今回はZ会から出版されている「英文法Smart Reference」についてレビューしていきたいと思います。
本書はビジネスシーンで英語を話したり書いたりする必要がある方が文法を学ぶための一冊です。
いくら自分が英語ネイティブではないとはいえ,相手を不安にさせてしまうような物言いばかりしているようでは,印象が大切なビジネスの付き合いにおいてはマイナスとなってしまいます。
入社時において日本語の敬語の研修やテスト対策に明け暮れたような方であっても,それが第2言語となれば話は別のようです。
できないなりにも,向上する姿勢は見せるべきでしょう。
そこで本書の出番となるわけですが,取引先との関係性を重んじるビジネスパーソンが,文法のミスを減らし,自信を持って正しい英語でコミュニケーションできるようになることを目的としています。
一体どのような特徴があり,学び終えた後には何ができるようになるのかに注目して,早速レビューしていきましょう!
目次
英文法Smart Referenceの特徴
基本情報
タイトル:ビジネス英語を磨く 英文法Smart Reference
著者:Z会編集部
定価:2090円
発売:2018年3月
ページ数:319ページ
タイトルが「Smart Reference」となっていることからもわかるように,本書は検索性に優れた,ビジネス英語のための文法書です。
文法書と聞くと,広範囲を網羅的に学ばなければならず量が膨大になってしまうイメージが強いですが,本書は全部読み通さずとも,収録されている1000の例文と照らし合わすことで,自分の英語が正しいかを簡単に確認することができます。
手元にたえず置いておき,文法の取り扱い説明書として何度も参照しているうちに,自然と正しい英語が感覚的に使いこなせるようになっていくというのは,前回レビューしたEメールの参考書と同様のコンセプトです↓
無論,通常の文法書のようにルールを1つずつ学んでいくことも可能で,そこまでやれば応用が利きやすくなって,総合的な英語力も高まるでしょう。
なお,ロイヤル英文法や英文法解説といった真に王道をいく文法書ではなくあえて本書を選ぶ理由としては,実践的な文法知識のみに絞っているという点が挙げられます。
ゆえに,「詳しく書きすぎていない」というのが言い得て妙な表現で,そこまで分厚くならずに勉強時間が短縮できるわけです。
例えば,以下は本書と英文法解説を比較したものですが,whetherとifの解説においては,解説の量にこれだけの違いがあります(赤枠内が本書の説明)↓
本格的な文法書では10を超える例文でもってくどくどと説明すべきところが,Smart Referenceでは2文で済むわけで,この2つの例文を丸暗記しておけば,大体その使い方を思い出せるというのが本書の目指すところです。
「ビジネスパーソンとして,本書に書かれている内容だけは最低限できる状態にしておこう」などと割り切って勉強してみるにはピッタリの教材だと思います。
もっとも,実際に読んでみると「これのどこが最低限なんだ!」と感じる方がほとんどでしょう。
そこはやはり真面目なZ会の参考書ということで,読者に媚びるようなことはありません。
特に英語を専門に扱った経験がなければ,例文と解説がビジネスで使う英文や内容になっている本格的な文法書くらいにお考えください。
なお,本書で学ぶためにはTOEICスコアにして470点(準2級)以上ある方を想定しているので,高校2年生くらいの英語力は取り戻しておく必要があります。
学校で習った英語からすでに怪しいという方は,まずは別の教材で中学範囲をやり直してから,本書に進むようにしてください。
Smart Referenceの使い方
本書の使い方ですが,基本的には参照型の参考書です。
ゆえに,辞典や辞書のように使うこととなり,何か調べたい事柄が出てきた際,目的のものを簡単に探し出すために用います。
このとき,英和辞典しか手元になければ,知りたい単語をアルファベットで検索し,その意味を見つけるくらいしか使い道はありませんが,本書では4つの検索方法を活用できます↓
- 目次を使う
- キーフレーズ例文検索を使う
- 文法用語索引を使う
- 英文語句索引を使う
これら1つ1つについて説明を加えていくことにしましょう!
