TOEICの運営(IIBC)は最近,集客や話題作りに力を入れているように見受けられます。
その努力は公式アプリのリニューアルであったり,TOEICグッズやキャンペーンの充実だったりに見て取ることができますが,今回紹介する「IIBC ENGLISH CAFE inメタバース」もこれまた画期的な取り組みの1つです。
メタバースはまだまだ世間の認知度も低く,活用方法についても模索段階にあるとは思うのですが,IIBCが新しいことにチャレンジしている姿勢は大いに評価できるのではないでしょうか。
それではまず,TOEICのメタバースで何ができるのかについてみていきたいと思います。
目次
メタバースとは
「メタバース(metaverse)」という単語ですが,あまり聞きなれない方もいると思うのでここで簡単に触れておきますと,meta+universeから成る造語です。
metaは「高次元の」などを意味し,universeは「宇宙空間」とか人の住む「世界」を指しますから,これらを合わせて「異次元的な空間」といった意味になります。
とはいえ一般的には,コンピューターが生み出す仮想空間のこととして使われる場合がほとんどで,利用者は各自のアバターを用いて空間内を自由に移動しては,他人とコミュニケーションを取ったり物を売買するなどして過ごすことができるわけです。
「メタバース」という呼び方については知らなくても,「仮想空間」だったり「VR」だったり,さらには「バーチャル空間」や「サイバースペース」だったりといった単語はこれまでに耳にしたことがあるでしょう。
これらは概ね,同一のものを指しています。
ちなみに,Facebook社は近年メタバースに注力しており,次世代のコミュニケーション用プラットフォームがこれになると考えていますし,教育界では学習のための相互作用のある環境を提供することが可能になるというのが共通理解です(参考:ウィキペディア)。
さて,今回紹介するのは「IIBC CAFE inメタバース」というものですが,その名の通り,TOEICを実施しているIIBCがサービスを提供する仮想空間となります。
そこでは,
- 英語学習者同士のコミュニケーションの場
- テスト前のモチベーションアップ
を実現することを目指しています。
このサービスが初めて登場したのは2023年3月8日のことで,併せて大型イベントが開催されました(後述)。
なお,冒頭に示した動画は国際宇宙ステーションのメタバースの例に登場してくるゴーグルは大掛かりなものでしたが,道具を使わずにより気軽に使えるものもあり,その規模はサービスによって様々だと言えます。
それではTOEICのメタバースの使い方はといえば,clusterというアプリをインストールして使い始められるものです↓
スマホでもPCでも使うことができますが,操作感や画面の大きさなどが変わることもあって,状況ごとに使い分けても良いかもしれません。
例えば,普段はマイクやカメラでコミュニケーションを楽しむことを目的としてスマートフォンを用い,イベント開催時はパソコンの大画面で確認しながら机でメモを取るといった使い方が考えられます。
clusterはアバターなどを作るのに多少時間がかかりますし,操作も最初は慣れないはずです。
事前準備はできるのですから,それをしておくことでIIBCのイベント参加時に余裕を持って行動できます↓
性別の他,姿形に服装などを複数パターンから選ぶことができます。
写真を顔代わりに出すアバターもあるので,各自色々試してみるのが良いでしょう。
ちなみに,clusterというサービスは何もIIBC ENGLISH CAFEのためだけに存在しているわけではありません。
むしろ他の世界の方が充実しているとすら言えてしまうほどです。
なので,興味があれば他のスペースやイベントを色々と覗いてみてください。
操作方法ですが,主に左側にある丸のところをいじって,アバターが進む方向を指示します↓
右下の矢印マークはジャンプで,手や顔のマークからジェスチャーができたりもしますが,これらについてはここで1つずつ説明していくよりも,実際に触って少しずつ慣れていくようにしましょう。
注目点としては,下部中央にあるマイクのところが自分の声を発するかどうかを決めているというところで,最初はOFFになっているはずなので状況に応じてONに変更してください。
とはいえ,イベント開催時に後から入っていくと英会話が急に聞こえてきては面食らったこともあるでしょうから,真っ先に覚えておきたいのは退室方法かもしれません。
これは,左上にあるメニュー(横棒線)から選択することが可能です。
一度押すと,アバターやアクセサリーの他,各種設定など幅広く行えるページになりますが,その右上にある「移動」のアイコンを押すことで退出が選択できます↓
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IIBC ENGLISH CAFE inメタバースで何ができるか
次に,IIBC ENGLISH CAFE inメタバースでできることについてみていきましょう!
