今回は,関正生先生の世界一わかりやすい授業シリーズから「Part5&6文法」をレビューしていきます。
最初に本書を簡単に紹介してから,特徴について具体的にみていくことにしますが,難易度がどの程度なのかだったり,「神講師」と呼ばれる著者がどのような攻略法を伝授してくれるかなど,TOEICのリーディングセクション前半で伸び悩んでいる方で本書を検討している方は参考にしてください。
なお,世界一わかりやすいシリーズでTOEICの文法を取り上げたものは複数あり,当記事でも多少触れることにしますが,関正生先生のTOEIC対策本の種類と評判についてが詳しいです。
もくじ
世界一わかりやすいPart5&6文法とは

基本情報
名称:世界一わかりやすいTOEICテストの授業Part5&6文法
著者:関正生
出版社:KADOKAWA
定価:1650円
ページ数:192ページ
目標スコア:600~800点
本書が対象とするのは基本的に,TOEICスコアで600~700点を狙う初心者ですが,書かれている内容はそれ以上のスコアを狙う際にも有益なもので,800点が目標の中級者も使うことができます。
文法関連の参考書は分厚くなりがちで,同著者のものでも真・英文法大全が912ページもありますが,本書に収録されている問題は良問が厳選されているため,数をこなさずともポイントが理解できるところが魅力です。
なお,TOEICの英文法だけをまとめた文法書(552ページ)も出ています↓
今回レビューする問題集はTOEICのPart5とPart6の問題を解きながら,必要な文法を学んでいくものですが,もっと問題を解きたい方は「Part5文法演習」と呼ばれるものも選択可能です。
本書は文法書と問題集のちょうど真ん中に位置するような構成で,公開テストまでの時間が限られている人やあまり普段から勉強していない人にとって適当な分量となっています。
TOEICの公式問題集も優れた一冊ですが,初心者がいきなり2時間の模試を解くのは大変ですし,頑張って解いみたところで,問題のどの部分に注目して解いていけばよいのかがいまいちわからないでしょう。
そこでパート別対策本の出番となるわけですが,効率良くPart5&6の攻略法を学ぶことができ,即効性に優れる本書です。
他書ではあまり目にしない,ネイティブ目線での解説が見られるなど,純粋に楽しい豆知識も散見されます。
こういった仕掛けも世界一わかりやすいシリーズの魅力と言えるでしょう。
2つのパートが対象となってはいますが,英文法に精通するとリスニングやPart7の長文読解の理解度が自然と高まるものです。
文章を誤訳してしまった原因が文法知識の不足によるものだったという話はよく耳にします。
もちろん,本書を終えてから世界一わかりやすいシリーズのPart7読解に移ればリーディングセクションの対策は万全です。
以下で本書の目次をみてみましょう↓

本編に入る前に,文法問題を解く際の前提知識である「品詞」についてまとめられているところが特徴的です。
著者は予備校の講師ということで,解説内容は教科書的なものと一線を画しています↓

受験勉強で予備校に通った経験がある方はお馴染みの内容ですが,そうでなかったり勉強から離れて久しかったりする方にとっては,この段階にまで戻って解説してもらえると大変にありがたく感じるのではないでしょうか。
ちなみに,本書の最後にはおまけページがあり,もっと文法の勉強をしてスコアアップを実現したい読者のために,どの文法項目を念入りに勉強したらよいかのヒントまでを得ることができてしまいます↓

先に述べた,文法の副次的効果についての説明もありました。
ここでの内容は他の参考書を使って学ぶ際にも役立つので,使い方次第では広範囲に良い影響を及ぼしてくれる指南書になるかもしれません。
メインとなるPart5とPart6は,それぞれ独立した章として,次のような手順で勉強していくことになります↓
- 問題の全体像について把握する
 - 例題の解説を通して解き方を学ぶ
 - 演習問題で実際にやってみる
 
次章からパート別にレビューしていくことにしましょう!
Part5の対策内容について

本書におけるパート別対策では,まずはポイントが示され,目標スコアごとにどれくらい正解すべきかの目安が提示されるので,モチベーションが高まります。
600点が目標であれば,3問に1つは間違えても構わないのか!
とわかるだけでも,心の余裕が生まれがちです↓
攻略法については,かなり具体的な手順が書いてあったので驚きました↓

自分1人で学んでいたら,高確率で気が付くことのない視点と言えるでしょう。
その他,著者自身の経験に基づくTOEIC試験での時間配分が書いてあったり,効率的な暗記を助けるまとめがあったりなどの工夫が満載です↓

例題では20問ちょっと解くことになりますが,誤った選択肢を含む全部の和訳と語句リストが載っているところや,解説が構造分析までされているところに予備校の講義らしさを感じます。
解説はこれぞプロといった内容で,さすがの一言でした。
最初の解説と例題を通して大体の解き方のコツを理解したら,仕上げに本番さながらの演習問題を解いて教えを体得します↓

このとき,時間を測りながら正解数を計算してみてください。
先述の通り,目標スコア別にどのくらい正解できればよいかが明示されているので,今の実力を把握することができます。
ちなみに,演習問題の数は,20問のセットが2回分の計40問でした。
Part6の対策内容について

続いて,Part6のレビューに移りますが,基本的な進め方は前章で説明したものと同様です。
しかし,Part5と比べて長文を扱う関係上,語句リストがより充実していました。
というよりも,ここまで丁寧に構造分析をしているTOEIC本はあまり見たことがありません↓

例題は英文3つから成り,質問の数は全部で12問です。
すべてが同じタイプの英文ではなく,パターン別になっています↓
- 形だけで判断できるタイプ
 - 意味と形の両方で判断するタイプ
 - 時制に注意するタイプ
 
本番でもこれらのいずれかに属する長文が出題されることになるので,それぞれの解き方のコツに精通しておきましょう。
最後に時間を意識しながら演習問題を解きますが,その量は本試験の1回分と同じ(長文4つで全16題)です↓

Part5と合わせて約90問の問題量は決して少なくありません。
まとめ

以上,関正生先生による,世界一わかりやすいTOEICテストの授業Part5&6文法のレビューでした。
これまでに述べた本書の特徴をまとめてみると,以下のようになります↓
- 600~700点を目標とする初心者や800点を狙う中級者が使える
 - 解説が予備校の講義並みの詳しさとなっている
 - 品詞の説明や文構造の分析が載っている珍しい対策本
 - 問題数はPart5で60問,Part6は28問
 - 少ない問題数ながら多くのことを学べる
 - 語句リストやおまけページを使って知識量をさらに増やせる
 
文法力が不足していると感じる方で,文法書を1冊読み通したり,数百問の問題集を解いたりする余裕がない方は是非本書で学んでみてください↓
TOEICのスコアアップには,リーディング対策だけでなく,リスニングセクションの勉強も必要です。
節約できた時間はPart1~4の対策に充てましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。