今回ですが,Z会のビジネス英語シリーズから「英文ビジネスEメール実例・表現1200」をレビューしてみようと思います。
Z会の通信教育の方にかつて同名の講座があったのですが,そこに寄せられた受講生の1600件もの答案を分析した結果を「的確なアドバイス」として加えて誕生したのが本書です。
すでに英会話Quick Responseを終えていることを前提に話を進めていきますが,本書は一体どのような使い方ができるのか,そしてどのような特徴があるのか,1つ1つ丁寧に取り上げていくことにしましょう!
目次
英文ビジネスEメール実例・表現1200とは
ビジネス英語を学ぶ上で身に付けるべき内容の1つに「Eメールの書き方」があるのですが,本書は初中級レベル(TOEIC470点,英検準2級程度)以上の方を対象に,英文メールの書き方を学んだり表現の幅を広げたりする際に役立ちます↓
本書の説明によれば,仕事の流れや場面別に約100の実例を示し,数にして1200を超える例文を収録しているとのことで,最初から最後まで1つ1つ暗記していくような学び方もできますが,使い方はその限りではありません。
自分が今書きたいメールの内容に即した文例を見ながら,必要なものを拝借しては,その作業を繰り返していく中で自然と使える表現を身に付けていくといった使い方もできるでしょう。
なお,具体例ばかりが載っているわけではなく,「Eメールの書き方」のような日本語によるしっかりした解説もあるので,自己流のみで書く場合に比べて間違いが確実に少なくなることが予想されます。
初版は2009年に出版されたようですが,そのときはまだZ会の通信教育で培った指導ノウハウは追加されておらず,現在販売されているのが2015年に出た改訂版となりますので,教材の質がぐっと向上していたことは明らかです。
実際,過去に「英文ビジネスEメール」という講座があり,そこでのテキストでも本書が使用されていましたが,その場合の料金は添削10回の3ヶ月コースで27410円していました(テキストを付けると29500円)。
今はAsteria for Businessが月額4900円~利用できるので,そちらに統合されましたが,総合的にビジネス英語力を伸ばすのではなく「書く」練習だけをしたいのであれば2090円で買える本書だけで十分ですし,少なくとも,オンライン教材で学ぶ前にまず最初に本書で学んでみるというのは十分にあり得る選択です↓
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Asteria for Business
今回ですが,Z会のビジネス英語シリーズから「英文ビジネスEメール実例・表現1200」をレビューしてみようと思います。 Z会の通信教育の方にかつて同名の講座があったのですが,そこに寄せられた受講生の16 ...
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英文ビジネスEメール実例・表現1200の目次ですが,12章ある大見出しの中から自分の知りたい例文を見つけていく使い方ができます↓
大見出しをすべて書き出してみたので参考にしてください↓
問い合わせ→見積もり,注文→受領,支払い,契約,依頼・申請,会議・イベント,アポイントメント,出張,クレーム,案内・通知,社交のあいさつ,その他
ところで,本編前にある「英文ビジネスEメールの書き方」をよく確認してみると,16ページもの紙面が割かれていて,導入部でありながらもかなりの役立つ情報が含まれていました。
さらに,上の画像では写っていませんが,本書の最後には「目的別表現索引」や「キーワード索引」もありますし,なんなら収録されている例文を閲覧したり検索したりできる特設サイトまでもがインターネット上に存在するので,思った以上に使い勝手は良さそうです(これらについては後述しています)。
それでは次章から,本書の特徴についてみていきましょう!
