今回はZ会から出版されている「ビジネス英語を磨く英文法Smart Reference」のレビューをしていきたいと思います。
英文法の参考書はいくつもありますが,本書が特徴的なところは,ビジネスで英語を話したり書いたりする必要がある方のための文法書だという点です。
いくら英語ネイティブではないといっても,取引相手を不安にさせてしまう物言いばかりを繰り返してしまうことは,印象重視のビジネスシーンにおいて決して望ましくありません。
普段,日本語の敬語の使用法に気を遣っている方でも,それが第二言語となると話は別となるようです。
しかし,できないなりにも何かしらの努力はすべきでしょう。
そこで本書の出番となるわけですが,取引先との関係性を重んじるビジネスパーソンが,文法のミスを減らし,自信を持って正しい英語でコミュニケーションできるようになることが主な目的として書かれています。
一体どのような特徴があり,学び終えた後に何ができるようになるかに注目して,早速レビューしていきましょう!
もくじ
英文法Smart Referenceの特徴

基本情報
タイトル:ビジネス英語を磨く 英文法Smart Reference
著者:Z会編集部
定価:2090円
発売:2018年3月
ページ数:320ページ
タイトルが「Smart Reference」となっていることからわかる通り,本書は検索性に優れた,ビジネス英語のための文法書です。
文法書と聞くと,広範囲を網羅的に学ばなければならず量が膨大になってしまうイメージが強いですが,本書は最初から最後までを読み通さずとも,収録されている1000の例文のいずれかと照らし合わすだけで,自分の英語が正しいかどうかを簡単に確認することができます。
手元にたえず置いておき,文法の取扱説明書として何度も参照しているうちに,正しい英語を感覚的に使いこなせるようになっていくという方針は,前回レビューしたZ会の英文ビジネスEメール実例・表現1200と同様のコンセプトです。
無論,通常の文法書のように毎日ルールを1つずつ学んでいくことも可能で,そこまでやれば総合的な英語力が高まるでしょう。
なお,ロイヤル英文法や英文法解説といった,真に王道をいく文法書ではなくあえて本書を選ぶ理由としては,実践的な文法知識のみに限られている点が挙げられます。
「詳しく書きすぎていない」というのが言い得て妙な表現で,そこまで分厚くならずに勉強時間を短縮できるわけです。
例えば,以下は本書と英文法解説を比較したものですが,whetherとifの項目において,解説の量にこれだけの違いがあります(赤枠内が本書です)↓

本格的な文法書では10を超える例文でもって,これでもかというほどにくどくど説明されるところが,英文法Smart Referenceで学べばわずか2文で済むわけで,これら例文を丸暗記しておけばビジネス用途には事足りるというのが本書の目指すところです。
よって,
ビジネスパーソンとして,本書に書かれている内容だけは最低限できる状態にしておこう!
などと割り切って勉強するにはピッタリの教材だと思います。
もっとも,実際に読んでみると「これのどこが最低限なんだ!」と感じる方がほとんどでしょう。
そこはやはり真面目なZ会の参考書ということで,読者に媚びるようなことはありません。
これまで英語の専門書に触れた経験がない方は,例文と解説がビジネスで使う英文や内容になっている本格的な文法書くらいに考えておいてください。
なお,本書はTOEICスコアにして470点(英検準2級)以上を保有している方を読者に想定しているので,高校2年生くらいの英語力を取り戻しておく必要があります。
英文法Smart Referenceの使い方
英文法Smart Referenceの使い方ですが,基本的には参照型に分類される参考書です。
つまり,辞典や辞書のように扱い,何か調べたい事柄が出てきた際,目的の表現を簡単に探し出せるように作られています。
もしも手元に英和辞典しかなければ,知りたい単語を頭のアルファベットを頼りに検索し,その意味を探すくらいしかできませんが,本書では以下の4つの検索手段を実行できます↓
- 目次を使う
- キーフレーズ例文検索を使う
- 文法用語索引を使う
- 英文語句索引を使う
これら1つ1つについて説明を加えていきましょう!
目次を使う

目次では,本書で扱うすべての文法項目を簡単に確認できます。
最初のうちは,目次を見たところで何が書かれているのか浮かばないかもしれませんが,本書を使う回数が増えてくるにつれて「確かこんな内容だったな」などと,見出しをみただけで想像ができるように変わってくるものです。
なので,最初から目次を検索のメインとして使うことはないわけですが,例えば,一通りざっと読んでみるか,日頃気になっていた文法事項をかいつまんでチェックしてみると,本検索を使用する頻度は増えることになるでしょう。
解説部分のTips内にはなかなか興味深い知識がまとめられていて,これは「代名詞」のチャプターに書かれている内容です↓

