今回はTOEICテストの新形式問題に対応した「至高の模試600問」のレビューをしたいと思います。
公式問題集以外の模試を使う際は,より詳しい解説があることや復習のことまで考えられているものを使うべきです。
アルク社の本書は値段的にもちょっとお得になっているのですが,早速その魅力について紹介していきましょう!
至高の模試600問とは
- 名称:TOEIC L&Rテスト至高の模試600問
- 著者:ヒロ前田,テッド寺倉,ロス・タロック
- 出版社:アルク
- 初版:2017年7月
- 収録:模試3回分
- 音声:MP3(音楽プレイヤーでは再生不可)
本書は,2016年4月に発売された「TOEICテスト非公式問題集至高の400問(旧版)」に模試1セットを加えた増補改訂版(新版)です。
改訂前の旧版も新形式問題に対応していたのですが,それが拠り所としていたのは新形式に対応した公式問題集1冊のみでしたが,その時点ではまだ実際の公開テストは行われていませんでした。
そこで,2016年5月以降の公開テストを著者らが実際に何度も受験し,その傾向を分析したわけですが,その結果,本書が出版される運びとなりました。
つまり新版は,旧版よりもただ単に問題数が200問増えているだけでなく,内容的にも実際の出題傾向により近くなったということが言えるでしょう。
他にも変更点はいくつかあり,コラムの内容が加筆されたり,換算点やアビメについては見直しを,音声は新規追加となり,解答解説は分冊になったなどの違いが挙げられますが,これらについては次章以降で詳しくみていくことにします。
なお,旧版を持っている方は新しく新版を買い直す必要はありません。
というのは,増補された200問のみを収録した電子書籍版である「模試3」と「模試3の解答・解説編」の2冊のみを別に購入することができるからです(このとき,問題編と解答・解説が2冊に分かれている点にご注意ください)。
もっとも,上の本は電子書籍である上,値段的にもいまいちお得感がありません。
そこで私の意見としては,旧版の保有者は別会社の模試を買うことをおすすめします。
本書のサイズは,公式問題集と比べるとほぼ同じくらいでした↓↓
ただし公式(2回分)の1.5倍のボリュームを誇る本書ですので,厚みは1.5倍くらいありますが,自宅で腰を落ちつけてやる分には問題ないですし,解答・解説は1回分ごとに取り外しすることが可能です。
次に目次についてですが,ざっくりまとめると,
- TOEICや使い方の説明
- 模擬試験
- 別冊の解答・解説編
のように分かれていることがわかります。
至高の模試600問の使い方
それでは「至高の模試600問」の一般的な使い方について説明していきましょう!
マークシートを用意する
まずはマークシートを用意しましょう。
なお,本書には通常通りのシートの他に,上の画像で示したような「勘ボックス」ありのタイプが別に存在します。
この使い方ですが,たとえ正解できてもその根拠がわからない問題に出くわした際,「勘」という欄にチェックを入れておきましょう。
これが後々,参考になるというわけです。
なお,これらマークシートは模試ごとに別に用意されているだけでなく,コピー用のものがもう1枚ほど確認できました。
全200問を2時間で解く
マークシートの準備ができたら解いてみましょう。
アルク出版のものですので,以下で紹介した「3回チャレンジ法」を使って解くことになります↓↓
問題セットとしては全部で3回分もあるので,量的に満足できます。
3ヶ月後に試験に挑む計画を立てた場合であっても,1ヶ月に1回分ずつ使えるので使いやすいでしょう。
先述のリンク先で確認いただくとわかりますが,本書は値段が公式問題集(2回分収録)より安いので,コスパも良いです。
なお,リスニングセクションで使うべき音声ファイルは,問題セットの表紙にまとまっています↓↓
答え合わせをする
答え合わせは,解答が塗られたマークシートの他,上記画像のような「弱点分析に使える解答一覧」から行うことが可能です(詳細は後述)。
こうやって一目でわかると大変使いやすく,公式問題集にはない本書の魅力の1つと言えるでしょう!
