今回は,スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースにおける「単語学習」についてまとめていきたいと思います。
中学レベルの英単語をやり直すところから始まるも,最終的にはTOEIC990点満点を狙えるレベルの単語まで扱うなど,幅広い範囲を取りこぼすことなく学習できるところが魅力です。
具体的には「TEPPAN英単語」と「基礎英単語」と呼ばれる2つの学習コンテンツを紹介していくわけですが,これらの特徴や使い方を学んでいきましょう!
なお,前者に至っては,市販されている書籍版のレビューも併せて行います。
スマホアプリ版との違いについても確認してみてください。
目次
スタディサプリTOEIC対策コースの単語帳
スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コース(TOEIC L&R TEST対策コース)には有用な学習コンテンツが一通り揃っていますが,TEPPAN英単語と基礎英単語の2つを用いることで効率的に単語学習を行なうことができます。
TOEICには英検のように純粋な単語問題はありませんが,登場する英文に頻出する単語はあるわけで,これらはそれらに絞って学べるオンラインの単語帳と思っておくのがわかりやすいでしょう。
ある程度のスコアまではそこまでの差は生じないものの,大学入試用の単語帳(ターゲットとか速読英単語とか)ではTOEICに対応しきれないため,それ専用のものを使う方が良いわけです。
さて,上で紹介した単語帳の目標スコアの違いについてまとめると,
- TEPPAN英単語:600点~990点
- 基礎英単語:初心者~600点
といった具合にうまく分かれています。
もちろん,どちらか片方しか利用できないわけではありません。
中学や高校で習う英単語に不安がある方は「基礎英単語」の方から始めるようにして,しばらく繰り返し学習して語彙力が増えてきたように感じたら,いよいよ「TEPPAN英単語」へと移行していけば良いわけです。
もちろん,初心者がいきなりTEPPAN英単語に挑んでみても構いません。
その方がやる気が出るという方もいらっしゃるでしょう。
スタディサプリENGLISHの良いところは,人目を気にせず自由な英語学習ができるところでもあるわけですので,好きなように学んでみてください。
もっとも,基礎的な単語の方がTOEIC本番でも目にすることが多いので,単純に時間対効果を考えると,低いレベルから始める方が無難だとは思います。
収録語の数としては「1346語+1500語=2846語(TEPPAN英熟語も含めると3376語)」となりますので,すべてマスターした暁には単語面で心配することは無くなるでしょう。
なお,単語学習において他に熟慮すべきこととして,学び終えるまでの時間や勉強法が挙げられます。
例えば
TOEICの単語を完璧にするために,1年間かけて辞書を1冊完璧に丸暗記しなさい
と言われてしまうようでは,それこそ絵に描いた餅です。
スタディサプリのTOEIC対策コースの単語学習では,一体どのようなカリキュラムが組まれているのでしょうか。
TEPPAN英単語を使った勉強法
まず最初にTEPPAN英単語から解説していきますが,オンラインの強みを生かした独自の勉強法を可能にしているところに特徴があり,利用者はアプリで学習する恩恵を十分に受け取ることができます。
スタディサプリのTOEIC対策コースの口コミをみた際に「TOEIC対策に限らず,今後の英語学習で規範となる学習法を学べたのが良かった」といった内容のものが数多く寄せられていましたが,このTEPPAN英単語で最初に視聴することになる動画も勉強法に関する内容です。
講義を受けてみて特に私が印象的だったのは,多忙な現代人の日常生活を考慮した学習ペースを推奨しているところで,ちょっとここで学生時代に受けたであろう単語テストについて思い返してみましょう。
だいたい週に1回,100個ほどの英単語が試験範囲に指定されていた憂鬱なアレです。
当時,みなさんはどういったペースで学習を進めていたでしょうか。
おそらく1日に10~20個ずつなどと具体的な目標を決めて(見開き1ページにそのくらいの数の単語が載っていたはずです),何度も何度もそれらの単語と意味とを見比べながら,完璧に覚えるまでやったように思います。
派生語や対義語も書かれていれば全部に目を通し,例文までしっかり読んでみては,仕上げに発音まで確認していた方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし,この方法はあくまで時間に余裕がある学生時代だからこそ実行できた勉強法であり,勉強するのが仕事ではなくなった社会人にとってみれば不向きな方法なのです。
1日に何度も同じ単語をやり直す時間は,そうそう取れないのではありませんか?
