今回は,200個の例文を使ってTOEICの頻出英単語を学んでいける「やたらと出る英単語クイックマスター」をレビューしていきたいと思います。
略して「やる単」と呼ばれますが,英文を用いて複数の単語を学んでいくスタイルのTOEIC用の単語帳としては,他に公式問題で学ぶボキャブラリーくらいしかなく,全体的に見れば少数派です。
とはいえ,上のものはTOEICの問題形式に慣れつつ単語も学ぶことが目的であり,こちらのクイックマスターは,短めの英文でもって素早く学べる点が異なります。
これからTOEICの英単語攻略に取り掛かる方は,当レビューを読んだ上で,導入を検討してみてください。
もくじ
やたらと出る英単語クイックマスターとは
まずは,本書の基本的な情報についてまとめましょう!
基本情報
本書は2019年1月に「クイックマスター+」に改訂されました。サイズがやや大きくなって読みやすくなった他,パート別の語彙リスト(150語)も付いてきます。とはいえ,それ以外には大きな変更がないので,以下のレビューは改訂版にも有効です。
本書の大きな特徴は,先述の通り,わずか200個の例文で600語以上の単語を学べてしまうところで,1つの例文に単純計算で3語,TOEICテストの頻出語や重要語が含まれているので,効率良く学習することができます。
そういえば昔に「基礎例文〇〇」といったタイトルの参考書が流行りましたが,数百個の例文を丸暗記することで英文法や英単語を覚えた経験がある方にとって,本書は使いやすいと感じられるでしょう。
中身については次章でみていくことにして目次をみてみると,UNITごとに「業務・人事・経営」といった具合にテーマが一つ定められており,特定の分野の話題で目にする単語が上手くまとめられているわけです↓
ユニットの数は全部で10個あり,復習リスト(Get Back)と実戦問題(Time to Play)が用意されていました。
単語の難易度は,目標スコア別に3つにランク付けされており,初学者(470点狙い)から上級者(目標730点以上)までが満足できる仕様です。
その他に気づいたこととして,赤い下敷きが付属していたり最低3回復習の記録が残せたりするなど,記憶の定着に良いとされる工夫が多く見受けられました。
もちろん,全部を無理に使えとは言いませんが,「普段自分が英単語の勉強で行っているあれがない!」的な悩みが解消されているところは,購入者からすれば大変心強いです。
つまるところ,初・中級者向けの万能の単語帳と言っても過言ではありません。
それでは詳しいレビューの方,始めていきましょう!
やたらと出る英単語クイックマスターのレビュー
これが本書の基本的な学習ページで,このレイアウトでもって多くの単語を学んでいくことになります↓
左ページには例文が2つあり,TOEICに役立つ語句が赤色で表示されていて,付属の赤下敷きを使うことで見えなくできる他,例文の下には和訳の用意がありました。
続けて,右ページを見てみましょう!
単語の横にある★の数は公開テストでの頻出度を表していて,★3までマスターすればスコア730点が見えてくるわけです↓
- ★3は470点
- ★2は600点
- ★1は730点
単語のちょっとした解説もあり,どのような出題のされ方をするかのヒントが書かれていることもあります。
このような調子で20文(1ユニット)を学び終えると,以下のような復習リストが登場し,それまでに出てきた全単語を一気に復習することが可能です↓
例えば,ある日に1ユニットを終わらせ,その翌日に復習リストの単語をやるようにすれば,良いタイミングで復習ができたことになります。

さらには,TOEICのPart5と同じ形式の実戦問題を解くこともでき,文法問題に強くなることもできるところが気に入りました↓
さすがに,本書1冊でもって十分な文法問題対策が可能になるわけではありませんが,文脈を利用して解く問題や,品詞で意味が異なる単語に強くなります。
音声素材の使い方
やたらと出る英単語クイックマスターを語る上で忘れてはならないのが,ダウンロードできる音源の存在です(以下はmp3形式のものです)↓
たいていのリスニング素材では1パターンしか用意されていませんが,本書では同じ単語を学ぶのに4通りの音源が用意されています↓
- 例文→和訳→見出し語とその訳→例文→講義
- 上記aの講義以外のもの
- 例文のみ
- 見出し語の訳→見出し語
aで目を惹くのは「講義」という項目でしょう。
ここでは,本に書かれていない説明が追加され,外出先で本を持っていなくても学習できるので便利です。
cやdは単にリスニング力をアップさせるのに役立つだけでなく,各種の学習テクニックを併用することでさらに発展的な学習ができるでしょう。
例えば,シャドーイングやリテンションであったり,一般的には難しいとされるクイックレスポンスの練習までができてしまいます。
boocoを用いれば,速度を落として再生することも簡単です。
音声のdではジャズっぽいBGMが流れながら練習できるところが面白く,著者の遊び心が伝わってきます。
無味乾燥になりがちな単語学習ですが,楽しく学習できるのならそれに越したことはありません。
巻末のおまけリストを使えば,クイックレスポンスの確認ができます↓
最終的に,この巻末部分と音声だけを使ってやりこむようにすればOKです。
まとめ
以上,TOEICテストやたらと出る英単語クイックマスターのレビューでした。
例文はいかにもTOEICに出されそうな内容で,これまで学んできた勉強法を安心して実践できる,工夫が多く施された一冊に仕上がっていました。
200の例文に出てくる600語を,とにかく色々な角度で学んで身に付けられるところが本書の魅力です。
もちろん,書店に行けば1000語以上を収録する単語帳がいくつも見つかりますが,数百の頻出語に絞った単語帳であっても,それらを完璧に理解するまで復習すれば,収録数の少なさが問題にならないほどの恩恵が受けられることになります。
今回レビューをしていて気づいたおすすめポイントを箇条書きにすると,以下の通りです↓
- 200個の例文で600語の頻出語句が学べる
- 20文からなる10ユニットに分けられている
- ★の数で目標スコア別に勉強することが可能
- 復習リストや実戦問題を使って自然に復習できる
- 赤い下敷きを使用して単語を消した学習が可能
- 3回は最低でも繰り返し学習できる
- 音声素材がバリエーション豊富
- 最後のまとめ9ページで600語を一気に復習できる
- +ではパート別必修語彙リストで150語も学べる
音声素材を上手く利用すれば,リスニングセクションのスコアも上がるでしょうし,単語の意味が瞬時に出てくるようになると,時間との勝負でもあるTOEICで圧倒的に有利になります。
受験英語の記憶を辿って対応するよりも,TOEICによく出る単語を覚えるのが効率的なスコアアップに繋がることはよく知られた事実で,例えばvoucher(クーポン)は受験英語では目にしないでしょう。
誰か別に好きな講師がいる,英文で覚えたくないなどの特別な理由がないのであれば,本書は幅広い方におすすめできます。
是非使ってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました!