今回は「オンラインでTOEICの模擬試験が受けられるサービス」について考えてみたいと思います。
まず最初に断っておくと,会社や教育機関が語学研修の成果を測るために行うIPテストのことではありません。
扱うのはあくまで「模試」ということで,本番に向けた準備に用いられる教材の1種となります。
ちなみに,オンライン模試を単独で利用できる一般向けサービスというのは周りにほぼ存在せず,基本的には,何らかのTOEIC対策サービスの1コンテンツ扱いとなっていることに注意してください。
過去には,TOEICの公式がオンラインテストの実施を発表したことがありましたが,よく内容をみてみると,本番を申し込んだ人しか利用できないという話でした。
さて,オンラインの模試を利用することには,紙(アナログ)のものを使うときと比べていくつかのメリットがあります。
料金だったり学習面での貢献だったりが主ですが,中にはTOEIC本番よりも問題数が少なく,試験時間が短いものも存在し,まとまった時間が取りづらい社会人や学生に有難がられている他,予想スコアは実際の結果にかなり近いものが出てきて驚かされることも少なくありません。
当記事では,デメリットや利用できるサービスについても紹介します。
もくじ
TOEICのオンライン模試について
TOEICの模試としては,以下2つの形態があります↓
- デジタル(パソコンやスマホを使って解く模試)
- アナログ(店で参考書として販売されている模試)
デジタルの方にはオンライン模試やアプリ形式のものが含まれ,紙製の,例えばTOEIC公式問題集はアナログの筆頭と言えるでしょう。

TOEICの本番では冊子が配られ,マークシートを塗りつぶしていくことになるので,後者の方が使い勝手が良さそうに見えますが,デジタル(以下,オンライン模試とします)にも独自の魅力があります。
例えば,スマホかパソコンを使えば,今この瞬間にでも申し込むことが可能で,出先であっても利用できてしまうのはオンライン模試ならではです。
時間の計測や採点は自動で行ってもらえて,予想スコアが最後に表示されてきます。

なお,出題に関しては内容が決まっているものと,数千問あるデータベースの中からランダムで選び出されるものがある他,解説や単語学習機能まで備わっているものもあります。
オンライン模試を利用するメリット
早速,いくつかのメリットについてまとめていくことにしますが,比較対象は,先ほど挙げたTOEIC公式問題集とし,そちらは2回分の収録で料金は約3300円です↓
問題以外に,解答や解説,音声のダウンロードができることに注意してください。
値段が安い
オンライン模試ですが,印刷する費用がかからないなどの理由から,安く利用することができます。
具体的なサービス内容については後で別に章を設けますが,例えば,公式のオンラインテストは770円でした。
その他,スタディサプリの実戦問題集やSantaアルクなどのオールインワンアプリ(後述)を使えば,月に公式問題集とほぼ同じ料金で,数十回分の模試が利用できます。
デジタルの強みが学習に反映される
オンライン模試にはデジタルならではの強みを生かした機能がいくつも搭載されていて,例えば,解答が終わると自動で採点され,予想スコアが算出される点が1つです。
スマホアプリを使って復習することもでき,ただ解説が読めるだけでなく,講義動画が別に付いていたり,模試に出てきた単語を収録した単語帳を利用できたり,リスニングセクションの問題を書き取るトレーニングがあったりすることもあります。
こうしたデジタルコンテンツの恩恵により,同じ内容の模試を解いたとしても,より多くの学力アップが期待できる点がオンライン模試を利用するメリットです。
短時間でスコアがわかる
オンライン模試の中には,本番よりもずっと短い時間で実際のスコアを予想できるものがあります。
例えば,abceedのものでは200問を解く以外に,30問・50問・100問のものも選択でき,それぞれにかかる時間は15分・30分・60分ほどです。
TOEICの学習が長期間に及んだり努力したりするほど,自分の成長をいち早く察知しては勉強内容を修正する必要性に迫られるようになります。
そんなとき,短時間で実力をチェックできれば便利ですし,やる気がないときは長時間勉強できない状態に陥りますが,スモールサイズの模試でスコアを確認し
ちゃんと能力が向上している!
だとか
このままじゃまずい!
などと実感できることは重要でしょう。
オンライン模試を利用するデメリット
ただし,オンライン模試にデメリットがないわけではありません。
紙のものと比べると,本番との様子の違いが大きくなりますから,アナログの完全に上位互換と考えるわけにはいかないでしょう。
集中力が育たない
TOEIC本番では120分で200問を解くことになるので,それだけの体力が必要です。
本番で集中力を発揮するためには,30分の模試を4回(すべて足して120分)に分けて解いたところで十分とはなりません。

実力アップができない
料金が安いものを中心に,解答はあっても解説が存在しないオンライン模試が存在します。
もちろん,TOEICがどのようなテストなのか経験するだけとか,苦手なパートがどこであるか知りたいだけであれば解説は不要でしょう。
ただ解いてみるだけでも,多少のスコアアップは期待できます。
とはいえ,折角長い時間をかけて模試を解いたわけですから,解説を読むなどの復習作業を通して純粋な英語力のアップに繋げなければもったいないです。

