今回は,世界一わかりやすいシリーズの中から「Part1-4リスニング」のレビューをしていきたいと思います。
関正生の著書の中で不動の人気を誇る一冊ですが,一体どのような魅力があるのでしょうか。
まずは大まかな特徴について述べるところから始めて,4つあるパートを個別にレビューしながら,その人気のワケに迫ってみることにします。
もくじ
世界一わかりやすいリスニングの特徴

基本情報
名称:世界一わかりやすいTOEICテストの授業[Part 1-4 リスニング]
著者:関正生
出版社:KADOKAWA
発売:2016年4月
ページ数:288ページ
付属品:CD2枚
対象:初心者~700点の方
もともと同名の書籍は出ていたのですが,2016年5月以降で実施されている新形式の問題に合わせて加筆修正したものが,現在売られている改訂版です。
TOEICの参考書は,初心者~600点くらいのレベルとそれ以上のものとが分冊になっているものが多いですが(ベーシックとアドバンストなど),本書は初心者から700点レベルの方まで幅広く対応しているため,特に初心者の方であれば長く使うことができます。
リスニング素材は内容を忘れた頃に再度聞くことができる他,トレーニング内容を変え,例えば,ただ聴くだけでなく,シャドーイングやディクテーションを行うなどをして学びを深めることも可能です。
さて,本書の大きな特徴としては,以下の3つが挙げられるでしょう↓
- 英語が聞き取れることを前提にしていない
- 実戦的な内容が多い
- 解説に割かれたページ数が多い
市販のリスニング対策本では,流れた英文の多くを学習者側が聞き取れることが前提とされているものが多いですが,本書では,そもそもどうすれば英文を聞き取れるようになるかについて言及されることが多くなっています。
また,解説したいことがあるからと音声をそれに合わせて作ったような「ご都合主義的な設計」ではありません。
著者自身がちゃんと音声を聞いた上で原稿を執筆しており,具体的で実戦的な解説がなされているのが特徴です。
関正生先生の著書に共通する,独自視点での解説が目を引きます。
具体的には,次章で実際のページをみながらみていくことにしましょう!
パート別にリスニング編の中身をレビュー
世界一わかりやすいリスニングの目次ですが,以下のようになっています↓

普段は読み飛ばしてしまいがちな本文前の内容説明(p.1~23)ですが,そこにも本書の特徴は色濃く表れており,弱形の説明であったり重要単語の一覧だったりがまとめられていました。
先述したように,リスニング音声が聞き取れないことを前提として書かれているため,その要因とされる音の変化や難単語の解説に紙面がしっかり割かれています↓

強形と弱形のどちらもCDで聴いた上で比較ができるので,この部分だけからも本書が他書と違うことが伝わるでしょう。
リスニングでよく出てくる重要単語に関しては,音と意味を一致させるようにしてください↓

本書の音源では,英語の後に日本語が収録されているようなことはなく,英語のみが聞こえてきます。
日本語を聞いたところでリスニング力は上がらないわけですから,私はこの仕様が好みです。
Part1対策
各パートの最初には出題内容の簡単な説明と,目標スコアに応じた正解数の目安が書かれているので参考になるでしょう↓

もちろん,出題内容に関しても,次ページ以降に詳しい解説が載っているので安心してください↓

ここまでがSTEP1の内容ですが,次のSTEP2において,関先生独自の攻略ポイントの解説があります。
受験者が感じている疑問に答える形の形式ですが,別の参考書で語られている定説が平気で覆されることがあるので興味深かったです↓

こういう思い切った主張は,真の実力者だからこそ為せる業でしょう。
いずれにせよ,こうした解説を通して理解を深めたら,いよいよ例題に取り掛かりましょう!
Part1は全部で5問あり,見開いた際に問題と解説が一緒のページにならないように工夫されていました↓

写真左は例題1の解説になっており,右は例題2の問題です。
解説には和訳と正解の根拠が載っているだけでなく,予備校の講義のような詳しい解説までが加わっていて応用知識も身に付きます。
なお,例題を通して学んだ攻略法は,すぐさま演習問題を使って復習するのが本書共通の流れです↓

