今回レビューする「TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版」は,900点前後からさらに上を目指す上級者向けの対策本です。
著者は,TOEIC対策で知られる濵﨑潤之輔氏(HUMMER先生)。
本書では,各パートで上級者でも落としやすい難問や,詰めが甘くなりやすいポイントを扱いながら,990点を狙うための解き方と復習法を学べます。
一般的な総合対策本のように,全体を広く浅く確認する本ではありません。
Part1・2のディクテーション,Part3・4のリーズニング,Part5以降の精読と根拠確認など,かなり負荷の高いトレーニングを通じて,最後の数問を落とさない精度を高める教材です。
本記事では,本書の構成,各パートのトレーニング内容,1通り取り組むのにかかった所要時間,使用上の注意点を整理します。
TOEIC L&Rテスト990点攻略の特徴と基本情報

本書は,990点に「近づく」ための本ではなく,990点を狙うためのマインドセットと技術を授けることを一貫した目的としています。
そのため,紙面の随所に「990点獲得のポイントと攻略法」が配置されているのが大きな特徴です↓
基本情報
- 書名:TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版(新形式問題対応)
- ページ数:本冊224ページ + 別冊168ページ
- 著者:濵﨑潤之輔(HUMMER)
- 出版社:旺文社
- 発売日:2017年7月18日
- 目標スコア:900点前後〜990点
- 定価:2,530円(税込)
- 音声対応:音声ディスク2枚 + 旺文社リスニングアプリ「英語の友」対応
本書は2013年刊行の旧版を新形式に合わせて加筆・修正した改訂版です。公式ページでも,旧版の内容が多く引き継がれていると案内されているため,旧版を持っている方は内容の重複に注意してください。
各パートに用意されたハイレベルな例題を用いて上級者の解き方をなぞり,「これがHUMMER式アプローチ!」と銘打たれた解答ロジックを身体に染み込ませていくのが基本のサイクルです。
ここで指摘される着眼点は,一般的な総合対策本(600〜700点台を目標にするもの)に書かれているテクニックとは一線を画しています。
また,各パートの最後には本番形式の「Practice TEST」が用意されており,トレーニングで磨いた視点が本物かどうかを即座にテストできます。
さらにすべてのパートを終えた後には,別冊の模擬試験(Final Test)で本番前の最終調整も可能です。
毎日の負荷トレーニングから直前模試まで広く使えるため,990点を目指す受験者にとって心強い教材になっています。
目次構成は以下の通りです↓

Part3とPart4が一括でまとめられている点を除き,各パートが完全に独立した章として構成されています。
これは濵﨑先生の他の著書(文法対策など)とも共通する合理的な設計です↓
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本書を使いこなすための主要なステップをまとめると,以下の通りです。
- 満点獲得に向けた濵﨑先生独自の「ポイントと攻略法」を精読する
- 各パートの「Training」に配置された負荷の高いメニューを行う
- 本番形式の「Practice TEST」で習得したロジックを実戦投入する
パートの合間に挿入されているコラムも非常に刺激的です。
単なる息抜きではなく,リスニングセクションの極限のトレーニング法や,リーディングセクションのPart6で難所となる文挿入問題の特殊な見極め方,Part7の位置選択問題における超発展的な解答手順など,満点を狙ううえで役立つ方法論が語られています↓

本番用だけでなく,日々のTrainingやPractice TESTの段階から使える専用のマークシートが計3枚付属している点も親切です。
各パートの具体的なトレーニング内容
ここからは,実際に私が体験した各パートのトレーニング内容を詳しくレビューします。
Part1:ディクテーションで細部の聞き取りを磨く
990点を目指す層にとってPart1は全問正解が当然のセクションですが,本番での「万が一の失点」をゼロにするための徹底的な防備を固めます。
本書では,上級者であっても不意に引っかかりやすい盲点となるポイントを2点に絞り,徹底的な対策を施します。
解説には具体的な例題が含まれており,濵﨑先生の着眼点を明確にイメージできるはずです。
「超上級の技術」のコーナーでは,語彙の細かなニュアンスの違いなど,上級者の知的好奇心を刺激する議論が展開されています↓

そして,メインコンテンツである「Training」にはPart1の難問が51題用意されていますが,驚くべきことに選択肢がどこにも印刷されていません。
なんと,流れる音声を1語1句正確に書き取る「ディクテーション」が義務付けられているためです↓

