今回はTOEIC Bridgeにおける「S&Wの解き方」についてみていきます。
前回,TOEIC Bridge L&Rの攻略法の記事を書きましたが,S&Wも同じように,各問題の構成と解き方について丁寧に解説していくことにしましょう!
なお,当記事にて使用する問題は,試験の運営元であるIIBCの公式サイトに掲載されているサンプルです。
以下で出てくる画像はあくまでその一部にすぎませんので,サンプル問題を実際に解きながら読んでいただけるとより理解が深まることと思います。
もくじ
TOEIC BridgeのSpeaking Testの解き方
まずはTOEIC BridgeのSpeaking Testの解き方から始めましょう!
問題数は全部で8問ですが,問題のタイプ的には6種類に分けられ,後に行くにしたがって徐々に難しくなっていくのが特徴です。
解く時間は15分ほどですが,制限時間が来ると次の問題が自動で表示される形なので,大きく差を付けられる時間配分のコツがあるわけではありません。
とはいえ,6つのタイプについて事前に深く学んでおけば,本番でも練習通りの調子で解くことができて,良い結果に繋がるでしょう。
Q1-2 音読問題
1つ目のタイプは音読問題です。
全部で2問ありますが,どちらも同じように解くことができます。
試験が開始したばかりは本調子ではないことがほとんどなので,この音読問題を上手に使って,英語脳に切り替えていきましょう!
問題は,上の画像で示したように,30~40語くらいの文章を声に出して読むといった内容ですが,準備時間が25秒,解答時間は30秒以内です。
Directions(指示文)の最初のところで,読むべき文章がどのような内容であるかを教えてくれるので,まずはそこをしっかり押さえましょう。

そして,25秒の準備時間中に行うものは,
- 読む英文の意味内容をチェックする
- 読むときの区切りをどうするか考える
という2点が大きなものとなり,カンマやピリオドによる区切り部分を中心に,イントネーションを上げて読むのか,または下げて読むのかを決めましょう。
発音については普段の勉強成果が出やすいため,実力以上の結果は出ませんが,もしもまったく読み方がわからない単語に出会ってしまった場合には,どう読むのかを1つ決めるようにします(間違っていても構いません)。
内容や意味ごとのまとまりで区切るスラッシュリーディングができる方は,音読する際の息継ぎは区切りごとに行うようにしてください↓
解答時間を目いっぱい使う必要はないですが,最初から最後まで一定のペースを貫くことが大切です。
Q3-4 写真描写問題
3問目と4問目は写真描写問題となります。
画面に写真が表示されるので,その内容についてできるだけ多くを話しましょう。
準備時間も解答時間も同じ30秒の全2問です。
自分が最もスラスラ話せそうな特徴だったり行動だったりを上手く選べるという要領の良さが結果を左右します。
これら問題に関しては,試験前に大いに対策できるはずで,服装の言い方について学んでおくことや話す順番について,自分なりの必勝パターンを作り上げておくことが有効です。
例えば,前者であればセーターやジャケット,メガネやサングラスの発音や言い方について,いくつかの解答例を予め学んでおくことができるでしょうし,後者は「まずは人数,次に髪型や服装,最後に動作を言う」などと決めておきます。
最初の音読問題と同様,こちらも,最初から最後まで同一のペースでしゃべることが大切です。
写真では目立っている箇所であっても,英語で上手く言えそうにない表現は避けましょう。
Q5 聞いたことを伝える問題
TOEIC Bridgeのスピーキングテストの第5問は,聞いた内容を第三者に伝える問題です。
問題数は1問のみで,準備に15秒,解答時間に30秒が割り振られます。
状況設定文(上の画像で言うYou are at a staff ~ makes an announcementの文)は画面上で確認できるところは助かりますが,実際に読まれる英文(70語くらいから成り,トークと呼ばれるもの)は画面には表示されないので注意してください。
つまり,トークは耳だけを使って聞き取るしかないということです。
