TOEICのL&R対策をしていると,普通リスニングとリーディング以外のトレーニングは行わないでしょうが,スコアが伸び悩んだ際にあえて「スピーキング練習」を取り入れてみることで,思わぬブレイクスルーに繋がる可能性があります。
リスニングの世界では「発音できない英語は聞き取れない」と言われますが,これをさらに推し進めて「スピーキングができないからリスニングもできない」と言われる日が来るかもしれません。
ところで,TOEICのリスニングスコアはリーディングのものより高く出るのが普通ですから,リスニングパートで400点取ることができれば,リーディングは300点で700点超えです。
リスニングの点数がリーディングとあまり変わらないような方は,是非お読みください!
目次
TOEICのスコアとリスニングスコアの関係
TOEIC600点を目標とする頃までは丁寧にリスニングを行い,洋楽やスポーツNEWSのようなナチュラルな英語で耳を慣らすだけでよかったのですが,700点が目標となるあたりから,伸び悩む方も少なくありません。
パート3や4を先読みするといったテクニックも,あくまで600点台に至るまでの簡易処置であり,700点を取るためには英語の実力を全体的に高める必要があります。
ここで「スピーキング」の出番になるのですが,普段の学習法に取り入れて,自分で話せる英語を増やしていくことはこの先,スコアを伸ばしていくために必要です。
なお,TOEICの目標スコアとリスニングスコアの関係は,
- 700点が目標なら「400点」
- 800点が目標なら「450点」
- 900点が目標なら「495点」
となっており,例えば目標スコアが900点超えであるにもかかわらず,リスニングが満点近く取れていないようであれば,「スピーキング」を勉強計画に取り入れることが,目標達成のきっかけになります。
というのも,自分が話せる英語が増えることで,よりリスニング能力が高まるからです(後述)。
なお,誤解のないよう最初に断っておきますと,スピーキングの練習をするからといって,全く英語の音を聴かないことにはなりません。
ひょっとすると,これまで以上にリスニングする時間が増えるかもしれません。
それほどまでにスピーキングとリスニングは密接に関係しているのです。
次章からはスピーキングの練習方法を,段階別に提示しています。
一応,目標スコアが700点(L400)の学習者が対象ですが,生の英語を素材に使うことでリスニング満点も十分可能でしょう。
なお,以下では「シャドーイング」や「ノートテイキング」といったテクニックが登場してきます。
それらのやり方について知らないという方は,TOEIC学習に役立つテクニックを適宜参照するようにしてください。
口を動かすところから始めよう
本格的なスピーキングを行うにあたって,英語を話す習慣を当たり前にしていく必要があります。
目標600点のところで紹介したシャドーイングも役に立ちますが,面白い練習として,スマホの設定を英語にしてみましょう。
iPhoneであれば,音声設定を英語に変えることで,Siriと簡単な英会話が楽しめてしまいます。
なお,このとき,自分が話した英語を自動で文字に書き起こしてもらえるよう,設定しておきましょう。
併せて,Siriキャプションも常に表示しておくに設定すれば,確認用に使うことができます↓
"Set a timer for 30 minutes."などとタイマーを設定してもらう以外に,"How’s the weather an hour after?"などと1時間後の天気を尋ねたり,"Make me laugh."などとお願いごとをしたりすることもでき,その答えはしっかりとした英語で返ってくるのでリスニングの勉強にもなります。
ちなみに上のジョークでは,make hens meet(めんどりを出会わせる)をmake ends meet(家計をやりくりする)とかけています。
AndroidであればGoogle Assistantを使いましょう。
1人実況に挑戦しよう
なお,この次の段階として,1人で実況することができます。
twitterで呟くような内容を,実際に英語で声に出して言ってみるのが1人実況です。
わかりやすい日本語を基に,自分の感情を英語で表現するのがコツですが,文の組み立てとしては,
- まずは結論を言う
- 理由または具体例を挙げる
という流れにします。
題材は日常をそのまま描写すればよいです。
例えば以下のような内容が考えられます↓
- 朝起きて,今日やることを説明する
- 移動する際の様子や天気について述べる
- 行楽地で何をしたかまとめる
- 昼に食べた食事の魅力について説明する
- 1日の感想について述べる
