スタディサプリのTOEIC対策コースのアダプティブ講座ですが,パート別対策を目的とした使い方ができます。
AIが自分に適した難易度の問題を探してきてくれるだけでなく,同じ出題パターンの問題ばかり間違えていると,練習問題と講義動画をみるように復習を促すことまでしてくれる機能も搭載されている他,高速で多くの問題を解くことができる点も見逃せません。
後で比較していますが,これはパーフェクト講義や実戦問題集ではできないことです。
記事の後半では,アダプティブ講座の上手な使い方についても考えてみることにしましょう!
もくじ
アダプティブ講座とパーフェクト講義の違い
アダプティブ講座はTOEICのパート別に問題を解くことができるものですが,スタディサプリにはそもそも「パーフェクト講義」というコンテンツがあります。
パーフェクト講義では各パートの問題パターンを53個に分類し,それぞれの解き方について学ぶことができる他,パートごとの一般的な勉強法についての解説もあるという,総合対策を可能にするコンテンツで,最も有用なコンテンツであると言っても過言ではありません↓
TOEICでは出題形式に変わりがないので,本番の会場でどう解くかを前もってシミュレーションすることが容易とされています。
予め問題の指示内容を知っておけば,会場でdirectionsが読み上げられている間も質問や選択肢に目を通すことができますし,事前に問題を解く順番を決めておいたり,失敗を避けるための心構えについて知っておいたりすれば,間接的でありながらもスコアアップに役立つでしょう。
ゆえに,TOEICという試験について多くを知らない方(久々に受験するので新形式についてあまり理解していない方も含む)は,パーフェクト講義から始めることを大いに勧めます。
どのような出題であるかはすでに別教材で学んだ方や,実際にテストを受けたばかりの方であっても,パーフェクト講義にある関先生の講義動画を視聴することで,別の視点でTOEICを捉えられるようになるでしょう。
ただし,以下で紹介した関先生の著書である「世界一わかりやすいシリーズ」を読んだような方であれば,内容的にはほぼ同じですので,その場合はアダプティブ講座または実戦問題集を使って問題演習を中心に行うようにしてください↓
アダプティブ講座はパーフェクト講義と異なり,問題を解くことがメインです。
動画も弱点部分にのみ提示されてきますが,基本的には,問題を解いて間違えた部分があれば解説を読んで確認するにとどめ,実戦感覚を掴むことに専念することになります。
ゆえに,意識したいのはスピード感と集中力です。
多量に問題を解いているとどうしても雑な解き方になってきてしまうので,決めた回数が終わるまでは集中を切らさずに頑張りましょう。
これらコンテンツの大きな違いについてまとめると,以下の通りです↓
パーフェクト講義とアダプティブ講座の違い
パーフェクト講義:関先生の講義動画による丁寧な解説がある。単語学習やディクテーションにシャドーイングといった復習用のトレーニングが充実していてレッスン数は全150個。
アダプティブ講座:関先生の動画はあるが苦手部分のみ。解答と解説のみで復習機能はない。レッスン回数は無限(ただし問題数に限りあり)
アダプティブ講座と実戦問題集との違い
続けて,アダプティブ講座と内容が似通っている実戦問題集を比較してみましょう!