TOEIC対策コースを担当する関正生先生は,動画の中でこのように問いかけてきます↓
その代わりに彼が提唱する学習ノルマは,1日100単語を毎日やることです。
「え?むしろ学生時代より,1日に覚える単語量が増えてはいないか?」と,こちら側が思わず突っ込まずにはいられないようなことを,関先生はハッキリとした口調で平然と命じてくるのです。
ですが,もしもその100単語の学習が20分程度で終わってしまうものだとしたらどうでしょうか。
しかも,その20分が連続した時間ではなく「5分×4回」といった,ちょっとした空き時間の積み重ねで構わないのだとしたらいかがでしょう。
多忙な毎日を送っていても,無理なく単語学習ができるような気がしてきたのではないでしょうか。
このように,スキマ時間をかき集めた20分で毎日100単語を学んでいく勉強法こそが,スタディサプリ流の単語暗記術なわけです。
もちろん,ただ闇雲に100単語を学んでいくわけではありません。
1週間を1つの単位として,6日間同じ100語を毎日やること。それが一番効率が良いから
こうした関先生の長年の講師経験を生かした的確なアドバイスが,スタディサプリの門戸を叩いた初中級者を正しい方向へと導いてくれることになります。
実際,TEPPAN英単語は10語ずつで一区切りとなっているので,1~2分集中するだけで1回の学習を終えてしまうことが可能です↓
これほどまでに短い学習時間であっても,1日あたり10回ほど捻出できるとなると,トータルの勉強時間は10~20分になります。
探してみると通勤中や食事中,風呂前や寝る前など,スキマ時間は結構な数を見つけることができ,悠々と100語をこなせるというのが,やってみた感想です。
とはいえ,TEPPAN英単語と同じ調子で他の単語帳を使って学んでみようと思っても,ずっと多くの時間がかかってしまってうまくはいかないでしょう。
それはなぜかというと,その教材に効率化するための工夫がないからです。
次章ではその点について深堀りしてみたいと思います。
TEPPAN英単語のトレーニング内容
そこらへんに転がっているTOEIC単語帳を使って,20分で100語を学ぼうと思っても実現できません。
というのも,先述した「速習を可能にする勉強法」に「1単語を5秒以内で答えられるように工夫された教材」が加わって,初めて高速学習が可能となるからです。
本章ではこのTEPPAN英単語の質について,TOEIC公式が過去に出版していた単語帳と見比べることで,その独自性について迫ってみましょう。
まず最初に,公式単語帳を使って単語10個を学ぶときの学習風景はこのようになります↓
- 参考書を開いてCDをプレイヤーにセットする
- 会話を聴いたら登場した単語を1つずつ学ぶ
- 単語の説明欄で類語について学ぶ
もちろん,これも効果が出る学習法の1つではありますが,今回はあくまで「10語を学ぶのにかかる時間がどうなるか」が争点です。
一言で言えば,この単語帳は詳しすぎるために時間がかかりすぎてしまいます。
さらに言うと「早く単語の意味を答えなければ!」という緊張感もありません。
それに対して,TEPPAN英単語では以下のような手順でもって単語を学んでいくことになります↓
- アプリでTEPPAN英単語を開き,学ぶ範囲を選択
- 5秒以内に単語の正しい意味を4択から選ぶ
- 次の単語が表示され,2と同じことを10回繰り返す
ここまでにかかる時間は1分程度です。
なお,10語の学習が終わると以下のような一覧が表示されてくるので,まとめて意味を確認することもできます↓
このとき,不正解の問題には自動でチェックマークが付き,復習コーナー(復習トレーニング)に移されることも見逃せない機能でしょう。
その他,単語の実際の使用例を英文で確認できることもできるのですが,正解した単語については表示されず,間違えた単語のみ例文が開くというところも使い勝手が良いです。
「間違えた問題だけを重点的に復習できるのは良いが,同義語や派生語などが載っていなくて(情報量が少なくて)大丈夫なのか」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが,TEPPAN英単語で学ぶのは,根幹となる(またはテスト頻出の)意味であり,あくまでTOEIC対策として考えた場合,これだけで十分用に足りるのです。