たとえば,「Some baskets are mounted on a bicycle.(いくつかのバスケットが自転車に取り付けられている)」といった英文を正確にディクテーションします。
音声は付属音声ディスクのほか,旺文社の公式アプリ「英語の友」での再生にも対応しています。
アプリを使えばスマホで簡単に10秒巻き戻しやリピート再生ができるため,全英文を完璧に聴き取れるまで負荷をかけて聞き込む学習が非常にスムーズに行えます。
初見では馴染みの薄い表現や,音が繋がりやすい位置でミスが発生しやすいため,間違えた英文には必ずチェックを入れ,後日完全に再現できるまで復習を繰り返しました。
数問書き取るだけでも濃密で,全51題+解説確認で約2時間が経過するほどの高い負荷です。
続く「Practice TEST」には全6問の予想問題が収録されており,解説には全訳に加えて話者の国籍(米・英・加・豪)も明記されているため,訛り対策もしやすいです↓

Part2:間接応答への対応力を鍛える
Part2では,近年の公開テストで頻出している「間接的な応答(変化球の答え)」に対し,瞬時に正しい選択肢を見極めるための力を2つのアプローチで鍛えます。
代名詞(itやourなど)の極めて細かな聞き取り1つで正解への道筋が変わるため,一瞬の油断も許されません。
「超上級の技術」のコーナーには,最初に流れた発言内容の核心をリスニング中ずっと脳内にホールドしておくための具体的な脳内処理の技術が解説されており,満点レベルのスタミナ配分を学ぶ上で大変参考になります↓

Part2のTrainingも,55題にのぼる大規模なディクテーションが課されます。
ここで書き取れなかった英文には,上級者といえど盲点になりやすい重要語彙や定型表現が含まれています。
こうした知らない表現や聞き取れなかった箇所をノートにストックし,自分だけのオリジナル満点単語帳を構築していく勉強法は,多くのトップスコアホルダーが実践している非常に合理的な手段です。
Part1に比べて英文が長いため,解説確認を含めて合計約3時間を費やしてじっくりと潰し込んでいきました。
その後,本番と同じ25問のPractice TESTで実戦力を確認します。
Part3&4:リーズニングで正解根拠を確認する
Part3とPart4が1つの章に統合されているのは,両者の本質的な攻略プロセスが全く同一だからです。
なお,990点を目指すステージにおいては,流れるトークや会話の音声を細部まで聞き取れる力が前提条件となります。
その上で,正解の根拠が音声中に一瞬しか登場しないような「高難度の設問」にどう対応するかに焦点が当てられます。
受験者の間で一般的な「先読みテクニック」についても,単に「事前に目を通しましょう」といった浅い内容ではなく,設問のタイプに応じて選択肢のどこに目線を走らせて待ち構えるべきかという,非常に精緻な戦略が明記されています↓

TrainingとPractice TESTは圧倒的なボリュームが確保されており,以下の3ステップで論理力を磨き上げます。
- 音声が流れる前に会話・トークの展開を正確に予測する
- 本番通りのスピードで解答をマークする
- すべての問題に対して「リーズニング(正解の根拠を論理的に証明する作業)」とディクテーションを行う
展開予測からロジックの確認までを徹底的に行うため,1つのスキットの復習を終えるまでに15〜20分を消費します↓

Training(4スキット・計12問)とPractice TEST(5スキット・計15問)を完璧に消化するまでに合計で約6時間を要する大容量ですが,音声と正解の根拠を細かく確認できるようになった瞬間の達成感は,何物にも代えがたいものがあります。
Part5:文法・語彙の死角をなくす仕掛け
リーディングセクションで495点満点を獲得するための最大の障壁が,Part5の語彙・語法問題です。
「選択肢の形だけで判断せず,必ず文頭から文末まで精読して文脈を掴む」という大原則のもと,曖昧な単語や語法を1つずつ辞書で徹底的に調べ上げる学習法が推奨されています。
Trainingには文脈判断が必要な難問が30問用意されており,解説を含めて約30分で取り組めます。
なんとなく正解できた問題であっても,「この単語の持つ正確な語法と,他の選択肢がダメな理由を論理的に説明できるか」と問われれば,確信が持てない英文が見つかるはずです↓

さらに本書の素晴らしい仕掛けとして,続くページに「Review of Training」という見開きが登場します。
一見すると先ほど解いた30問と同じ英文に見えますが,よく確認すると「全く同じ英文でありながら,選択肢で問われている空所の位置や語彙が変わっている」という工夫が施されています↓

この仕組みにより,1本の英文から語彙と文法の両方の盲点をあぶり出すことができます。
Practice Testの30問を含め,計90題の高負荷な語彙・文法演習を1時間半かけて解き進めることで,Part5の対応力を高めやすくなります。
Part6:Delayed Clue(遅れて登場する手がかり)を見極める
Part6の例題解説はきわめて詳細であり,英文をどの順番で読み進め,どのタイミングで周囲の文脈からヒントを回収すべきかが番号順で緻密に図解されています↓

