今回の記事ではTOEICのリーディングパートを満遍なく対策できる「サラリーマン特急新形式リーディング」という参考書をレビューしていきたいと思います。
出るとこ集中シリーズの文法編とリスニング編でおなじみの八島晶氏による「特急シリーズ」ということで,特にパート6と7の解説は珍しくもあり必見です。
早速本書の基本データからみていくことにしましょう!
もくじ
サラリーマン特急リーディングとは
- 名称:TOEIC L&R TESTサラリーマン特急新形式リーディング
- 著書:八島 晶
- 出版:朝日新聞出版
- ページ数:298ページ
- 発売日:2018年4月
- 価格:924円
- 音声:ダウンロード可能(スマホ・PC)
- 対応スコア:600~860点
先述した通り,本書が対応するのはパート5から7までのリーディングパート全部となります。
著書の八島晶氏は企業向けのTOEIC講師として,これまで3,000人以上の指導をしてきたそうですが,学習者のデータ分析をしていて気が付いたことがあるそうです。
それは「実力的には十分解けるはずの問題をボロボロと間違えてしまうこと」であり,文法的な知識があって英文自体も読めているにもかかわらずミスしてしまうのはなぜなのでしょうか。
著者によるとその原因は,基礎知識を応用できないところにあるようです。
本書では,この応用力の育成を目標に,繰り返し出題される基本問題の他,基礎知識の応用力が試される問題を収録しています。
ちなみに,基礎知識の応用力が問われる問題というのは以下のようなものです(本書230ページより引用)↓↓
Office space in the Spire Office Building is ( ) more expensive than our current location.
(A)considerably (B)consideration (C)considers (D)considerable
自信をもって正解は選べましたでしょうか。
答えは(A)のconsiderablyです。
基礎力がある方は,品詞問題だとすぐに判断し,主語とbe動詞を確認しては,形容詞の(D)を選びがちだと言います。
このような問題は,中学や高校レベルの文法知識や読解力がある方で,TOEIC自体についてはまだそれほど知らない初心者の方や,リーディングパートで簡単な問題を間違えてしまう方が特に取り組むべきものでしょう。
それでは,次章にて本書の使い方について紹介していきます。
サラリーマン特急リーディングの使い方
目次ですが,まず最初に前置き的なものがあった後,早速TOEICのリーディングパートの問題を解きます。
このとき同時に各パートの攻略法についても学ぶのですが,これは公式問題集に載っているような一般的なパート別の解き方ではありませんでした。
問題の解説では「どういう考え方でもって正解を選んでいくかという根拠」,つまりは「正解への道筋」を学ぶことになります。
より実践的な解き方だと言えば伝わるでしょうか。
具体的なページ数としては,
- パート5が36ページ
- パート6が8ページ
- パート7が24ページ
のようになっていて,パート6は5と7の中間的な立ち位置だということもあって量的にはやや少なめであるものの,しっかりと3つのパート全てに紙面が割かれているところが良いですね!
第1章から第3章までで定番問題と攻略法について学んだあとは,10回分(10日分)のミニ模試で練習を積みます。
この「10日」という数字は,最初に述べた「出るとこ集中10日間シリーズ」を意識したものなのでしょうか。
1ヶ月で3周できる分量も取り組みやすさに繋がっていますが,何より本書を使った勉強法が単純明快です↓↓
- 第1章から3章の問題を完璧に解けるようにする
- 第4章のミニ模試で弱点を補強
集中すべき内容はただこれだけですからね。
ただし,ただ愚直にやるだけでなく,取り組む際は時間を計測するようにしてください。
次の章で詳しく説明しますが,本書では各問題に目標時間が設定されているのが特徴で,時間制限をより厳しくすることで,高スコア保有者でも瞬時の判断力を磨くことができるようになります。
そのためでしょう,本書がカバーできる学習者のレベル設定は幅広く,600~860点を目標とする学習者が利用可能です。
それでは次章で,実際の中身について詳しくみていきましょう!