5秒以内に高速で答えを出すためには,選択肢の全部に目を通して悠長に答えを選ぶようでは間に合いません。
結果的には,単語を見た途端に意味が浮かび,その意味を選択肢の中から探し出す態度が自然と身に付くわけです。
しかも同じ100語のセットを6日間毎日繰り返すことになるわけですから,最終日ともなると,もはや単語には目もくれず,ネイティブスピーカーの読む声が聞こえた時点で,正しい選択肢を反射的に選べてしまう状態にまで自分の瞬発力が高まっていることに多くの方が驚くことと思います。
運動競技ではないですが,アスリートの領域にまで足を踏み込んでしまったかのようです。
スタディサプリENGLISHを使うようになって,私は5回以上復習することの凄さを改めて痛感しました。
加えて,「たえず制限時間内で解かなければいけない」プレッシャーが生む程よい緊張感は,惰性で続けがちな単語学習をずっと刺激的なものへと変えてくれるはずです。
先ほど紹介したTOEIC公式単語帳の収録語数は1500語ちょっとですので,TEPPAN英単語を使って身に付く単語数と何ら変わりはありません。
それなら,「短期間でTOEICの頻出語と顔なじみになった方が得だ」と考える人が出てくるのも納得でしょう。
基礎英単語のレビュー
続けて「基礎英単語」のレビューに移りますが,その他有料コース(新日常英会話コースやビジネス英語コース)でも利用できる基礎講座の中にあります。
内容ですが,中学や高校で習う単語から,英語学習に必要とされる1346語を抜粋したものです。
MondayやAprilなどの基本単語から始まり,最後の方になっても「some・average・o'clock・foot・cash・choice・hill・pressure・weekday・scare」といったレベルなので,すでに馴染みがある単語も結構な数含まれるかもしれません。
とはいえ,その意味を即座に判断できることや,音に馴染むことも大切なので,単に見覚えがあるだけでは不十分です。
基礎英単語の学習方法自体は,TEPPAN英単語のものと同じものとなります↓
しかし,問題セットによっては,「Mondayは何曜日ですか?」という質問の後に「Tuesdayは何曜日ですか?」「それではWednesdayは?」といった,推測で簡単に答えられる出題となってしまうため,これだと面白くありません。
そこで,そのような時には,設定を見直すようにしてください!
やり方ですが,トレーニングの開始画面に「設定変更」という歯車のマークがあると思います。
そこをクリックし,続けて表示される「学習の設定をしましょう」のところで,出題方法を標準からランダムへと変更してみてください↓
こうすることで,単語がランダムの順番で出題されるようになるため,より難度を上げて挑戦することができます。
設定においては,選択肢を非表示にしたり,単語自体を非表示(音声のみ聞こえる状態)にしたりもできるのですが,そういった工夫については次章でまとめることにしましょう。
おすすめの単語勉強術
TOEIC対策コースの単語学習は,もちろん普通にやっていてもよいのですが,2周目・3周目と回数が増えるにつれて物足りなさを覚えることがあります。
以下に挙げた勉強術はわずかな工夫で,普段の学習に簡単に取り入れることができるものばかりなので,余力がある方は是非試してください!
負荷を上げる
TEPPAN英単語では,同じ100語を何度も復習することになりますが,その際に普段とは異なる勉強法を取り入れることでマンネリ化を防ぐことができ,定着度がより高まります。
例えば普段,「単語を見る→発音を聞く→4択から選ぶ」という段階を踏んでいたところを,
- 目をつむって音だけ聞く→その意味を思い浮かべてから選択肢を確認する
ように変えるだけでも,リスニングパート(Part1~4)の対策を行っていることにもなるでしょう。
こちらはあくまで玄人向きにはなりますが,同じく設定のところで「選択肢を表示しない」を選べば,意味を完璧に理解していないと正解することができなくなります↓
上の画面において選択肢がなくなっていることがわかりますが,本質的には本番により近い形です。
復習トレーニングを利用する
2つ目の勉強法として,先述した「復習トレーニング」の機能を大いに活用しましょう!
