2019年に新形式となったTOEIC Bridgeですが,その利用目的から考えても,通常のTOEICと比べて,本番で受験テクニックを駆使する必要性は低いでしょう。
とはいえ,無策で臨んで実力通りの結果が出なければ問題ですし,熱を入れて対策できれば,総合的な英語力を高める良い機会になります。
TOEIC Bridgeを受ける方は,これまでに外部のテストを受けてきた機会も少ないでしょうから,試験本番は長時間集中するための絶好の訓練にもなり,様々な点で自身のレベルアップを果たすことができるでしょう。
さて,今回紹介するのは「TOEIC Bridge Listening & Writing公式ワークブック」になりますが,本番まで対策する日々を充実したものにするための心強い味方になってくれます。
というのも,ワークブック形式であるがゆえに,書き込んで空欄を埋めていく作業が必須になるからなのですが,詳しくは本文でみていくことにしましょう!
目次
TOEIC Bridge L&R公式ワークブックの特徴
基本情報
書名:TOEIC Bridge Listening & Reading 公式ワークブック
出版:2021年7月
サイズ:B5
ボリューム:本誌192+別冊148ページ
音声:CD-ROM付属(AbceedでもDL可)
TOEICの公式が出しているBridge対策本は主に2冊ありますが,1つは4技能に対応したもので,もう1つがL&Rに特化した本書です。
S&Wが必要でなければ,こちらを選びましょう。
タイトルに「ワークブック」とあるように,書き込み式であるところが本書の大きな特徴です。
本番の問題用紙には書き込みできませんが,対策する時にまで書き込みを禁止する道理はなく,むしろ,積極的に書き込みを行うことが理解を助ける場面も多いでしょう。
塾で中高生に英語を教えることもあった私の経験上,ある程度,勉強ができるようになるまでは手を動かして学ぶことをおすすめします。
本書に収録されている模試を使う場合であっても,問題冊子には書き込まなくても,解答・解説の方に書き込みをしてみてください。
知らなかった単語の意味を書き込むでも,意味のまとまりごとに線を引いてみるでも構いません。
ところで,TOEIC BridgeのL&Rは全部で7個のパートからなるのですが,同じパート内であっても似ているとは言い難い質問のされ方をされる場合があります。
問われている能力が異なると言いましょうか。
こういった分析は,通常,公式以外が出している書籍において行われることが多いのですが,ETSが書いた本書内で行われていることは驚きでしょう(最近の著書ではそのような傾向が顕著に見られるようになりました)。
以下は目次になりますが,例えば質問や発言を聞いて適切な内容のものを答えるPart2を見てみると,「WH疑問文・YES/NO疑問文・その他(平叙文,選択疑問文,提案・依頼・許可の文)」の3つに細かく分けられていることがわかるでしょう↓
似た問題形式ではあるものの,厳密にはこれらのユニットごとに,解き方が異なるわけです。
ちなみに,書き込み作業が主に必要となる部分は,上の目次において「Chapter01」と書かれているところになり,「Chapter02」の部分は模試(実践テスト)となっていて,本番と同じ形式で練習することが可能です。
ちなみに,Chapter01でも本番に似た形式での出題があるので,本書を一通り解けば,模試を3回以上は解いたくらいの経験を積むことができると言っても過言ではないでしょう。
書き込み式の教材がグッド
ここからは,前章で紹介した本書の特徴について1つずつ見ていきます。
TOEIC Bridgeの受験者は,まだ独自の勉強法が確立していなかったり,勉強習慣が身に付いていなかったりする方も多いと思うので,書き込み式のワークブックは使いやすいです。
冊子中の空欄を埋めていくことで,容易に達成感が得られるように作られているように感じました。
例えば,以下に示したものだと,通常であれば1回音声を聞いて問題を解いたら終わりとなるところが,3つのワークを通して計3回聴くことになります↓
しかも,それぞれに課題が設定されているので,目的意識を持ってワークに取り組めるところが良いところです。
上に示した画像の内容についてより詳しく見てみると,ワーク1で話の要点を書き出した後,ワークの2でより詳しく単語を聞き取り,最後のワーク3で実際の試験で見られるような出題となっていることがわかるでしょう。
簡単なものから始めることができ,先に進むにつれてより高度な内容になります。
様々な種類のワークが含まれていたところも好印象で,特定の語句に線を引いたり丸で囲むようなものから,文法問題では品詞の分類や,時制を変えて答える課題の他,正解の根拠となった文を指摘するようなものまで見られました↓
ユニットごとに細かく学べる
TOEIC Bridgeはリスニングパートが4つ,リーディングパートが3つの計7つから成りますが,本書はさらにそれらを細分化し,前者が8つの後者も8つの計16個のユニットから構成されます。
そして,各ユニットには,
- 学習テーマの解説
- 例題と例題の解説
- ワーク
- ワークの解答と解説
- ミニテスト
が含まれているわけで,順を追って理解を深めていくことができる仕掛けが施されていると言うとわかりやすいでしょうか。
学習テーマの解説では,そのユニットに分類された問題の特徴や,それを解くにあたって注意すべき点が指摘されていました↓
続いて例題を解き,実際にどう出題されるかのイメージをより明確にしましょう。
このときは,正解するよりも,学習テーマについて理解することの方を優先してみてください。
解説まで,しっかりと目を通しましょう↓
続いて,目玉となるワーク作業へと移りますが,これについては前章ですでにその魅力を語りました。
この作業にどれだけ時間や情熱を注いだかによって,結果は大きく異なるので,問題文の指示に従って何らかの答えを用意してから,その解答や解説を確認することが大切です↓
仕上げにミニテストを解きますが,これまでに学んだ内容を役立てながら,是非とも正解できるように本気で取り組みましょう↓
予想問題を2回分収録
TOEIC Bridge L&R公式ワークブックは,本番の問題を開発しているETSが作成した公式本だけあって,スピーカーは本番と同じ人が登場し,4ヶ国(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア)の訛りある英語で話されます。
答えを書き込むマークシートもあるので,色塗りの練習もできますし,別冊が全体の半分を占めるほどに分厚くなっているのも,初級者向けの参考書としては相応しい内容です↓
ただ,1度解いて丸付けをして終わりにせず,知らなかった単語があれば別にまとめるようにし,問題は複数回解き,リスニング問題の音声は何度も聞き直しましょう。
TOEIC Bridgeに出てくる英語表現は重箱の隅をつつくような難問・奇問はまず見られません。
解説部分では語句の意味がまとめられていますし,前章で紹介した書き込み部分で語注として登場してきた語句も余裕があれば覚えておきましょう。
こうした努力こそが,今後の英語力の伸びを左右するというわけです。
別冊の最後の方のページには,スコア換算表も載っているので,本番で大体どのくらいの点数が取れるかもわかります(得点はある程度の幅を持って出てきますが)。
まとめ
以上,TOEIC Bridge公式ワークブックのレビューでした。
新しい形式に対応し,書き込みをしながら学んでいけるところが初心者には使いやすく,問題量も中々,公式が作成していることもあり,BridgeでS&Wが必要ないという方には大いに勧められる一冊です。
本書で身に付けられる語彙力や問題の解き方は,多くの英語試験に応用可能ですので,費やした時間は無駄にはなりません。
ここで紹介されている解き方は,TOEIC Bridgeにしか通じないような単なる受験テクニックではないため,実力アップにしっかりと貢献してくれます。
安心して勉強に励んでください!