今回は,中村澄子氏による「TOEICテスト英単語 出るのはこれ!」のレビューをしていきたいと思います。
スコアアップに重要とされる1150語がパート別にまとめられている本書ですが,他の単語帳と比べて,どのような点が優れているのでしょうか。
実際に使いながら,感想の方,詳しく述べていきましょう!
もくじ
TOEICテスト英単語出るのはこれの特徴
基本情報
名称:TOEIC®テスト英単語 出るのはこれ!
著者:中村澄子
収録語:見出し語のみで約1150語
ページ数:283ページ
出版:2015年
価格:1980円
音声:ダウンロード可能
この英単語帳には,TOEIC教室を運営していて,自身も講師として活躍する著者が12年間集めたデータが詰まっています。
出版されたのは2015年の年始ということで,10年以上前のものになりますが,今でも新品が売られていることからもわかるように,TOEICの形式に関係なく,スコアアップに必要とされる頻出単語が数多く収録されているのが特徴です。
TOEICの問題は年々難しくなっていると言われますが,ビジネスにおいてよく使われる英語が対象となっていることに変わりありません。
形式が変わったからと言って,それまでTOEICで高得点を取れていた人が突然大きくスコアを落とすようなことはなく,同じ理由から,完成している本書に新たに手を加える必要はないわけです。
単語と一緒に収録されている例文は,公開テストでそのまま出題されてもおかしくない内容で,ビジネスシーンでも使いやすそうなものばかりに思えます。
TOEICのスコアアップに限らず,仕事で英語を使う機会がある方には特に受け入れやすい内容でしょう。
とはいえ,音声がアメリカとカナダの2ヶ国語での収録であるために,新形式の英語が4ヶ国語で話されていることを考慮すると多少貧相に映りますが,本書はあくまで単語帳ですし,リスニング対策としてまた別に一冊やるのが普通でしょうから,そちらを最新のもので対策すればOKです。
参考までに,音を使った学びが特徴のキクタンは4ヶ国語訛りに対応できています↓
次に本書の構成についてみていきますが,まず挙げておきたい点はパート別の構成になっているところでしょう。
全部で5章からなるのですが,「Part〇で出る単語はこれ!」という見出しが印象的です↓
頻度順や目標スコア別にまとめられている単語帳はよく見かけますが,パート別の単語帳はあまり見たことがありません。
当サイトでこれまでにレビューしたものの中では,TOEICの開発元が過去に出版したものくらいです↓
とはいえ,出版された順番で言えば本書の方が先となっています。
特徴の2つ目は,各パートにおいて,単語が出る順に配置されている点です。
簡単な単語から始めて,徐々に難しい単語が登場してくることで学習効果が高まります。
先述の通り,こちらに関しては「出る順」などの名を冠する単語帳で頻繁に目にするものです。
ここまでの内容をまとめると,本書はパート別で頻度順のハイブリッドな単語帳と言えるでしょう。
そして,先述の通り,各見出し語に付いてくる例文は良質なものです。
長さがどれも10語程度に抑えられているため,初心者や中級者が難しさのあまり集中力が切れてしまうことがなく,当然ながら,見出し語のニュアンスが理解しやすい内容になっています。
見出し語だけで1158語あり,派生語を合わせると1500語程度になる本書ですが,同じ単語が違うページで繰り返し登場してもくるため,良い復習になりました。
それでは次章で,実際の紙面をみながら,使い勝手についてレビューしていくことにしましょう!