なお,解答・解説書は別冊(模試ごとに全3冊)に分かれますので,復習用として外に持ち出すことも容易です。
解説を読む
丸付けの後は解説を読みます。
間違えた問題ができるようになったときに初めて英語力がアップしますので,飛ばさずに行ってください。
理想を言えば,なるべく早く復習した方が,内容をより鮮明に覚えているので効率が良いです。
なお,どうしてその答えを選ぶべきなのか,詳しく自分で説明できるようになることで応用の利く知識に変わります。
できるだけ全部解説は読むようにしましょう。
どうしても時間がないときは先の勘ボックスを利用して,チェックしたものだけ優先的にやるなどしてください。
ところどころに「必勝Tips」というコラムが40ちょっと載っていて,他書では読めないような貴重な情報が満載です。
本書の特徴について
最後に,使ってみてわかった本書の特徴についてまとめてみましょう!
TOEICの攻略法が便利
本書の問題以外の部分では,TOEICテストの概要から始まりますが,続くパート別の出題形式の解説がかなり分析的で便利です↓↓
これはパート5の解説ですが,「リーディングセクションはパート6や7から始めても良い」ことや,「1問に20秒以上かけず,時間を後に残す」といった実践的な内容が含まれていることがわかります。
本書に収録されている内容は,公式問題集やTOEICの試験本番に会場でもらう解説書よりも圧倒的に詳しいので,試験まで時間がなく,とにかく本番形式に慣れたいという方にとっては大変役立つのではないでしょうか。
新形式に変わってどのような変更があったのかも一覧になっていますので,以前の形式でTOEICを受験された方が久しぶりにTOEICを受けるようなときには一読しておきたいですね!
従来から難しいとされていた文脈を把握して解く問題や,新形式問題において難問とされるリスニングセクションにおける意図問題,さらにはパート7のトリプルパッセージなど,十分に対策していきましょう。
もちろん,新形式ではここが難しくなっているという情報を知っているだけでも,スコアはだいぶ変わってくるはずです。
自分の弱点を把握しやすい
本書では,最新の問題傾向をふまえて模試が作られている他,150~200人のデータから算出された換算点(本番で何点くらい取れるか)を利用することで,本番で何点くらい取れるのかを予想できます。
実際に私も本番の1週間前に解いたのですが,そのスコアは本番のものに近かったです(実際は当日の調子にも左右されるのでしょうが)。
加えて,これよりもすごいと思える特徴が本書にはあります。
それは,独特のAbilities Measured(アビメ)算出による弱点分析です↓↓
アビメとは「項目別の正答率」のことで,実際に公開テストを受けて返却されるスコアにも載っています↓↓
模試を解いて答え合わせをする際も,ただマルバツを付けるだけではちょっともったいないですよね。
本書ではこのようにアビメまで計算できるシートが入っているところが大変すばらしい試みで,指示に従ってチェックを入れていくと,自然に弱点が分析され,より具体的なパート別対策に生かせる仕様となっています。
例えば上の結果だと,L3(短い会話,アナウンス,ナレーションなどにおいて詳細が理解できる)ところが弱点だとわかるので,パート2の対策を中心に別の参考書などで学習し直すといった戦略が立てられるでしょう。
まとめ
以上,至高の模試600問のレビューでした。
本書の「はじめに」にもありましたが,スコアを上げたい人はTOEIC本番と同じ形式の問題を解くのが一番の近道です。
とはいえ,ただやるだけでは不十分であり,復習して本番に役立つ知識まで身に付けていかなければなりません。
そのためには自分のスコアをしっかり分析することが必要になりますが,TOEICを教えるプロでない限り(もしくはある程度問題分析できる知識をつけない限り),自力でそれを行うのは難しいでしょう。
そこで,本書にあるAbility Measuredの計算表のようなサポートが必要です。
本書で紹介されている「3回チャレンジ法」に従って取り組むことで,有益なTOEIC対策ができるのは間違いないでしょう。
模試を解く際にこの至高の模試600問をおすすめします↓↓