TOEIC L&R対策において,リスニングとリーディング以外のトレーニングを行うことは,一見すると遠回りに感じるかもしれません。
しかし,リスニングのスコアが伸び悩んだときは,あえて「スピーキング練習」を取り入れることで突破口が見えてくることがあります。
語学の世界ではよく,
自分が発音できない英語は聞き取りにくい。
と言われます。
これは,英語の音やリズムを自分の口で再現できるようになると,耳で聞いたときにもその表現を認識しやすくなるためです。
つまり,スピーキング練習は「話す力」だけでなく,TOEIC L&Rで問われるリスニング力の底上げにもつながります。
私はTOEIC4技能(L&R,S&W)すべてで基準スコアをクリアした人に贈られる「IIBC AWARD OF EXCELLENCE」を受賞していますが,発信できる英語表現が増えるほど,英語を英語の語順のまま処理しやすくなる感覚がありました。
現時点でリスニングの点数が伸び悩んでいる方は,当記事で紹介するスピーキング練習を取り入れてみてください。
TOEICのスコアとリスニングの関係
TOEICで600点を目指す段階であれば,単語と文法を軸に,公式問題集の音源を使ったシャドーイングを行っていれば十分に到達可能です。
しかし,700点以上を目標とするのであれば,あと一押しが足りません。
Part3やPart4の設問を先読みするテクニックも有名ですが,それはあくまで小手先の対応策であり,根本的なリスニング力を引き上げるものではありません。
日本人の平均スコアがまさに600点前後であることを考えると,そこから抜け出すためには,多くの人が避けて通る「アウトプット」に目を向ける必要があります↓
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日本人のTOEIC L&R平均スコアと目標点の目安
TOEIC L&Rテスト(以降は「TOEIC」と表記)は,英語力を数値で客観的に確認しやすい試験として,就職・転職・昇進・大学の単位認定など幅広い場面で利用されています。 ただし,いざ目標スコアを決め ...
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そこで「スピーキング」の出番です。
都合が良いことに,自分が話せる英語のストックが増えると,リスニング能力もそれに比例して劇的に高まることが知られています。
スピーキングの練習をするからといって,英語の音を聴かなくなるわけではありません。
むしろ,発音のモデルとするために,これまで以上に集中してリスニングをする時間が増えます。
もちろんリーディングとのバランスにもよりますが,日本人学習者の場合はリスニングで先に得点を伸ばす方が,総合スコアを上げやすい傾向にあります。
TOEICの目標点とリスニングセクションのスコアの目安は以下の通りです↓
- 700点目標なら「リスニング 380〜400点」
- 800点目標なら「リスニング 430〜450点」
- 900点目標なら「リスニング 470点以上」
もし,目標スコアに対してリスニングの点数が足りていないのであれば,スピーキング練習の不足が一因になっている可能性があります。
そこで,ここから紹介する5つのスピーキング練習法を,まずは1ヶ月試してみてください。
リスニング力を覚醒させるスピーキング練習法5選

ここでは,TOEICのリスニングスコア(特にPart3やPart4)に直結する効果的なスピーキング学習法を5つ紹介します。
心理的なハードルが低いものから順に並べていますので,できるものから取り入れてみてください。
1. Siriや生成AIと会話する
まずは,英語を口から出すことを日常の「当たり前」にする必要があります。
一番簡単なのは,スマートフォンの音声設定を英語に変え,スマートフォンの音声アシスタントや生成AIと簡単な英会話を楽しむことです。
最近であれば,ChatGPTの音声会話機能を使うことで,より自然で高度な会話相手を手に入れることができます。
例えば,日常的に以下のように話しかけてみます↓
Set a timer for 30 minutes.(30分のタイマーをセットして)
What will the weather be like in an hour?(1時間後の天気は?)
AIの返答を聞き取ることで,自分の発音が正しく伝わったかの確認と,リスニング練習を兼ねることができます。
AIは学習コーチにすることもできるので,詳しくは以下の記事を参考にしてください↓
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TOEIC学習に生成AIを使う方法!4技能別の活用例と注意点
生成AIを使えば,TOEIC学習でできることはかなり広がります。 ChatGPT・Gemini・Claudeなどの対話型AIで英文の意味を確認したり,Perplexityで英語記事を探したり,Deep ...
