日本に現存する英字新聞として,最古の歴史と最多の発行部数を誇る「The Japan Times」はとりわけ有名で,これまでに駅の売店や書店で売られているのを見かけた方も多くいらっしゃるでしょう。
発行元はジャパンタイムズ社で,毎日ポストに新聞を届けてもらえるポピュラーな購読スタイルの他,日曜日のみに発刊される「The Japan Times On Sunday」を購読することや,毎日数十本のWeb記事だけを限定して読めるようなプランに契約することもできます。
そして,今回紹介するのは,その姉妹サービスにあたる「The Japan Times Alpha」についてです。
両者は同じ会社が発刊しているものですが,Alphaは英語学習者を対象とした英文週刊誌である点が特徴で,記事の構成やその目的に明確な違いがあることがわかります。
学生から大人まで広い読者層を誇るところもAlphaの特徴ではありますが,具体的な内容について触れた後,一体なぜTOEIC対策に役立つのかについてもまとめてみることにしましょう!
もくじ
The Japan Times Alphaについて
Tha Japan Times Alphaの創刊は1951年にまで遡ります。
2018年の7月までは「The Japan Times ST」と呼ばれており,私も学生時代に愛読していたものです。
STとはStudent Timesの略でしたが,名前を新しく変更した理由はビジネスパーソンや通訳者も対象に含まれることを意識してのものでしょう。
最新の話題にエッセイ,洋画,英語学習に役立つコラムやクイズなど,掲載内容は当初から多岐にわたっていて,1週間かけて飽きずに読む量としては十分でした。
新聞という媒体のほとんどに当てはまることですが,そもそもは気になる部分をかいつまんで読むことが想定されていて,全部の情報量を集めると文庫本1冊に相当するとまで言われています。
余談ですが,今回記事を書くことにしたのは,ちょうど掃除をしていて当時の新聞がいくつか出てきたからなのですが,私は「Science & Health」のコーナーが特に好きで毎週楽しみにしていたものです。
今,見出しだけ読んでみても,「あー,こんな話だったよなぁ」と思い出せるあたり,かなり熱心に読んでいたことがわかります↓
STと比べると,Alphaは英語学習用に向けて内容がよりブラッシュアップされ,現在は大きく分けて9つのコンテンツからなりますが,ST時代に馴染みのあったコーナーも多く残されていて,人気となる記事についてはいつの時代でも変わらないようです↓
Alphaのコンテンツ
- News(7ページ)
- For Beginners(2ページ)
- Life & Culture(6ページ)
- Views & Visions(2ページ)
- In the Workplace(2ページ)
- Lesson & Exercise(2ページ)
- Tourism(1ページ)
- Hang Loose(1ページ)
- Interview(1ページ)
Science & Healthも「News」のコンテンツ内にしっかりと残っていたので安心しました。
それでは各コンテンツについて説明を加えていきましょう!
なお,以下において🎧のマークはリスニング音源が存在することを,そして★の数は難易度を表しています。
News
1面のトップニュースから始まり,全コンテンツで最大のページ数を占めるのは「News」というコンテンツです(2ページ目には目次が入ります)。
2022年12月版を読むと,
- Temporary skating rink is first to feature as part of Tokyo's Christmas festivities(東京駅前に環境配慮型の樹脂製屋外スケートリンクが登場)
- Baguette added to UNESCO list of intangible cultural heritage; French celebrate(フランスの象徴,フランスパンがユネスコ無形文化遺産に)
といった面白そうなタイトルが並んでいました。
よくみると,タイトル付近にカテゴリーめいたものも書かれています。
National(国内)やWorld(国外)以外に,Easy Readingでは身近な話題(動物園がオープン,トイレが盗まれたなど)を扱い,This week’s OMG(「Oh, my god」の略です)ではその名の通り,びっくりするようなニュース(鹿を避けて衝突事故,なんちゃって女子高生など)を扱うといった具合です。
Alphaは会員制サイト(Club Alpha)も利用できますが,そこのリスニング素材になっている記事が比較的多いところも「NEWS」の特徴と言えるかもしれません(後述)。
For Beginners
次の「For Beginners」というコンテンツですが,★の数や名前から分かるように,こちらは英語初心者の方でも無理なく読めるコンテンツです。
隔週ごとに扱う内容は変わりますが,「News」にはなかった学習コンテンツ,例えば日常シーンを英語で表現する問題や読解問題だったり,読者からの英語に対する質問(Never mindとDon’t mindの違い)だったりが掲載されます。
中には,
私は眠りが浅い方だ。= I'm a pretty (l ) sleeper.