その後,以下のような課題文が表示されるので,記憶を頼りに答えを作り上げます↓
解き方のコツとしては,トークで覚えている内容のうち,課題文の答えに使えそうなものをメモに書き出しておくと良いでしょう。
トークで語られた内容を1字1句変えずに言うと,文法のミスがなくなるので良いのかもしれませんが,細かく語るよりも,ポイントを簡潔に自分の言葉にして伝えることの方が重要です。
因果関係に注目したり,重要と思われる具体的情報(トーク内で繰り返されがちで,普通は2個あります)について正確に語ったりすることで高得点が取れます。
上の問題で言えば,後者は
- 会社の引っ越し先が中心街に見つかったこと
- 今月末に引っ越すこと
について述べるということです(下線部が具体的情報です)。
Q6 短い応答問題
スピーキングの第6問は短い応答問題となります。
状況設定と課題文の他に資料が表示されてくるのが特徴で,上のものだと,ピンク色のメモを見ながら,パーティーについて2つの質問をしてください。
上のメモは見切れてしまっていますが,
- 開始時間
- 持っていく食べ物
の2つについて尋ねればよいことになります。
しかし,メモされている英語は完璧な英文になっていません。
ゆえに,省略された部分を補って,しっかりとした英語を話しましょう。
1つ目の開始時間については,What time will the party start? などと尋ねることができるはずです。
それ以外に,相手への挨拶だったり別れ際の一言だったりも必要になることに注意してください。
準備時間は30秒,解答時間も30秒ありますが,長い時間話し続けることは求められていないので,必要な情報さえ伝えられればそれ以降は黙ってしまって構いません。

Q7 ストーリー作成問題
BridgeのSpeaking問題のQ7はストーリー作成問題となっています。
これは英検の面接試験でも取り入れられている形式で,写真描写問題が4つ並んだものよりも,より高度な英語力が試されるものです。
準備時間は45秒,解答時間は実に60秒もあるので,かなりの長時間,英語を話すことになります。
とはいえ,中心となる人物を決め,何をしたのか,各コマにつき1つ述べていくだけでも,結構な量を語ることになるので,そこまで怖気づく必要はありません。
メモにキーワードを書いておくと良いでしょう。
準備時間が余ったら,2つ目のキーワードを加えてみても構いませんし,実際に声に出して練習するのもOKです。
内容を面白おかしくするよりも,コマ間のつなぎ言葉(HoweverやAfter that,Soなど)を工夫する方が高得点に繋がりやすいように感じています。
より高いスコアを目指す方は,語彙力や構文力(文法力)を見せつけましょう。
Q8 アドバイスをする問題
スピーキングテストの最後は助言する問題です。
数は1問,準備時間と解答時間はどちらも60秒とこれまでで最大となります。
もっとも,状況設定文や課題文,さらには課題情報のすべてが表示されているので,英語の聞き取りに専念する必要はなく,ある意味,リーディング能力も問われるのが特徴です。
解答すべき内容は課題文に書いてあり,話す時間の多くを占めるのは,資料内容を適切に伝えることになります。
そのため,Q7の4コマ問題と異なり,自分で創作する作業はさほど求められません。
とはいえ,解答時間の最後20秒くらいは自分なりに考えた文にする必要があり,例えば上の問題ですと,賃貸物件のうちどちらか1つを選択し,それがどの点で優れているのかという理由を語ることが考えられます。
私でしたら,
家が駅から近いと楽だよ。
新しい物件の方がきれいで虫も出ないよ。
などと言うでしょう。
英語力に自信のない方は,これから自分が何を言うのかを相手にわかりやすく宣言してから話すように心がけてください。
- You have two options.
- I recommend ~.
- This is because ~.
これだけの工夫を凝らすだけでも,採点官は話す内容をグンと理解しやすくなるものです。
TOEIC BridgeのWriting Testの解き方
続いて,TOEIC BridgeのWriting Testの解き方をみていきましょう!
