「TOEICで結果を出すために必要な行動」はどのようなものでしょうか。
教材を何にするかやどんな勉強法を採用するか考えることも重要ではありますが,まずは,そもそもどうしてTOEICを受けることにしたのかを考えてみるようにしてください。
周りを見渡せば,かなりの数の英語の資格・検定が存在しているわけで,TOEICでなければダメな理由は果たしてあるのでしょうか。
もしそれが,職場で受けるように命じられたからであれば,「仕事の一環としてTOEICを受ける!」というプロ意識でもって臨むべきです。
趣味で学ぶのであれば余暇時間を勉強に充てるようにしますが,仕事で学ぶとあれば,休みの時間を犠牲にしてまでやる必要はないでしょう。
同時に,「最低限のスコア取得を目標に,できるだけ少ない勉強時間でもって達成する」という結論も導き出されるはずです。
ここまで来てようやく,現時点での実力を知り,目標スコアとの差を認識した上で,もしも期限がある場合はそれも加味して,やるべき教材やどんな勉強法にするかを逆算して設定するわけですが,この時,TOEIC学習の勉強の妨げとなる雑念が生じる隙はありません。
といったわけで,TOEICで結果を出すためには教材を開く前に何をするのかが最も重要になりますが,当記事ではその後の行動も含めて,全部で4つの行動を紹介したいと思います。
もくじ
TOEICをなぜ受けるのか考える

まずはどうしてTOEICを学習するのか,その目的をはっきりさせてください。
このとき,英語を使う目的に限定して考えることが重要です。
「昇進や海外出張に600点が必要だから」や「なんとなく良い点が取りたいから」といった回答では,失敗に終わる可能性が高くなります。
「仕方なく」や「何となく」といった言葉は目的としてふさわしくありません。
ここでは,以下のようなものを目的と見なすことにします↓
- 外国人と直接話ができるようになりたい
- 海外に行ったときに困らないようになりたい
- 自分の仕事に生かしたい
- 将来できる仕事の幅を広げたい
- 幅広い文献から情報収集をしたい
- 英語力を武器に転職したい
上に挙げたのは立派な回答ばかりですが,
英語が話せると格好良いから!
でも
報奨金や資格手当を手にしたいから!
でも構いません。
心の底から願うのであれば,これらも十分な目的となるのが面白いところで,ジャンルは異なりますが,最新のヒットチャートを賑わすアーティストが音楽を始めたきっかけとして「文化祭でモテたかったから」と言っているのも同様です。
ここでのポイントは,「組織ではなく自分のために勉強する」という自己投資の意識を持つこととなります。
もし仮に,他人軸のままでTOEIC学習を始めてしまうと,日課の辛さにすぐに耐えられなくなってしまうでしょう。
一昔前のTOEICであれば,テクニックを身に付けるだけでスコアを一気に上げることもできたのですが,現在のTOEICでは,特に650点以上を狙う場合,根本の英語力を上げない限り大きなスコアアップは期待できません。
となると,かなりの勉強時間をTOEICに割かなければならなくなりますが,辛い努力の日々を乗り切るためには,「その努力が自分のためであって結果的に報われる」という確信が必要なのです。
なお,目的は複数あっても構いませんが,とりあえず思いつくままに書き出してみて,その中で最も具体的で達成したいものを1つ設定すると,よりわかりやすいでしょう。
参考までに,なぜこれほどまでTOEICが社会的に活用されているかについてまとめておくと,以下のようになります↓
- 認知度が高い
- 実施しやすい
- 採点基準がわかりやすい
- 教材が豊富で情報が得られやすい
- 努力が結果に結びつきやすい
- 必要な英語力を適切に測ることができる
現時点での実力を確認する

TOEICの大きな魅力は,同じ実力のまま何回受けても大体同じスコアが出るところです。
もちろん,手を抜けば低いスコアを容易に取れますが,幸運により実力以上の結果が出ることはありません。
私はかつて,焦り気味に結果を出すことを追い求めて,2ヶ月連続でTOEICを受けたことがありましたが,結果はまったく変わりませんでしたし,これといった勉強を積み重ねないままその5ヶ月後に受けたときも,スコアに変わりはなかったです。
このように,TOEICでは,自分の実力が客観的にはっきりと示されることになります。
人は誰しも傷つきたくないもので,特に,勉強を始めたばかりの段階でTOEICを受けようとはしないでしょう。
しかし,できることなら真っ先に受験してみることを勧めます。
とはいえ,思い立ってすぐに行動したとしても,今から申し込める公開テストは1ヶ月以上先のものになってしまうので(IPテストは除く),現実的には,自己採点ができるTOEIC模試を解いてみることで妥協することになります。
ところで,なぜ開始時の英語力を知る必要があるのでしょうか。
それは次章の話とも関係してくるのですが,例えば,「調子が悪いから」と病院に行っても,病状がわからなければ治療のしようがないわけです。
その場合は対症療法としてそれらしきものをやってはみますが,改善がみられないことがしばしばで,もし原因が鼻だとわかっていれば,炎症を抑える鎮静剤ではなく,点鼻薬を渡されていたでしょう。
そして,現状に対して適切な対処法が存在することは,TOEICの世界においても変わりありません。
しかし現実は,
高いスコアが取れれば良いに決まっている!
などと,いきなり最高難度の教材を選びがちなのです。
TOEIC書籍のランキング上位に800点や900点目標の参考書がずらりと並んでいるのはこのためですが,実際問題,TOEIC受験者の半数近くは600点のスコアにすら届きません。
ゆえに,正常な状態であれば初心者向けの参考書が上位に来るはずなのですが,現実はそうなっていないわけです。
多くが自分の実力を正しく認識できていないことの表れでしょう。
筋トレの経験がある方は,ベンチプレスが50kgしか挙げられない人が100kgのバーベルを買ってきてトレーニングしたときのことを考えてみてください。
その場合,まったく挙がらない経験をただ積み重ねるだけとなってしまい,習慣化して長続きすることはありません。
是非とも,まずは自分の実力について知るところから始めてください。
目標となるTOEICスコアを設定する