ちなみに,Part1の演習問題は全10問でした。
この演習問題の解説も詳しく,関先生がTOEICのあるある話を語っていました。
Part2対策
Part2では最初に学んだ「弱形」の知識が活躍します。
Part1のときと同様,STEP1で問題概要を語り,STEP2では定説を覆した後,STEP3があり,ここで各パートの攻略法を徹底的に学ぶことになるわけです↓

とりあえず,各パートについての攻略法だけパッと目を通してしまうだけでも,だいぶTOEICスコアは変わってくるように思います。
Part2の出題はどれも同じで,写真があるわけでもないのですが,解説と問題を見開きにするというポリシーがあるのか,以下のように余白多めのレイアウトになっていました↓

ちょっともったいない右ページの使い方ですが,レイアウトとしてみれば単純でわかりやすいので,あながち悪いとは言えないのかもしれません。
ちなみに,上の問題では「Why~?」で尋ねられた際の返答が問われているのですが,これについての関先生の解説は,
Becauseが最もポピュラーな返答のように思いますが,中学で習うTo不定詞(目的を表す副詞用法)で答える場合もありますし,普通の文による返答が頻度としては1位です(72ページより引用)
と,実際に公開テストを受け続けてきた関先生の経験がしっかりと反映されたものとなっています。
例題は7問ですが,演習問題は30問となかなかの量で,ここまでで付属CDの1枚目(44分で61トラック)が終わりとなりました。
Part3対策

Part3では先読みが必要!
と多くの対策本に書かれているように思いますが,本書ではさらに詳しい先読みのやり方を学ぶことになります。
なお,Part3は特に重要視されているのか,紙面としてはPart1やPart2の3倍程度の量が割かれていました。
1つのスクリプトについて,発音や重要事項に絞った解説があるだけでなく↓

正答にたどり着くためのコツに絞った解説があったり(話者の国籍も明示されています)↓

さらには和訳と語句のまとめページがあったりといった具合に,全部で3つの視点で解説が行われた結果,各々において別の気づきが得られるでしょう↓

例題の数は8,演習問題は13題あり,1題につき3つの質問がなされます。
Part4対策

すべての英文を集中して聞く。
本書を使ってこの教えを実践するだけでも,Part4のスコアがだいぶ上がったように感じられます。
Part3と4の解説が一緒くたにされている参考書をたまに見かけますが,本書では別々に解説されていました。
Part3に引き続き,Part4の解説も大目に割かれているので,これらのパートが苦手な人には嬉しい仕様です↓

参考までにページ数をまとめておくと,
- Part1は34ページ
- Part2は56ページ
- Part3は94ページ
- Part4が79ページ
ほどになります。
CD2枚目の収録時間は77分と多めでした。
まとめ

以上,関正生先生の世界一わかりやすいシリーズからリスニング編のレビューでした。
学習者の立場に寄り添った,親切かつ丁寧な解説があることに加えて,著者ならではの視点がユニークで使い勝手もよく考えられた参考書であることがわかっていただけたのではないでしょうか。
なお,本書の裏表紙をみるとわかるように,この世界一わかりやすいシリーズでTOEIC対策ができるものとしては,本書以外に文法編と読解編そして英単語を扱う3冊がある他,「スタディサプリENGLISH」というオンライン教材では彼の講義動画までを確認できてしまいます。
後者は「パーフェクト講義」という名前で知られますが,テキストも販売されている上に中身は本書とほぼ同一なので,アプリを使ったトレーニングに興味がある方はそちらの方がおすすめです↓
リスニングセクションは最も伸ばしやすく得点源にできるので,積極的に対策しましょう!
あれこれ手を出すよりも,決めた教材を何度も復習する方が良い結果に繋がりやすいと思います。
当サイトの他のレビューも参考に,復習したい気持ちになれる参考書を探してみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。