今回はZ会の「ビジネス英語Word Choice」という参考書をレビューしたいと思います。
本書は仕事で必ず使うと言ってもよい単語を中心に収録しており,それらの使い分けについて詳しく学べてしまう1冊ということで,その活躍の場はスピーキングやライティングの領域だけにとどまらず,英文をより深く理解できるようになりたい方や純粋に単語力を増やしたい方にもぴったりです。
例文とイラストで学んでいくシンプルな構成であるがゆえに使用者を選ぶことはありませんし,1冊完璧にやり遂げる自信がなくても,例えば「主語にI(私)ではなくWe(弊社)を使う」ことを1つ学ぶだけでも助けられる場面は多いのではないでしょうか。
短期間で仕上げる代わりにデスクの傍らに置いておき,気になったら調べるようにするだけでも,年単位が経過すれば大きな改善が期待できるため,多くのビジネスパーソンに向いている1冊だと思います。
早速本書の特徴から始めて,学び方や使い方についてまとめていくことにしましょう!
目次
ビジネス英語Word Choiceの特徴
快晴のような水色の表紙のビジネス英語Word Choiceですが,帯にあるキャッチコピーに興味を惹かれたというのが,私が本書を購入した動機です。
「初対面の人に会う時に,seeを使うかmeetを使うか」という話については,つい最近に答えを聞く機会が偶然あったのでわかったものの,「customerとclientの違いは」と尋ねられれば,「顧客」と「依頼主」といった和訳くらいでしたその違いを認識できていませんでした。
はたまた「don't agreeとdisagreeが大違い!」などと書かれているわけですから,これはもう買わざるを得ません。
本書のサブタイトルに目をやると「類語・類似表現700」とあるように,例文とイラスト付きでビジネスの基本となる700語が紹介され,それらの単語の使い分けを学ぶことができるのが本書の大きな特徴です。
それこそ1日2語ずつまたは週末に14語ずつ学んでいけば1年で全部を制覇できることになりますし,単語自体はすでに見知ったものなので,単語帳よりもずっと取り組みやすいでしょう。
実際,本書を使うにあたってはTOEIC470点(英検準2級)程度の英語力があれば十分です。
そういえば,昔読んだ別の本には「GiveとGetだけでも英会話はできてしまう」と書かれていましたが,これらから導き出せる結論は,数多くの単語を知っているよりも,発想の転換方法や1つ1つの語の意味に精通している方が重要だということだと思います。
いずれにせよ,英語でコミュニケーションを取ることが予想されるビジネスパーソンの方は,ぜひ読んでおきたい1冊だということです。
さて,本書を含むZ会のビジネス英語シリーズは参照型の参考書としても使えるように配慮してあるのが共通点でした。
ゆえに本書もその例に漏れず,「こんな時には,どんな単語を使うんだっけ?」と疑問を持つたびに手に取ることで,簡単に目的の単語を見つけることができます。
とはいえ,もしその場面が電話やWeb会議の中においてであれば,「少し時間をください,今調べるので」などと相手を待たせるわけにはいかないでしょう。
さらに言えば,「客」を英語で言おうと思った際に「customer以外にclientも候補にあって,確かその使い分けが重要だったはずだ」などとそもそも考え付かなければ,気にも留めずにただcutomerを使ってしまうわけですから,覚えられなくても構わないので1度は全体を通して読んでおきたいものです。
ある日本語訳に対して英語の候補が1つしか浮かばない状態の方には特に本書が役立つわけで,意外にも,通常のTOEIC(L&R)が得意な人であっても,試験によく出る日本語の意味しか知らなかったりします。
ネタバレは著作権に引っ掛かってしまうでしょうから避けたいと思いますが,一見簡単そうな単語(例えばveryやfree)であっても実は使い分けが重要だったりするので,本書でより適切な表現を身に付けてはビジネスシーンに生かしていきましょう!
ちなみに,本書の作成にはZ会のビジネス英語講座を担当するPatrick Horckmans先生が携わっています。
添削業務を通して多くのビジネスパーソンの答案をみてきた先生だからこそ,日本人が陥りやすい誤解についてよく知っているのです。
Word Choiceでの類語や類似表現の学び方
上が本書の目次になりますが,ア行からワ行まで日本語主体で並んでいます。
さらには最初の語は「あいまいな」という形容詞で,その次は「会う」という動詞となっていて,品詞主体では並んでいません。
こうしたある種の適当さが,逆に本書を使いやすくしてくれています。
それでは,帯のキャッチフレーズにもなっていた「会う」のページを使って,本書の使い方について学ぶことにしましょう!