自分の実力を把握できたら,いよいよ目標スコアを設定しましょう!
なお,保有しているTOEICスコアと英語でできることの間には,大体以下のような関係があります(出典:英語活用実態調査2019)↓

TOEICスコアと可能実務
470点:英会話ができるレベル
600点:海外に出張できるレベル
730点:海外に駐在できるレベル
860点:英語職におけるセミプロレベル
950点:討論や翻訳ができるプロレベル
目標スコアを設定するときのコツですが,長期的なものと短期的なものの2つを設定することです。
もし今500点の実力がある人が海外に駐在したいと思えば,730点以上が目標となります。
ですが,TOEICスコアは伸びるときだと100点くらい急上昇し,その後しばらく停滞するを繰り返すことが普通で,かけた勉強時間に比例して直線的に伸びていくことはありません。
100時間勉強して100点伸びたからといって,200時間かけたら200点伸びることにはならないのです。
そこで,採用すべき勉強法は1段階上のステージを目指すこととなり,具体的には今の実力の100点上を目指すことを短期目標として設定すべきで,上の500点の実力がある人の例では,ひとまず600点が目標の教材を選ぶようにします。
これが短期目標になるわけですが,具体的な方法を目標スコア別のTOEIC勉強法の記事で語っているので参考にしてください。
定期的に自己分析する

TOEICの学習を始めたら,週ごとや月ごとに勉強の進捗状況を振り返りましょう。
これは「メタ認知」と呼ばれる行動にあたり,自分の思考や行動を客観的に捉えて評価することで制御する力が鍛えられます。
このとき,何が目的で,何を習得するためにどういった練習を行っているのかを具体的に説明できることが大切です。
さらに,勉強時間についても分析してみましょう!
TOEICのスコアアップと必要な勉強時間についてで語ったように,独学して100点多く取れるようになるためには500~700時間の勉強が必要です。
費やした勉強時間は絶対的なものですから,どのくらいのスコアアップが期待できるかは簡単にわかります。
基本的には取り組み方に問題があることが多く,特に週末だけ勉強するだったり,だらたらと長期間にわたって勉強していたりする場合時間対効果が落ちやすくなります。
取り組む際の本気度や集中力についても分析し,その源になっているモチベーション自体に問題が生じていることが判明した暁には,公開テストを受けてみたり,学んでいて楽しいと思える教材(洋楽や海外ドラマなど)を取り入れたりしてみましょう。
もちろん,TOEIC受験の目的について再考してみるのもありです。
学習が長期にわたる場合,TOEICを半年に1回は受けるようにしてください。
実際に試験会場に出向いて,他人の目がある中で緊張感のあるテストを受けることで精神力も鍛えられます。
アウトプット(スピーキングやライティング)練習を行うことも重要で,英語本来のコミュニケーションの楽しさを再確認でき,停滞期を抜け出すきっかけとなるでしょう。
TOEICにはS&Wというテストもあるわけですから,最終目標がL&Rで高得点を取ることであっても,S&Wを受験してみてください。
L&Rの勉強が意外とS&Wの対策になりますし,その逆も然りで,実際,私はS&Wの勉強ばかりしている最中にL&Rで900点を超えました。
まとめ

以上,TOEIC学習を成功させるための4つの行動の紹介となりますが,要点をまとめると,目的をはっきりさせ,自分の英語力を早めに確認し,スコア目標は短期的なものと長期的なものの2つを設定することが重要です。
そして定期的に自分の学習状態について分析し,やる気を維持するために公開テストも積極的に利用すべきという結論でした。
TOEICの目標点は誰もが高めに設定しがちですが,それが実力と乖離すればするほど,より辛い努力を強いられることになります。
だからこそ,途中で心が折れないよう,目標を再確認してはやる気をチャージしなければなりません。
会社でTOEICを受けるように言われたことが動機だと,学習のモチベーションは続かないもので,義務感からではなく,自らが英語をできるようになりたいと願った際にようやく,真の意味でのTOEICの学習がスタートすることを忘れないでください。
どうしても学習が続かない方は,コーチングを受けて第三者に予定を管理してもらったり,オンライン英会話を受講したりすることもおすすめです。
ある程度の出費は覚悟する必要がありますが,ほぼ毎日コーチへの報告が義務付けられ,言われたことだけやっていれば何とか形になるだけのスコアアップを果たすことができるので,とりあえず自分一人の力で始めてみて,上手くいかなかった場合にはオンライン教育を検討してみてください。
みなさんが理想のTOEICスコアを取得できるよう祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。