目次を使う
目次では,本書で扱うすべての文法項目を確認できます。
最初のうちは,これらを見たところで何が書かれているのか浮かばなかったりもしますが,本書を使う回数が増えてくるにつれて「確かこんな内容だったな」などと,見出しをみただけで想像できるようになってくるはずです。
そういった意味で,最初から目次を検索のメインとして使うことはないわけですが,例えば一通りざっと読んでみるか,日頃から気になっていたような文法事項があればかいつまんでチェックしておくと,目次を使った検索頻度は増えることになるでしょう。
Tipsにはなかなかに興味深い知識がまとめられていて,これは「代名詞」のチャプターに書かれていた内容です↓
弊社と御社,そしてweとyouとの違いについて語っているものですが,こうした内容を楽しめたり感心させられたりする方に本書は向いています。
キーフレーズ例文検索を使う
本書で最初から使い始められるものと言えば,この「キーフレーズ例文検索」になるでしょう。
1000の例文を15のカテゴリに分けていて,簡単に目的の例文を探し出すことができます。
ただし,例文は書かれていないため基本例文のように暗記していくことはできません。
自分がどのような内容を伝えたいのか考えてから,以下のカテゴリーから1つを選ぶようにしてください↓
依頼する,感情を伝える,許可する,指示する,質問する,謝辞を述べる,紹介する,助言する,提案する,評価する,意見を述べる,事実を述べる,状況を報告する,予定を伝える,日常会話
ここでは,「意見を述べる」というカテゴリーを選んだとして,例文を検索してみることにしましょう。
上記画像左下をみると,どのページに行けばよいかわかりますが,「意見を述べる」は28ページです。
開いてみましょう。
するとこのような日本語が並ぶので,言いたい表現を探しますが,ここでは「必ず」という3つ目の見出しにある最初の文章を選んだことにします↓
そこには「助動詞243」と書いてありましたが,これは「助動詞」という文法項目の243ページ目に書かれているという意味です↓
ページの上部(11)に該当の例文を見つけることができましたが,文法的にはwillを使えばよいことの他,95%以上の確率でそうしようという強い意志があるときに使うことや,短縮形を用いずに強く発音するという実践的な内容が書かれていました。
文法用語索引を使う
「文法用語索引」では特定の文法用語から,該当する解説や例文を探すことが可能です。
これは文法の解説を読んでいて,わからない用語が出てきたときにも使うことができますが,例えば「格」という文法用語について学びたければ,90ページに飛べばよいことがわかります。
開いて見ると,3つの格変化(主格・所有格・目的格)についてまとめられていました↓
この索引を使いこなすためには,文法用語についてある程度精通しておく必要があるので中々に使う機会は限られるでしょう。
とはいえ,他のビジネス英語の本を使って学んでいる際に,こういった文法用語が出てくることがあるように思います。
他にも,1つずつ説明していって,どんな文法を意味しているのかわからない用語があったときに,その意味確認をするために使うことが考えられるはずです。
英文語句索引を使う
巻末にある「英文語句索引」ですが,特定の英文語句について用法を調べたいときに使います。
こちらは,日本語ではなく英語を基にして探し始めるところがユニークです。
例えば「as far as」について調べると,節の挿入部分の文法解説に該当語句が確認できました↓
この場合の解説においても,「話の流れの中で個人的な意見であることを示す際に使う」といった記述があり,ビジネスシーンを想定したものになっていることがわかります。
まとめ
以上,Z会編集部から出版されている「英文法Smart Reference」のレビューでした。
最初から最後まで一通り内容を読み終えてから数多く使って確かめるのが利用ですが,それはある程度本書を参照してからでも遅くありません。
最初のうちは「キーフレーズ例文検索」を使って表現内容を見つける使い方を基本として,使える表現を1つずつ増やしていきましょう!
文法用語に慣れてきたら,「目次」や「英文語句検索」を使って,気になったものについて調べてみれば良いわけです。
本書で土台固めをした後には,より本格的な文法書に取り組むという選択肢も考えられます。
その際は,基本がしっかりしているので,新たに学ぶことは多少少なく済むはずです。
とはいえ,ビジネス英語で高めるべきは文法力だけではありません。
それこそEメールの書き方から類語表現の使い分け,はたまたより自然な英語表現や専門用語を学ぶ必要があると思います。
同じZ会編集部の参考書を候補に入れつつ,苦手だと感じる分野から英語力を高めていきましょう!
本書で学んだ後には英単語や英会話に進むことも考えられますが,Z会のビジネス英語シリーズで学んでいて,自分の英語力が確かに上がっている実感が沸くようであれば,総合的に学べるAsteria for Businessもおすすめです↓
特に後者は本ではなくスマホでの学習となるので,通勤時に学ぶ際には重宝します。
最後までお読みいただきありがとうございました。