問題数は全9問で,問題タイプは5つになります。
後に行くほど難しくなるのはSpeaking Testのときと同様です。
とはいえ,形式としては写真描写問題やストーリー記述問題など,似たような内容のものが多く,これまで通りやっていけば大丈夫ですし,スピーキング対策がライティング対策にもなっています。
試験時間は37分程度に伸び,かつパソコンのキーボードを使った入力となるため,タイピングが苦手な人は普段のときからコンピュータに触れておくようにしましょう。
Q1-3 文を組み立てる問題
TOEIC Bridge Writing Testの最初の3問は,英文整序問題です。
いわゆる「英作文の初歩」とされる出題形式なのですが,文法力がないと解けませんし,大学受験でもよく出題されています。
与えられた全ての語句を使う必要がありますが,パソコン上での操作となるため,簡単に順番を入れ替えられてやりやすいはずです。
基本的には,わかるものから並べていき,余ったものをどの単語の間に入れればよいのか考えるのが,王道となる解き方と言えます。
例えば上の例ですと,What do you like?と並べてから,残ったmoviesとkinds ofをどうすればよいのか考えることになり,What kinds of moviesと繋がることがわかれば,正しい解答が導けるでしょう。
仕上げに,作った英文を通しで読んでみて,問題がないようであれば終了です。
この方法でほとんどの問題が解けますが,どうしても解けない時は,繋がると判断していた語句が別のものと繋がる可能性がないか疑ってみてください(難問だと,「have」と「to」の2つの単語が並べて置いてあり,すぐに「have to」と繋げてしまった結果,不正解となってしまうことがあります)。
制限時間は,準備と解答時間を合わせて60秒です。
Q4-6 写真描写問題
サンプル問題では,何やらスピーキング問題でも見たような写真がライティングのところでも出てきています。
ただし,ライティング問題ではこの写真の下に「woman」と「clean」などのキーワードが与えられているのが独特で,これらを必ず使って解答を作らなければなりません(形については,clean→cleaningにするなど,多少の変更が許されます)。
加えて,作る英文は1つにしなければならず,2文以上作った場合,1つは採点されなくなってしまうことに注意してください。
解き方ですが,与えられたキーワードをベースに考える必要があり,上の問題では,
womanを主語にして,cleanを動詞として使おう!
などといった方針が考えられるでしょう。
その後は,どんな場所をきれいにしているのか,どのような女性であるかなどの情報を付け加えてできあがりです。
もっとも,文の長さが評価に大きく影響することはありません。
複雑な文を書いた結果,文法的なミスを犯してしまうと,著しく評価が下がってしまいます。
- A woman is cleaning a room.
- The woman wearing a black jacket is cleaning the shelf with all-purpose cleaner in the morning.
という2つの文の評価が変わらないとしたら,みなさんはどちらを積極的に書きたいでしょうか。
多くは1つ目と答えるように思います。
ちなみに,写真描写問題の準備時間と解答時間は合わせて90秒です。
Q7 短文メッセージ返信問題
ライティングの7問目はスピーキングの6問目で見たような形になっていますが,若干の違いがあります。
まずは何と言っても準備時間と解答時間が計8分となっていることで,解答内容は圧倒的なボリュームです。
もっとも,ライティングの最後には長い応答問題が控えているということもあって,それと比べればこちらはまだかわいいもので,2つの返答要件をしっかり読んで解答しましょう。
どんなに内容が良くても,返答要件に沿った内容になっていなければ悪い評価が付いてしまうことには注意してください。
2分で準備,5分で書き上げ,最後の1分間で見直しをするなどと時間配分を行います。
公式の解答例を見ると,満点の答案として以下のものが挙げられていますが,これほどの内容は私でも書けるかどうか不安です(以下で使われているdoughとは「生地」のことです)↓
Q7の解答例(公式HPより引用)
That’s great! You should make pizza. I buy pizza dough at Joe’s Market and then I pick toppings that I want. So pick stuff she likes. Bake the pizza in your oven for 10 minutes or until dough is crispy.
ですが,この解答例から,「まずはリアクションする,You should~を使ったおすすめ表現,どこで買ったのかについて具体的に言及する,Bake ○○ in your ovenという表現を覚える」といった学びを得ることができるでしょう。
このような表現を実際に真似して使ってみることで,少しずつ自分なりの書き方が身に付くはずです。
実際にやってみると,以下のような答案が作れるでしょう↓
That’s nice. You should make sushi. There is a good supermarket near my house and you can buy a wide variety of fresh fish there. I will send you a good movie for making sushi later.