TOEICテスト英単語出るのはこれの詳細なレビュー
上記画像をみると一目瞭然ですが,サイズは金のフレーズのような文庫版の単語帳と比べて明らかに大きく,少し大きめとされるキクタンにも勝っているため,持ち歩きに有利なコンパクトさを求める方には不向きですが,一文字一文字が大きいので,座って勉強する分には学びやすいように感じます。
レイアウトは基本シンプルで,必要最低限が載っているイメージです↓
見開いたページあたり10語を確認でき,各単語,最低2回はやれるようにとチェックボックスが設けられています。
とはいえ,情報量はそれなりにあって,一つの単語に複数個の意味が載せられているものが多く,類語や派生語もあって盛り沢山です。
ですが,例文はあくまで10語程度の長さを守っているので負担は軽減されています。
以下はPart1の例文になりますが,リスニングセクションの場面描写問題でそのまま出てきそうな内容です(下線を引いたところが見出し語です)↓
- People are meeting face to face in a large conference room.(大きい会議室で,人々が対面して会っている。)
逆に,リーディングセクションの章に出ていた文は,読解の文章で目にしそうな内容で,こちらも問題を解く上での根拠になりそうな一文です↓
- Our company intends to find ways to make clean energy more affordable.(わが社はクリーンエネルギーをより求めやすくする方法を見出すつもりである。)
先に示した画像をよく見ると,単語によっては「ひとこと」という欄が設けられているものがあり,見出し語が他のパートでも頻出であることを教えてくれていたり,著者の経験に基づくTOEICでの出題のヒントが書かれていたりしました。
単語の意味を隠す用の赤下敷きなどは付属していませんが,古き良き学習法(間違えたらバツを付けるだけで十分といった態度)を好む方にはむしろ好都合でしょう。
ちなみに,ダウンロードできる音声は「見出し語→例文」の順に吹き込まれており,見開きページごとにトラックが区切られていました↓
なお,アメリカ人男性とカナダ人女性が,章ごとに見出し語または例文のどちらかを担当するので,全部通して聞くと,同じくらいの量のアメリカ英語とカナダ英語を聴ける構成です。
先ほど,重要語は繰り返し出てくると述べましたが,例えばobservationは本書で3回出てきました↓
上の索引に並んでいる単語のうち,左の黒太字で示した単語(例えば,objectiveやobligation)は見出し語であることを表しており,赤字は見出し語としての登場ページを示しています。
つまり,observationは80ページで見出し語として出てきて,209ページや215ページでは派生語または類語として再登場するわけです。
以下は215ページの様子になりますが,observationはremarkの類語として出てきています↓
最初は簡単に感じられた見出し語ですが,頻度順で並んでいるがために,各パートの最後の方ともなると,難度がずいぶん上がったように感じました。
以下はPart7に出てくる単語の例ですが,結構難しく感じるのではないでしょうか↓
ここまでわかれば,もはや中・上級者レベルと言っても過言ではないでしょう。

まとめ
以上が,TOEICテスト英単語出るのはこれ!のレビューとなります。
TOEICがビジネスシーンでの英語習熟度を測るテストである以上,テストの形式に関係なく押さえておきたい重要語が学べる,いつの時代でも使える英単語帳と言えるでしょう。
著者である中村澄子氏の10年以上の受験経験を生かし,単語はパート別にまとめられ,例文はまさに該当パートで出題されそうな内容だったので,実際の公開テストを意識しながら読むことで,試験における出題のされ方についての理解も深めることができました。
さすがTOEIC講師を長く務めているだけあって,簡単な単語から始まりだんだんと難しいものになっていくところや,同じ見出し語が複数個所に登場することなど,学習効率を高めるための工夫を随所に見て取れます。
もっとも,構成的には赤シートも付いていなければ途中の読み物的なものはなく,1つの単語につき複数の意味と派生語や類語までを確認させられる,例文以外ではまったく楽を許さない硬派な単語帳でした。
派生語や類語までを全て学びきった暁には,確かな英語力が身に付いているでしょう。
長い時間勉強するなんて無理!移動時間などに楽にパッと学びたい!
と思う方には不向きですが,腰を据えて真面目に毎日コツコツ学べる方にはおすすめできる単語帳です↓
ちなみに,姉妹本として,TOEICのPart7に特化したものも2014年に出ていて,そちらは模試形式に見立てた問題を解くこともできるので,興味がある方は併せて検討してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。