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2. 日常を英語でつぶやく「1人実況」
次のステップは,自分の行動や感情を1人で実況することです。
SNSで呟くような内容を,実際に英語で声に出してみます。
ポイントは,「結論を先に言い,その後に理由や具体例を付け足す」という英語特有の論理展開を意識することです。
- 朝起きて,今日やるタスクを英語で説明する
- 通勤中の景色や天気を描写する
- 職場で起きた出来事や,昼食のメニューについて語る
中学校で学ぶ基本的な英文法と3,000語程度の語彙力(The Oxford 3000など)があれば,日常のほとんどの状況は描写可能です。
これを繰り返すことで,英語の語順で物事を考える回路(英語脳)が育ちます。
3. キャラクターを演じ分ける「ロールプレイ」
TOEICのPart3(会話問題)のスコアアップに直結するのが,このロールプレイです。
年齢や階級,立場の違うキャラクター(例:上司と部下,店員とクレームを入れる客,ホテルのフロントと宿泊客など)を自分で設定し,両方の役を演じ分けながら会話を進めます。
このような限定されたシチュエーションを設定することで,
この場面なら,このフレーズが使われるはずだ。
という予測力が働き,特定のシーンでパッと言える表現が強力に身につきます。
自身で発話できる定型句が増えれば,TOEICの音声で同じ表現が流れてきた際,和訳することなく瞬時に意味を理解できるようになります。
4. 著名人のスピーチから話し方の型を学ぶ
TOEICのPart4(説明文問題)は,1人の話者が長めの英文を話す形式です。
このパートを攻略するには,話の「論理展開の型」を身体に染み込ませるのが一番です。
そこでお手本となるのが,著名人の英語スピーチです。
スティーブ・ジョブズ,アメリカの歴代大統領,TEDのプレゼンターなど,誰のスピーチでも構いません。
まずは原稿(スクリプト)を見ずに内容を推測しながら聞き,次に原稿を見ながら音と文字をリンクさせます。
最後に,話し手の表情,間の取り方,強調している単語を観察しながら深く聴き込みます。
こうして「聞き手が理解しやすい論理的で理路整然とした話し方」のインプットを終えたら,いよいよ最後のアウトプット(再現)に移ります。
当サイトでは故安倍元総理のスピーチを詳しく解説しています↓
5. 短いスピーチを自分の口で再現する
最後に,インプットしたスピーチを自らの口で完全再現するトレーニングを行います。
以下のステップで段階的に負荷を上げていきます↓

- シャドーイング: 音源を流し,少し遅れて影のようについて発音する。
- 原稿の読み上げ: 音源を止め,原稿の文字だけを見て,本人の声のトーンや間を真似て感情豊かに読み上げる(※この時,自分の声をスマートフォンで録音して聞き直すのが成長の近道です)。
- リプロダクション: 音源を聞きながらメモ(ノートテイキング)を取り,その後,そのキーワードのメモだけを頼りに,大統領や著名人になりきってスピーチを自分の口で再現する。
シャドーイングの具体的なコツや,英語特有の音声変化のルールについては以下の記事で詳しく解説しています↓
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TOEICリスニングが聞き取れない原因と対策!音声変化・シャドーイングのやり方
TOEICでスコアを伸ばしたい場合,リスニング力は早い段階から意識して鍛えておきたい力です。 TOEICのL&RテストにおいてはPart1~4でその実力が直に試されることになりますが,たとえ将来的にS ...
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リプロダクションの段階では,相手が聞き取りやすいスピードを意識し,重要な単語はゆったりと大きく話し,しっかりと間(ポーズ)を取ることが大切です。
この最高負荷のトレーニングをこなせるようになれば,TOEICのリスニング音声が信じられないほどゆっくり,かつクリアに聞こえるようになります。
まとめ
TOEIC L&Rのリスニングスコアを限界突破させるために,あえてスピーキングを取り入れた5つの学習法を紹介しました。
最初から大統領のスピーチを暗記して何分も話す必要はありません。
Siriへの話しかけや,通勤中の1人実況から始め,少しずつロールプレイやスピーチの再現へとレベルアップしていくことが重要です。
IIBCの調査では,英語学習を継続したいと考えているビジネスパーソンが4技能の中で「一番伸ばしたい」と回答した技能は,スピーキングが66.6%で最多でした。
TOEIC L&R対策だけを考えていると,つい「聞く」「読む」に学習が偏りがちですが,実際には多くの学習者が「話す力」の不足を課題として感じていることが分かります↓
近年,オンラインミーティングの普及により,実務で英語を話す機会が急速に増えました。
今回紹介したスピーキング練習を継続すれば,TOEIC700点・800点の壁を越えられるだけでなく,語学本来の目的である「自分の言葉でコミュニケーションを取る力」を同時に手に入れることができます。
リスニングのスコアアップに悩んでいる方は,ぜひ今日から「英語を口に出す」トレーニングを始めてみてください。