今回は,TOEICのリーディングセクション(Part5~7)の問題を集中して解きたい方におすすめの問題集として「精選模試リーディング」をレビューしていきたいと思います。
その魅力は何と言っても本書に収録されている圧倒的な問題量で,1冊でも500問,シリーズをすべて揃えた場合には1500問にまで達するわけです。
とはいえ,質が伴っていなければ,いくら数を解いたところで意味はありません。
そこで今回は,量と質の両方の観点から,本書で学ぶ価値があるかどうかについて考察してみましょう!
もくじ
新形式精選模試リーディングの構成

基本情報
名称:TOEICテスト精選模試リーディング(全3巻)
著者:加藤優・野村知也・Paul McConnell(1~2巻),小林美和・Bradley Towie(3巻),中村紳一郎・Susan Anderson(監修)
出版:ジャパンタイムズ
初版:2017年3月(1巻),2019年1月(2巻),2020年7月(3巻)
問題数:100問のセットが5回分の計500問
収録パート:5~7
価格:2090円
音声:出版社のHPを利用(abceedからも可能)
本書の構成ですが,問題編と解答・解説編の2つに分かれており,本自体もこのように分割できます↓

別冊になっている方が問題編で,本体冊子の方が解答・解説編となり,復習に時間をかけることがほとんどでしょうから,この形がベストでしょう。
前者には全部で5回分の問題が収録されており,マークシートも同枚数が用意されているので取り組みやすいです。
とはいえ,マークシートにはリーディングセクションのところしか印刷されていないので,姉妹本にあたる精選模試リスニングを併用する方は,200問揃った完璧なマークシートを別に用意する方が良いかもしれません。
余談ですが,リーディングとリスニングを合わせた模試が5回分で計4180円というのは,なかなかに値ごろ感があってお得です。
 
以下は本書の目次ですが,最初にリーディングセクションの攻略法がパート別に載っている他,解説量が充実していて,正解の一覧や予想スコア算出表など,あると助かる工夫も一通りみられます↓

リーディングパートの解き方のところで記事にしたような内容が,具体的な数字を伴って簡潔にまとめられているので,初めての方も安心して使用できるでしょう↓

 
精選模試リーディングの使い方

精選模試リーディングの使い方ですが,まずは制限時間75分(実際の試験と同じ長さ)で100問全部を一気に解くようにします。
問題用紙やマークシートのサイズ感は実際のものとほぼ変わりません。
 
続いて,丸付けの作業に移りますが,予想スコア算出表(画像右)を使うと,〇〇点のように結果がぴったりわかります↓

他にも,正解一覧(画像左)だったり,3回解くためのチェックボックスだったりを確認できるはずです。
模試の種類によっては,スコアが幅を伴って算出されてくることがあり(例えば,予想スコアが410~450点となるなど),参考になりそうであまり役に立たないことが少なくありません。
対して,この精選模試リーディングでは,監修者が学校長を務めるTOEIC専門校の受講生のデータを基にしているために,絶対的なスコアを1つ導き出せるというわけです。
さらに,その独自データはスコア算出だけでなく解説内容にも好影響を及ぼし,多くの受講生が間違いやすいポイントを集中的に解説できることに貢献しています。
これについて詳しくは次章で紹介しましょう!
精選模試リーディングのパートごとの詳細
この精選模試リーディングでは,別冊の問題を開くことなしに復習が可能です。
つまり,仮に持ち歩いて勉強する場合であっても,別冊部分は家に置いておけることを意味します。
大型本に当たるサイズなので車内での勉強にはあまり向いていませんが,復習がしやすいことは確かです。
Part5
ここからは,パートごとに解答と解説内容をレビューしていきますが,Part5はこのような感じです↓

