TOEIC学習を始めるにあたっての心構えとして,学習をうまく成功させるための条件を知っておかなければなりません。
具体的には全部で4つのことを確認しなければならないのですが,さらにそれら1つ1つをどのような方法で行っていくかについては各自の裁量にゆだねられます。
後者については他の記事で扱っていますので,ここでは心構えの方をまとめていくことにしましょう!
目的は何か明確にしよう
まずはどうしてTOEICを学習するのか,その目的をはっきりさせてください。
スコア目標は最初の段階では考えません。
ここでは英語を使う目的に限定しましょう。
「昇進や海外赴任に○○点必要だから。」であったり,「なんとなく良い点が取りたくなったから。」といった答えでは失敗に終わる可能性が高いです。
例えば,以下のようなものが目的となります↓↓
- 外国人と直接話ができるようになりたい
- 海外に行ったとき困らないようになりたい
- 自分の仕事に生かしたい
- 将来できる仕事の幅を広げたい
- 情報収集の幅を広げたい
- 転職したい
格好をつけたいでも,報奨金を手にしたいなどといった目的であっても,心の底から願うのであれば十分目的になるのが面白いところで,世の中のヒットチャートを賑わすアーティストも,始めたきっかけは「文化祭でモテたい。」のような理由だったりもするわけです。
大切なことは,会社ではなく自分のために勉強するという,自己投資の意識を持つことだと思います。
私は普段英語の先生をしているのですが,胸を張って公言できるようなスコアを持っていないことがちょっと恥ずかしかったので,TOEICで良いスコアが欲しいと勉強しましたが,弱い目的意識に対する日課が辛すぎてくてまったく捗りませんでした。
10年くらい昔のTOEICであれば,テクニックを身に付けるだけで一気にスコアを上げることもできたのですが,現在のTOEICでは根本となる英語力を上げない限りスコアアップは期待できません。
そのためにはかなりの時間や労力をTOEIC学習に割かなければなりませんが,結果が自分のためにならないようでは,学習を継続する気にならないのでしょう。
また,目的は1つに決めなくても全く構いませんが,とりあえず思いつくだけ書き出してみて,その中で最も具体的かつ真っ先に達成したいものを設定するのがおすすめです。
現時点での英語力を確認しよう
TOEICが自分の英語力を測るために有利な点として,同じ実力のまま何回受けても大体同じスコアが出るということが挙げられます。
これはつまり,なんとなくではなく具体的かつ客観的に自分の英語力を知ることができるということです。
人は誰しも傷つきたくないので,特に勉強を始めたばかりの頃はTOEICテストを受けたりはしないものですが,あえて真っ先に受験してみましょう。
とはいえ,思い立ってからすぐ行動したとしても,今から申し込める公開テストは1ヶ月以上先になってしまうので,ここでは手に入れやすいTOEIC模試を解いてみるで構いません。
もちろん,どこかの組織に属している方でIPテストが利用できる方であればそこまで長く待たずに受けられるでしょう。
是非申し込んでみてください。
ところで,どうして開始時の英語力を知る必要があるのでしょうか。
それは次章の話と関係してきます。
ここでは比喩を使って説明しますが,病院でお医者さんにかかっても病状がわからなければ治療のしようがないでしょう。
喉が腫れているのに,点鼻薬を渡しても治りません。
特に男性に多いのですが,「良い点(つまり満点近い得点)が取れれば良いに決まっている!」などと,いきなり最高峰のレベルを目指すための教材を最初から選びがちです。
これが,本屋さんのランキング上位に難しめの参考書が並ぶ原因なのですが,現実問題TOEIC受験者の半数以上は600点も取れません。
ゆえに,正常な自然状態であれば初心者向けの参考書が上位に来るはずなのですが,現実はそうなっていないのです。
これこそ,誰もが自分の実力を勘違いしてしまっている動かぬ証拠と言えるでしょう。
筋トレの例で考えれば,本来ベンチプレスが50kgしか上げられない人が,100kgのバーベルを買ってきてトレーニングしたらどうなると思いますか。
その場合,まったく上がらないものを上げようとするだけでトレーニングが終わることになり,そのような日々が長続きすることは考えられません。
ゆえに,まずは自分のスコアを知ることから始めてください。
目標スコアを設定しよう
