何もTOEICに限りませんが,単語や熟語の力を付けることは,どのレベルの学習者でも行うべき最重要項目だと言われています。
英文を読むときや空欄に単語を選んで入れる問題に限らず,例えばリスニングができない理由を考えてみても,純粋に音がキャッチできないからというよりも,聞こえた語句の意味を知らないからであることの方が多いです。
またスピーキングにおいても,実は語彙力が不足しているがために満足に話せない場合もあります。
赤ちゃんの「よだれかけ」は英語で"bib"と言いますが,もしこれを知らなければ,"a piece of cloth or plastic tied under a baby's chin to protect its clothes when it is eating."などと代わりに言って説明しなければなりません。
わずか1語で済むはずのところをこのような英文にするのは大変ですし,ここで使っている"tie"や"chin"の単語が出てこなければもうお手上げでしょう。
もちろん"bib"は難しい単語ですしTOEICには出題されないでしょうが,逆にTOEIC頻出の語句については,一般的には難しいとされるものも学習すべきで,これこそが「TOEIC単語は専用の教材で学習すべき」と言われるゆえんです。
今回の記事では,なるべくあらゆる英語学習に役立つ形で,単語の勉強法についてみていきましょう!
基礎単語を覚える
まずはレベルをずっと下げて「TOEICスコアが200~300点レベル」の方に目を向けてみますが,中学校までに習う約900語の発音のされ方と意味とが頭の中で一致しないので,TOEICのリスニングにおいても内容が理解できないはずです。
もちろん"battery"とか"virus"などの単語は,TOEICの中級者であっても音から意味が取れないことがあり,最初に聴いたときは私もビックリしたことを覚えています。
みなさんの中には「中学英語だけで英会話はできるようになる」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが,それは決して大げさに言っているわけではありません。
ちなみに,80年くらい昔にCharles Kay Ogdenというイギリス人の言語学者が開発した「Basic English」というものが知られており,日ごろ使うあらゆる英語表現は850語の英単語で言い換えられてしまうことが知られています↓↓
英語のネイティブは日常会話に20,000語を使うと言われており,それに比べると数はずっと少ないわけですが,わずかこれだけの単語を完璧に使いこなせるようになるだけで,スピーキングの不安も大きく減るのは確かです。
なので,まずはこれを1つモチベーションに,中学3年生までに習う基礎単語から勉強を始めてみてください。
その際の教材としては,日本語訳,文法解説,単語注釈のついたやさしい英文テキストを使うことがポイントで,音もしっかり聴いて確認してから音読を何度も繰り返しましょう!
なお,より実践的なものとしては,以下のページでTOEICに出てくる基本英単語が利用できます↓↓
参考
ある程度中学英語を学んだら,こういったもので基礎単語力のチェックをしてみるようにしてください。
文を読んで単語を覚える
単語の理想の覚え方ですが,それはやはり文の中(文脈)で覚えることです。
パーッと文を読んでいきながらわからない単語が出てきたときに,周りの語句(意味が分かるもの)を頼りに未知の単語の意味を推測します。
このときの教材として,7~8割は意味がわかるものを選ぶようにしてください。
大体1行読んでみて,わからない単語が2つも3つも出てくるようでは難易度が高すぎます。
この方法で学ぶことのメリットは,単語とその意味をただ丸暗記するわけではない(有意味学習になる)ので,より記憶に残りやすくなることです。
例えば"anemic"という単語を学ぶときに,"My brother is anemic.(私の兄は貧血です。)"という文の中で覚えたとしましょう。
ここでは「兄」と「アニーミック」の発音を掛けて工夫してみましたが,単語を聴いて,貧血で元気がない兄の様子が浮かぶようになってしまえば,"We have an anemic rate of economic growth."という英文の意味もわかるのではないでしょうか.
正解は「経済成長率が芳しくない」の意味です。
このように頑張って覚えた単語であっても,時間が経って意味を忘れてしまうこともあるでしょう。
ですが,復習して同じ文章を繰り返し読むようにすれば,前に分からなかった単語の意味をもう一度推測することが可能です。
その際,「あ,この単語の意味なんだっけ?周りでこういう単語が使われているから,あ,確かこういう意味じゃなかったかな。」などと記憶の扉を何度もノックすることができるので,それがその単語を習得するための鍵となります(専門用語だと「retrieval:検索」と言われます)。
単語帳を利用する
一番最初に触れましたが,単語帳を使う場合はTOEIC専用のもの(TOEICの頻出語句を意識して作られたもの)を使うようにしてください。
丸暗記は前章の内容からすればやや否定的に映りますが,脳が若い時は丸暗記でも十分に覚えられますので悪い方法ではありません(もちろん単語帳には英文やフレーズが載っているものが多いです)。
1つ注意点を挙げるとすれば,教材によっては,単語と意味以外に英文であったり,派生語や類義語まで載っているものもあるでしょう。
それらの違いについて例を挙げると以下のようなものになります↓↓
- 類義語:condemn,force,impose,oblige,obtrude,urge
- 派生語:success,succeed,successive,successful,succesor
このうち,初学者は「類義語」を見ると混乱してしまうので無視するか,可能であれば「派生語」のみが載っている教材を使うようにしてください(とはいえ,私が所有しているTOEIC単語帳のほとんどはどちらも収録していました)。
また,文を読んでいて知らない単語に出会ったときに,辞書を引いてノートに書き写すことで自作の単語帳を作ることができます。
その場合,辞書の最初の意味や定義だけを確認して終わるのではなく,書かれている全部の説明に目を通し,書き留められるところはなるべくたくさん写し取ることが大切です。
例えばTOEIC頻出の"curb"を単語帳に残す場合,
- curb[kə:b]
- 名「歩道の縁石」,「拘束・抑制」
- 動「おさえる」;curb ~'s cries(泣き声をおさえる)
などとまとめられます。
また,もし同じ単語を再度間違えてしまった場合はどうしたらよいと思いますか。
その場合は,気にせずにもう一回書き写せばOKです。
まとめ
以上,多くの人が実践できる単語の学習法を紹介してきました。
英語から日本語を言えるようにする以外にも,日本語を見て英語に直したり,単語をノートに声に出しながら書き写したりと色々な工夫が考えられるように思います。
また,ノートというアナログにこだわらなくても,今はスマホが主流ですので,自作の単語帳が作りたければ「Quizlet」というアプリは便利でしょうし,「英辞郎Pro」を使えば20,000語までの単語帳が作れる他,その単語が使われている英文がすぐに検索可能です↓↓
もっとも,各自がアレンジした方法というのは合う合わないの個人差が出やすく,誰かにうまくいったからといってそれが自分に合うかどうかは実際にやってみないとわからないものです。
刺激的なタイトルの本であれ記事であれ,要するにそういうことでしょう。
嘘ではないのですが,自分がやってもうまくいかない。
それは宝くじを冷蔵庫に入れて保存していたら当たったというくらいの信頼度です(みんながみんな,宝くじを冷蔵庫に保存すれば誰かは当たるでしょう)。
ただし,上で紹介してきた勉強法というのは比較的多くの人にうまくいくことがわかっているものですので,まずはこれらを主軸に実践し,学んでいる中で自分がやりやすいと感じる方法が見つかったら,そちらも取り入れてほしいと思います。
このときの基準となるのは「続きやすいかどうか」でしょう。
今回紹介した語彙力の他,文法力をまずは高めて,リスニングとリーディングの本格的な勉強に入っていくのが王道を行く学習法です。
その上でスピーキングやライティングも加えていけば,完璧な英語習得への道が開けます。
是非,他の勉強法の記事も読んでみてください!