TOEICではリーディングのスコアの方がリスニングのものよりも低く算出されてくるものです。
実際,リスニングセクションで満点近く取れる人でも,リーディングのスコアが400点程度であることも少なくありません。
後者の対策ですが,普通に問題を解いて丸つけをするだけでは大したスコアアップは望めないでしょう。
頑張って和訳まで読んでみたとしてもまだ不十分で,単語帳をやるのとさほど結果が変わらなかったりするものです。
しかし,そこで今回紹介する「公式TOEICプラクティスリーディング編」を使えばリーディングの基礎力を高めることができます。
それ以外に,制限時間以内に問題を解く感覚も養うことができますが,以下で特徴や使い方をみていきましょう!
もくじ
公式TOEICプラクティスのリーディング編の特徴
以前,公式TOEICプラクティスのリスニング編をレビューしましたが,本書はそのリーディング版です。
なので,基本的には同じ特徴を備えていて,例えば学ぶ順番は
- ユニット学習
- ミニテスト
- ファイナルテスト
と馴染みのあるものになっています↓
問題はTOEICを作成しているETSの手によるものなので,大変信頼が置けるものであり,TOEICのリーディングセクションを苦手としている受験者が多いことを踏まえると,リスニング編よりも多くの方におすすめできるものです。
リスニング練習をしたいのであれば,TOEICと同じ形式の音源さえあればそれを繰り返し聞くだけで結構な対策になりますし,最近の問題集にはリーディングセクションの音源すら用意されているものが少なくないわけで,教材の入手に困ることは少ないでしょう。
変な話,同レベルの英検用教材を使っても対策することが可能です。
しかし,TOEICのリーディング対策となると状況は大きく異なり,形式的には独自色が強まるため,例えば英検の教材では対策しにくいですし,正しい手順で学ばなければスコアアップもしにくいように感じます。
TOEIC本番の問題は多くの方にとって難しすぎるため(英文の難易度だけでなく分量も含まれる),公式問題集のみで対策する場合,丸つけして解説を読むだけで済ませてしまうか,せいぜい和訳を本文と見比べるくらいでしょう。
Part5の文法問題を解くだけならまだしも,Part7の長文をやるとなれば結構な労力が予想され,学習意欲が失せやすいものです。
そんなとき,公式TOEICプラクティスリーディング編の「ユニット学習」が大いに役立ちます。
次章でその特徴をみていきましょう!
公式TOEICプラクティスリーディング編のユニット学習
ユニット学習の占める割合は半分程度に及び,約200ページかけてパート別に問題を解いていくことになりますが,先述したように,単に予想問題を解いていくわけではありません。
Part5
まずはPart5ですが,最初に文法事項の講義的なものが掲載されています。
文法用語にそれほど精通していなくてもわかる内容なので,以下の解説文で確認してみてください↓
最初に解く問題も右下に確認できますが,TOEICの出題形式とは異なる,理解確認のための練習問題です。
その後に本番通りの問題を解くことになりますが,プラクティスとチャレンジと呼ばれる問題で同じ素材のものを別の切り口で2回解くことにより,精神的なハードルを下げた状態で取り組むことができます↓
もちろん,以下のような解説もあり,例えば問題1の「during・offer・result・quarter」の4つは本書に付属している別冊の単語帳(実際は小冊子です)に収録されています↓
それ以外に,発展的な要素としてコラムも存在していました↓
Part6
Part6以降は長文読解です。
本書が扱うテーマの数は3つと,一見少なく思えますが,Part6はPart5とPart7の橋渡し的な存在であるため,独自の出題形式(広告・記事・Eメールが多い)に慣れるだけで十分で,特に問題があるとは思いません↓
ウォームアップでは内容を理解するものと文法問題が日本語で書かれていて,難易度が下げられていて取り組みやすいです。
これは続くプラクティスでも同じで,丸で囲んでみたり,メモの虫食い部分を埋める作業などもあって飽きずに進められます↓

Part7
ユニット学習のPart7ですが,基本的には読む量が多いものほど難化する傾向にあり,同じ大問内に1つの英文があるものより2つの英文があるものの方が難しく,さらには3つの英文があるものが最も難易度が高いです。
収録数で言うと,2つのものが2割,3つのものも2割だったので,難しい内容を扱った文はやや少なく感じたものの,初中級者であれば正解率が50%以上のものを確実に正解できる力の方が求められるので,難しい文を対策したい方は別の本を選ぶべきでしょう。
例えばPart7に特化した公式英文読解が販売されています。
とはいえ,本書でも速読法であるスキミングとスキャニングが紹介されていて,個人的にこれら2つを解説している本はあまり見かけないので,個人的に気に入りました↓

この公式TOEICプラクティスは結構なサイズとなっていて,少なくとも持ち運びには向いていません。
書き込みができるワークブック形式なので,腰を落ち着けて勉強したいものです。
なお,ユニット学習で出てきた単語は別冊に300語ほどピックアップされ,さらには速読用にと問題の英文部分だけが再収録されているので,持ち歩いて学習するときなどに役立ちます。
その他の特徴
ミニテストは本番と同じ出題になりますが,細切れになっていてぶっ通しで2時間行わずに済むので,ユニット学習に続く第二段階として取り組みやすいはずです。
具体的には4回分のミニテストがあり,1回分は計29問を通して,Part5からPart7までを満遍なく解くことができます↓
ミニテスト | 本番 | |
Part5 | 11問 | 30問 |
Part6 | 4問 | 16問 |
Part7 | 14問 | 54問 |
マークシートも毎回分が用意されていました。
本番の3~4分の1のサイズになりますが,1つの問題を解くための制限時間は本番通りに設定されていますし,問題数は全部で116問と本番以上です。
しかも1回解くごとに結果を記入することになり,苦手部分はユニット学習のところにまで戻ってやり直すため,1回ごとに実力アップしていくことができますし,かかった時間を比較することで成長も実感できます↓
ミニサイズながらフルサイズのものと正答率はほぼ変わらず,ユニット学習での学びを本番用にどのように生かすかを体感するのに適しているように感じました。
もちろん,最終的に1回分の模試(リーディングセクションのみ100問を収録)を75分かけて解くことができ,リーディング編以外にリスニング編も併用すれば,パート別対策・単語・模試の3項目をカバーできたことになり,これはほぼ完全なるTOEIC対策であると言えるでしょう↓
公式問題集同様,正解数から予想スコアも算出されます。
なお,発売から4年以上が経過しているとあって,中古での入手が比較的容易です。
まとめ
最後に本書の基本情報を整理しておきましょう↓
名称:公式TOEIC Lisetening & Readingプラクティス リーディング編
出版:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
定価:3300円
発売年月:2020年8月
ページ数:403ページ
音源:ダウンロード可
なお,本書には音源ダウンロードはabceedを用いて行う方法が書かれていますが,ETSが作成しているだけあって,公式TOEICアプリを使って行うことも可能となっています。
これまでに詳しくみてきたように,本書の大きな特徴はユニット学習が設けられているところで間違いなく,TOEICの出題形式に慣れたい方というよりも,リーディング能力を根本から高めたい方におすすめです。
フルサイズの模試も1回分が最後に用意されてはいるものの,1回あたりの学習時間は基本的に短めとなるため,集中力が続かないという方にも向いています。
ただし,文法用語自体に不慣れな方や,逆にPart7で英文3つからなるような難しい問題を正解する必要がある方,そして外出先での学習が多くなる方には本書は適していないため,別の書籍を使って学ぶようにしてください。
以上,参考になったら幸いです。