今回は,200個の例文を使ってTOEICの頻出英単語が学べるという参考書である「やたらと出る英単語クイックマスター」をレビューしていきたいと思います(通称:やる単)。
英文に含まれる複数の単語を学んでいくスタイルの単語帳としては,他にTOEICの公式が出している単語帳が挙げられますが,全体の数としては少数派です。
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とはいえ,上のものはTOEICの問題形式に慣れつつ単語も学ぶというのが主な目的であり,こちらのクイックマスターは,短めの英文で素早く学べる点が異なります。
これからTOEICの英単語攻略に取り掛かる方には,是非とも検討していただきたい一冊です。
目次
やたらと出る英単語クイックマスターとは
まずは,本書の基本的な情報についてまとめておきましょう!
- 名称:TOEICテストやたらと出る英単語クイックマスター
- 著者:テッド寺倉&上原ちとせ
- 出版:アルク
- ページ数:272ページ
- 音声:MP3形式,ALCO対応
- 対象:スコア300点~
本書は2019年1月,「クイックマスター+」としてよりパワーアップしました。サイズがやや大きくなり読みやすくなった他,パート別の語彙リストも付いてきます。逆にそれ以外は本書と大差ありません。
本書の大きな特徴は,先述の通り,わずか200個の例文で600語以上の単語を学べてしまうところです。
1つの例文に基本3語,TOEICテストの頻出語や重要語が含まれているので,効率良く学習することが可能になります。
そういえば昔に「基礎例文〇〇〇」などというタイトルのものが流行りましたが,数百個の例文を丸暗記することで英文法や英単語を覚えた経験のある方でしたら,本書もきっと使いやすいでしょう。
中身については次章でみていくことにして目次をみてみると,UNITごとに「業務・人事・経営」といった具合にテーマが一つ定められており,特定の分野の話題で目にしがちな単語がまとめられているのも特徴の一つです↓↓
ユニットの数は全部で10個あり,復習リスト(Get Back)と実戦問題(Time to Play)が用意されています。
ちなみに単語の難易度は目標スコア別に3つにランク付けされており,初学者(470点狙い)から上級者(目標730点以上)まで満足できる仕様になっているようです。
その他に気づいたこととして,赤い下敷きが付属していたり最低3回復習の記録が残せるところなど,おおよそ記憶の定着に良さそうとされる工夫がたくさん見受けられました。
もちろん全部を無理に使う必要はありませんが,「(普段自分が英単語の勉強でしている)○○がない!」的な悩みが解消されているというのは,買った側からすれば心強いことです。
つまるところ,万人向けの単語帳になっています。
それでは詳しいレビューの方,始めていきましょう!
クイックマスターの中身をレビュー
これが本書の基本的な学習ページです。
このレイアウトで多くの単語を学んでいくことになります。
左ページには例文が2つ。
TOEICに役立つ語句は赤色で表示されているのがわかります(付属の赤下敷きで消せます)。
例文の下には和訳がありました。
続けて右ページを見てみましょう!
単語横にある★の数は,その単語の頻出度を表しています。
- ★3は470点
- ★2は600点
- ★1は730点
といった具合に設定されているので,★3までマスターすればスコア730点が見えてくるというわけです!
単語のちょっとした解説もあり,どのような出題のされ方をするかのヒントが書かれているので本番に役立つでしょう。
このような調子で20文(1ユニット)学び終えるとこのような復習リストが用意されていて,それまでに出てきた全単語を一気に復習できます↓↓
例えば1日1ユニット,翌日に復習リストの単語をやるなどすれば,良いタイミングで復習が知らず知らずのうちにできていることになります。
要するに,同じ単語を別角度から日を変えて学びなおすことで,記憶の定着がより深まり単語を忘れにくくなるという意味です。
加えて,TOEICのパート5と同じ形式の実戦問題を解くことで,文法問題にも強くなることができるのが素晴らしい↓↓
さすがに本書1冊で十分な文法問題対策ができるわけではありませんが,文脈を利用して解く問題や品詞で意味が異なる単語の対策にはなると思います。
音声素材の使い方
やたらと出る英単語クイックマスターを語る上で忘れてはならないのが,ダウンロードできる音源の存在です↓↓
たいていのリスニング素材は1パターンしか用意されていないものですが,本書では同じ単語を学ぶのに4通りの音源が用意されています↓↓
- 例文→和訳→見出し語とその訳→例文→講義
- 上記aの講義以外のもの
- 例文のみ
- 見出し語の訳→見出し語
aの音声で目を惹くのは「講義」という項目でしょう。
ここでは,本に書かれていない説明が追加され,外出先で本がない場合でも学習できるので便利です。
cやdは単にリスニング力をアップさせるだけでなく,学習テクニックを併用することでさらに発展的な学習ができるでしょう。
例えば,シャドーイングやリテンションであったり,一般的には難しいとされるクイックレスポンスの練習までできてしまいます。
ALCOにも対応しているので速度も落とせます↓↓
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音声のdではジャズっぽいBGMが流れながらの練習となるのが面白いですよ!
著者の遊び心が伝わってきます。
無味乾燥になりがちな単語学習ですが,楽しく学習できるのならそれに越したことはありません。
巻末のおまけリストを使えば,クイックレスポンスの確認ができます↓↓
最終的にはこの巻末部分と音声だけ使いこめばOKです。
まとめ
以上,TOEICテストやたらと出る英単語クイックマスターのレビューでした。
例文はいかにもTOEICに出そうな内容で,これまで学んできた勉強法が安心して実践できる工夫の多い一冊に仕上がっていました。
200の例文に出てくる600語を,とにかく色々な角度で学んで身に付けるまでやること。
これが本書の魅力です。
もちろん書店に行けば千を余裕で超える収録語を誇る単語帳もありますが,数百の頻出語に絞った学習であってもそれを完璧に理解するまで復習することができれば,恩恵はかなりの程度受けられるように感じます。
今回レビューをしていて気づいたおすすめポイントを箇条書きにすると,
- 200個の例文で600語の頻出語句が学べる
- 20文からなる10ユニットに分けられている
- ★の数で目標スコア別に勉強することが可能
- 復習リストや実戦問題を使って自然に復習できる
- 赤い下敷きを使用して単語を消した学習が可能
- 3回は最低でも繰り返し学習できる
- 音声素材がバリエーション豊富
- 最後のまとめ9ページで600語を一気に復習できる
これだけの魅力がありました。
くどいようですが,例文を暗記するまでやりこめば英語力も高まりますし,音声素材もうまく利用してリスニングパートのスコアも上げられます。
単語の意味が瞬時に出てくるようになると,時間との勝負でもあるTOEICで圧倒的に有利になるというのは私も経験しました。
受験英語の記憶を辿って対応するよりも,TOEICによく出る単語を覚えるのが効率的なスコアアップにつながるのはよく知られた事実です(voucher=クーポンなど)。
誰か別に好きな講師がいる,英文で覚えたくないなどの特別な理由がないのであれば,本書は幅広い方におすすめできます。
是非使ってみてください。
2019年1月には本書の「+版」が発売になり,「役立つパート別語彙リスト150」が加わってさらに使いやすくなっています↓↓
最後までお読みいただきありがとうございました!