多くの解答例を真似してみてください。
Q8 ストーリー記述問題
ライティングテストの第8問ではブログの記事を作成します。
準備時間と解答時間を合わせて10分の中で,画面に表示された作成基準に従って80語程度の文章を作りましょう。
上の問題の指示では,解決した問題の内容と手段について尋ねられており,人物と場所,行動と感情の4つを含めることが作成基準となっていますが,これら基準に関しては本番でも変更ありません。
5W1Hに気を付けて文章を作成し,最後に自分の感情について述べるようにすれば,自ずと良い答案が作れると思います。
文法やスペルミスや時制といったケアレスミスを見直すための時間を作るようにしますが,それ以上に余った場合は,詳細を付け加えることも可能です。
全くの創作で書くこともできますが,自分の身の回りで実際にあったことの方が良い結果に繋がりやすいので,できるだけそちらの方面から書くネタを探すようにしましょう。
上の問題の解答例では,
アルバイトをオンラインや新聞で探しても見つからなかった(問題)が,友だちに尋ねてみたら運良く仕事が見つかった(解決策)。これからは,友だちや家族にまず尋ねてみるようにしたい(感情)。
のようにまとめられていました。
大変わかりやすい内容です。
ですが,これも,メモする段階ではおそらく,
- アルバイトが見つからない→友達に聞く→見つかった→人に聞くのが一番
程度のものだったことでしょう。
しかし,いったんこのようなメモさえ書くことができれば,あとは自分が書きやすい表現を選んで英語にするだけです。
くれぐれも,いきなり書き始めることのないようにしてください。
Q9 長文メッセージ返信問題
TOEIC Bridge Writing Testの最後の問題ではEメールを読んで,返信文を書きます。
準備・解答時間は前の問題と同じく計10分で,問題数は1問です。
まずはEメールの内容を読んで理解するところから始めます。
質問が複数個あるのですが,それらすべてに答えなければならないことを覚えておきましょう。
上の問題ですと,
- 何歳から仕事を初めて,何歳に引退するのか
- 将来良い仕事に就くのに,どのような教育や訓練が必要か。そしてその理由はなぜか
について返信しなければなりません。
そうなると,メモには,
- 大学を出た20代前半で仕事に就き,60歳くらいで引退する人が多い
- 学位の他,ICTに関するスキルが必要。仕事でPCを使うし,専門知識は重宝されるから
などと書くことになるでしょう。
もちろん,学位=degreeを知らなければ,advanced knowledgeなどと書くことになるでしょうし,抽象的に「コンピュータ関連の知識」と書く代わりに,「PCを使ってレポートを書いたり表や図を作成したりする能力」と言った具合に具体的に書いてみるのも有効です。
Eメールなので,「Dear ○○,」と書き出し,「If you have any questions, please call me at XXX-XXXX」などと文末を工夫することが考えられますが,これらを省いて内容だけ書いても満点を取ることはできます。
なので,First, Second, because, Soといった論理展開を示す言葉を適切に使い,説得力のある文章を書くことを最優先に心掛けてください。
まとめ
以上,TOEIC BridgeのSpeaking & Writing Testsの解き方について,問題のタイプごとにまとめてきました。
採点スケール(いわゆる最高得点のようなもの)については触れていなかったので,ここで言及しておくと以下の通りです↓
TOEIC Bridgeの採点スケール
スピーキングのQ1~Q6:0~2
スピーキングのQ7~Q8:0~3
ライティングのQ1~Q3:0~2
ライティングのQ4~Q8:0~3
ライティングのQ9:0~4
これらを素点として足し合わせた後,統計処理をしてそれぞれ15~50点の1点刻みでスコアが出てくることになります。
なお,TOEIC Bridgeは通常のTOEICへの橋渡し的な役割もあり,実際,TOEICのS&Wの解き方の記事を読んでもらうとわかりますが,その試験のための準備段階としても使える出題内容です。
いずれにせよ,本テストのための対策を通して身に付く技能は,英語でのアウトプットをする際に重宝するものばかりだと理解しておきましょう。
一般的に「初心者向け」と言われているTOEIC Bridgeですが,テスト内容は決して簡単なものではなく,社会に出てからの実用性にも優れた良質なものに仕上げられていることが,今回の記事を通しておわかりいただけたのではないかと思います。
英語4技能が注目されている現代なだけに,周りをみれば多くの優れたテストがひしめき合い,このTOEIC Bridgeが優先的に選ばれる場面はまだまだ少ないでしょうが,それでも,本腰を入れて勉強するだけの価値が大いにあるテストの1つであることは確かです。
実際にテストを受けにいくかどうかはさておき,英語のアウトプット力を伸ばしたいと思っている方は,過去問を解いてみたり,以下の公式本などを用いて勉強してみたりすることをおすすめします↓
最後までお読みいただきありがとうございました。