学習画面の下部にその文字が見て取れるのでクリックすると,以下のような復習トレーニングが利用できます↓
不正解だった問題以外に,勘を頼りに正解したような単語もここに分類して解き直すことができますが,私のおすすめは以下の方法です↓
- 平日の単語学習において,とりあえず不安に感じたものには全部チェックしておき,復習コーナーに放り込んでおく
- 時間に余裕がある休日にまとめて一気に復習する
苦手な単語というのは時間が経つと忘れやすいもので,逆に1度目にできてしまった単語はいつまで経っても覚えているように思います。
そのため,苦手なもののみに絞って学習することは重要で,事実,この復習機能は会員の熱望を受けて後から追加で搭載されました。
単語帳を独自に作る
TEPPAN英単語では,たとえ復習機能を使ったとしてもスコア別に分けられた枠を横断して一気に復習することまではできません。
例えば,目標730点の単語と目標990点の単語の間違えたものを全部ごちゃ混ぜで復習することはできないのです。
また,実戦問題集などの他の学習コンテンツを使っていて意味がわからなかった単語も,いつかまとめて復習したいと思うでしょう。
そんなときは,自分オリジナルの単語帳を作ってみましょう!
このときのポイントは,単語と意味を縦に揃えて書くことです。
そうすることで,例えば下敷きなどを使ってきれいに片方を隠すことができるので,簡単に復習ができてしまうことになります。
口だけで説明してもわかりづらいかもしれません。
本テクニックについては「スイッチノート」という名前で以下の記事にまとめているので宜しければどうぞ↓
TEPPAN英単語の書籍版をレビュー
2019年の3月にTEPPAN英単語の書籍版が出版されました(2021年12月に改訂版が出ており,見た目などが一部異なります)。
この参考書ですが,
- スタディサプリの会員になる必要がない
- 単語の配置が頻度順になっている
ところが大きな特徴です。
1つ目について補足ですが,アプリは使えないものの,TEPPAN英単語の内容自体は同等のものを利用できます。
購入した当時,特に私が気に入ったのは「記憶エピソード」と「カクシン解説」というコーナーで,TOEIC学習者がどのようにその単語を覚えたのかという体験談が載っており,その横には関先生による追加説明もありました。
例えば,「financial(財政上の;財務の)」という単語を見てみると,
- 記憶エピソード:「フィナンシャル・プランナー」という言葉を知っていたので,「財政の」という意味はすぐ覚えられた(商社・700点台)。
- カクシン解説:「ファイナンシャル(フィナンシャル)プランナー」とは「将来の資金計画に関するアドバイスをする人」です。
といった具合になっているのですが,これらのコンテンツは今では書籍版からアプリ版に逆輸入される形で実装されています(みんなの声=記憶エピソード,関先生の解説=カクシン解説です)↓
その他,コロケーション(face a financial crisisといった連語)や発展事項(品詞を変えて名詞形にしたfinance),そして発音記号も書かれており,意味は付属の赤シートを使って隠すことができます↓
TOEIC対策ができる単語帳は数多く出ていますが,この単語帳は,見た目からは難解な印象はありませんし,「なるほどな」と思える知識だけを拾っていくことで,気軽にTOEICの単語を学べるようになっているのが強みです。
まとめ
以上,スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースで利用できる「TEPPAN英単語」と「基礎英単語」についてレビューしてきましたが,いかがだったでしょうか。
これらの学習コンテンツを魅力的なものにしているのは,忙しい社会人であってもTOEIC単語を速習できるところで間違いないように思いますが,それが可能なのも,
- 経験豊富なトップ講師による効率的な学習法
- オンライン教育の強みを生かした良質な教材
の2つが揃ったからです。
とにかく気楽に学べるので,ちょっとした空き時間であっても「とりあえず英単語をやるか」となりますし,会社からの帰りに電車が一時的に止まってしまったときであっても,スタディサプリのアプリを開いて時間を無駄にせずに済みました。
そのときは30分で400語近くを進められたでしょうか。
その他,「復習トレーニング」で間違えた問題を重点的に復習できたり,トータルの単語数も他の単語帳に劣らないボリュームに達していることがわかりました。
最後に紹介した各種勉強法も参考に,気になるものがあれば試していただけると嬉しいです。
TEPPAN英単語の書籍版に関しては,「パート別の攻略法は知っているから,TOEICは単語だけで十分」という方にはおすすめですが,通常のスディサプリENGLISH(アプリ)を利用している方には必要ありません。
逆に書籍版は知っていても,本家を知らなかった方はスタディサプリのキャンペーンコードをチェックして今すぐにでも始めてみるようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。