TOEICの模試を解いたあと,答え合わせだけで終わってしまっていないでしょうか。
本番形式の問題集は,解くだけでスコアが伸びる魔法の道具ではありません。
むしろ大切なのは,解いた後にどこまで復習し,同じ問題からどれだけの学びを得られるかです。
そこで役立つのが,アルクの教材などでも知られる「3回チャレンジ法」です。
これは,同じTOEIC模試を「本番と同条件」「時間無制限」「復習後に再挑戦」という形で3回解き,現在の実力・時間制限による失点・残っている本当の弱点を切り分けられる実践的な学習手法です。
この記事では,3回チャレンジ法のやり方と,復習時に組み合わせたい音読・シャドーイング・ディクテーションなどのトレーニング方法を解説します。
まず,自分の弱点を細かく把握したい方は,模試の分析方法の記事も参考にしてください。
TOEICの3回チャレンジ法とは

「3回チャレンジ法」とは,英語学習大手のアルクの教材などで紹介されてきた,TOEIC模試の活用法です。
フルサイズの模試(200問)を,異なるアプローチで計3回解くことで,現時点での実力や弱点をより具体的に把握するとともに,自身の成長を実感しやすくなります。
単に解いて答え合わせをするだけの学習に比べ,1冊の模試から得られる学びを深めやすいのが大きなメリットです。
本番まで3週間以上残っている状態であれば,ぜひ挑戦したい学習法です。
3回チャレンジ法の具体的な手順

3回チャレンジ法は,文字通り3回問題を解き,その間に念入りな復習を挟む構成になっています。
具体的な手順は以下の通りです。
1回目:本番と同じ条件で解く
まずは,予想問題200問を本番と同じ2時間で解き切ります。
この目的は「現時点で何点取れるのか」「時間配分は適切か」など,今の実力を測定することです。
ここで重要なのは,解き終わってもすぐに答え合わせをしない(解説を読まない)という点です。
どうしてもスコアが知りたい場合は,正解・不正解の確認だけに留め,解説には絶対に目を通さないようにします。
というのも,数日後に2回目のチャレンジが控えているため,ここで解説の知識を入れてしまうと,正確な実力が測れなくなってしまうからです。
2回目:時間無制限で解く
1回目の数日後に,同じセットを今度は「制限時間なし」で解き直します。
この段階での目的は,時間制限や焦りが一切ない状態で,自分の英語力をフルに発揮した場合に何点取れるのかを知ることです。
リスニングセクションでは何度音源を聴き直してもOKですが,辞書の使用は避けるのがルールです。
じっくりと考え抜き,勘ではなく根拠を持って答えを選び出すのがポイントです。
復習:弱点をトレーニングで潰す
2回目の解答が終わったら,ここで初めて解説を読み込みます。
答え合わせをして,わからなかった単語や文法を調べ,なぜ間違えたのかを徹底的に分析する作業です。
すべての英文の意味が理解でき,間違いの選択肢の根拠まで自分の言葉で説明できるようになるまで,じっくり時間をかけます(アルクの本では,3週間ほどかけるのが目安とされています)。
この際,ただ解説を読むだけでなく,後述する音読やディクテーションなどのトレーニングを組み合わせると,復習の質を高めやすくなります。
3回目:本番条件で解き直す
十分な復習を終えた数日後,同じセットをもう一度,本番と同条件(2時間)で解き直します。
一度解説まで完璧に読んでいるので満点が取れそうに思えますが,時間制限のプレッシャーや,記憶の定着度合いによっては,想像以上に間違えてしまうことも珍しくありません。
ですが,この3回目で間違えてしまった問題こそが,今の自分にとっての「本当の弱点」です。
そこをさらに復習することで,確実なレベルアップへと繋がります。
3回チャレンジ法でわかること
この学習法を行うと,ただの点数以上の「スコアの壁の原因」が見えてきます。
1回目と2回目のスコアを比較することで,「時間があれば解ける(スピード不足)」のか「時間をかけても解けない(根本的な知識不足)」のかが明確になります。
スピード不足なら後述する「スラッシュリーディング」や「シャドーイング」で処理速度を上げ,知識不足なら単語暗記や文法事項のやり直しを優先するといった具合に,効率的な学習計画を立てられるのが大きな強みです。
また,3回目の結果からは「復習の質(定着度)」が測れます。
3回目でも間違えた問題は,復習時の詰めが甘かった証拠であり,そこに絞って学習を補強すれば効率よくスコアを伸ばすことができます。
復習に使いたいTOEICトレーニング方法
ここでは,3回チャレンジ法の「復習」フェーズで取り入れたい,効果的なトレーニング方法を5つ紹介します。
すべてをやる必要はないので,ご自身の課題に合ったものを選んで実践するのがおすすめです。
音読
英文を実際に声に出して読む「音読」は語学の基本です。
詳しい解説を読んで意味や構造を理解した英文を,意味を考えながら声に出して読むことで,知識が頭に定着しやすくなります。
とはいえ,ただ早口で内容を考えずに棒読みしてしまうと効果が薄れてしまうため,必ず意味や文構造が完全にわかっている教材を使うのが鉄則です。
感情を込めて誰かに読み聞かせるような気持ちで行うと,より実践的な英語回路が育ちます。
学習教材としては,最低でも英文以外に日本語訳までが載っている教材を選ぶのが基本です↓