日本語で書かれた1つの見出し語(ここでは「会う」)に対して,見開きページで解説されることになりますが,まずは左ページに注目してください↓
左上の表には英単語が5つ並んでいますが,これらはすべて「会う」の類語です。
1つの見出し語に対して,大体3~6つの単語がまとめられています。
その横にある日本語を読むだけでも大まかな意味の違いがわかるのですが,左下ページにある「FOCUS」を見てください。
ここでは,単語のより詳しい意味や使い方,そしてニュアンスが補完されることになります。
Word Choideではイラストも意欲的に掲載しているとのことで,目でも学んで印象付けておきましょう。
今回の例だと,以下のような使い方がわかりました↓
- meetは初対面や約束して会う場合に用いる
- seeは面識のある相手や,ただ見かけた場合に使う
確かにNice to see youとは言いませんね。
ビジネスの会議や面談は事前準備をしっかりして臨むことになるのですから,meet withを使うのが良さそうということもわかりました。
勉強になります。
しかし,まだまだこれでは本書の魅力の半分を語っただけに過ぎません。
続いて,すぐ上で示した画像の右上にある「EXAMPLES」を読んでみてください。
これは学んだ語句を例文にしたものになりますが,なるほど,意味の違いごとに上手い具合に使い分けられているように思います。
"You look familiar! Have we met before?"という例文の中では,赤字が「初めて会うことがあったか?」といった意味で用いられていますし,meet withは"Wouldn't it be~?"(~ではないでしょうか)という丁寧な表現とともに使われていることになるのも納得できるでしょう。
全体的に英文の内容がビジネス用途になっているところも製作者の意図が感じられます。
そしてページ最後には「TIPS」があり,間違いやすい連語や和製英語,そしてグローバルなコミュニケーションにおいて気を付けたいことが掲載されているわけです。
上の例では,ビジネス的な側面から見た正しい挨拶表現についての理解を深めることができました。
初対面の印象は大事ですから,使う英語も気を付けたいものです。
Word Choiceで類語や類似表現を検索する方法
さて,前の章の最初で紹介した目次ページですが,検索するときには基本的に用いません。
もちろん,目次を使ってもある程度的を絞って調べることはできるでしょうが,ピンポイントで目的の単語にたどり着きたい場合,日本語索引の方を使います↓
この索引は10ページにまで及び,1ページあたりに50語くらいが載っていますから,全部で400語以上にはなるでしょう。
アイウエオ順に並んでいるため,知りたい日本語に対応する類語表現が載っているページはすぐに見つけられます。
先に学んだ「会う」に関しても,「12ページ参照」との指示がありました。
また,「以前の」と「前の」のように,同じページを指す日本語が別に分かれている場合もあります。
本書は辞書ほど分厚いわけではないので,ぱらぱらめくるようにして気になったものを深く学んでいく使い方もできそうです。
調べる方法に関しては数が思いのほか多く,索引では日本語以外に英語索引までありました↓
こちらは完全に単語の勉強用ですね。
中にはColumnページに飛ぶようなものもありますが,いずれを選択しても,何らかの新しい知識は見つけられて勉強になると思います。
まとめ
以上,Z会からビジネス英語Word Choiceの特徴と学び方,そして実際の使い方について幅広くみてきました。
わかりやすいレイアウトとためになる内容で,知らなかったことをたくさん学べるのが印象的な本書でした。
メインとなる見出し語と例文の載ったページ以外にも,先に紹介したTIPSやたまに出てくるColumnは,日本のビジネスパーソンの多くが誤解している点を中心に解説してくれるので,読むだけで結構な力が身に付きます。
紹介していませんでしたが,付録として「間違いやすい前置詞」についてのページもあるので,似た前置詞の意味に強くなることもできてしまうわけです↓
ただ機械的に訳すのではなく,英語のちょっとした表現に気を配れるようにした途端,自分の話す英語は改善されるものですし,本書の内容を楽しく学んでいくことができるでしょう。
発展的な内容であっても,やる気のある読者であればむしろやる気を呼び起こしてくれるものとして機能します。
似た英単語(一部熟語も含む)を使い分けながら,正しいニュアンスやその場にふさわしい英語を身に付けていきましょう↓
もしも本書でZ会のビジネス講座の教えに共感できたら,Eメールを書いてみたり総合的に学べるオンライン講座の受講もおすすめです↓
私も別の勉強をしていてWord Choiceに思わず手が伸びることも多々ありますから,本書との付き合いは長くなるように思われます。
是非,ビジネス英語の1冊目として購入してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。