この他,英語を勉強していて気に入った表現が見つかった際には,自分がどのようなときに使用するかを思い浮かべて,自分にとって都合が良い形の例文を作っておくと後で役に立ちます。
なお,目標スコアが700点の方であっても,中学校で学ぶ英文法と3000語程度の語彙力があれば十分に会話が可能だと言われます。
単語についてはThe Oxford 3000が有名です。
ちなみに,1日100個ペースで学べば1ヶ月で1周することができます。
英語のスピーチを聞こう
TOEICのPart4では1人の話者が長めの英文を話しますが,そのスピーチには一貫した論理があります。
話す順番や論理展開を示す語句などに注意して,さらにそれを真似して自分でも行えるようにすることで,理路整然とした,聞き手にとっては大変わかりやすい話し方ができるようになり,ゆくゆく聞き手側に回ったときも,話の筋を取り違えたりしなくなるというわけです。
さて,スピーチを使った学習法では,聞いて学ぶことと実際に話すことの2つを実践する必要がありますが,ここでは前者についてまとめましょう。
まずはお手本となる英語スピーチを用意します。
スティーブジョブズやアメリカの歴代大統領のスピーチでも構いませんし,古くはキング牧師,最近だと詩人のアマンダ・ゴーマン,アイドルからはBTSなど,たくさんのスピーチが利用できますが,話のジャンルで選びたければ,TEDを利用するのもおすすめです。
有名人であればあるほど,そして会場が大きくなるほど,スピーチの内容がしっかりとしてくるように思います。
また,上で示した動画のように,コメント欄や字幕で全訳が確認できるのも良いですね。
聴き方ですが,まずはスピーチの背景や使われている単語,そして内容について大まかに理解しましょう(腕試しがてら,いきなりリスニングするでも構いません)。
次に,原稿を見ながらスピーチを聴きます。
そして最後に,話し手の表情や間の取り方を観察しながら再度聴いてみましょう。
このとき,気が付いたところがあれば原稿に書きこむようにします(ユーモアも勉強になります)。
もちろん,3回以上聞いてもおかしくありませんが,実際にスピーチを行うことで内容が自分のモノになることも多いので,どちらかと言えば次章の内容に注力しましょう。
英語でスピーチをしよう
本章では,スピーチを自分が行うときの方法について紹介しますが,自分の意見を説得力を持って自由に話すことではなく,あくまでTOEICの勉強に役立つ内容に留めます。
ただ音読する場合と異なり,緩急をつけるといったアウトプット能力が磨かれるので,是非やってみてください。
まずは負荷の少ない方法から紹介しますが,前章で聴いた音源をシャドーイングするというものです。
これはTOEICで500点を目標に勉強する記事でも紹介しました。
英語のスピーチでは間が十分に取られるため,普段使っている教材より使いやすいと感じると思います。
次に,音のヒントはなしで,原稿を片手に読み上げてみますが,反省材料になるよう,自分のスピーチは録音しておくことをおすすめします。
数回とは言わず,100回読むくらいの気持ちで臨みましょう。
なお,最後に紹介するのはリプロダクションです。
音源を聴くことから始めますが,それを聴きながらノートテイキングを行い,その後,そのメモを頼りにスピーチの内容を再現します。
ノートテイキングでは全文を書き取ることがないため,大体はキーワードの羅列になるでしょう。
このとき,同時通訳者が行うように,略号や絵なども取り入れても構いませんので,自分が元の英文を再現しやすいよう工夫してみてください。
発話のスピードは相手が聞きやすいように気を付け,強調すべきところはゆったりと大きな声で話すようにし,間もしっかりと取ることが大切です。
英語ネイティブと比べると,速度的には遅くなってしまう分,感情をより込めるようにして,相手に伝わる英語を心がけましょう。
ここまでやると,TOEICのリスニングで満点も夢ではありません。
まとめ
以上,TOEIC L&Rのリスニングスコアを伸ばすために,あえてスピーキングを取り入れる学習法についての紹介でした。
TOEICの運営元が実施したアンケートによれば,英語4技能で1番難しいと思っているのがスピーキングである一方で,一番伸ばしたいのがスピーキングと答えるビジネスパーソンは6割を占めます。
ICTの発達やコロナ禍もあって,会社のオンラインミーティングで英語力がそれほど高くない人も参加する機会が増えました。
翻訳ソフトもありますが,できるだけ早く返事をするためにも,是非,今回紹介した方法で自身のスピーキング能力に磨きをかけましょう!
マスクをしていれば,他人の目を気にすることもありません。
TOEICスコアは700点超え,さらには英会話もある程度まで自由にできるようになれば,英語を使った明るい未来が期待できます。
頑張ってみてください!