日記を書くことは日本人の性に合っているようで,年末年始や新学期が始まる時期に書店を歩けば,多くの商品が山積みになっている光景を目にすることができます。
私にとってはありきたりの風景でしたが,そのとき引率していた東南アジアからの留学生たちは驚いていて,これほどまでに日記が流行っている国は日本の他にあまりないのかもしれません。
日記を書く目的としては様々なものが考えられますが,普段日本語で書いているものをあえて英語で書くことによって,また別の価値が生まれてきます。
後述するように,英語学習の継続力を高め,使える表現が身に付くでしょう。
現代ではスマホやパソコンの力を借りることで,様々な勉強法を採用することが可能となりました。
とはいうものの,リーディングやリスニングは簡単にできても,英語を書くという行為自体は,話すことと並び,いまだにやりづらいものだと感じます。
当記事では,英語日記をなぜ書くのかといった目的から始め,書く内容をどういったものにすべきかといった書き方のヒントに至るまで,まとめてみることにしましょう。
目次
日記を書く目的とは
そもそも日記はどのように始まったのかといえば,古くは旅の記録からでした。
紀元前のローマ軍による遠征について記録した「ガリア戦記」が有名ですが,日本でも遣唐使の時代から行われていたようです。
その後,平安時代になると女性による回想的な日記文学が台頭し,「蜻蛉日記」や「更級日記」といった,学校の歴史や古典の授業で習うような作品も誕生しました。
江戸時代になると,ようやく庶民にも日記を書く習慣が身に付き,明治時代に記録のための日記が初めて販売されました(博文館の懐中日記は,今でも売られています)。
近代以降は著者のプライベート的な内容が出版されたり,交換日記や学級日誌を始め,今ではSNSの呟きも,ある種の日記として見なされています。
さて,古くに書かれた日記は歴史を解明する際に重要だったのでしょうし,紀貫之の「土佐日記」の仮名文は後の文学に影響を与えましたが,私たちが日常的に書く日記もそれらに負けていません。
「自分史」という形で,これまでの人生について反省することができるので,見方を変えれば,他人が書いた日記文学よりも数倍価値が高いとも考えられるでしょう。
現に10年前に書いた日記を読み返してみると,過去の自分に今の自分が励まされることが多々あります。
これまでに日記を付けていない方であれば想像しにくいでしょうが,そんなときは友達に,昔,自分がかけた言葉で印象に残っている言葉がないか尋ねてみてください。
「え,自分がそんなことを言ったの?」と耳を疑うような立派なセリフが,他人の口から出てくるはずです。
そして,もしその日記を英語で記述すればどうなるかというと,「自分の現環境に適した」使える英語表現を増やすことができます。
書きたい表現がパッと頭に浮かばなければ,辞書などで調べることになるでしょう。
実は,自分が興味のある言葉を能動的に調べるところに価値があり,他人が書いた参考書の表現をただただ受け身の姿勢で学ぶよりも,ずっと使い勝手の良い表現が身に付くというわけです。
次章では,書く内容についてより詳しくみていくことにします。
英語日記に何を書くか
英語日記には何を書けば良いのでしょうか。
折角英語にするからと,大きく内容を変えることも考えられますが,日常的に書くという日記の本質を変えるべきではないので,1日の出来事や見聞きしたこと,そして自分が考えたことについて書くことを基本とします。
ただし,英語学習の用途も兼ねるので,予定は英語で書くようにしますし,語学の際に出会った英語表現も含めるようにしましょう。
例えば,皮膚科に9時に行った際には"Dermatology@9am"などと書くことになりますが,こういったことをするだけでも,語彙力が増えていきます(とはいえ,負担に感じるくらいでしたらローマ字表記で構いません)。
英語を使っていて気が付いた変化は,たとえ小さな成功でも書き留めるようにしましょう。
それによってポジティブな気持ちになることができますし,ダメだった記録も残しておけば,その時は辛くとも,後になって成長が実感できるかもしれません。
例えば,前者であれば"I kept a diary in English for one week.",後者なら"When I speak English, words don’t come easily to me."などと書くことができます。
その他,学習時間を記録しておくのも後で振り返る際に参考になりますし,勉強時間はTOEICの点数がどれだけ上がるかの目安にすることが可能です↓
