今回は,TOEICのリーディングセクション(Part5~7)の問題を集中して解きたい方におすすめの問題集として「精選模試リーディング」をレビューします。
本書の大きな魅力は収録されている問題量にあり,1冊で500問,シリーズをすべて揃えた場合には1,500問にまで達します。
どれほど問題数が多くても,質が伴っていなければ十分な成果は期待できません。
そこで,量と質の両方の観点から,本書で学ぶ価値があるかどうかを客観的に確認していきましょう。
現在1・2巻は新装版に変わっていますが,旧版から本文内容に変更はありません。当レビューの画像は旧版のものを使用しています。
新形式精選模試リーディングの構成

基本情報
- 書名:TOEICテスト新形式 精選模試リーディング(全3巻)
- 著者・監修:加藤優,野村知也,Paul McConnell(1〜2巻) / 小林美和,Bradley Towle(3巻) / 中村紳一郎,Susan Anderton(監修)
- 出版社:ジャパンタイムズ出版
- 発売時期:1巻:2026年5月,2巻:2026年5月(1・2巻は新装版),3巻:2020年7月
- 定価:1・2巻新装版:2,200円(税込)/3巻:2,090円(税込)
- 収録問題数:100問×5回分(計500問)
- 対象パート:Part5,Part6,Part7
本書は,問題編と解答・解説編の2つに分かれており,冊子自体も取り外して使える仕様になっています↓

別冊になっている方が問題編で,本体冊子の方が解答・解説編となります。
復習にじっくり時間をかける学習スタイルにおいて,この分離構造は最適の工夫です。
問題編には5回分の問題が収録されており,マークシートも同枚数が用意されています。
ただし,マークシートにはリーディングセクションの範囲しか印刷されていないため,姉妹本にあたる精選模試リスニングを併用する方は,200問揃ったものを別に用意する方が扱いやすいです。
リーディングとリスニングの2冊を合わせても計4,180円(税込)となり,問題数を考慮すると費用対効果は高いと言えます。
以下は本書の目次ですが,最初にリーディングの攻略法がパート別に載っているほか,解説の記述が充実しています。
正解の一覧や予想スコア算出表など,復習を助ける工夫が一通り見られます↓

各パートの解き方の要点が,具体的な数字を伴って簡潔にまとめられています。
模試を解き始める前の確認として目を通しておくと便利です↓

精選模試リーディングの使い方

精選模試リーディングの使い方ですが,まずは実際の試験と同じ制限時間75分で,100問を一気に解いていきます。
問題用紙やマークシートのサイズ感は本番とほぼ変わりません。
採点後は,付属の予想スコア算出表(画像右)を使って正答数に応じた具体的なスコアを確認します↓

他にも,一目で確認できる正解一覧(画像左)や,3回解き直すためのチェックボックスが用意されていました。
他の模試では予想スコアが幅を持った範囲で表示されることが多く,実力を細かく把握しにくい場合があります。
その点,本書は独自のデータに基づいて具体的な参考点数が提示されるため,復習後の伸びも比較しやすいです。
さらに,その統計データは解説の詳しさにも生かされており,多くの受験生が間違えやすいポイントを集中的に学ぶことが可能です。
これについては次章で解説します。
精選模試リーディングのパートごとの詳細
本書の解答・解説編には問題文も再掲されているため,別冊の問題冊子を開き直すことなく復習が可能です。
持ち歩いて勉強する際にも別冊を自宅に置いておける利点があります。
本のサイズが大きいため移動中の学習には不向きですが,机の上でじっくり見直す環境では非常に使いやすいです。
Part5
パートごとに解答と解説の内容を確認していきましょう。
Part5の紙面は以下のような構成です↓

すべての設問に実際の正答率が記載されているため,正答率の低い難問で失点した場合も,単なるケアレスミスなのか,時間内に見送るべき問題だったのかを判断しやすくなります。
時間配分を意識して難しい問題を諦める際にも,自分の判断が正しかったかどうかの客観的な目安になります。
さらに,不正解の選択肢がなぜダメなのかという理由についても丁寧に解説されており,自分が間違えた原因の特定に役立ちます。
これにより,自分が苦手とする文法事項を浮き彫りにできます。
自分の弱点を正確に把握できるため,別の基礎教材を使ってピンポイントで補強する計画が立てやすくなります。
Part6
Part6の解答・解説は,見開きで一目に対比できる配置に整えられています↓