解く側ができる工夫として,1回目に解く際は解説を読まず,ただ丸付けだけしてスコアを算出し,しばらく経ってから2回目を解き,そのとき初めて解説を読んで学力を上昇させるようにし,最後,本番前に3回目を解いて時間の流れを確認する3回チャレンジ法が知られています。
問題の質に疑問が残る
オンライン模試に限りませんが,模試に収録された問題の質についてはよく考えておかなければいけません。
公式が提供するものであればさておき,他社製のものだと,日々難しくなっていくTOEICの難易度に対応できていないことがあります(公式問題集ですら,最新のものとvol.1のものとで明らかな違いがみられるほどです)。
これについては,自宅にある体脂肪計のようなものだと考えておくとわかりやすいかもしれません。
つまり,予想スコアは実際のスコアよりも異なって(通常であれば高めに)出てくることになるため,絶対値ではなく,前回よりも上がったとか下がったとかの変化にのみ注目することが重要になってきます。
オンライン模試が利用できるサービス
オンライン模試が利用できるサービスにはどのようなものがあるでしょうか。
ここでいくつか具体例を紹介していきます。
オンラインテスト:TOEICの公式が提供するオンライン模試。IPテストとは別物で,料金は770円と安い。ただし,受験期間が本番の3~9日前に限られ,公開テストに申し込んだ人しか使えない弱点がある。おまけに,全部で1回しか解くことができず,解答や解説もないことに注意したい。常時開催ではない。
スタディサプリ:実戦問題集は全20回分のオンライン模試を収録。場合によってはテキストを購入してアナログ形式での練習も可能。復習用のトレーニングが充実しており,講義の用意がある他,ディクテーションや英単語帳も含めた様々な機能が利用できる。月額は3278円(6ヶ月以上利用だと割引あり)。上位版としてコーチングサービスの用意もある。
Abceed:こちらもオンライン模試が収録されており,問題数は30問~200問の4つから選択することができる。月額3300円(3ヶ月以上利用だと割引あり)で,映画や英字新聞などを含む教材を利用可能。
Santaアルク:3分で出来てしまう,精度95%の診断テストを使って予想スコアが算出してもらえる。AI色が強いアプリで,Santa Lumiを使えば,学習上の疑問点をAIが答えてくれる。コーチングも利用できる。模試は30問・100問のミニサイズのものも含めて全15回分を利用可能。アルクの教材なので質が高い。月額料金は3900円など。
ユーキャン:TOEIC対策は500点と650点目標の2コースから選べる。通信講座ながらもデジタル化されており,模試は20分で終わるものが3回分含まれている他,実力診断テストも2回分収録。教材は大学や企業への導入実績があり,副教材として文法書も付いてくる。利用料金は29000円または33000円(最大6ヶ月)。
オンライン模試を利用した人の感想例
ここでは,オンライン模試を利用した方の感想を紹介しますが,データベースに3000問(15回分)収録されているものを1年間かけて300回近く解いたツワモノがいます。
リスニングの成績にオンライン模試が特に役立った!
と言う彼は,スコアが開始時の600点から850点まで250点アップしたそうです。
さて,ここでTOEICテストを受ける目的について考えてみると,就職のためにスコア提出が必要な方だけでなく,純粋に現在の実力を測りたいがために利用している方もいます。
オンライン模試を使うようになって,だいぶ費用を節約できた。
という感想を述べている方は,1年で数回TOEICを受ける習慣があったようですが,1回あたり7000円以上かかる公開テストをオンライン模試に代えることができれば,わざわざ試験会場まで受けに行く必要がなくなり,時間やお金の節約に繋がるのは当然です。
他には,
テストの出題傾向や雰囲気が掴めた。
と言われる方がいて,何度も問題を解けるタイプの模試であれば,本番のテストに対する恐怖心を払しょくできるでしょう。
こういったことが可能になるのも,実際のスコアに近い点数が計測できることと,オンラインかつミニサイズの問題であっても,時間制限がある中での受験が可能になるからで,前者は学習者に自信をもたらしますし,後者の場合,抱く緊張感や臨場感は本番とさほど変わらないはずです。
もちろん,数十分で終わるオンライン模試は精神的に楽で,連続した2時間が捻出できない多忙な方を中心に好まれています。
まとめ
以上,TOEICのオンライン模試のメリットやデメリット,はたまた利用できるサービスの具体例や,実際に使った人の抱く感想についてもみてきましたが,いかがだったでしょうか。
メリットとして挙げたのは,
- 料金の安さ
- デジタルの強み
- スコアがすぐにわかる
でしたが,安いからこそ続けやすかったり他の教材に手を出せる余裕が生まれたりしますし,デジタルの学びは紙の参考書からは得られないものも含み,スマホを使った学習は気軽に学べて便利だと思います。
スコアがすぐにわかればやる気も出ますし,勉強計画の修正も容易です。
もちろん,あらゆるオンライン模試が上記メリットのすべてを備えているわけではありませんが,それぞれの教材が持つメリットとデメリットを把握し,適材適所といいますか,目的に応じて使い分けることで上手に利用できます。
その際,今回の記事で述べた内容を思い出していただけると幸いです。
オンライン模試は現状の英語力を確認し,TOEIC本番の形式にいち早く慣れたい方におすすめなので,積極的に,普段の学習に取り入れてみてください!
ここまでお読みいただき,ありがとうございました。