今回はZ会から出版されている「ビジネス英語を磨く英文法Smart Reference」についてレビューしていきたいと思います。
本書はビジネスシーンで英語を話したり書いたりする必要がある方に向けた一冊ですが,いくら自分が英語ネイティブではないとはいえ,相手を不安にさせてしまうような物言いをしてしまうようでは,印象が大事なビジネスの付き合いですから問題です。
日本語では入社時にあれだけ敬語のテスト結果を気にしたにもかかわらず,それが第2言語となった瞬間に気持ちが緩むようでは,良い結果を生むはずもありません。
できないなりにも,上達する努力はすべきでしょう。
本書はそんな取引先との関係性を重んじるビジネスパーソンが,文法をより得意にし,自信を持って正しい英語を話せるようになることを目的としています。
一体どのような特徴があり,学び終えた後には何ができるようになるのか,早速レビューしていきましょう!
英文法Smart Referenceの特徴
タイトルが「Smart Reference」となっていることからもわかるように,本書は検索性に優れた,ビジネス英語のための文法書です。
収録されている1,000もの例文と照らし合わすことで,自分の英語が正しいのか簡単に確認できることが最大の特徴となります。
なお,英文法Smart Referenceにおいて重視しているのは,具体的な英文を覚えることよりも,それを支配している「ルール」の方です。
ルールを覚えるからこそ応用が利きやすく,「文法の取り扱い説明書のように何度も参照しているうちに,自然と正しい英語を使いこなせるようになる」というのが本書の描く理想的な展開でしょう。
なお,ロイヤル英文法や英文法解説といった本格的な文法書ではなくあえて本書を選ぶ理由として,実践的な文法知識のみに絞っているという点が挙げられます。
例えばこれは本書と英文法解説を比較したものですが,whetherとifの解説においては,解説にこれだけの違いがあります(赤枠内のものが本書における説明で残りは後者の該当部)↓↓
「ビジネスパーソンとして恥じない程度の努力というのは,本書に書かれている内容だけは最低限できる状態にしておくことである」などと割り切って勉強してみるのもよいことではないでしょうか。
とはいえ実際に読んでみると,「これのどこが最低限なんだ!」と感じる方がほとんどだと思います。
特に英語を専門に扱うわけではない人にとっては,例文と解説がビジネスで使う英文や内容になっている本格的な文法書だと考えてください。
ちなみに本書はTOEICスコアにして470点(準2級)以上ある方を想定しているので,高校2年生くらいの英語力は取り戻しておく必要があります。
学校で習った英語からすでに怪しいという方は,まずは別の教材で中学範囲をやり直してから,本書に進むようにしてください。
本書の使い方について
本書の使い方ですが,基本的には参照型の参考書となります。
いわゆる辞書と同じ分類になりますが,何か調べたい事柄があって,目的のものを探し出すことを繰り返すことで,自然とビジネス英語ができるようになってくるというわけです。
例えば英和辞典だと知りたい単語をアルファベットで検索し,その意味を見つけるしか方法はありませんが,本書では4つの検索方法が利用できます↓↓
- 目次
- キーフレーズ例文検索
- 文法用語索引
- 英文語句索引
目次
目次では,本書で扱うすべての文法項目を確認できます。
最初のうちは,これらを見たところで何が書かれているのか浮かばないものも多いと思いますが,本書を参照した回数が増えてくるにつれて「ああ,こういう内容だったな」と見出しだけでわかるようになってくるはずです。
最初から目次を検索のメインとして使うことはないでしょうが,例えばざっと眺めてみて,日頃から気になっていたようなことがあればそれをチェックしてみるような使い方も考えられます。
Tipsにもなかなか面白い内容が書かれていて,これは「代名詞」のチャプターに書かれていた内容です↓↓
こういった内容を少しでも「楽しい,なるほど」と思えた方には本書が向いています。
キーフレーズ例文検索
本書で最初から使いだせるのは,やはりこの「キーフレーズ例文検索」でしょう。
1,000の例文を15のカテゴリに分け,簡単に目的の例文を探し出すことができます。
カテゴリーには日常会話も含まれますが,ビジネスで行うものが中心です↓↓
依頼する・感情を伝える・許可する・指示する・質問する・謝辞を述べる・紹介する・助言する・提案する・評価する・意見を述べる・事実を述べる・状況を報告する・予定を伝える・日常会話
例えば,「意見を述べる」というカテゴリーから例文を検索してみましょう。
まずはページ左下にあるカテゴリを見つけ,該当ページに行きます。
するとこのような日本語が並ぶので,目的の日本語表現を探しますが,ここでは「必ず」という3つ目の見出しにある最初の文章を選んだとしましょう。
「助動詞243」と書いてあるので,助動詞という文法項目に該当し,243ページを開けばよいことになります↓↓
ページの上部に該当の例文を見つけることができましたが,文法的にはwillを使えばよいことの他,95%以上の確率でそうしようという強い意志があるときに使うことや,短縮形を用いずに強く発音することまでも学ぶことができました。
文法用語索引
「文法用語索引」では特定の文法用語から,該当する解説や例文を探すことが可能です。
例えば「格」という文法用語について学びたいと思えば,90ページに飛べば3つの格変化(主格・所有格・目的格)がまとまっています↓↓
中々に使う機会は限られますが,他のビジネス英語の本で学んでいる際に,こういった文法用語が出てくることがありますので,意味確認をするために参照する方が多いのではないでしょうか。
英文語句索引
特定の英文語句について用法を調べたいときは,巻末にある「英文語句索引」を利用しましょう。
例えば「as far as」について調べると,節の挿入の説明のところに該当語句が出てきました↓↓
この場合も「話の流れの中で個人的な意見であることを示す際に使う」といった解説があり,ビジネスシーンを想定したものになっている特徴を感じ取ることができます。
まとめ
以上,Z会編集部から出版されている「ビジネス英語を磨く英文法Smart Reference」のレビューでした。
理想は最初から最後まで一通り内容を読み終えてしまうことでしょうが,それはある程度本書を参照してからでも遅くありません。
最初のうちは「キーフレーズ例文検索」にある表現内容を見つける使い方を中心に,使える表現を1つずつ増やしていきましょう。
「目次」や「英文語句検索」を使って,気になったものについて調べてみるのもよい心がけです。
もちろん,本書で土台固めをした後で,より本格的な文法書に取り組むという選択肢も考えられます。
とはいえ,ビジネス英語で高めるべきは文法力だけではありません。
それこそEメールの書き方から類語表現の使い分け,はたまたより自然な英語表現や専門用語を学ぶ必要があると思います。
同じZ会編集部の参考書を候補に入れつつ,苦手だと感じる分野から英語力を高めていきましょう!