弊社と御社,そしてweとyouとの違いについて語っていますが,こういった内容を楽しんで学べる方に本書は適しています。
キーフレーズ例文検索を使う

本書で最初から使い始められるものと言えば,この「キーフレーズ例文検索」になるでしょう。
ちなみに,すぐ上でみたような解説が始まるのは48ページ目以降で,それまでのページは検索用のために設けられているのが特徴です。
キーフレーズ例文検索では,1000個の例文が15のカテゴリに分けられていて,簡単に目的の例文を探し出すことができます。
ただし,例文自体は書かれておらず,以下のような日本語カテゴリーを元に,求めている例文を探せるというわけです↓
依頼する,感情を伝える,許可する,指示する,質問する,謝辞を述べる,紹介する,助言する,提案する,評価する,意見を述べる,事実を述べる,状況を報告する,予定を伝える,日常会話
ここでは,「意見を述べる」というカテゴリーを選んで,例文を検索してみることにしましょう!
上記画像の左下部分からどのページに行けばよいかがわかり,「意見を述べる」は28ページです。
移動してみると以下のような日本語が並ぶので,言いたい表現を探しますが,ここでは「必ず」という3つ目の見出しの文章を選んだとします↓

そこには「助動詞243」と書かれていましたが,これは「助動詞」という文法項目の「243ページ目」に書かれているという意味です。
行ってみると,ページの上部(11)に該当の例文を見つけることができましたが,文法的にwillを用いればよいことの他,95%以上の確率で「そうしよう」という強い意志があるときに使うことや,短縮形を用いずに強く発音するといった実践的な内容が書かれていました↓

文法用語索引を使う

3つ目は「文法用語索引」で,特定の文法用語から,該当する解説や例文を探すことが可能です。
これは文法の解説を読んでいてわからない用語が出てきたときに使うこともでき,例えば,「格」について学びたければ90ページに飛べばよいことがわかります。
開いて見ると,3つの格変化(主格・所有格・目的格)がまとめられていました↓

この索引を使いこなすためには,文法用語についてある程度精通しておく必要があるので,使う機会は他のものと比べて少ないかもしれません。
しかし,他のビジネス英語の本を使っているときに,見知らぬ文法用語が出てくることがあるわけです。
同じ解説を読んでも,文法が得意な人とそうでない人とでは理解力に差が生じるものなので,本書を片手に取り組んでみましょう。
英文語句索引を使う

巻末にあるのは「英文語句索引」ですが,特定の語句の用法を調べたいときに使います。
こちらは,日本語ではなく英語を介して探し始められるところがユニークです。
例えば,「as far as」を探してみると,節の挿入部分の文法解説に見つけられました↓

その内容は「話の流れの中で個人的な意見であることを示す際に使う」といった記述になっていて,ビジネスシーンを想定したものになっていることがわかります。
まとめ

以上,Z会編集部から出版されている英文法Smart Referenceのレビューでした。
最初から最後まで一通り内容を読み終え,実際に使いながら応用力を身に付けていくのが理想ですが,それはある程度本書に精通してからでも遅くありません。
最初のうちは「キーフレーズ例文検索」を使って表現内容を見つける使い方を基本とし,使える表現を1つずつ増やしていくと良いでしょう!
文法用語に慣れてきたら,「目次」や「英文語句検索」を使って,気になったものを調べてみてください↓
本書で土台固めをした後であれば,より本格的な文法書に取り組んでみることも選択肢の1つに入ってくるように思います。
その際は,基礎知識がしっかり入っているので,新たに学ぶことは少なく済み,解説を読んだ際の理解力も高いはずです。
とはいえ,ビジネス英語で高めるべきは文法力だけではありません。
それこそ,Eメールの書き方から類語表現の使い分け,より自然な英語表現や専門用語まで学ぶ必要があるわけです。
同じZ会編集部のラインナップをベースに,苦手だと感じる分野から英語力を高めていきましょう!
例えば,本書で学んだ後に英単語や英会話に進むことが考えられますが,Z会のビジネス英語シリーズが気に入った方は,総合的に学べるAsteria for Businessもおすすめです↓
特に後者は本ではなくスマホでの学習となるので,通勤時には重宝します。
最後までお読みいただきありがとうございました。