左ページでは,本文と全訳を見比べながら誤読の有無を確認できます。
文章で使用された重要語彙も左下に整理されており,語彙の確認がスムーズです。
右ページには難易度や正解の根拠が記載されているほか,『990点講師の目』というコラムにおいて,間違いやすい問題へのアプローチがさらに詳しく解説されています。
正答率が20~30%台の設問も散見されるため,問題の難易度は高いです。
しかし,本番より易しい問題で練習しても実戦対策にはならないため,この負荷の高さは上級者にとって有意義な練習材料になります。
Part7
Part7においても,3つの文章が連動するトリプルパッセージ問題を含め,英文と和訳の両方が見開きで確認できる構成です↓

解説を読むためにはページをめくる必要がありますが,リーディングの失点原因の多くは本文の精読不足にあるため,全訳をじっくり確認できるこの配置に不便はありません。
Part7の設問にも個別の正答率データが記載されています↓

紙面には「これがエッセンス」というコラムが用意されています。
こちらはパート全体を見据えた学習アドバイスで,「設問に先に目を通してから解き始める」といった手順の提言は,実際の試験でも有効に機能します。
極端な難易度の偏りがなく,適度に手応えのある問題が含まれているため,本番に近い負荷での演習が可能です。
復習の際のアドバイスとして,本番と同様に解くときは書き込み禁止ですが,見直しの段階では教材に大いに書き込む方法をおすすめします。
本書の解説パートには問題文がそのまま印刷されているため,こちらに気づいた点や単語の意味を書き込んでも,別冊の問題冊子は綺麗なまま再利用可能です。
間違えた英文に解説内容を細かく書き込んでおけば,この解答・解説編が自分だけの非常に優秀な参考書へと変わります。
復習のときのワンポイント
丸付けで誤答が見つかった際は,すぐに解説を読まずにその問題をもう一度解き直してみてください。
そこで正解できれば,1回目は集中力の途切れや時間の不足が原因であったと判断できます。
再読しても答えを絞り込めない場合は潔く解説に目を通し,英文の構造を日本語訳で正確に把握します。
そののち,語彙の意味を確認しながら精読を繰り返してください。
すべての誤答を見直したあとは一定の期間を空け,最初から最後までをもう一度解き直します。
収録されたすべての英文の意味が迷わず把握できるかを確認していきましょう。
試験当日の朝にリーディングの文章を素早く精読して目を慣らしておくなど,5回分もの問題量があれば多様な活用が可能です。
まとめ
以上,ジャパンタイムズ出版から刊行されている,TOEICリーディングセクション対策の精選模試リーディングのレビューでした。
帯の記述にある通り,500問という問題量の充実ぶりはもちろん,解説には正答率データや正解の根拠が明確に示されています。
見開きを生かした質の高いレイアウトも兼ね備えており,非常に復習がしやすい模試教材です。
TOEICの指導に携わる講師陣が公開テストを受験し続けるのは,出題傾向や難易度の細かな変化を正確に把握するためと言われています。
公式問題集は最も信頼できる教材ですが,巻や回によっては,現在の公開テストより取り組みやすく感じることがあります↓
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公式問題集だけで練習して「時間内に解き切ることができた」と安心していると,本番の難化に対応できずに会場で焦る原因になりかねません。
その点,本書は最初から本番並みの負荷がかかるよう作られているため,時間内での正確な処理能力を鍛えるのに非常に効果的です。
公式問題集はリスニングも含んでいる関係上,模試2回分にとどまりますが,本書であれば5回分のリーディング演習の確保が可能です。
個別問題の詳しい解説が用意されているため,解き進めながら自分なりの手法を確立していく進め方が自然です。
特に,リーディングセクションの得点を底上げしたい方は,ぜひ手に取ってみてください↓
ただし,本書はあくまで実戦演習用の模試教材です。Part5の文法知識,Part6の文脈処理,Part7の読解スピードがまだ十分でない段階では,復習にかなり時間がかかります。
そのため,基礎に不安がある方は,文法書やスタディサプリENGLISHなどで解法の型を固めたうえで,本書を「時間内に正確に処理するための実戦演習」として使うと効果的です。
リスニング編と併用すれば,本番と同じ200問通しの演習も可能になります。
量と質を両方確保したい方にとって,精選模試シリーズは非常に頼れる選択肢です。