今回は,TOEICの高スコアを狙う方がPart1&2対策に使える「TOEICテスト最強攻略PART1&2」という参考書についてレビューしてみたいと思います。
教材の難度が高いところが本書の魅力で,出版されたのは2015年と,新形式に変わる前のものであるものの,高スコアを目指す学習者に向けた「学習のストラテジー」と呼ばれるトレーニング方法は,いつの時代においても有効なものです。
このことは,昔のTOEICで900点を超えていた人が新形式の公開テストを受けても,同じような点が取れることが証明しています。
加えて,リスニングの対策本でPart1と2に絞った参考書は中々に数が少なく貴重です。
一体どのような学び方をしていくことになるのか,まずは概要の方からみていきましょう!
もくじ
TOEICテスト最強攻略PART1&2とは

書名が「PART1&2」となっていることから明らかですが,本書が扱う問題は2つのパートのみです。
しかし,本書が目指す領域は,TOEICで良い点が取れるだけに留まらず,実用性がある役立つ英語力を身に付けることとされます。
そして,Part1と2で読まれる英文を完璧に聞き取れるリスニング力を身に付けるために本書では,「澤トレ」と呼ばれるトレーニングを用いてスピーキング力を強化していくところが特徴です。
リスニングの勉強をするはずが,どうしてスピーキング練習をさせられるのでしょうか。
順を追って説明すると,著者は渋谷にある澤田塾の塾長をしていて,彼のブログで本書を「澤トレ」と呼ぶことにしたのが始まりです。
当サイトにおいても,TOEIC L&Rのスコアはスピーキング練習でも伸びるの記事で考察しましたが,リスニング力とスピーキング力は深く関係していて,英語を話せなければ聞き取ることができません。
そして澤トレでは具体的に以下のようなトレーニングを行っていきます↓
- Listen & Repeat
- Quick Response
- Read & Look up
まずは目次をみてください↓

構成は,前半部分が「ストラテジー編」であり,後半部分が「問題演習編」となっています。
やり方について理解を深めてから,実際に問題を解いていくわけですが,後者は模擬試験のようになっていて,各パートに4回分の問題セットが収録されていて,詳しい解説付きです。
左がPart1のもので,右がPart2のものになります↓

確かに,模擬試験に関しては形式が現行(2016年以降)のものとやや異なるので,本書の解法からは学べるところが少ないでしょう。
その意味では,本書で最も価値があるのは「学習のストラテジー」部分のみかもしれません。
しかし,模擬試験に収録された問題はなかなかに練られた良問であり,純粋にリスニング力を底上げすることができます。
ここで重要なことは,リスニング力がある人であれば,試験の形式がどれだけ変わろうとも正解を導けるということです。
英語が苦手な人であっても,TOEICのリスニング問題を,日本語訳を見ながら解いてみるとどのような結果になるでしょうか。
特につまずくこともなく,全問正解できてしまうわけです。
とすれば,TOEICでスコアが上がらない一番の原因は自分のリスニング力が低いことに尽きるわけで,そんな人がどれだけリスニングセクションの攻略法について学んでも,高得点を取ることはできません。
その点,「学習のストラテジー」は根本のリスニング力を強化することを目的としているわけで,次章でトレーニング内容をみていきたいと思います。
最強攻略PART1&2における学び方
繰り返しになりますが,最強攻略PART1&2では,基本的に3つのトレーニングを行うことになります↓
- 英語の音声を最後まで聞き,聞こえた通りに繰り返す(Listen & Repeat)
- 和文に続けて英語を音読し,見上げて,空で言う(Read & Look up)
- 和訳の音声を聞いた瞬間に,その英語を言う(日→英Quick Response)
1つ目に挙げたものは,別名「リピーティング」と呼ばれ,TOEIC学習に役立つトレーニング!10種類以上を駆使しようでも紹介しました。
最後のQuick Responseは,1人で行なおうとすると,日本語訳が吹き込まれた音声がない限りはできず,本書にあるようなそれ用の音源が必要となります。
誰かパートナーがいるのであれば,その人に日本語を読みあげてもらったものを自分が英語にする練習ができますが,そうした環境は得難いため,本書のように独学できる教材は貴重です。
さて,これらのトレーニングですが,1つの勉強素材(語句とか英文)に対して,上述した3つのトレーニングを順に行っていきます。
最初はできるかどうか心配だと思いますが,負荷が低い簡単なトレーニング(フレーズ単位)から始まるので,すぐに慣れては高負荷のもの(センテンス単位など)を行えるようになるでしょう。
フレーズ単位で行う

