単語を使って確認テストを作成してもらえたりもするため,生成AIが活躍するシーンは思った以上に幅広いです。
より高度な正確性や快適性を生成AIに求めた結果,お金を支払うことも考えられますが,基本的には無料で使うことができます。
それよりも肝心なのは使う側の知識量であり,どのような質問をするのかだったり,どういった生成AIを使うべきかだったりの生成AIリテラシーを備えることの方がはるかに重要です。
そこで当記事では「生成AIを使ってTOEICのための学習をするためのヒント」をまとめることにしました。
もちろん,生成AIが日々改良されては新しいものが登場してくる以上,こちらも更新して対応していく必要があるため,当記事が完成する日は当分のあいだ来ないのでしょうが,是非,自分なりの使い方を考える上での参考にしていただけたら幸いです。
目次
TOEIC学習に有効な生成AIとは
生成AIとは,自動で答えを生成する能力を備えたAIのことです。
普通のAIとの違いとして,決まった答えの中から正解を選ぶだけでなく,学習した単語を組み合わせて自然な文章を作れてしまうところが大きく異なります。
生成AIは事前学習によって単語の意味を解析し,それに続く単語を予測することができるようになった結果,文法能力までをも身に付けました。
とはいえ,あくまで演算処理を根本に置いたしらみつぶしの方法を採用しているにすぎないため,生成AIが完璧というわけではなく,弱点は確かに存在しています。
そのため,使う側の態度としては生成AIの出した答えを絶対視するのではなく,あくまで「参考」という形で情報を取捨選択し,目的の実現のために役立てていくという姿勢は崩さずにいましょう。
さて,そんな生成AIですが,TOEIC学習においてはL&Rに限らずS&Wのテスト対策にも用いることができます。
幸運なことに,英語は世界共通の言語であって,AIが利用できるデータ量も最大となりますから,英語能力を測定するTOEICとの相性が良好なのも当然でしょう。
現在利用できる生AIとしては,以下のものがおすすめです↓
管理人がよく使う生成AI
上に挙げたものは,TOEICを受けるであろう学生や社会人であれば誰でも利用可能ですが,世の中には一般に公開されていないサービスも数多く存在し,中にはTOEIC学習に特化した機能を備えたアプリも開発されているくらいなので,学習者は工夫して利用することを常に意識してください。
例えば「このような使い方ができるのではないか」というアイディアが浮かばなければ上記AIの潜在能力を最大限に引き出すことはできないわけで,次章から4技能別に生成AIをどのように使っていくのか,具体的にみていくことにしましょう!
生成AIでTOEICのリスニング対策をする方法
TOEICのリスニング対策をするにあたっては,
- 単語の正しい読み方について知る
- 長めの英文を聞きその内容を理解する
ことが重要です。
TOEICではビジネスシーンが中心になるため,ChatGPTにビジネスでよく使われる英単語を聞いてみましょう↓
発音記号が読める方であれば上の聞き方で問題ありませんが,そうでない方は別のサービスを利用して音声を入手する必要があり,そのときに用いるべきなのがText-to-Speechで,入力したテキストを自動で読み上げてくれます↓
この生成AIが素晴らしいのは,自然な英語で返してくれる以外に,訛りの表現までが可能なところで,長文になると抑揚やアクセント面で多少不自然になることがありますが,TOEICの試験で問題になるほどではありませんし,単語の発音に至っては完璧です。
Landuage/localeの項目をみてください。
オーストラリア・イギリス・インドの訛りを含んだ英語を選択できるはずです。
もっとも,TOEICの試験においてはカナダ訛りの英語が別に含まれ,逆にインド訛りは含まれませんが,それでも有意義なリスニング対策が可能になることに変わりありません。
この他,性別や声色,発話スピードも自由に変えられるため,話者の違いにも柔軟に対応することができます。
なお,英語長文の聞き取りに関してですが,この場合もChatGPTが生成可能です。
以下に,ビジネスの会議において今後の経営方針について語る英文を作成してもらったときの様子を挙げておきます↓
このとき,シチュエーションを生成AIに伝える必要がありますが,TOEIC対策として購入したであろう模試(さすがに過去問を解かずに試験を受ける方はいないでしょう)を参考に入力してください。
今手元にない方は,リスニングパートの解き方!満点狙いのコツはをどうぞ。
例えば,L&RのPart 2では男女2人の会話が出されてきますが,字数は20~30字なので,「オフィスで男女が今日のランチにどこに行くのか話している英文を作成してください。全部で25字程度でお願いします」などの質問ができるでしょう。
なお,難しい会話が生成されてこないと感じた際には,「似たシチュエーションでもっと複雑な英文を作成してください」などと入力すれば別の文章を作成してくれます↓
Part 3やPart 4の対策をするのであれば,字数は100字強にして,前者なら対話形式,後者なら1人の話者のスピーチという形での文章を作成してもらってください↓
ちなみに,ChatGPTの方からでも,スピーカーのマークを押すことで,生成した英文を簡単に読み上げてもらう機能がありますが,音声の質や機能はText-to-Speechの方がずっと優れているとだけ言っておきます。
生成AIでTOEICのリーディング対策をする方法
TOEICのリーディング対策ですが,読む英文の量を増やすしかありません。
仮にTOEICの問題をすべて和訳してしまえば,正解を選べないことはないはずです。
このときの教材として,英字新聞をTOEIC学習に用いる方法をすでに記事にしていますが,今回は「普段生成AIを使う時からできるだけ英語で行う」ことをおすすめしたいと思います。