TOEICを受けてその結果を分析する際にも,もしも勉強記録を付けていなければ「努力が足りなかった。才能がないかも」などと曖昧な結論で済ませてしまうところを,「300時間勉強したのに100点しか上がらなかったから,次は勉強法を工夫してみよう!」などと具体的に考えられるでしょう。
とはえい,英語で日記を書くにあたって絶対的なルールが存在するわけではありません。
各自が続けられるよう負担なく書くことが一番ですので,もしも書く内容に悩んだ際には,自分の好きなテーマについて書いてみるのがおすすめです。
例としては以下のようなものが挙げられます↓
英文日記のテーマの一例
ダイエット:体重や体脂肪の記録や運動,食生活について
育児:育児に関する記録。幼稚園の出来事や送り迎えなど
良いこと:その日にあった良かったことだけを書く
市販されている日記の中には,「Q&A形式」のものや「〇年日記」というものも売られているので,前者を使えば自分でテーマを決める必要はありませんし,後者は毎年同じ時期に何をしていたのかが比較できて楽しいです。
普段から使っているスケジュール帳に1行足すだけでも十分日記になりますので,慣れてきてからは色々な書き方にチャレンジしてみてください。
英語日記の書き方のコツ
それでは最後に,英語日記を書く際に役立つコツをいくつかまとめてみようと思います。
書く量について
マラソンもそうですが,始めのうちはとにかく無理をしがちです。
オーバーペースで走ってしまえば長く続きませんので,書きたい気持ちを抑えて,1日1文を心がけるところから始めましょう。
大体の英語日記で推奨されている量としては,1~2行が普通,多くても3行です。
とはいえ,1つの英文に何らかの工夫を凝らすことができると語学的にはよりプラスとなり,仮に毎日1つ知らない単語や表現を含めれば,1年間で365個ほどの学びとなります。
もしこれをそのまま3年間続け,結果的に1000以上の表現を使うことができるように成長すれば,もはやこれは英語でほとんどのことを書けてしまうレベルです。
ちなみに英語力と自由自在に使える語句の数は比例するものなので,TOEICのスコアが500点くらいまでの方であれば5語,750点くらいまでは7語以内の表現から探して書いてみることをおすすめします。
学習記録について
英語日記を継続するには,スキマ時間をどう使うかがポイントです。
忙しい人ほどちょっとした時間の使い方が上手なもので,基本的には5分単位で学習を記録していくようにしましょう。
そうすれば,電車を待つ数分間であっても立派な学習時間となります。
そもそも,記録作業を1日の最後に行うようだと,思い出すのが大変です。
そういった難しさがストレスになれば,すぐさま継続できなくなってしまうものなので,学習を行った場ですぐ記録に残すよう意識してください。
その他,音(リスニングとスピーキング)のための学習と文字(リーディングとライティング)を使った学習を分けて記録するようにしたり,アウトプット(スピーキングとライティング)とインプット(リーディングとリスニング)を別にしたりすると,あとで分析する際に役立ちます。
まとめ
以上,英語で日記を書く際の内容やヒントを中心にまとめてきました。
普段の日記を英語で書くだけで簡単に実践できますし,勉強記録も加えれば主観的な性質を持つはずの日記が客観的なデータとしても使えるようになります。
自分で調べる際は,英辞郎またはLINE翻訳のようなアプリを使うと簡単ですし,最悪,スペルミスや文法を気にせずに書くでも構いません。
要するに,自分がわかる形で書けばOKという意味ですが,学習記録と合わせて内容を細かく残すほど,後で振り返る際に役立つのも確かです。
長年続けることで日記の価値はどんどん高まるもので,私も先ほど20年前の日記を読んだのですが,本当に面白かったです。
書くことが見つからなかった際には,その日にあったことを書き留めておくだけで構いません。
とはいえ,ビジネス英語Word choiceや英語日記パーフェクト表現辞典を使うことでバリエーションが増えますし,学んだ表現は初中級者であればReplikaのようなAIボットで,上級者はスタディサプリのビジネス英語コースで試すようにし,書いた表現に不安があれば英文添削サービスも利用してください。
いずれにせよ,全ては英語で日記を書くことから始まります。
日記を習慣化して,これまでにできなかった色々なことを可能にしていきましょう!