スタディサプリENGLISHでは,どの有料コースに申し込んだかに関係なく「基礎講座」という学習コンテンツが利用できます。
これは中学レベルの内容を一から学べる複数の講座から成るのですが,その中にある「基礎リスニング」は英語の発音について学べる貴重な講座です。
TOEICコース以外では基礎発音という講座が別に含まれ,そちらでも発音を学べるのですが,いずれにしても,これまでにスタジオで録音された英語学習者向けの音源しか聴いたことがない方は,本講座の最初の講義を受けただけで目から鱗が落ちることになるでしょう。
「基礎」と付いているのでついつい侮ってしまいますが,「初学者向けだから大したことないだろう」などと無視してしまうのは実にもったいないことです。
当記事をお読みになり,その学習内容の素晴らしさについて知ってください!
目次
基礎リスニングについて
「基礎リスニング」ですが,基礎英文法や基礎英単語と並んで,基礎講座の中にしれっと存在しています。
実際,サービス開始当初から存在していたわけではなく,追加されたのが他の基礎講座よりも遅れたこともあって,初期のユーザーは利用できませんでした。
もっとも,普段,有料コースのメインレッスンで学んでいれば,そちらでたくさんリスニングを行うことになるため,さらに基礎レベルの練習まで行う気力はないと思うかもしれません。
しかし,本講座が主に扱うのは英語の音声変化です。
実際にやってみるとすぐにわかりますが,基礎講座の中でこの基礎リスニングの難しさ(=ためになる度)は群を抜いています。
例えば,本講座を受講する前から「連結・脱落・短縮・弱形」などと聞いて,すぐに「あー,あのことか」とピンと来る方はどれだけいらっしゃるでしょうか。
具体的にイメージできないようであれば,本講座を受講して,英文を音読する際,単語ごとに発音したときと文単位で読む際には聞こえ方が大きく異なることを知る必要があります。
専門的には英語音声学の分野で学ぶ内容になるのですが,TOEICやビジネス英語の理解に必要なルールやコツを中心に,わずか数時間の講義で学び終えることが可能です。
変な話,どこかの週末を使えば,1日で学び終えてしまうことも不可能ではないでしょう。
有料コースのメインレッスンを行うだけでも1時間近くの時間がかかるので大変ですが,この講座を受ける前と後では,メインレッスンで聞き取りを行う際のパフォーマンスが大きく改善します。
実際,TOEIC対策コースにおいて関正生先生が解説する内容に繋がる話が出てくることも少なくなく,「あ,あの話だな」などと反応できるようになるはずです。
リスニングを得意にするためのコツとして,「自分で発音できるからこそ,その音を聞き取ることができる」というのが定説となっていることも覚えておきましょう。
基礎リスニングの使い方
基礎リスニングの実際の使い方ですが,基本的には以下の4つのトレーニングからなります↓
- チェック問題
- 講義動画
- ディクテーション
- リピーティング
以下で1つずつみていきましょう!
チェック問題
チェック問題では,事前知識なしに英文を書き取ることになるため,現時点でのリスニング力をチェックするのに最適です。
1~2問を制限時間内に解くようにしますが,書き取る音声部分には何らかの音声変化が起こっていることに注意してください↓
warm upは単独でそれぞれ発音すると/wɔrm(ウォーム)/と/ʌp(アプ)/ですが,これを連続で言うと,wɔr mʌp(ウォーマプ)のように繋がって聞こえるのです。
これがいわゆる「連結」という現象なのですが,こうした内容について,直後に表示される解説や動画で詳しく学んでいくことになります。
講義動画
講義動画では聞き取りのポイントが複数個提示されるので,どういった場合にこのような変化が起こるのかを学んでいきましょう(簡易化するために「ッ」が書かれていますが,実際は聞こえないはずです)↓
単語で説明されることもありますが,今回のレッスンの場合だと,9つの例文を通して4つのポイントを学ぶことができました。
本講座を担当するのはサマー・レイン先生です。
彼女の教え方が気に入った際には公式サイトを訪れて,さらに学習を進めてみるのも良いでしょう。
書籍やアプリに加え,時期によってはオンライン講座の紹介もあります。
ディクテーション
ディクテーションはスタディサプリでもおなじみのトレーニングですね。
内容的にはチェック問題のときと同じになりますが,問題数は全部で6問となり,講義動画で紹介された以外の文も登場してきます。
TOEICの中級者以上にありがちですが,ただ正解するだけがで満足しないようにしてください。
あくまで目的は,どの部分で音が変化し,どのように聞こえるのかを実体験することです。
これだと思う感覚が掴めるまでは,解答解説ページも使って何度も聴き直すことを忘れずに行うようにしましょう↓
なお,本講座には講義の区切りがひと段落するタイミングで,それまでの講義内容を復習できる「確認テスト」と呼ばれるものが全部で3回用意されていますが,そのときに行うトレーニング内容もこのディクテーションだったりします。
リピーティング
ここまでの練習内容がぬるいと,このリピーティングのトレーニングで手を焼くことになるはずです。
手順として,まずはお手本を聴き,自分の声を録音することになりますが,答え合わせのページでそれらが並べて表示されるので,解説通りに発音できているかを聞き比べます↓
問題数は全6問で,カタカナでのルビ振りはあくまで参考に利用しますが,英語の音こそが大切です。