先ほどIIBCがメタバースで実現したいことを2つ挙げましたが,再掲するとコミュニケーションとやる気アップのための場所を提供するということでした。
本メタバースで常時利用できるものとしては全部で以下の4つがありますが,最初の1つは主にコミュニケーション目的で利用でき,残りはやる気アップに繋がるものです↓
- ENGLISH onlyエリア
- ドリンクコーナー
- 自習スペース
- TOEIC L&R 目標宣言写真スポット
以下で目的別にみていきましょう!
コミュニケーションを取る
ENGLISH onlyエリアはメタバースに入ってすぐ左のところにあります。
英語での会話を楽しむための場所で,椅子やテーブルが置いてあるところに座り,同じ目的で来ている方たちとコミュニケーションを取りましょう。
実際は,マイクを使って話す練習ができる他,テキストによるチャットも可能です↓
話す内容はお互いが自由に決めればよいのですが,困った時にお題を提供してくれるガチャボタンといった仕掛けも一応用意されています。
ボタンを何回か押してみましたが,例えば,
- 行きたい場所はどこ?
- 最近はまっていることは?
- 趣味はなに?
- 苦手な食べ物は?
といったお題が出てきました。
「メタバース内では絶対に英語以外の言語はしゃべらない」などと決めて臨むのも大いに結構ですが,自分より初心者の方を相手にする際は特に優しく接するようにしましょう。
メタバース内での発言ですが,自分の会話が訪問者全員に聴かれるようなことはなく,あくまで自分の近くにいる人たち限定です。
このあたりの仕様についてはさすがのclusterといったところで,上手く作られていますね。
一案としては決めた時間に待ち合わせて,同僚や仲間たちとその日のできごとについて英語で語ってみるも良しですし,あえてイベント開催時の人が多い時間帯を見計らって,一期一会の出会いを楽しんでみるといった使い方もできるでしょう。
後者のイベントに関しては,次章の内容を参考にしてください。
やる気アップの場とする
TOEICのメタバース空間に入ってすぐ右にあるのがドリンクコーナーで,聞く・読む・話す・書くの4技能をそれぞれ表したL・R・S・Wのアルファベットが書かれた飲み物を手に取ることが可能です↓
とはいえ,ドリンクを飲むことでアバターに何らかの変化が起こったり,飲んでいるシーンを正面から撮影できたりはしません。
たまにTOEIC運営の中の人が店員に扮して現れることがあるようですが,もう少し目を引くギミックが追加されると良いと思います。
もっとも,上述したアルファベットの入った飲み物は持ち歩くことができるため,周りの学習者に自分がどのような勉強をしたいかという意思表示となりえるわけで,同じ目的の学習者が話しかけやすくなったりアドバイスを受けられたりといった機会を意図的に増やすことができるわけです。
なお,このドリンクコーナーに隣接するのは写真スポットで,TOEIC L&Rの目標宣言をする際,ここで撮った写真を添えてSNSで呟くことが推奨されています↓
ただし,スコアは990点のみに固定されていて,残念ながら自分で自由に変えることはできません。
ところで,受験者数に差があるからなのかはわかりませんが,L&Rばかりを特別視せず,S&Wの方も同じように脚光を浴びる日が来ることを望みたいものです。
TOEICのメタバースは貴重なコミュニケーション(アウトプット)の場として利用できるわけで,どちらかと言えばS&Wの練習がしやすいように感じるのですがどうでしょう。
本メタバースには2階もあるので上がってみると,自習のためのスペースになっていました↓
英語学習に取り組む人が集まる場所と言うことで,リアルなカフェや図書館の類だと思っておくのが良いでしょうか。
ひとまずここに座って相手が見つかったら1階に移動して話しあったり,誰かとの待ち合わせに使ったりすることが考えられます。
ちなみに,2階にあるコピー機は押すと応援メッセージが出る他,黒板には最新のニュースが掲載されていました。
IIBC ENGLISH inメタバースでのイベント
初開催のイベント