正答率が問題ごとに記載されているので,低い正答率のものばかりを間違えていれば仕方ないと納得できますし,捨て問を設ける人であれば,自分の判断力の正しさが客観的に証明されるでしょう。
加えて,誤答に関しても解説がされていることが多く,自分が正解できなかった原因を解明する際に役立ちます。
結果として,自分が苦手とする文法事項を別の教材で復習するなどの対策が取りやすいでしょう。
Part6
次にPart6の解答・解説についてですが,レイアウトが見開き型になっていて見やすいです↓

左ページでは,本文と全訳を見比べながら誤解があった文章の有無を確認できますし,語彙が左下に整理されていて見やすいと感じるのではないでしょうか。
右ページにはPart5のときと同様,難易度や正解に至るための根拠などが記載されていますが,「990点講師の目」というコラムでは,受講者が間違いやすい問題の解き方がより詳しく解説されていました。
正答率が20~30%の問題がかなりあるので,Part6の難易度は高いです(適当に答えると正答率は25%になるはずです)。
しかし,実際のTOEICよりもずっと簡単な問題を出される方が困るので,この難易度はありがたく受け入れましょう。
Part7
Part7は以下のようなレイアウトで,トリプルパッセージを扱う内容であっても,英文と和訳の両方を見開きで確認することができました↓

もっともこの場合,解答と解説を読むためにはページを1つめくる必要があるわけですが,不正解の原因で最も多いのは本文を正確に読めていないことであるため,そこまで不便だとは思いません。
Part7においても,正答率が個別に書かれています↓

「これがエッセンス」というコラムがありますが,こちらは先ほどの「講師の目」とは異なり,そのパート全体に関する内容となっており,例えば,「設問に先に目を通してから解き始める」といった提言は,TOEIC本番で役立ちました。
この精選模試リーディングの難易度ですが,極端な問題の偏りはなく,適度に難しい問題が含まれていて本番さながらです。
 
とはいえ,難しい問題であっても解説を読みさえすれば,何らかの学びはあります。
例えば,マルチプルパッセージでは
こことここの情報以外に,この場所も参照すべきだったのか!
や,
この語句の意味を誤解してしまったので間違えたのか…
といった具合に納得でき,正解の根拠を見つける作業が得意になった気がします。
ちなみに,私からのおすすめの使い方として,TOEICでは問題を解く際は書き込み禁止ですが,自分で復習する際には大いに書き込みようにしましょう。
本書では解説の方にも同じ問題が印刷されているので,こちらに書き込みを行うことで,問題自体は再利用できます。
出来が悪かった問題については,英文に解説内容や単語の意味,はたまた自分が思ったこと(気づき)などを書き込んで持ち運ぶことで,問題が載っている別冊が立派な参考書へと変わるはずです。
まとめ

以上,ジャパンタイムズから出版されているTOEICリーディングセクション対策の決定版となる,精選模試リーディングのレビューでした。
帯にも書いてありましたが,問題数(量)が充実していることはもちろん,解説には正答率や根拠の提示がしっかり書かれており,復習時に使いやすいと感じるレイアウト(質)も兼ね揃えている模試だと思いました。
TOEIC教育に携わる講師たち(満点スコア取得者)が公開テストを受け続ける理由として挙げられているものに,出題傾向や難易度のズレを確認することが知られています。
当サイトでは,TOEICの運営元が出版している公式問題集についてもレビューしましたが,その問題の質は,最新版を使ったにもかかわらず,現在行われている公開テストに比べるとやや簡易なものになりがちでした(実際,その後に受けた本番よりも予想得点は高く出ていました)。
みなさんには,私のように公式問題集だけを解いては「時間以内に余裕で解き切ることができた」と安心し,試験本番に「全然できない」と焦る結末を迎えてほしくありません。
そうならないためにも,普段から本番の難易度により近い模試を解くことは理に適っている方法で,精選模試リーディングの問題傾向や難易度は公式問題集よりも本番に近く,大変好都合です。
公式問題集にはリスニングセクションも含まれている関係で,全部で2回分の問題しかありませんが,この精選模試リーディングでは5回分の問題を解くことができます。
特に,リーディングセクションの得点を底上げしたい方は是非手に取ってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました!