今回はアルク社の「AFN最強の生英語リスニング」をレビューしたいと思います。
収録シーンはクイズ番組からスポーツ実況のようなものまで多岐にわたり,素材元がラジオCMなだけに簡潔かつ楽しく仕上がっている上,英語ネイティブ向けということもあって,一切の妥協を許さないスピードで話される英語を聴くことができる「最強」のリスニング教材です。
今回のレビューでは,その魅力に迫ってみましょう!
目次
AFN最強の生英語リスニングの特徴
- 書名:AFN最強の生英語リスニング
- 出版:アルク
- 初版:2007年1月21日
- ページ数:241ページ
- 価格:1650円
- 音源:CD1枚付属(boocoなどでDL可)
AFN(American Forces Network)とは,海外に駐留する米軍人とその家族が,できる限り快適な生活を送ることを支援するためのラジオ(またはテレビ)放送のことです。
詳しい使い方は海外ニュースでTOEIC対策!リスニングできるサイトはに譲ることにしますが,AFN Tokyoの広告枠のところで流れた放送をいくつか収録したのが本書で,ラジオでは確認することができない原稿の他,全訳と語注まで確認できてしまうところが大きな魅力でしょう。
似たような音源はAFNの公式HPに行けば聴くことができますが,アルク社のboocoやALCOというアプリを使えば本書に収録されている音源は,すべて無料でダウンロードできてしまうので,まずはお試しで一度聴いてみてください↓
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音源を聴いてみるとすぐにわかるのですが,完全にネイティブ向けの放送なので,話される英語は生の英語そのものです。
つまり,口語表現にスラング,そして難しい単語や聞きなれない言い回しもバンバン登場するので,英語学習者にとっては,ある意味最終的なリスニングのゴール地点が示されているとも言えます。
以下は本書に登場するスラングの例です↓
洋楽で聴くようなain'tやouttaといった馴染みのあるものから,一体何を指しているのか想像もつかないcrotch rocketやhot airのようなものまで色々収録されています。
アルク社によると対象レベルは英検2級(TOEIC600点)以上となってはいますが,英検1級やTOEIC900点を持っていても意味は半分も理解できないでしょう。
そのくらい難しいのです。
とはいえ,何度も繰り返せばもちろん聴き取れるようになるので取り組み甲斐がありますし,それこそ先のアプリを使えば再生速度を0.5倍にして聴くこともできるわけですから,現代のテクノロジーを駆使した勉強法の恩恵を受けられる教材だとも言えるでしょう。
80トラックにもわたる音源は内容別に8つに分かれ,音楽やニュース,そしてスポーツ番組などからアメリカの雰囲気を感じ取ることができ,しかもそれを日本にいながらいつでもどこでも聴けてしまうことは大変に魅力的です↓
タイトルを眺めただけでも面白そうな雰囲気が伝わってきませんか。
なお,基になっているCMは30秒から1分程度の長さに収まっているので,集中してリスニングしやすいです。
実際の使い方については,本書内でいくつかの方法が提示されており,TOEIC対策にも役立てられることは意外と知られていないかもしれません。
まずは次章で,本書の内容についてまとめてみることにしましょう!
AFN最強の生英語リスニングの内容
本書の基本的なレイアウトですが,上記画像のようなものとなります。
左ページの上部にはジャンル名とトラック番号の他,タイトルが確認でき,右ページ上部にはスピードや語彙,放送の特徴についての簡単なメモが確認できました。
「I mean…」という部分に書かれているのは,放送内容の中から日常的に使えるフレーズがピックアップされており,残りは英文と語注,そして全訳です。
上記ページに対応する音源を聴いてみましたが,出だしから全くわからないと思います↓
というのも,場面を認識する手掛かりとなる出だしに使われているdormがdormitoryの口語表現であることを知りませんでしたし,2行目に登場するwanna(ここではwant toの口語表現)についても,これまた馴染みがないはずだからです。
唯一の救いとなるのは,音楽から何やら不穏な空気感が伝わってくるところでしょうか。
しかし,figureが「思う」という動詞の意味で使われていたり,the last one(もっとも~しなそうな人)を使った比較表現も,こうしてリスニングで出てくると,すぐに意味を把握するのが難しいと感じるはずです。
語注を見てみると, dayroom(談話室)やsnuck in(普通はsneaked in)など,学校では習わないような単語も目に留まります。
a whole lotta~という表現はどこかで目にしたような覚えがありましたが,レッド・ツェッペリンの楽曲に「Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を)」というタイトルのものがありましたね。
その他,言い間違いの表現が出てきたりもするわけで,日ごろリスニングをしている際,聞きなれていない単語が出てきたり,英文の意味がわからなくなった途端に焦って聴き取れなくなってしまう方にとって,良い刺激になること間違いなしの内容でしょう。
ちなみにですが,CMの最後はアナウンサーのカッコいい言葉で締められることが多く,大体は教訓めいたもので終わっています。
なお,リスニングは確かに難しいのですが,語り口や英語の音が心地よく,自分で声に出してみると大変楽しく感じるはずです。
スマホでゲームをしていても,簡単にクリアできるものが楽しいとは限りませんからね。
次章では,本書を用いた勉強法について紹介します。
AFN最強の生英語リスニングを用いたTOEIC勉強法
AFN最強の生英語リスニングの使い方については,10ページ目で解説されていました。
全部で4つのコースが提示されており,TOEICのリスニング対策にぴったりという方法もありましたが,復習のことも考えると,適宜組み合わせてやってみる方が良いでしょう。
以下では私の学習方法を紹介しますが,続きやすい方法で,自由にやってみてください。
音源を聴く
音源を聴く際は途中で止めず,一度に最後まで通して聴きますが,これはTOEIC本番と同じ状況を作るためです。
とはいえ,闇雲に聴くのではなく,常に5W1H を念頭に入れてリスニングするようにします。
長めの内容を聴くことになるパート3と4の対策として活用するわけですから,誰が登場し,そして場面設定はどこなのか,そしてできるだけ話題について理解しようとする意識を持つことが大切です。
テキストで英文を確認する
聴き終えたら答え合わせをします。
5W1Hのうち,特に上で述べたwho・where・whatに気を配りながら原稿を読んでみましょう。
これを自分が最初に聴き取った内容と比べてみます。
何個正解できたでしょうか。
復習する
復習をしないという方はいないでしょう。
ディクテーションやシャドーイングは有効な学習方法ですし,先に紹介したアプリを使うと簡単にできるのでおすすめです↓
というのも,一時停止はもちろん,最短で2秒前に戻せたり,同じ範囲だけを何度もリスニングすることが可能になるからで,ディクテーションでは数語ごと,シャドーイングでは1センテンスごとに止めては,聴き取った内容を書き写したり口で言い直します。
すぐに英文を見て答えを合わせ,できるようになるまでやり直しましょう。
出来の悪かったところは線を引くなどしておいて時間が経って再度挑戦するようにし,シャドーイングでは口調にも注意を払うことが大切です。
巻末に素材ごとにディクテーションやシャドーイングに適しているなどの表示があるので,これを参考にどちらかに絞って練習するのもありだと思います↓
ここまでしっかりやって初めて実力が付くので,復習まできちんと行いましょう。
なお,英語の実力が付いてきたと感じる人ほどできなくて凹むのが本書ですが,ある程度の期間これで学んでからAFNのラジオ放送を聴くと,同じようなCMが流れたときにだいぶ親しみを持って聴けるようになったと感じます。
まとめ
以上,AFN最強の生英語リスニングのレビューでした。
発売されたのは2007年と古いものですが,後に「名著」と呼ばれるものは発売された時点で完成されているわけで,その価値は後までずっと変わらないものです。
そして,本書は十分にその資格を備えているように思います。
なお,最近の私は,朝に散歩する際に本書の音源をリスニングしていますが,音源の長さが約60分というのも使いやすく,この1年で200周くらいは聴いたのではないでしょうか。
あらゆる英語の資格・検定試験の音源は本書以下ですので,話される早さに驚くことはなくなりました。
マイナス点を挙げるとするなら,スクリプトを見ながら聴いてもイメージがリアルタイムで入ってこないところがあったり,軍の施設(スーパーマーケットや福利厚生的な制度)に詳しくなってもしょうがないところはあるところでしょうか。
ゆえに,TOEIC対策として見た場合,少なくとも最初の1冊に選ばれるような本ではないのですが,リスニング学習,いやそれ以上に英語学習としてみた場合,いつか必ず到達したい目標を示してくれては,本来の英語学習の目的を思い出させてくれる良書であることは確かです。
是非,このAFN最強の生英語リスニングをご自宅の本棚に加えては,末永く自分の英語学習を見守ってくれる1冊にしてみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。