今回は「TOEIC Bridge公式ガイドブック」を取り上げ,その特徴についてみていくことにします。
前回,同じく公式が出しているBridge公式ワークブックをレビューしたのですが,本書はS&Wにも対応している点がそれと大きく異なり,L&Rの内容は少なくなってしまうものの,英語4技能を総合的に対策することが可能です。
それでは,以下で詳しく触れていくことにしましょう!
目次
TOEIC Bridge公式ガイドブックはS&Wの対策が可能
TOEIC BridgeのS&Wテストですが,対策できる教材の数が極端に少ないため,この公式ガイドブックが唯一かつ最適の対策本であると言っても過言ではありません。
Bridge S&Wを受ける予定がある方は,誰かに習うのでない限り,本書を購入することをおすすめします。
Bridgeにおいても,通常のTOEIC同様,S&WよりL&Rの方が人気を集めていることは確かですが,令和の時代は高校受験にスピーキングテストが導入されるくらい,英語のアウトプットに注目が集まっていますし,S&Wの勉強を頑張ることで,英語の楽しさに気がつくことができたり,L&Rのスコアの上昇に良い影響を及ぼしたりもあるわけです。
いわゆる普通のTOEIC(社会人向けの最も有名なもの)を受ける前にBridgeを利用する方で,純粋に自身の英語力を高めることが目的で学ばれている方は,いずれは普通のTOEICのS&Wテストを受験することまでを頭に入れつつ,今この段階から英語4技能を満遍なく勉強することの重要性にいち早く気づいておきましょう。
なお,本番のBridge L&Rはマーク式なので問題ないですが,Bridge S&Wではパソコンを使用して解答することになるわけなので,この公式ガイドブックを使う場合であっても,Speakingの解答はスマホなどを使って録音し,Writingはパソコンのキーボードを使って答えを入力するなどと工夫することを勧めます。
実際の中身をみていきますが,まずは「問題形式の紹介」というチャプターでSpeakingとWritingテストの全部の問題パータンについて学習し,本番での取り組む手順を確認していきましょう↓
これはSpeakingの5問目の解き方について説明したもので,左ページに実際の取り組み方が,そして右ページでは実際のパソコン画面を用いて,具体的な解説が行われています。
ページをめくるとサンプル問題を解くことになりますが,メモ欄または解答欄が設けられているので,手を動かしながら解答を準備しましょう↓
スピーキングの場合であっても,メモ欄にキーワードや話す順番を整理する練習を行うことができます。
前のページで読んだものよりも詳しい内容が注意点としてまとめられているので,その内容も参考にして解答を作ったら,次の「解答例と講評」のページへと進みましょう。
解答例は複数パターンが収録されており,違う受験者による解答例を比較することで,より理解を深めることができる点や,本番で使える役立つ知識を学べる点に注目してください↓
不十分なところも残った解答例である場合がほとんどなのですが,「本来ならこのように言うべき」といった訂正案も講評の中に掲載されているので親切です。
ところで,「問題形式の紹介」に登場するサンプル問題においては,似たような問題は代表的なものを1問だけ解いたら終わりとなってしまう場合が多い関係で,問題数が本番よりも少なくなっています。
とはいえ,このチャプターの主な目的は,本番でどのような問題を解くことになるのか,そしてどういった採点基準があるについて把握することなわけですから,本番形式の問題演習は次のチャプターにあたる「実践テスト」で行うというのが本書の方針です。
詳しい様子については,次章でL&Rのものを使って解説しているので,そちらを参考にしてください。
なお,スピーキング問題の模範解答は,実際の受験者が話したであろう内容に似せてスタジオ音質で収録し直したものとなっていて,非常に聞き取りやすかったです(普通のTOEIC S&Wテストの公式ガイドブックでは,受験生の試験会場の音声がそのまま使われているために音質が良くなかったです)。
TOEIC Bridge L&Rテストの解き方も一通り学べる
前章ではS&Wのことばかりを話してしまいましたが,この公式ガイドブックではTOEIC BridgeのL&Rの解き方も一通り学ぶことが可能です。
TOEICの公式が作成している教材だけあって,リスニングの話し手は本番でも登場する方たちが担当し,本番同様,4ヶ国語のなまりのある発音でスピーキング問題が作られています。
まだまだ英語の音声に慣れていないという方は,問題文を聴いたところで,アメリカ英語(Am)なのかオーストラリア英語(Au)なのか,はたまたイギリス英語(Br)なのかカナダ英語(Cn)なのかわからないと思いますが,本書には以下のような表も載っているので,特定の国のなまりに絞って集中的に練習することも可能でしょう↓
解答や解説のページには正解の根拠を示す記述や語注も載っているので,すべてを覚えるようにすれば結構な情報量になります↓
チャプター1は前章で見たS&Wと同様,問題形式の紹介ですが,次のチャプター2が実践テスト(問題),チャプター3がその解答・解説になっているので,本番同様の環境での取り組み(同じ試験時間で一気に取り組むこと)が可能です。
特にBridge L&Rだと2~3回分の問題を収録している問題集が多い中,本書は1回分と量が少ないので,復習する際は,正しい答えを選べるようになるだけでなく,どうして他の答えが間違っているのかを指摘できるくらいになるまでを目指してみましょう。
ちなみに,Bridge L&Rに関してはスコア換算表も付いていたので(別紙という形になりますが),実際の得点も,ある程度であれば予想できます。
一方,Bridge S&Wの方は,模範解答通りの答えになることはないため,さすがに自分で採点することはできないのですが,上手く答えられなかったものに関しては,模範解答を参考にして言い直すか書き直すかして,自分の能力の限界に近い出来栄えの答案を作るようにしては,復習するときにそれに近い内容のものをアウトプットできるようになるまで練習を積んでおくことが必要です↓
実際,本番では本書で質問された内容に近い出題がいくつかなされるでしょう。
日本語で答えられないものを英語で答えることはできないので,日本語でアイディアが浮かぶようになっただけでも,本番のスコアアップに十分役立つように思います。
TOEIC Bridge公式ワークブックとの違いは
前回レビューしたTOEIC Bridge公式ワークブックは問題部分と解答・解説部分の2つに分けられ,後半は別冊になっていましたが,本ガイドブックに別冊はなく,前半にL&R,後半がS&Wという構成です。
問題量ですが,ほぼ同じページ数であることから,Bridge L&Rだけで考えてみると,公式ガイドブック(4技能収録,286ページ)は公式ワークブック(2技能収録,337ページ)の約半分の演習量となります(値段は両者ともに2200円でした)。
確かに,模試形式の「実践テスト」は公式ワークブックだと2回分が収録されていましたし,「ワーク」の名を冠しているだけに練習問題の数や手を動かす回数が多かったです。
さらに言うと,実際の問題形式に沿った内容のサンプル問題を解くのが本書のチャプター1の課題でしたが,公式ワークブックの方では,根拠となる文に線を引かせるなど,より指導的なものが行われていたように思います。
そういった意味では,Bridge L&Rだけを受験するのであれば後者の方がおすすめですが,Bridge S&Wの勉強はL&Rのスコアにも効いてきますので,話したり書いたりする勉強(一見するとスコアに直接の関係がなさそうな勉強)であっても厭わずに学習できる方であれば,公式ガイドブックの方を購入するのもありです。
今後,英語4技能をバランス良く伸ばしたい方は本書だというのが,両方使ってみた私の結論となります。
まとめ
以上,TOEIC Bridge公式ガイドブックの特徴を中心にみてきましたがいかがだったでしょうか。
本書の基本データを整理すると以下の通りとなります↓
書名:TOEIC Bridge®公式ガイドブック
発行:IIBC
ISBN:978-4-906033-55-3
発売日:2019年4月25日
ページ数:286ページ
付属品:音声CD2枚
ところで,上の画像で示したように,本ガイドブックの音声は「abceed」というアプリを使えば誰でも無料で聴くことができるため,人によってはCDの出番はないかもしれません。
1冊でL&RとS&Wのどちらの対策もできるというのは,一般向けのTOEIC本を含めても類を見ないものですから,ある意味,1冊で幅広く対策できるお得な問題集だとも考えられます。
冒頭でも述べましたが,本書を一通りやることで,英語力の底上げが期待できるので,TOEIC BridgeはL&Rだけしか受けないという方も,本書のS&Wまですべて解くことによって,より実力をアップさせられるはずです。
十分な時間を取って,本書に取り組むようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。