今回の記事では,新形式のTOEICで900点を目指す方が取り組むべき問題を扱った「900点特急パート5&6」についてレビューしていきたいと思います。
まずは本書の基本データの紹介から始めて,目次の紹介や特徴についてみたあと,問題量や必要な学習時間までまとめていくことにしましょう!
目次
900点特急パート5&6の基本データ
- 名前:TOEIC L&R TEST900点特急パート5&6
- 著者:加藤優
- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:312ページ
- 価格:924円
- 目標スコア:900点
- 音声:ダウンロードかabceed利用
本書は「新TOEIC TEST900点特急パート5&6」というタイトルの旧作を,2016年の新形式にあわせて問題を差し替えては変更したり,解説などを大幅に改訂したものとなっています。
形式が変わったことでパート7の文章量が増えたこともあり,パート5と6はより素早く解くことが求められるようになりました。
パート5は問題文自体が短くなり,文法や語彙レベルも簡単になったとも言われますが,文全体を読まないと選択肢が選べない文脈問題を素早く解くのは大変です。
同様にパート6では文脈を意識した出題に加え,空欄に文をまるごと入れるタイプの文選択問題が加わりました。
本書はそういった難問についての解き方や出題パターンを集中的に学ぶことで900点突破を目指します。
加えて,最終章には990点満点を目指す人向けの超難問(パート5のみ)も用意されているので,どれほどのものか体験してみるのが楽しみです!
900点特急パート5&6の構成
こちらが目次となりますが,13ページからの本編に入る前に,まずは900点を目指すために知っておかなければならない基本知識について学びましょう。
難問の性質や効果的な学習法を頭で理解しておくと,効率良く着実に実力をアップしていけるようになります。
メインコンテンツとなる本編には全部で6つの「Round」と呼ばれる問題セットが用意されており,1つのRoundは,パート5で15問,パート6で8問の計23問です。
問題内容については後述する関係で本章では説明しませんが,著者が「本試験のハーフテスト」と呼んでいることからもわかるように,これは実際のTOEIC(パート5が30問のパート6が16問)の半分のサイズとなる模試として使うことができます。
実際に制限時間の半分となる10分かけて解くことになりますが,1回の学習時間としてはそこまで長くならず,程よい分量だと言えるのではないでしょうか。
なお,1問ごとに制限時間が設けられているので,ストップウォッチを片手に時間を意識して取り組む必要があることに注意してください。
900点特急パート5&6で学べる攻略法
本書ではメインパートに入る前に,各パートの攻略法について学ぶことができます。
ここでは,その内容について簡単に紹介するので,どういった方針で本書での学習が進むのか確認してください。
「上級者の弱点」から始まりますが,パート5では品詞問題,数量表現,語法,語彙に特に注意する必要があるという内容です。
そしてパート6では,文選択問題とその他文脈問題が具体例とともに挙げられており,こういった弱点の克服方法を実際に問題を解きながら確認していく流れになります。
例えば上の画像はパート5の難問について書かれたものですが,TOEICスコアにして700点程度の実力しかなければ,a(confident/confidentiality)agreementを見て,「名詞にかかるのは形容詞だ」と即判断し,confident(自信に満ちた;確信している)を選んでしまうでしょう。
しかし900点目指す人であれば,この問題をa confidentiality agreementのように,あえて「名詞+名詞」の形を選び,意味の通った内容にできなければなりません。
表現自体を知っていないと正解できないわけですから,確かに上級者しか解けない問題でしょう。
似たような例では「peace talks(和平会談)」などがそれにあたるでしょうか。
次に「上級者のためのストラテジー」という内容が続きます↓↓
ここでは理想的な時間配分がパート別に掲げられており,パート5では各問10~20秒で解くように指示されます。
とにかく早く解きたいパートではありますが,先に見たような問題に引っ掛からないようにするため,早合点してしまってもいけないようです。
一方パート6においては,1題2分のペースで解きます。
飛ばし読みをせず,全文読んで解答するという姿勢については,以前にレビューした990点攻略法でも同じものが紹介されており,やはりこれが王道の解き方なのでしょう↓↓
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さらに本書では,「英語を英語のまま素早く処理する力」を身につけるようアドバイスされますし,いくつかのテクニックについても学ぶことができました。
本編に入る直前の部分では「本書を使った効果的な学習法」がまとめられています。