サラリーマン特急リーディングの内容
パート5対策のページ
先述した時間設定ですが,第1章のパート5の場合,全24問を上の時間設定で解くことになります。
600点のスコア目標ですと,1問を30秒で解く計算ですが,860点を狙う方は1問に20秒しか時間をかけられません。
このように問題が見開きの形で提示されてくるので,ストップウォッチ片手に一気に解きます↓↓
そのあと以下のような解答・解説ページが続くので,一問ずつ丁寧に確認しながら,実践的な解き方を学んでいきましょう↓↓
特徴としては,文構造の解説に力を入れているのがわかります。
和訳の他に語注があるものが多く,得られる知識が多い英文がピックアップされていることの表れでしょう。
ちなみに「ここがポイント!」という項目には,最初の方に述べた,基礎力を応用力に変えるためのヒントが書かれています。
これは全問に1つずつ用意されており,類問に応用できる形でまとめられている点が便利でした。
パート6対策のページ
パート6ですが,英文が1つで問題数にしては4問だけとなります↓↓
とはいえこのパート,131番のようにパート5的な文法問題もあれば,パート7の読解で語られるような解き方も見られるので,ここはこのくらいの分量でも用に足るのでしょう。
結局第4章において毎日1題ずつの計10題(問題数にして40問),パート6の問題を解くことになるわけですからね。
とはいえ,本パート独自の文挿入問題に関しては,その難しさを存分に味わっておきたいところでしょう。
目標スコアによって変わる時間設定ですが,600点目標なら4分,730点なら2分40秒,860点目標であれば2分といった内容です。
パート7対策のページ
パート7の問題では,設問の数が2問のもの(いわゆるパート7の最初に出てくる簡単なもの)から,会話(チャット)形式のものであったり,以下のようなマルチプルパッセージのものまでが収録されていました↓↓
4つの問題に13個の質問が付いていて,時間を測って一気にやってみては解説を読んでいきましょう。
なお,制限時間は600点から860点まで順に,17分20秒→15分10秒→13分といった具合に負荷が高くなっていきます。
解説部分については,正解を選ぶ根拠がしっかりと書いてありました↓↓
和訳は選択肢まで全てにあり,語注も豊富です↓↓
個人的にはNOT問題の解き方が役に立ちました。
ミニ模試
これまでで各パートの問題と解き方についてだいぶ理解も深まったと思いますが,最後となる第4章において毎日ミニ模試を解いていくことになります。
パート5から7まで大体15問弱をこれまた時間を測りながら一気に解くのですが,10日分の問題セットが用意されているので,問題数としては150問ほどの分量です↓↓
これは結構な量になります。
なお,目標解答時間は各日ごとに異なっており,適度な負荷をかけられるようになっているのはここでも変わりません。
1セットあたり10~15分でできるボリュームなのですが,やはり復習まで一気にやる方が効率が良いでしょう。
しかしそう考えると,1回あたりの学習は数十分にも及ぶことになり,移動中のスキマ時間にやるには少し厳しいのが玉に瑕ですね。
なお,本書の最後にはおまけのマークシートが付いていました。
まとめ
以上がサラリーマン特急新形式リーディングのレビューになります。
本書の特徴について最後にまとめると,以下のようになるでしょうか↓↓
- 解説が詳しく,解き方(攻略法)が学べる
- 和訳や語注は復習に便利
- 類題の解き方を通し,応用力がつく
- 150問ほどのミニ模試で実力を試せる
- スコア別に制限時間が設定してあり負荷が調節可能
音声のダウンロードももちろん可能で,パート7の内容を使えばリスニングパートのスコアアップも期待できます。
「特急シリーズ」はTOEIC対策本としては昔から売れ筋で,大学の生協にも並んでおり,2018年の段階で260万部突破の文字が見受けられました。
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本書を使って,パート5~7のスコアを一気に底上げしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!