今回は,Z会のTOEIC対策本の1つである「900点攻略完全パッケージ」をレビューしていきたいと思います。
目標スコアが高く設定されている分,対象者のレベルは730点以上を保有する上級者に限定され,ちょうどその学力層で差がつく問題だけを取り扱っているところがユニークです。
例えば650点を目標とするような人は,この本に収録されている問題よりも前にやるべきものがあり,変な話,900点攻略完全パッケージで扱う問題を全部間違えたところで,目標点の達成に支障は出ないでしょう。
共通テストなどと同じく全受験者が同じ問題を解くTOEICなだけに,正解数に差が付くように難易度が異なる問題が含まれているわけですが,早速,レビューの方を始めていきましょう!
目次
TOEIC L&R TEST900点攻略完全パッケージの進め方
900点攻略完全パッケージですが,以下の流れで学習を進めていくことになります↓
- パートごとの攻略法を学ぶ
- トレーニングを使って演習する
- 発展問題を解いて完成させる
- 模試を解く
Z会の本ということで,全体的に王道を行く方法が採用されているので安心して学ぶことができるはずです。
また,4に挙げた模試は通常サイズのものを1回分収録しており,スコア換算表はありませんが,900点取得のために何問正解すべきかという目安が書かれていて役立つでしょう(後述)。
音源もノンストップのものが収録されています。
とはいえ,TOEICの模試は他社からも複数出版されていますし,900点を狙うときの正答数に関してはTOEICでは何問ミスまでOK?目安はでも述べているので,とりわけ珍しいものではないでしょう。
なので,注目すべきは上で挙げた1~3となりますが,それぞれどのような内容であるか,次章からみていくことにします。
900点攻略完全パッケージのパート別攻略法は充実
上は900点攻略完全パッケージの目次ですが,Unitと書かれているところが攻略法を扱っている単元です。
Part1では1つ,Part2では3つ,Part3では2つ,Part4では2つ,Part5では5つ,Part6では1つ,Part7では3つの計17個の攻略法を学べると考えてください。
ちなみに,これらがどのようにして選ばれてきたかというと,本書が発売される前にモニター試験を行い,正解率が50%以下だった問題をピックアップしているというわけです。
中にはほぼ勘に近いような正答率の問題も見られ,例えば以下では正解のAを選んだ人の割合は24.1%だと書かれています↓
4択で適当に選ぶと正答率は25%になるわけですから,それ以下のものは特に難問です。
900点攻略完全パッケージのトレーニング問題は効率的
前章でUnit数を挙げましたが,1つあたり30分前後の勉強時間で終わる量になっていて,攻略法を学んだ後にトレーニング問題を解くことになります。
一般的に,TOEICで高得点取得を目指すための書籍というのは通常の出題形式とは異なる問題を含んでいるもので,以下の書籍などとコンセプトは同じです↓
例えば,Part1のトレーニングでは1つの写真に対して8パターンもの描写が登場し,その正誤を答えるものでした↓
また,Part2では本来ならば3択問題のはずのところが,こちらもマルバツ問題になっていました↓
その他のパートは本番に似た形式のものでしたが問題数はずっと少なく,どれも短時間で多くの問題に触れることを可能にするものだったように思います。
TOEICにおいて,時間対効果は目標スコアが高くなるほどに劣っていくものですが,この900点攻略完全パッケージのトレーニングをやるのとやらないのとでは雲泥の差が生じることになるでしょう。
もっとも,問題の難易度に関しては本番よりもずっと高いものとなっていて,これはUnitで扱う攻略法自体が難しいからなのですが,これについては次の発展問題のところで触れることにします。
900点攻略完全パッケージの発展問題は難しい
各Partの最後に待ち受ける発展問題も当然ながら難しいです。
ところで,TOEICの保有スコアが高くなってくると問題のほとんどに正解できてしまうもので,特にリスニング問題はリーディング問題よりも簡単に感じる傾向が高いため,問題集によってはすべての問題で正答率が9割以上になっても全くおかしな話ではありません。
もちろん,正解したものの中にはスクリプトを完全に理解できていないものも含まれるでしょうから,勉強にならないわけではないのですが,900点攻略完全パッケージでは残り1割の問題を中心に収録していると考えてください(体感的には7割くらいの正答率です)。
それにより,TOEICの上級者であっても正答率はグッと下がり,出来の悪さに落胆することも少なくないのですが,その分,1問から得られる学びは多くなります。
問題数は以下のようになっていて,トレーニングなどと合わせればハーフサイズの模試1回分以上の量です↓
Part | 問題数 |
1 | 4問 |
2 | 10問 |
3 | 12問 |
4 | 12問 |
5 | 10問 |
6 | 8問 |
7 | 17問 |
模試は本番と同じ難易度のものを1回分収録
2回分の模試を収録したTOEIC公式問題集が有名ですが,最近のものは3300円しますから,1回分は1650円の価値があると考えられます。
一方,900点攻略完全パッケージは定価が2420円ですから,1回分の模試を収録しつつ,難しい問題ばかりを扱ったメインパートがあることを考慮するとややお得に感じられるでしょう。
本書に収録されている模試ですが,これまでのように難しい問題ばかりで構成されてはいませんので,実力試しに使うことができます。
とはいえ換算表はなく,代わりに何問正解すれば900点が取れるのかの目安が書かれているところが本書らしいです↓
その他,マークシートが利用できる他,音源も通しのものと小分けにしたものの2種類が利用できるので,模試代わりとして使うこと以外に復習として用いられることも想定した作りになっています。
解答ですが,正解のための根拠がしっかり書かれている他,話者の母語が何であるかだったり単語がピックアップされていたりしていて復習しやすいでしょう(とはいえ,TOEIC本番のものと本書の話者は同じではありません)↓
本書で使われている語彙のレベルも高めで,パッと意味が出てこないものも結構見つかるでしょう。
まとめ
以上,Z会のTOEIC900点攻略完全パッケージのレビューでした。
高スコアを狙う参考書らしく,本書に収録された問題は発展的な内容ばかりで,公式HPから音源が読まれるスピードをわざと速くしたものもダウンロードできるくらいですが,タイトルに「完全パッケージ」とあるように,これ1冊で攻略法の講義から,単語,そして模試までを利用することができます。
通常の問題で練習しているようだと,簡単すぎる問題を結構な数,解くことになるため,決して効率的ではないのですが,本書のトレーニングや発展問題を使えば満足の行く結果が得られるでしょう。
TOEICの公式からは800点狙いの本は売られていますが,900点以上のものは見つかりません↓
上の本も良い総合対策本なので,800点目標の方におすすめしますが,900点となれば,今回の完全パッケージを一通りやってみるだけでも全体的に実力が底上げされるように思います。
気になっている方は是非挑戦してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。