自分の実力を把握してからようやく目標スコアを決めましょう。
TOEICのスコアとできることの間には,大体以下のような関係があります(出典:英語活用実態調査2019)↓↓
- 400点:挨拶ができる
- 500点:簡単な業務連絡ができる
- 600点:eメールが書ける,自己紹介ができる
- 700点:電話応対できる
- 750点:英語で議論できる
- 800点:海外出張に行ける
- 900点:海外赴任できる
- 950点:ディベートできる,翻訳できる
※スコアはざっくりとですので参考程度でお願いします。
さて,目標スコアを設定するときのポイントとしては,最終的なものと短期的なものの2つを設定することです。
もし今500点の実力がある人が海外出張を目指す場合,800点くらいが最終目標となります。
ですが,英語力というのは伸びるときは100点くらい急上昇し,またしばらく停滞するの繰り返しが普通で,かけた勉強時間に比例して直線的に伸びていくことはあり得ません。
100時間勉強して100点伸びたからといって,200時間かけたら200点伸びるわけではないのです。
そこで採用すべき勉強法としては1段階上のステージを目指すこと,つまり今の実力の100点上を目指すことを短期目標として設定すべきであり,上の例ではひとまず600点を目指すようにしてください。
つまり,教材は600点向けのものを選ぶことになります。
具体的な方法は以下の記事を参考にしてください↓↓
定期的に自己分析しよう
勉強を始めたら,今度は週ごと,そして月ごとに勉強進度を確認しましょう。
ただし,勉強の質や効率が良いか悪いかについては自分だけでは判断しにくいので,ここでは絶対的な指標である「勉強時間」を分析してください。
以下の記事でも書きましたが,独学で100点上げるためには500~700時間が必要です↓↓
かけた勉強時間は自分を裏切らないので,基本的には時間数でどのくらいスコアアップするのかがわかります。
もし,かけた時間ほどに対してスコアがいまいち上がっていなければ,勉強の方法や教材との相性を疑ってください。
大体は勉強の方法に問題があるもので,特に週末だけ勉強するであったり,だらたらと長期間に勉強が渡ってしまっている場合は時間対効果が落ちます。
加えて,取り組む際の本気度であったり集中力も影響し,その源であるやる気の維持につながるのがTOEICのスコアアップであることは疑いようのない事実です。
やる気が出なくなったときは公開テストを受けてやる気をチャージするのがおすすめで,たとえ目標の勉強時間に達していなくても,半年に一度は最低でも受験するようにしてください。
模試でもよいのでしょうが,実際に試験会場に出向いて,他人の目がある中で緊張感のあるテストを受けることで精神力も鍛えられます。
この他,アウトプット(スピーキングやライティング)をしてみることも,英語本来のコミュニケーションの楽しさを再確認できますし,停滞期を抜け出すきっかけになったと聞くことが多いです。
まとめ
以上,TOEIC学習を成功させるための4つの条件についてまとめてきました。
まとめると,目的をはっきりさせ,自分の英語力を最初に確認し,スコアの目標は短期的なものと長期的なものの2つを設定することが重要でした。
そして定期的に自分の学習効果を分析し,やる気維持のために公開テストも積極的に利用して行きましょう!
TOEICの目標点は誰にとっても高いものとなるのが普通で,そのために辛い努力を強いられることは避けられません。
だからこそ,途中で心が折れないよう,目標を再確認してはやる気をチャージする必要があります。
「会社で○○点くらいは取るようにと言われた。」程度の理由では,学習は絶対に続きませんし,義務感からではなく,自らが英語をできるようになりたいと思って初めてTOEIC学習がスタートすることは忘れないでください。
どうしても学習が続かない私のような方であれば,最悪コーチングサービスを受けて管理してもらうこともできます。
ある程度の出費は覚悟する必要がありますが,ほぼ毎日コーチへの報告が義務付けられ,言われたことだけやっていれば何とか形になるだけのスコアアップを果たすことができるので,とりあえず自分の力でやってみて,上手くいかなかった方はスタディサプリなどのサービスを検討してみてください。
実際,ここでもやる作業はまさに上でまとめた4つのことになるのですが,それを2人3脚でやることの強みが実感できるはずです。