なお,このときに行える工夫としては,あえてお手本を聴かずに自分の声を先に録音し,後で聞き比べるようにすることで,より難易度を高くすることができます。
学べる音声変化について
実際の発音を耳にしない限り,真に理解できたことにはなりませんが,ここで基礎リスニングで学べる音声変化について簡単にみておくことにしましょう。
つながる音
つながる音(連結)は,横にある単語の音が繋がってしまうことです。
例えばTEPPAN英単語で発音しているだけでは決して体験できない内容がここにあります。
こちらについては,前章の使い方で示したような子音と母音がくっつく例の他,動画で紹介されていないものだとHave you~(ハヴュ)などが含まれるでしょう。
落ちる音
落ちる音は「脱落」とも言われ,単語の一部の音が聞こえなくなる現象を指しますが,どのような音のときに落ちやすいのかを意識して学ぶようにしてください。
例えば「Please sit down at your desk.」という文では2つの脱落ポイントが含まれています。
赤字にした部分はそれぞれ別の理由から,音としては聞こえてきません。
1つの文に5つも脱落する箇所がある面白い文の紹介もありました。
短くなる音
短くなる音(短縮)は,よく使われる単語が短くなって前の単語とつながることです。
同じWhere’sという見た目をしていても,'sが「is・has・does」のどれを示しているのかは,続く動詞の形を見ない限りは判断できないわけです。
上の3つ目の形があることについては,私自身,サマー先生の解説を聞くまで知りませんでした。
中学生のときに習った短縮形ですが,リスニングに出てくると非常に難しい問題に豹変する可能性を秘めています。
このテーマに含まれる問題の多くは,慣れていない方のほとんどが正解できないのではないでしょうか。
弱くなる音
弱くなる音,すなわち「弱形」は冠詞や前置詞の音が聞こえなくなることで,wasn't able~と発音されているのにもかかわらずtableのように聞こえてしまうのも,この音声変化によるものです。
比較級のas~asを含めて,前置詞の絡む表現ではこのような現象が頻繁に起こります。
in ( ) morningのカッコ内に何が入るか尋ねれば,もちろんtheが正しいのですが,速く短く読まれることによって「イナモーニン」のように聞こえるので,音で判断してaと答えてしまう方が多いのも当然でしょう。
人より多くネイティブの会話を耳にしていたはずの帰国子女がこの問題を間違えてしまうのも,そうした理由からだと思われます。
よく使う表現の音声変化
音声変化の最後になりますが,ここでは決まった形に音が変化し,1つの単語のように聞こえることがテーマとして取り上げられていました。
what do youがwhaddayaとなったり,am notがain'tと変化するのが一例です。
最近はSNSや動画サイトのチャット欄などで,英語圏の方のメッセージを目にすることが増えていますが,gonnaやwannaなど,基礎リスニングを受講したからこそわかる内容もあります。
英米の発音の違い
TOEICでは4ヶ国語の発音の違い(訛り)が登場しますが,ここではアメリカ英語とイギリス英語の違いについて学ぶことができます。
aやoの母音や,tやrといった子音において,2種類の発音を明確に区別できるサマー先生はさすがです。
個人的な経験ですが,大学のときの先生がイギリス人の方だったのでcanの発音の訛りに悩まされました。
中学校や高校の教科書ではアメリカ英語が基本となっているので,/kæn/(キャン)と理解していた私ですが,イギリス英語は/kən/(カン)と訛るので,Can Iが「金井」などと聞こえて,ずっと「?」状態でした。
もっとも,サマー先生の解説を聞いてると,逆にイギリス英語の方がわかりやすいこともわかってくるのでお楽しみに。
その他,解説に出てくる用語(例えば母音や子音など)については,最初の動画で念入りに説明されます。
まとめ
以上,スタディサプリENGLISHの基礎リスニングについてまとめてきました。
ここで扱う内容は,英語4技能が注目される昨今に学ぶ中高生ならまだしも,ちょっと昔に英語を習った方の多くは,おそらく学校で習わなかったもののはずです。
知識として持っているだけでも全然理解度が変わってくるので,スタディサプリに申し込んだらすぐにでもやってみてください。
それぞれのトレーニングにかかる時間や問題数については以下の通りとなりますが,全部で1~2時間で学べてしまう内容です↓
- チェック問題(10問)
- 講義動画(7つは約35分)
- ディクテーション(30問)
- リピーティング(30問)
- 確認テスト(30問)
上手く日課に組み込むことで,よりTOEICやビジネス英語の対策も捗ることと思います。
例えばTOEIC本番で聞き慣れない音が登場してきても,「これはもしかすると連結が起こっているのでは?」などと柔軟に考えられることで,聞き取りの大きな助けになる可能性があるというわけです。
リスニングパートでは1問間違えてしまうと立て続けにミスが連鎖してしまうこともよくあるので,本講座が数十点分のスコアに影響すると言っても過言ではないでしょう。
今回紹介しませんでしたが,基礎講座に含まれる基礎英文法と基礎英単語については,以下の記事で触れています↓
スタディサプリには想像以上に多種多様な講座が含まれるので,是非,余すことなく色々と使って,学びを深めてください。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。