声が出せない環境であっても,「ボソボソ声」や「口パク」で十分な効果があるため,復習の仕上げとして積極的に取り入れてみるのがおすすめです。
シャドーイング
音読よりも負荷の高い音声トレーニングが「シャドーイング」です。
これは,英語の音源を聴きながら,少し遅れて影(シャドー)のように同じように発音していくトレーニングを指します。
シャドーイングを行うことで,個々の単語の発音やイントネーション,音声変化(音が繋がったり消えたりする現象)を体で覚えることができます。
具体的な手順としては,以下のように段階を踏んでステップアップしていくのが一般的です↓
- 印刷された英文を見ながら,音源に合わせて目と指で追う
- 英文を見ながら,音源に合わせて口でも読み上げる(オーバーラッピング)
- 英文を見ずに,音源の音だけを頼りに発音する(本来のシャドーイング)
最初から英文を見ずに行うのは難易度が高いため,まずはスクリプトを見ながらネイティブの速度やリズムを掴むのがコツです。
さらに自分の声を録音して聞き比べると,発音のズレやリズムの崩れ,冠詞・複数形・語尾の抜けにも気づきやすくなります。リスニング力だけでなく,英文を前から順に理解する処理速度の向上にも役立つトレーニングです。
ディクテーション

「ディクテーション」は,聞こえた英文を一語一句書き取るトレーニングです。
実際にやってみると痛感しますが,大まかな内容がわかっている英文であっても,文字に書き起こそうとすると,冠詞(a / the)や前置詞,三単現のsなどが意外と聞き取れていないことに気づかされます。
自分が「聞き取れる音」と「聞き取れない音」を明確に炙り出すことができるため,弱点発見ツールとして非常に優秀です。
スマホやキーボードを使って入力し,自動で採点までしてくれるアプリ教材であれば手軽に実践できます↓

「これ以上は無理!」という限界まで何度も聴き直し,どうしても聞き取れない箇所は文法知識を使って推測する癖をつけると,本番でのリスニング力向上に大きく寄与します。
書き上げた後にスクリプトを見て丸付けを行い,聴き取れなかった原因(単語を知らなかったのか,音が連結して聞こえなかったのか)を分析してメモしておきます。
その後,音源に合わせて音読する作業までセットで行うのがおすすめです。
スラッシュリーディング
「スラッシュリーディング」は,リーディングの処理速度(読むスピード)を上げるためのトレーニングです。
意味のかたまり(チャンク)ごとに英文にスラッシュ(斜線)を入れ,きれいな日本語に訳すのではなく,戻り読みをせずに前から順番に意味を理解していく練習をします。
接続詞や前置詞の前,長い主語の後などにスラッシュを入れ,「誰がどうした」「何を」「どこで」という具合にブロックごとに情報を処理していくのがコツです↓

慣れてきたら,一度にイメージできる意味のかたまりを少しずつ長くしていきます。
この読み方が身につくと,長文を前から処理しやすくなり,聞こえてきた順番で意味を取る必要があるリスニングの理解力向上にも繋がります。
リピーティング
「リピーティング」とは,英文をある程度の長さ聞くごとに音声を止め,流れた音声をそのまま声に出して繰り返すトレーニングです。
音読の一種と見なされることもありますが,お手本の音声を文単位で記憶し,そのイントネーションや発音,間の取り方をそっくりそのまま再現するところに特徴があります。
最初のうちは英文を見ながら反復して負荷を下げ,慣れてきたら英文を見ずに音声の記憶だけを頼りに繰り返すようにステップアップしていきます。
一度にリピートする量も,フレーズ単位から始まり,一文,最終的にはパラグラフ単位へと長くしていくのが効果的です。
短期記憶の能力が鍛えられるため,リスニング時の内容保持力が上がり,TOEIC L&Rのスコアアップはもちろん,スピーキングテストでの発音やイントネーションの評価向上にも直結します。
3回チャレンジ法に向いている教材
3回チャレンジ法を実践するには,解説が詳しく,音声データがしっかり用意されている模試教材が必須です。
アルクから出版されている「TOEIC L&Rテスト 至高の模試」など,3回チャレンジ法を前提に作られた教材は特に相性が良いです↓
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もっとも,公式問題集や「精選模試」シリーズのように,本番に近いクオリティで解説が丁寧な模試本であれば十分に実践できます。
また,スタディサプリなどのアプリ教材であれば,ディクテーションやシャドーイングの機能があらかじめ組み込まれているツールを活用すると,復習時のトレーニングを効率よく進めることができます↓
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いずれにせよ,「解説が薄い」「和訳がない」といった教材は復習の質が落ちてしまうため避けるのが無難です。
まとめ
以上,TOEIC模試の学習効果を最大化する「3回チャレンジ法」と,復習を充実させる各種トレーニング方法について解説してきました。
今回の要点をまとめると,以下のようになります↓
- 3回チャレンジ法で「時間があれば解ける問題」と「本当の弱点」を切り分ける
- 1回目は本番形式,2回目は時間無制限,3回目は復習後の総仕上げとして解く
- 復習フェーズでは,音読やシャドーイングなどを駆使して弱点を徹底的に潰す
- 解説が詳しく,音声データが充実した模試教材を選ぶ
模試は,解いて点数を確認するためだけのものではありません。
むしろ,解き終わった後の「復習」にこそ,スコアアップの手がかりが隠されています。
今回紹介したトレーニングをすべてこなす必要はないので,まずはご自身が取り入れやすそうなものから試してみるのがおすすめです。
質の高い復習を積み重ねて,TOEICの目標スコア達成に向けた確かな実力を培っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。