2023年の3月8日,この日はIIBC ENGLISH CAFE inメタバースオープン記念ということで,学生向けのイベントが開催されました。
時間は20時から22時までの2時間と長時間にわたるものでした。
場所は上述したcluster内にあるIIBCのメタバースにある大型スクリーン前です↓
さすがに開催中は撮れなかったので開始後の様子ですが,初めてということもあって盛況でしたね。
対象者はこれから就職準備を始める学生に限られていたのは人数が多すぎることを懸念してのものでしょうか。
その後のイベント内容をみるに特に年齢制限なく利用できているのであくまで私の推測にすぎませんが,メタバースを抵抗なく利用できるのは学生世代でしょうし,SNSで話題にしてもらいやすいことを考慮して,このような年齢層の募集となったのかもしれません。
さて,初回イベントの名称は「教えてセンパイ!就活でのTOEIC Tests活用と社会での英語の必要性は?」ということでしたが,特別ゲストになかやまきんに君さんをお呼びになるほどの熱の入れようでした。
このときの内容について簡単にみていくと,オープニング後は,就職でどのようにTOEICを利用したかを3人の大学生が語るところから始まります。
その後は,TOEICのリスニング問題にゲストも含めて一緒にチャレンジをし,テンションが高まった状態でなかやまきんに君さんが英語に対する思いを語り始めました。
最後は参加者も含めて記念撮影が行われ,あっという間の2時間だったように思います。
ちなみにですが,初回イベントにおいて,TOEIC公式によるみんなで模擬受験が限定復活となるキャンペーンが実施されました↓
この模擬受験,コロナ禍の際にお世話になった方は多かったように思いますが,またいつか別の物で開催してほしいですね。
不定期イベント
ちなみに,最近のメタバースではオフ会が開催されています。
ペースは不定期ですが,月に1回行われるということで,こうなったらIIBC側が人が集まるような日時を決めてやろうじゃないかという意気込みが感じられるものです。
2023年11月の開催時の参加人数は10人くらいでしたが,「ネイティブ講師がやってくる!」とアナウンスされていただけあって,会場につくと英語が早速聞こえてきました。
その他,大型スクリーンには役立つ表現例が示されていたり,IIBCからは名物(?)のアイ店長も参加されていたりしていて,特に何かを強制されることもないので(日本語で「こんにちは」とチャットが来るくらいですし),気楽に覗いてみてください↓
このときのルールとしては,
- 入場には人数制限がある
- ボイスチャットをする場合はマイク機能付きのイヤホンが必要
くらいでしょうか。
なお,時間は1時間となっていて,トークテーマがいくつか設定されているのが特徴ですが,別のテーマで話すこともできるので絶対ではありません。
例えば2023年12月に行われるものにおいては,以下の通りとなっていました↓
今後の開催日については,こちらのページにあるイベントを確認するようにしてください。
まとめ
以上,TOEICの運営団体によるIIBC ENGLISH CAFE inメタバースの紹介記事でした。
メタバースという名前に聞き覚えがなかった方も,当記事を読んだことで「clusterの空間内では何ができて,過去にどのようなイベントが行われたのか」などをある程度理解していただけたのではないでしょうか。
メタバース内でコミュニケーションが取れる場所としてENGLISH onlyエリアを紹介しましたが,話し相手がいてこそのアウトプットでもあるため,できるだけ多くの方が常駐するような空間になっていくことを期待しています。
そうした意味ではオフ会イベントの参加者が増えていくと良いですね。
加えて,やる気のアップに繋がるような内容やイベントがより充実し,日本の英語界におけるメタバースと言えば「IIBC ENGLISH CAFE inメタバースだ」と言われるような場所にまで成長することを心より願っています。
しかし最近はAIが頻繁に話題に挙がる時代なので,メタバースが流行るのもそれほど遠くない未来のことかもしれません。
最後までお読みいただいた方,大変にありがとうございました。