実は,アダプティブ講座の問題は実戦問題集の問題から取ってきているので,問題内容は同じです。
ただし,その出題のされ方が大きく異なります。
実戦問題集の場合,模試形式でまとめられた1冊ごとに問題を解いていくことになるため,パート1から順番にパート7までの計200問を順番に解いていくことになるわけです。
加えて,アプリ学習する場合には,いくつかの問題を解いて切りが良くなったタイミングで復習目的のトレーニングが入るので,1つの問題から多くを学ぶことができます。
解説用の動画を始め,ディクテーションやシャドーイングのトレーニングが用意されている他,誤答の選択肢の内容まで含めた復習が可能です↓
また,パーフェクト講義と同様,実戦問題集もテキストを別に購入することができるため,その場合は,時間を測って2時間ぶっ通しの模試として使うこともできます↓
英語の実力をアップさせられるだけでなく,本番での得点力も高められる実戦問題集に対して,アダプティブ講座は特定のパートに絞って,短時間で多くの問題を解くことができる点が特徴です。
例えば,同じパート2の問題であっても,実戦問題集では25問解いたらパート3の問題に移ってしまうわけで,また別の実戦問題集を使っても構いませんが,同じパートの問題ばかり解きたいのであればアダプティブ講座を使う方が賢明と言えるでしょう。
同じパート2対策としてアダプティブ講座を利用する場合,10問を1セットとして解くことになります↓
これは本番よりも少ない数ではありますが,程よい長さで学習を終えることができるので,私は学んでいて集中力が切れにくいように感じました。
なお,1つの問題が終わると次に解答と解説のページが1つあるだけで,時間がかかりがちな復習トレーニングは存在しません。
すぐに2問目へと移ることができます。
さらに,上の1セットを解き終わるとまた別のセットに挑戦できるので,延々とパート2の問題だけを解き続けることができるわけです。
しかも,そのときの問題は自分の実力に適した難易度のもの(ちょっと難しいと感じる問題)がAIによって自動で選ばれてくるとあって効率良い実力アップに繋がります。
このとき,15段階に分けられたランクによって問題セットが決定される他,これまでに解いたことのない問題が優先的に選ばれるという親切設計です。
本学習コンテンツは600点以上の中上級者を対象としている以上,問題量に関してはもっと難しい問題が増えると良いなと思いますが,実戦問題集NEXTも含めて全部で20冊あるので計4000問が用意されていることになります。

参考までに,3ヶ月間,スタディサプリに取り組んだ程度では,実戦問題集は5冊程度しか終わらないはずです。
アダプティブ講座が登場するまでは,残り約15冊の実戦問題集が使われないまま修了していたことを考えると,アダプティブ講座の存在意義は想像以上に大きいと言うことができます。
以下に違いをまとめましょう↓
実戦問題集とアダプティブ講座の違い
実戦問題集:パート1からパート7までバランス良く解くことが可能。復習用トレーニングで1問から多くを学べる。1冊あたりのレッスン数は全54個。NEXTを含めて20冊分の量がある。
アダプティブ講座:特定のパートのみを延々と学習可能。1度の学習時間は短く済む(パート1以外)。問題の難易度が自分に合ったものに変わる。
アダプティブ講座を行うのにかかる時間
ここでは,実際にアダプティブ講座で学ぶにあたって,パートごとにどのくらいの時間がかかるのか調べてみましょう。
まずパート1からです。
こちらは6問の写真描写の問題を解くだけ(とはいえ,本番と同様の問題数)なので時間はそれほどかかりません。
間違った場合は音源を聴き直すことになりますが,5~10分で学び終えられるでしょう。
次にパート2ですが,こちらは先述したように全10問です。
選択肢の数は3問ですが,問題数が多いのでパート1よりやや時間がかかり,8~15分くらいで終わります。
パート3と4にはどちらも2つの大問があり,それぞれに3問が付いてくる構成です。
本番の大問数はパート3が13,パート4は10あるので,1回の出題数はだいぶ少ないですが,理論上,100回くらい解けるくらい,数に余裕があります。
パート4の方が難しい問題が多いので時間も多くかかったものの,私の場合,ほとんどが5~10分で終わりました。
ここまではリスニングセクションでしたが,ここからはリーディングセクションとなり,パート5は文法問題です。
全部で10問があり,これは本番の3分の1の量になります。
加えて,1問につき20秒の制限時間が付いているためパッと答えを選ばなければならず,こちらも所要時間は5~10分程度です。
パート6と7は両者とも大問が2つあり,問題数としてはパート6が8問で固定ですが,パート7は4~10問と問題によってバラつきが見られます。
本章の最初の画像で示したように,問題数が10問もあるときは,素早く解いても解説を確認するのに時間を取られ,15分程度がかかりました。
あくまで私なりに使ってみた場合のデータになりますが,これまでに紹介した計測結果をまとめると,アダプティブ講座を1セット終えるのにかかる時間は以下の通りです↓
PART | 目安時間 |
1 | 5~10分 |
2 | 8~15分 |
3 | 5~10分 |
4 | 5~10分 |
5 | 5~10分 |
6 | 10~20分 |
7 | 10~20分 |
長くても20分みておけばどのパートの問題セットも解き終えることができるでしょう。
アダプティブ講座の上手な使い方
最後に,アダプティブ講座の上手な使い方について考えてみたいと思います。
全パートでSランク以上を目指す
試しに2セット分,全て「わからない」を選択してみたところ,1セット目は何もなかったのですが,2セット目の結果でランクが2つも落ちてしまいました(苦手な問題形式も見つかっています)↓
ここから元に戻すために,4セットは全問正解を続ける羽目になり,結構骨が折れました。
このように,ランクは上がるだけでなく下がりもするわけですが,アダプティブ講座で学ぶにあたっての基準として,「すべてのパートでSランクを取ると800点レベル」と書かれていたので,ひとまずこのランクを1つの目安として頑張ってみましょう!