Perplexityでは返答の際,根拠となる文献を4つ以上提示してきてくれるのですが,英語で尋ねたときには参考文献も英語のものになることが多いため,返答以外にそれらまで読むことで読解量を増やすことが可能です(日本語で返ってきたら「Answer in English」などと入力してください)↓
例えば,上の最初の記事だけで500語強ありました(TOEICのリーディングパートの語数を実際に数えてみたところ6000語程度でした)。
次に,長い英文を読んだ際には,どのような内容だったのかを自分で要約してみる癖をつけてください。
そのひと手間を挟むことで,英文を1回読んだときの理解力を高めることができるようになり,これはリスニング力のアップにも役立ちます。
要約した内容が正しいかどうかの判断がつかない場合は,読んだ英文をコピペしてPerplexityに貼り付けては,その内容を要約するように命じればOKです↓
生成AIでTOEICのライティング対策をする方法
TOEIC S&Wのライティング対策ですが,基本的には
- 文法や単語のミスを間違えないこと
- 言いたいことを英語にできるようにする
を意識して行います。
特に前者に関しては確実に減点されてしまうことになるため,学ぶ際はDeepL(Writeの方)またはGrammarlyを使いましょう。
前者は翻訳で使うことが多いですが,英文法やスペルミスを自動で訂正することもできて,自分で作成した英文を入力すると,このように直してもらえます↓
この生成AIが良いところは複数の候補を返してもらえるところで,上のものだと4つから選択できました。
とはいえ,私がライティング対策におすすめするのは後者に挙げたGrammarlyの方で,こちらは採点までしてくれるのが魅力です↓
とはいえ,利用の仕方によってどちらが良いかは異なりますので,どちらも試してみて気に入った方を使うで構いません。
言いたいことをすぐに英語で書ける練習も必要ですから,書くテーマに困った際は,PerplexityやChatGPTに社会問題について何らかの質問をしてもらって練習しましょう。
とはいえ,初心者の方はどのようなタイプの問題が聞かれるのかわからないでしょうから,質問例が豊富なライティング対策の本を購入してください。
その代わりにスピーキング対策の本でも構わないのですが,参考書に書いてある模範解答以外に,同じ質問を生成AIに尋ねるとまた別の回答がもらえますから,それを使って自分なりに答えを作ることが重要です。
頭に浮かんだ日本語をどのような英語で書けば良いのかわからなかったら,DeepLを使って英語に翻訳してもらいましょう。
ちなみに,私は「バスが電車よりも優れている点」を尋ねられてほとんど何も答えられなかった苦い思い出があるのですが,Perplexityにそれについて尋ねてみると,全部で8つものアイディアを返してくれました↓
テストでは似た問題が出ることも多いため,逆の立場から意見してもらうことも重要で,例えば上の質問の後に,電車がバスよりも優れている点についても併せて学ぶようにしてください。
そうすることで,質問の数を2倍に増やすことができます。
生成AIでTOEICのスピーキング対策をする方法
TOEIC S&Wにおけるスピーキングテストですが,まず最初に音読問題が登場します。
制限時間一杯までしゃべり続けることはありませんが,まあ練習ですのでここでは45秒で作成してみましょう↓
内容に関してはクリニックからの留守番メッセージや何かの広告を読ませられることが多いので,そのように指示してください。
このとき,Text-to-Speechを使えば模範解答もこのように簡単に作成できます↓
スピーキングテストでは会話のやり取りが必要です。
とはいえ,オンラインで試験官と実際にやり取りをすることはなく,決められた質問に対してその解答を英語で発するだけなので,一方通行のやり取りになることに相違ありません。
とはいえ,文章構成や書いた文章に気を配れるライティングとは異なり,そこまで深い内容にはならないのがスピーキングテストの特徴になるのですが,その代わりに,レスポンスの速さや感情移入など,コミュニケーションスキルが問われることになります。
なので,生成AIを相手に普段からちょっとした会話を繰り返すようにしては反応速度を高め,ある程度長い文章を話すようにしつつ,リーディングの勉強を通して語れる内容を増やすことが重要です。
スピーキング用に使える生成AIは無料版の入手は現状難しいため,スピークバディまたはReplikaをおすすめします↓
まとめ
以上,TOEIC対策に使える生成AIとして,ChatGPTやPerplexityなど,いくつか紹介してきました。
4技能別にそれぞれ使いやすい生成AIが存在しており,リスニングではText-to-Speech,リーディングではDeepLを例に挙げましたが,想像以上に様々な使い方ができることがわかっていただけたのではないでしょうか。
勉強量が多くなるか目標スコアが高くなるほど,有料版を使わざるを得ない場面が生じてきますが,基本的には無料で使えますし,スクールに通ったりオンライン教材を購入することと比べれば大した額にはなりません。
例えばPerplexityやChatGPTのPro版の月額料金は20ドル(2024年5月調べ)です。
これまで自分なりに色々な方法を試して頑張ってきても結果が出なかった方も,生成AIを使った学習をすることでブレイクスルーが起こることは十分考えられます。
L&Rのスコアアップを目論んでいた方が,気分転換にS&Wの勉強をすることでも目標が達成されることも少なくありません。
是非,強力で便利な生成AIの力を借りてTOEIC対策をしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。