一番負荷が低いものは,3~5語のフレーズを対象に行うListen & Repeatです。
まずは赤シートでフレーズを隠し,音声のみを頼りに,聞こえた通りに音読してみましょう。
単語の意味についてはこの時点で気にする必要はなく,あくまで音が聴き取れているかどうかを確認するに留めてください。
2段構えで挑み,1周目は自分の発した英語が正しいかどうかまでは確認せず,2周目になって初めて,1つ1つ赤シートをめくっては確認していきます。
続けて,Read & Look upのトレーニングに移りますが,これまでに学んだフレーズを,今度は和訳付きで見直しましょう↓

このときの手順は以下の通りです↓
- 和訳を音読して意味を確認
- 英語フレーズを音読
- 見上げて英語を言う
最後の仕上げにQuick Responseを行いますが,和訳を読み上げた音声(CD-Rに収録)を聞いた瞬間に,その英語を読み上げるようにします。
センテンス単位でのトレーニング
低負荷のトレーニングができるようになったら,負荷を中に引き上げ,お次はセンテンス単位で行ってみましょう。
Part1の題材の場合,写真内容を描写したセンテンスを用いますが,流れは低負荷で行なったときと同じです↓

英語が長くなっただけですが,難易度はぐんと上がったように感じられます。
しかし,なんとかやり遂げましょう!
続くRead & Look upやQuick Responseも,フレーズ単位のときと同じ要領で行います↓

ちなみに,Part2が題材である場合,Quick Responseは行いません。
というのも,和訳が長すぎて瞬時に言えないからです。
中負荷では,実際に試験で読まれる文(設問文)も題材になりますが,手順はPart1のときとあまり変わりません↓

音源の中ではポーズの時間も取られるので,その空白時間を利用して繰り返し音読しましょう。
設問文と選択肢を用いたトレーニング
最も難易度の高い学習方法は,設問文以外に選択肢も用いたトレーニングです。
まずは,Listen & Repeatをみてみましょう↓

Part2に出てくる会話例を題材とし,以下の手順で行います↓
- 設問文を聴く
- 続けて選択肢を聴くが,その都度,設問文を脳内で再生する
- ポーズの間に,設問文と正解だと思う応答を音読する
- 設問文と正解の応答を聴く
- ポーズが入るので,手順3のときと同じように音読する
- 上記手順を繰り返すが,5の音読後に今度は英文を確認する
これが終わったら,次にRead & Look upに移りましょう!
題材はこのような感じになり↓

以下の手順に従います↓
- 和訳を音読する
- 英文を音読する
- 空を見上げて暗唱する
- 上手くできなければ2と3を繰り返す
特にListen & Repeatの難度が高いので,最後に紹介したRead & Look upをやってから,再度Listen & Repeatのトレーニングをやり直すようにすると,取り組みやすくなるのでおすすめです。
まとめ

前章で実際のトレーニング内容を紹介しましたが,最終的には上のような「訳&スクリプト」を使い,パート形式(質問に対して返答する形式)でまとめられた120問すべてを題材に,高負荷のトレーニングを行っていきます。
まさか,Part1とPart2の2つのみを扱う参考書で,ここまで多くの作業量を求められることになろうとは想像だにしていませんでしたが,痛み無くして得るものはありません。
振り返ると,一番辛かったのは初回のトレーニングだったので,それさえ何とかやり遂げてしまえば,2回目以降はそれほど困らずに進んでいけるでしょう。
今だと本書は中古で安く入手できます↓
最後までお読みいただきありがとうございました。