体感上,ランクは81%以上の正答率で上昇する可能性がありますが,あくまで直近数十問の出来から総合的に判定されるので,上がらない場合もあります。
リスニングの再生速度を上げる
これはリスニングパートでしか試せない方法ですが,音声の流れるスピードを通常よりも高速にして聴くことで,より負荷を高めた状態で練習できます。

1.6倍などとした音声は,機械的に早められた感じに聞こえるものもありますが,スピードをこのように機械的に早くするトレーニング法は色々な語学教材で取り入れられている方法でもあるので,それだけ実力アップに効果的ということです。
特に高スコアを目指す方におすすめで,本番の音源が遅く聞こえる恩恵を受けられます。
実際の出題数を終えるまで止めない
短時間で集中を切らさずに終えることができるアダプティブ講座ですが,自分の身体に鞭打って長時間の集中を強いる環境を無理矢理作り上げることも可能でしょう。
これはつまり,本番と同じ長さ分だけは集中するという覚悟の表れであり,各パートの正規の問題数は1回で解いてしまおうという試みです。
以下に,実際の問題数にするために繰り返すセット数(アプリでは「学習回数」と表示)をまとめておくので参考にしてください↓
本番を見据えたパート別セット数
パート1=1セット
パート2=2.5セット
パート3=6.5セット
パート4=5セット
パート5=3セット
パート6=2セット
パート7=7.5セット
もちろん,パート1から7までを連続して上のセット数やるわけではありません。
あくまで,集中的に対策したいパートのみ,数セットを行うという意味です。
0.5セットというのは半端なので繰り上げるのが良いでしょう。
スピード重視の勉強法
もうお分かりかと思いますが,実戦問題集などをやっているときと同じ感じで学びたいのであれば,わざわざアダプティブ講座を使う必要はありません。
例えば,リスニングで何を言っているかわからないものや,論理的に答えの根拠を説明できなかった問題ものがあったときのみ,聞き直したり解説を読み直したりと時間をかけるようにしますが,基本的には必要なこと以外は飛ばすようにすることで,より短時間で多くの問題が解けることになります。
問題ごとに設定された制限時間は守るようにし,時間が来てしまったらその場で答えをマークするなど決めることで,自分の実力通りの判定が出てくるでしょう。

なお,スピードを優先するがあまり,リスニングの問題で答えがわかった瞬間にマークしてしまうと,その後の音源を聴くチャンスが失われてしまうのでお勧めしません。
たとえ,選択肢のAを聴いた瞬間に答えだと思っても,B以降の選択肢もちゃんと聞き取れたことを確認しましょう。
スピードは重視しつつも,本番でしないことは行わないのがコツです。
復習も考慮に入れた勉強法
本文をチェックして和訳までをチェックする作業は,スタディサプリではやりにくいです。
というのも,英文と和文を同じ画面内で見ることができないからで,他に過去の問題セットの音源をピンポイントで聞き直すようなこともできません↓
それならば,せめて単語くらいはメモしておこうということで,私は以下のようなまとめノートを作るように工夫していました↓
このとき,縦に揃えて書くことで手や紙で隠しやすくなります。
もし仮に同じ単語を間違えた場合には,再度ノートに残すようにするのがコツです。
苦手な単語は多くの回数をやり直すくらいがちょうど良いでしょう。
まとめ
以上,スタディサプリのTOEIC対策コースのアダプティブ講座が他の学習コンテンツと違うところや1回の学習にかかる時間の目安,そして使い方について紹介してきました。
本学習コンテンツはTOEICのスコアにして600点以上の中上級者向けですが,各自のペース次第で,その使い方は大きく異なるでしょう。
とはいえ,700点や800点を超えたい気持ちは誰もが持ち合わせているわけで,先述したように,高いランクを取るまで解き続けることが1つ客観的な判断基準になるので,是非ともSランク以上を目指して頑張ってみてください。
その際,アダプティブ講座ならではのスピード感を意識することは忘れないでいただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。