満点を射止めるためには,空所のあとの文章を読み進めて初めて正解が確定する「Delayed Clue(遅れて登場する手がかり)」の処理能力が不可欠です。
この技術は次のPart7の速読精読にもそのまま直結します。
本書ではTrainingを挟まず,実践的なPractice Testを4長文(計16問)解くスタイルになっており,解説の読み込みまで含めて1時間半強でスマートに完結できます。
Part7:根拠を本文中から特定する手順を固める
最後のPart7では,ハイスピードかつ正確に長文を読み解く手順を確立します。
満点攻略において重要なのは,変にトリッキーな技を意識するのではなく,まるで機械的なルーチンワークのように,決められた解答手順を淡々とこなしていく不動の態度です。
設問の質問文を事前に頭の中にホールド(リテンション)し,簡単な言葉に言い換えてから本文へアプローチする濵﨑先生のメソッドが徹底的に解説されています。
6題のTrainingと5題のPractice Testを通じ,すべての設問に対して「なぜそれが正解になるのか」の根拠(トリガー)を本文中から特定する訓練を行います↓

「indicate」や「suggest」といった難易度の高い推測問題において,キーワードを見つけた瞬間に飛びついて誤答を掴まないための注意点や,正解を見つけたあとも念のために残りの選択肢すべてに素早く目を通すといった,満点取得者ならではの強固なディフェンス力が身につきます。
約1時間半の集中演習を通じて,長文読解の確固たる手順を習得できます。
別冊:本番を超える負荷の「Final Test(模擬試験1回分)」
別冊には,フルサイズ(200問)の模試が1回分収録されています。
本体の解説ページに匹敵するほどの厚みがあり,丁寧な解答・解説と参考スコア換算表が付属しています↓

注意すべき点は,この別冊のFinal Testは実際の公開テストの本番より難しく感じる可能性があるところです。
解いている最中に手厳しさを感じても不要に焦る必要はありません。
この超高負荷模試を制限時間内に解ききる体力を養っておくことで,本番で余裕を持ちやすくなります。
本書の完遂にかかった時間まとめ
私が本書のすべてのトレーニング,Practice TEST,および別冊模試を1通り消化するまでに要した時間を一覧表にまとめました。
学習計画を立てる際の参考にしてください↓
| セクション・パート | 所要時間の目安 | 主なトレーニング内容 |
|---|---|---|
| Part1 | 約 2.0 時間 | 難問51題のディクテーション + 予想問題6問 |
| Part2 | 約 3.0 時間 | 難問55題のディクテーション + 予想問題25問 |
| Part3 & 4 | 約 6.0 時間 | 展開予測・マーク + 全文リーズニング(12問・15問) |
| Part5 | 約 1.5 時間 | 文脈型難問30問 + 復習編30問 + 予想問題30問 |
| Part6 | 約 1.5 時間 | Delayed Clueの読み込み + 予想問題16問 |
| Part7 | 約 1.5 時間 | 根拠特定のルーチンワーク(Training6題・TEST5題) |
| 別冊模試(Final) | 約 3.0 時間 | 高負荷フルサイズ模試200問の解答 + 精密採点・復習 |
| 合計時間 | 約 18.5 時間 | ※初回解答と解説確認までの目安。復習・音読・単語ノート作成は別途必要。 |
純粋に1回解いて解説を確認するだけで合計18.5時間を要するかなりのボリュームです。
私は毎日ストイックに解き進め,全工程の消化におよそ2週間の期間がかかりました。
間違えた英文の徹底的な音読や,単語ノートの作成時間を別途含めると,非常に濃密な学習量を確保できます。
まとめ:990点を狙うための高負荷トレーニング本
以上,TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版のレビューでした。
本書は,TOEICで900点前後を取れる方が,さらに上のスコアを狙うための上級者向け教材です。
Part1・2ではディクテーション,Part3・4ではリーズニング,Part5以降では語彙・語法・文脈判断・根拠特定を細かく確認していきます。
問題数を大量にこなすというより,1問から得られる学びを限界まで引き出すタイプの本です↓
一方で,本書だけで標準問題の処理スピードを十分に鍛えられるわけではありません。
990点を狙うには,難問への対応力だけでなく,標準問題を確実に処理する安定感も必要です。
そのため,本書で難問への考え方を学びつつ,公式問題集や他社模試,アプリ教材などで演習量を補う使い方がおすすめです。
スタディサプリENGLISHを併用する場合も,本書で学んだディクテーションやシャドーイングの視点を,アプリ内の演習復習に応用すると使いやすくなります。
さらに文法・語彙を強化したい方は,姉妹書の「TOEIC L&Rテスト 990点攻略 文法・語彙問題1000」へ進むのも選択肢です。