ビジネスにおけるEメールの書き方が学べる
本書では,ビジネスEメールの形式面での約束事について学ぶことができます。
具体的には,すぐ上で述べた「英文ビジネスEメールの書き方」という導入部分の話になるのですが,件名の付け方から始まり,好印象を持たれるメールの書き方が構成要素(宛先,件名,添付ファイル,頭語,本文,結語,署名)ごとにまとめられていて,日本人としかやり取りをしてこなかった方は,海外のビジネスルールから学べるところも多いでしょう。
これは英語に限りませんし,国内向けのメールを書く際にも参考になるはずです。
メイン部分ではない導入ページですらこれだけ充実している本書ですが,全部で309ページのボリュームを誇り,1つ1つの解説が充実しています。
この導入部の中では「本文」の項目のところで,
- 1行あたりの文字数や改行の入れ方
- 「書き出し・主文・結び」といった3部構成
- 文化の違い
について学ぶことができるので,それだけでも書く方針が定まって,本書を買って良かったと思うことになるでしょう↓
個人駅には具体例が多いところが気に入りました。
なお,ここに記載されているルールに基づいて,この後の本編の解説がなされることになるため,十分に理解してから先に進むようにしてください。
前提となる知識として,中学英文法を学び直していたり英会話Quick Responseを終えていたりすると取り組みやすくなります。
場面ごとに正しい英文の書き方を学べる
続いて本編の内容に移りますが,場面ごとに正しいEメールの書き方を学べるところが本書の魅力です。
上の画像では,他社のウェブサイトで気になる商品を見つけた場合にその資料を請求するときの英文が提示されていますが,「自分の状況を伝える」ことと「丁寧にお願いする」という2つのポイントに関して,ヒントとなる例文や表現と共に確認できます。
私はZ会シリーズ以外の教材でもビジネス英語を学んだ経験がありますが,今回新しく学んでみて,ビジネス英語で学ぶべき特有の表現は確かに存在するものの,その数は限られていることに気付かされました。
本書と同じ指摘は別のどこかで受けたことがありますし,丁寧な表現をするためのルールに関しては特に数が少ないように感じます。
それなら,短期間でパッと学んで身に付けてしまうことも十分可能でしょう。
ちなみに,間違い例として添削されている内容は細かいところまで指摘されていて,自分もうっかりやってしまいそうな誤答ばかりで凹むときもありましたが,本書のようなものを1冊やるとやらないとでは書くことになるEメールの出来も大きく変わってくるはずです。
思えば大学受験用のZ会の英作文の参考書も生徒の答案の添削を通して書き方を学んでいくスタイルでした。
独学していては気付けないような学びがたくさんありました。
本編のところで良かったのは,前章で学んだ書き方のルールに則って,例文が複数載っていたところです↓
英作文は英借文とも言われますので,まずは表現を真似することから始め,段々と自分の形を身に付けていきましょう!
右下には語彙のコーナーがありますが,1つのシーンで約5個の表現を学ぶと仮定すると,本書だけでも500語以上が学べることになります。
deal in(を扱う)やabove-mentioned(上記の)といった頭に浮かびにくい表現が,英文とリンクして出てくるので覚えやすいです。
なお,ビジネス英語で使われる単語を学ぼうと思ったら,同シリーズのWord choiceを使ってみてください↓
辞書的にも使える
本書は,今まさに使いたい表現を探したい場合においても使うことができます。
1つ目の方法としては「目的別表現索引」を使うことで,上記画像に示したものがそれですが,「意見を述べる」であったり「依頼する」といった目的ごとに数十もの例文が並んでいるため,そのまま借りてきて使うことが可能です。
2つ目の方法として「キーワード索引(いわゆる日本語から英単語を探すもの)」の利用が考えられますが,これについてはZ会の特設サイトを利用する方が便利かもしれません。
特設サイトのURLは書籍内に載せられていますが,「応募」という単語で検索してみるとapply forやsend inといった動詞の他,applicationのような名詞形がヒットしました↓
このような具合で,ページごとに収録されている全例文から「Ctrl+F」のコマンドを使って該当の単語なり表現なりを検索できるので,パソコンの画面の端に開いておけば,必要に応じてコピーペーストする使い方ができます。
まとめ
以上,Z会編集部による「英文ビジネスEメール実例・表現1200」のレビューでした。
索引も含めると全部で316ページもある本書ですが,机の傍らに置いておいて事あるごとに参照するようにしていると,立派な内容のEメールが自然と書けるようになっていきます。
本書に載っていない表現を作り出そうと思えば,果たしてその英語が正しい表現かどうかの判断を自らが行う必要が出てきてしまいますが,本書の導入部で学んだ基本方針をふまえ,本編でよく使われる語句を中心に書くことによって大きな間違いに至るリスクを極力減らすことができるはずです。
なお,Z会のビジネス英語シリーズは本書のみで終わりではありません。
これからレビューしていく同シリーズの参考書の中には,類語や類似表現が数多くまとめられていたり,より複雑な文章を書けるようになるための文法講座の本なども含まれます。
また,最初に述べたように,オンライン教材であるAsteria for Businessも利用できるわけですから,次の段階として,本書で学んだ方針を元に,より応用的な知識を身に付けることを心がければよいだけの話です。
本書は入門書的な位置づけであるだけに,その分役に立つ場面も多いと思われます。
仕事でEメールを書く必要のある方は是非使ってみてください↓
最後までお読みいただき,誠にありがとうございました。