のように,使っている単語自体は簡単でも正解するのが難しい出題も見られ,中上級者の方も大いに参考になるでしょう(ちなみに,上の解答はlightになります)。
また,読解問題は3分で終えられるようにと,語句のまとまりごとにスラッシュが引いてあるのが特徴で,スラッシュ・リーディングを行うにはうってつけです(後述)。
Life & Culture
続いて「Life & Culture」ですが,こちらは楽しむ系のコンテンツとなります。
シネマ倶楽部では,近く上演される予定があるか上演中の映画について,セリフの一部を紹介するかインタビュー記事が掲載される他,洋画の基本データも確認できるので,興味を持った作品があれば早速,映画館に観にいきましょう!
Center Spread(中央の見開きページ)においては,各国のブランドやファッションショーについてなど,難易度の高い英文を読むことができます。
Armchair Traveler(紙上世界旅行)というコーナーで,まだ見ぬ世界に思いを馳せては,大学生Luannの日常を中心としたアメリカンコミックを楽しみましょう↓
Views & Visions
「Views & Visions」は,やや長めの英文を読むコンテンツです。
Essayのコーナーは毎回書く人も内容も様々なのですが,語数が500語弱と程よく,リスニング音声も利用できるので重宝するでしょう↓
週によっては心理テストやちょっとした良い話の他,ニュースの背景知識の解説やJ-POPについてのコラムなどを英語で読むことができました。
比較的自由な内容のコンテンツですが,Alphaになってから新しく加わったコーナーです。
In the Workplace
「In the Workplace」はその名の通り,ビジネスシーンにおけるやり取りまたは取りくみについて英語で学べるコンテンツです。
前半ではe-mailだったりビジネスパーソンの会話や企業紹介などを扱いますが,後半ではTOEICのリーディングパートの具体的な解き方の紹介やビジネス用語について学べる,大変実践的なコンテンツとなっています(後述)。
Lesson & Exercise
「Lesson & Exercise」では英語力をより深めるためのコンテンツがいっぱいです。
前半は日本に留学中のアメリカ人女性Lillianが生活していて感じる疑問に答える内容で,英語表現について学べるもので,先週号の復習もできますし,後半では100語程度からなる課題文に寄せられた読者の答案をもとに解説が行われます。
週によってはスピーキングのコツについて学べるコンテンツもあり,幅広い能力を鍛えられる内容です。
こちらも詳細については,次章でTOEICに役立つ理由について述べる際に詳しく紹介しましょう!
Tourism,Hang Loose,Interview
残り3つのコンテンツは一気に紹介してしまいますが,「Tourism」は通訳案内士のトレーニングやおもてなしとしても使えそうな,日本文化やオリンピックのスポーツを英語で紹介するコンテンツです↓
次に紹介する「Hang Loose」は,和訳すると「気楽な;リラックスできるコンテンツ」といった意味で,例えばBulletin Board(掲示板)という記事では,留学やコンテストや講演会情報などが掲載されるので,意欲ある中高生にとってみれば特に役立つ内容でしょう。
英語のクロスワードパズルに正解すると,抽選でAlphaのグッズがもらえることがあります。
なお,月の最終週にはここに星占いが載るのですが,意外とよく当たっていたことを思い出しました(笑)
最後の「Interview」では,誰か1人をゲストに招いて話を伺いますが,Alphaからはインタビュー内容がすべて英語で書かれるようになったので,より英字新聞らしさが高まりましたね↓
さて,ここまでの内容についてもっと詳しく知りたい方は,以下の公式ページから紙面の見本が確認できるので見てみてください↓
公式サイト
購読者専用Webサイトについて
The Japan Times AlphaにはWebサイトもあり,定期購読者は「Alpha Online」にてスマホやPCを使って無制限で英文記事を読んだり,「Club Alpha」にある学習コンテンツ(リスニングや読解講座)を利用したりすることができます。
このとき,紙面の2面に掲載されている「Passコード」と呼ばれるものを使ってログインするようにしてください。
前者においては単語訳や和訳も簡単に確認でき,後者は2022年の4月から動画コンテンツがスタートし,初回では最新号の内容に関連した背景知識を予備校講師が解説したり,発音講座が視聴できたりしました。
上に示した画像は後者のものですが,Video Lecturesの他,Listening & Speaking(Alpha Onlineの音声はここから),英文記事読み上げ音声,ニュース英単語,Describe This!,留学生Lillianの教えて!日本のコト,Error Corrector,紙面への投稿(課題文の投稿はここから)が利用可能です。
リスニングはスピード変更が可能な他,ダウンロードもできます。
この他,Menuから「Lestures-Webで受けるオリジナル連続講座」も利用でき,英文読解や聴き取りのコツなどの過去の内容を読むことが可能です。
これらの使い方については次章で触れているので,そちらも参考にしてください。
The Japan Times AlphaがTOEIC対策に向く理由
さて,The Japan Times AlphaがなぜTOEIC対策に役立つのかについてですが,以下の理由があります↓
- TOEICの目標スコア別に使いやすい
- リスニングパート対策になる
- リーディングパート対策になる
- S&Wのスコアアップにも役立つ
以下で1つ1つみていくことにしましょう!
