以前,金のフレーズをレビューしましたが,今回はその姉妹品であり,より基礎的な位置づけとされる「出る単特急 銀のフレーズ」についてみていきたいと思います。
基本的な特徴には何があり,一体どのような勉強法でもって学んでいくことになるのでしょうか。
「基礎的な」と言っても,扱う単語レベルが簡単めなのか,使い勝手が初心者的にわかりやすいものなのか,はたまた解説がより丁寧になっているものなのかわからないわけで,ちょうど手元に金フレも銀フレもあるので,両者を比較しながら違いについてみていくことにします。
もくじ
銀のフレーズの特徴

基本情報
名称:TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ
著者:TEX加藤
価格:979円
ページ:280ページ
出版年:2018年2月
音声:ダウンロード
出版社のHPからダウンロードできますが,スマホで音声を聴きたい場合には,abceedを利用してください。
本書は,現時点でのTOEICスコアが300~500点の読者を想定しており,目標は600点となります。
このとき,
1冊やり終えるだけで初心者がいきなり900点くらいパッと取れる単語帳はないかな。
と夢見がちですが,それだと辞書的なものを覚えることになってしまうわけです。
そのような学びは現実的ではありませんし,逆に簡単に高スコアが実現できてしまうようでは,TOEICを受ける価値はなくなってしまうでしょう。
小学生にいきなり高校内容の授業を行っても理解できないように,段階を踏んでステップアップしていくことこそがTOEIC攻略の最短ルートです。
特に,この銀のフレーズには,本番によく出る基本単語が多数収録されているので,知らないものがあれば真っ先に覚えなければなりません。
なお,ただ単語の意味を言えるようになるだけでは不十分で,単語を見てから意味が頭に浮かぶまでの時間を短くすることで問題を解くスピードが上がり,結果的にPart1からPart7までの全体的なスコアアップが期待できるというわけです。
TOEICをこれまでに受験したことがない方や中学英語からやり直そうと思っている方は,銀フレから始めましょう!
収録語数は,金フレの時と同様に1000語程度となっていて,その出典として,
- 中学校の教科書
- TOEICの公式教材
- 著者が受験した際の独自データ
- 金のフレーズの掲載語
が挙げられています。
中学英語が学力の土台になることは明らかですし,公式教材に出てくる単語は,TOEICの開発元が
これが公開テストで問われる語彙レベルだよ。
と教えてくれているようなものです。
加えて,著者のTEX加藤氏が100回もの受験を通して書き留めた独自データも利用されており,こちらは実際の公開テストの難易度をよりよく反映したものだと言えるでしょう。
ただし,最後の1つについては疑問に思う方が出てくるかもしれません。
銀のフレーズには,先に発売された金のフレーズから,重要度が高いとされる500語程度が再収録されています。
なので,正直私も,
これだけダブリが多いようでは,金のフレーズと内容にほとんど変わりはないのでは?
と最初は戸惑ったものです。
しかし,実際にやってみると,単語自体は同じであるものの挙げられているフレーズが異なっているため,銀フレと金フレの2種類のフレーズを通して同一単語を学ぶことで,重要語をより深く理解できることがわかりました。
それでは次章で,金フレとの違いについてみていきましょう!
銀フレと金フレの比較

銀と金のフレーズを比較してみると,以下のような違いがあります↓
| 銀のフレーズ | 金のフレーズ | |
| 収録語数 | 重要語を1000語 | 発展語を含む1000語 |
| 目標スコア | 600点 | 600~900点 |
| 対象者 | 初心者 | 初心者~上級者 |
仕様については,レイアウトから価格にいたるまでの多くが共通で,違いとなるのはほとんど内容面でした。
より丁寧な解説であったり,基本語の収録が多いと感じるのが銀のフレーズです。
目次を比較してみると,このようになります↓

もっとも,左が銀,右が金のフレーズのものですが,題名の付け方に違いはあるものの,どちらも難易度の低いものから高いものへとステップアップしていく順番になっているところは変わりません。
ただし,メインコンテンツの合間にあるSupplementにおいて,
- 設問に出る単語・表現(いわゆるパートごとの指示に出てくる語句の意味をまとめたもの)
- 注意すべき日常単語(家電や日用品などの単語とその和訳)
が銀フレにのみ見られるなど,同じ補足であっても内容には違いがみられます。
その他,例えば「前置詞,接続詞,接続副詞」のところで,銀のフレーズの方が基本語の収録が多かったです↓

右側の金のフレーズでは,TOEICの中~上級者ならばわかっているであろう単語(during,throughout,withoutなど)は省かれており,より高得点を取るのに特化していると言えるでしょう。
とはいえ,「部署・職業名」のように,収録語にほとんど違いがないものもあったので,銀と金の両方の単語帳を持つとなるとやや損した感があるのは確かです。
銀のフレーズの勉強法

銀のフレーズには勉強法についてのページがあります。
このような記述は金のフレーズにはなかったので,どのようなペースで学んでいけばよいかわからない初心者の方は大変ありがたく感じられるでしょう。
紹介されていた勉強法についてまとめると,
- 週に100語ずつ覚えることを基本とする
- 毎日100語に触れ,同じ週であれば翌日も同じ100語を扱う
- 最初の5日は左ページを読むことに専念する
- 残りの2日は,赤シートで右の日本語部分を隠してチェック
- 次週も1~4の作業を繰り返し,先週分の音声も通しで聴く
となります。
これらを,実際のページを使って確認してみることにしましょう!
最初の5日間ですが,左ページにある日本語とフレーズのみを学ぶようにします↓

1日分のノルマは100語ですが,上の見開きだけで10語あるので,これを10回めくった量です。
このときのコツは,あまり欲張らず,左ページの内容だけに目を通し,さっさと終えてしまうこととなります。
右ページにある日本語訳は,6日目と7日目に初めて確認しますが,その傍に書かれた解説については,余裕があったら読むくらいのスタンスで構いません。
結果として,このサイクルを約2ヶ月(10週間)繰り返すことができれば,ほとんどの見出し語を覚えられるはずです。
上に挙げた10語は最も易しい「基礎の400語」に属するものでしたので,残りの難易度の単語についても紹介しておきたいと思います。
「頻出の300語」の例がこちらです↓

これがさらに「必須の200語」になると,さらに難易度が高まります↓

そして「発展の100語」ともなれば,かなり難しいと感じる方も出てくるのではないでしょうか↓

まとめ

以上,TEX加藤氏によるTOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズのレビューでした。
金のフレーズと比較もしましたが,違いは伝わったでしょうか。
日本人のTOEIC L&Rの平均スコアと目標点の記事で述べたように,600点というのは是非にでも超えたい1つの壁ですが,それに必要な基礎的な語彙力は,すぐにスコアとなって目にみえてくる類のものではなく,身に付けると知らず知らずのうちに全体的に効いてくるものです。
基礎の銀フレと標準の金フレのどちらを買おうか悩む方は,まずはこの銀のフレーズから始めることをおすすめします。
先ほど紹介した勉強法に従って,学習を習慣化さえしてしまえば,他の単語帳を用いて学習する際にもきっと応用できるでしょう。
1つだけ気になるのは「1日100語を学ぶ」というところで,どんなに手を抜いてやったとしても,勉強習慣が身に付いていない方にとってはかなり辛い経験になるだろうと感じています。
スタディサプリENGLISHのTEPPAN英単語のように,スマホのアプリでパッと学ぶことができるものもあるわけなので,導入前には是非色々と試してみてください。
銀のフレーズは以下のサイトで購入可能です↓
みなさまが目標スコアを突破できることを祈っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。