目的別に「実戦力を付けるためのトレーニング」と「地力を上げるためのトレーニング」の2種類があり,前者の具体的な手順は以下の通りです↓↓
- ハーフサイズにあたる23問を10分で解く
- 解説を読む前に構造分析と答えの再確認を行う
- 解説を読む
- 日数を空けて再挑戦する
そして後者のトレーニング法としては,
- 音声ファイルを利用し,シャドーイングやリピーティングする
- 復習リスニング用英文テストを使って弱点をなくす
- 和訳を英文に直す
という手順を踏むよう指示されます。
2つの学習法のうちどちらがより大切かというと,明らかに後者の方に重きが置かれており,ただ解いて解説を読むだけでは得られない,真の英語力を養成するのが本書の目的なのでしょう。
次章から,いよいよ本編の内容について紹介していきます。
900点特急パート5&6の特徴
最初の問題ですが,目標タイムが設定されており,上記画像右上を見るとわずか10秒です。
測ってやってみると「短い!」と唸ってしまうレベルになります。
自信がなくてもとにかく答えを出しましょう。
ページ最下部には「Katoの眼」というヒントが書かれています。
こちらを参考にして,再度自分の答えについて考え直しますが,ここでは明らかに「品詞」が焦点となっているようなので,自分の選んだ答えは合っていそうです。
ここまでやってから解答解説を読みます↓↓
解説は詳しく,解答に到るまでの思考プロセスに加えて語彙もまとめられており,いまいち意味がはっきりしなかった文意もこれで明確になりました。
文構造の分析がしっかり明示され,間違いの選択肢についても根拠が提示されるので,「こういう考え方をすればはっきり間違いだとわかるのか」と参考になります。
類義語がまとめられているものもあり,総整理する際にも利用可能です。
一方でパート6の方ですが,構成はいたって普通に見えるものの,中身は難しく感じます↓↓
上のような問題があった後,ページをめくるとまずは正解の解説がありました↓↓
続いて和訳と語句のまとめがあるといった2段構成ですね↓↓
学習時間の目安ですが,パート5の15問は各2分程度で終わります。
また,長文問題のパート6においては1題8分弱のペースでした。
なので,2題で15~20分見ておくと,50分程度で1回のラウンドが終了する計算になります。
もちろん一度読んだだけでは,自分のものにはなっていないはずですから,続けて復習トレーニングの方をしていきましょう!
復習トレーニングについて
基本的にパート5も6もリーディングパートなので,解くだけならばリスニング音声は不要ですが,復習してシャドーイングやリテンションをするとき用に音声は必要です。
本書に収録された問題の音源は,出版社の公式HPから無料でダウンロードできます。
まずは書籍11ページに載っているURLにアクセスし,音声ファイルを保存しましょう。
全部で13個のmp3トラックがありましたが,最初の2つが1st Roundのものでパート5のものが01,パート6のものが02となります↓↓
特徴的なのは,同じ英文を男性と女性の2人のスピーカーが音読するところで,2回違う雰囲気でリスニングできるところです。
最初の男性はアメリカ英語で話していましたが,次に話す女性はイギリス英語になっています。
私は英国特有の英語訛りに苦戦することが多いので,これは大変嬉しい仕様でした。
シャドーイングやリピーティングをしたら,巻末にある「復習リスニング用英文リスト」も使って,自分なりにクイズを作成することができます(自信がない前置詞や語彙など塗りつぶして,後日リスニング問題として使用するなど)↓↓
使われている単語のレベルが高く,何度も読みこなすだけの価値はあります。
最後に和文をみて英文に直してみることで,文法や語彙力が高まりますよ!
音源自体は約50分程度ありますが,何回か復習するので学習時間はもっと長くなります。
まとめ
以上,900点特急からパート5&6のレビューでした。
著者の加藤優氏はTOEICの専門校「エッセンスイングリッシュスクール」の講師ということで,900点を狙う上級者の弱点データを多数収集しています。
そのため,この900点特急のように弱点問題だけを厳選できるというわけです。
さらに同スクールのネイティブ講師陣と協力し公開テストを毎回受験しながら作成しているので,予想問題の再現性・信頼性は確かだと言えるでしょう。
本書の最初わずか7ページではありますが,そこに書かれている方針をよりどころにこれからTOEICを学習していくのとそうでないのとでは,数ヶ月もすると結果に大きな差が出てくるのは明確です。
また,復習も音声ファイルに工夫があり,アメリカ英語とイギリス英語,男女の差などの違いに対応できます。
もちろんスマホでも,アプリをダウンロードすれば音声ファイルが聴けるわけです。
いわゆるTOEIC参考書の「特急シリーズ」のに属する1冊ですが,売れているだけあって大変使い勝手が良かったように思います。
学習時間は本編を通しで6時間,CDを使った復習に1回聴くだけでも50分以上かかりますから,全部で10時間くらいみておくとよいでしょう。
900点を目指す方はぜひやってみてください↓↓