目標スコア別に使いやすい
まずは「目次」にある難易度を確認してください↓
TOEICスコアを基準に難易度が分けられている時点で,TOEIC学習者を意識した編集がなされていることがわかります。
私が2013年にSTを定期購読していた頃,上のような難易度表記はありませんでしたが,簡単な文から難しい文まで,特に意識せずに全部読めてはいたので,Intermediate(中級)のスコアに属する人は問題なく全記事を読めるでしょう。
なお,Easy(初級)レベルの人であれば,
- ★が0~1個の場合は全部読む
- ★2個以上なら,興味があるものに挑戦する
といった使い方がおすすめです。
しばらくして,英語の実力が付いてきたように感じたら,それまで保留しておいた難易度高めの英文をまとめて読むことにしてみてはいかがでしょう。
なお,★1(550点以下)の単語は以下のようなもので,文法の解説もあるのに対し,
★3(800点以上)の記事ともなると,以下のような難解な単語が並ぶわけで,TOEIC対策の基本となる単語学習を生きた英文を使って学べるわけですから,その学習効果は高いはずです↓
単語は難しそうな時事英語が並びますが,数ヶ月も経つと見慣れてきます。
リスニング対策に使える
先のClub Alphaの音声素材を利用すれば,パート4のTOEIC対策に近いことができるでしょう↓
毎週6本の記事の音声が追加されますが,1つの記事を10回以上聴くのをノルマとしてみてください。
加えて,リスニングした内容についての理解度を確認する質問と,単語テストが1つ1つに付いてくるわけですから,Listening & Speakingのコーナーに注力するだけでも相当のスコアアップが期待できるはずです↓
この他,英文記事の読み上げ音声のみのものも毎週15本ほど上がってきますし,Club AlphaのLecturesにある「イングリッシュ・ドクター西澤ロイのListening Lecture」では以下のようなリスニング講座を受講することができました↓
リーディング対策も可能
Alphaをリーディングパート対策として使う場合,もっとも利用頻度が高いのは19面にある「Reading Section徹底演習」でしょう。
ここではパート5~7にそっくりの問題を解くことができますが,語学学校の講師が毎回説明してくれることもあって解説が正確です↓
上の写真はパート5についてのものですが,パート6や7の回ももちろんあります。
また,速読力を向上させるために,For Beginnersの3-minute Readingの回は見逃せません↓
理解を試す問題も付いているのも良いですね!
気に入った記事を選んで,積極的にスラッシュリーディングをしてみてください。
Club AlphaのLecturesでは,体系的な読解方法も習得可能です↓
S&W対策もできる
Alphaを使いながらスピーキングやライティング能力を伸ばすことももちろん可能で,先ほどリスニング対策で紹介したリスニング&インプットにはスピーキング用の問題がある他,TOEIC SpeakingテストのUnit2の写真描写問題対策に使える「Describe This!」も利用できます↓
これほどあるバックナンバーから,日常の英語表現をクイズ形式で学べるわけですから,ノーヒントで言えるようになれば,本番のテストも恐れるに足りません↓
また,やや難しい使い方にはなりますが,「Interview」記事の内容から使えそうな表現をピックアップすればUnit3-6の対策になるでしょう↓
その他,日本の文化を外国人に説明する「留学生Lillianの教えて日本のコト!」は,聞かれたことに何とか答える良いトレーニングになると思います↓
次にライティング対策ですが,これは21面にある「英文ライティング講座」がピッタリです↓
ライティングを得意にするには,
- 表現方法を学ぶ
- 文法力を高める
- 自分が使える表現を増やす
- 発想の転換方法を学ぶ
などの方法がありますが,それは色々な答案を見比べることを通して習得することができます。
毎週しっかり上記講座を読み込みながら使える表現を増やしていくことで,確実にライティング力は増えていくはずです。
ライティング力向上のために英字新聞を利用する勉強法も参考にしてください。
まとめ
以上,The Japan Times Alphaの内容についての紹介と,各種TOEICテストの対策方法について考えてきました。
英語学習教材としてみると,4技能をバランスよく伸ばせる最高レベルのものですし,本誌を定期購読することで実力をアップさせ,あとは当サイトでも紹介している「スタディサプリ」などを使って実践力を身に付ければTOEIC対策は完璧です。
料金は1ヶ月1450円の1部380円で購入することができますが,一般的には学力向上が実感できるのが3ヶ月以上と言われる他,割引やキャンペーンが行われていることがあるため,定期購読することをおすすめします。
生きた英語で飽きのこないコンテンツは,試験対策に疲れた方の救いにもなるはずです↓
最後までお読みいただき,ありがとうございました。